翻訳

2004年版米国高等教育機関における実態調査(3)
Core Data Service Fiscal Year 2004 Summary Report


翻訳はEDUCAUSEの許可を受けて行い、前号より数回に分けて掲載しています。
第1章〜2章の訳文および原文は、以下のサイトよりご覧いただけます。

訳 文 第1章 http://www.juce.jp/LINK/journal/0602/10_01.html
  第2章 http://www.juce.jp/LINK/journal/0603/08_01.html
原 文 http://www.educause.edu/apps/coredata/reports/2004/


第3章 教員と学生のコンピュータ利用

 コアデータ調査(Core date survey)の第3章は、キャンパスでのコンピュータ利用者へのサポート、つまり、一般的な意味におけるサービスと基本設備についてのデータを掲載している。具体的には、教員が授業等で使用する機器操作のための特別なサポート、それから学生のコンピュータ利用に関する規則と基本設備のサービスといったものが含まれる。授業管理システムへの利用とその関心は年々増加しており、そのために上記のシステムに関するデータは個別に注目されている。

キャンパスにおけるコンピュータ利用のサポート

 キャンパスIT組織は、大学の業務を行うにあたって、一般的なサポートと基本設備を提供している。このサービス環境におけるサポートと基本設備により、学生も教員も自分たちの業務を遂行でき、キャンパスの教育業務もサポートされる。
 この環境の第一の特徴は、キャンパスにおける機材が容易に利用できる状態になっているということと関わっている。ヘルプデスクの存在は、学生や教員が、自分たちの勉強や研究において、機材を利用するときに妨げとなるようなハードウェアやソフトウェアの問題を解決する手助けとなるという点において重要である。表3-1にあるとおり、異なったレベルの教育課程機関においてサポートされる量は異なっている。とりわけ博士課程においては、他の教育課程に比べ著しく多くの援助が行われており、BAまたはAAでのサービスに比べたらMAではより多くのサービスが施されている。

(訳注)
 本報告書で用いられているカーネギークラスでは、大学を以下のようにグループ分けする。
DR DR EXT 博士号授与大学(15分野以上で年50件以上の博士号を授与)
DR INT 博士号授与大学(10分野以上で年10件以上、または年20件以上の博士号を授与)
MA MA I 修士号授与大学I(3分野以上で年40件以上の修士号を授与)
MA II 修士号授与大学II(年20件以上の修士号を授与)
BA BA LA リベラルアーツ型学士号授与大学(学士号の半数以上が一般教養の分野)
BA GEN 一般型学士号授与大学(学士号の半数未満が一般教養の分野)
BA AA 準学士授与型学士号授与大学(授与学位のほとんとは学士号未満)
AA   準学士号授与大学

表3-1 ヘルプデスクの利用
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
キャンパス内のヘルプデスクが利用されている平均時間数/週 69.7 85.3 70.6 62.1 60.2 67.6
24時間365日ヘルプデスクが開かれている機関の割合 5.80% 15.50% 3.70% 2.40% 1.80% 6.40%
ヘルプデスクがないキャンパスの割合 5.80% 2.90% 2.10% 5.90% 15.10% 5.00%
調査キャンパス数:779

 24時間365日、日常的なサポート体制が必要であるという議論は強くあるが、一方、コアデータ調査によると、すべてのレベルの教育課程機関においてヘルプデスクを持っていると答えたのはわずか5.8%であるという事実もあり、24時間体制というのは一般的なものではない。対照的にヘルプデスクを持っていないと答えたところも、全レベルの教育課程機関の中で5.8%であるという事実もある。このヘルプデスクの推移については、2003年度から2004年度にかけてほとんどみるべき変化はない。
 キャンパスサポートに関して2番目の特徴は、e-mailが利用できるということと関係している。特に、学生が大学から情報を行受け取るために必要なアカウントを発行されているかどうかということである。e-mailに常にアクセスできるということは、教職員がある授業の受講生、あるいは大学の全学生に大学の方針、行事その他のことについて連絡することができるか否かという点で、まず重要なこととして理解される必要がある。
 表3-2に見られるように、全学生にe-mail アカウントを発行するということは、現在は普通のこととして実践されている。実際、回答者のうち88%がアカウントを所持していると報告されている。このe-mailアカウントに関しては、AAを除くカーネギーグループ全体としてはかなりコンスタントに発行されている。短大では他の教育課程機関(61%)よりもはるかに低い発行率であると報告されている。この短大のe-mail発行率が低いということは、おそらく多くが地域住民の様々なニーズに答えるコミュニティカレッジ(注:一般に、短大は、公立の場合、community collegeと呼ばれ、私立の場合はjunior collegeと呼ばれることが多い)であり、通学学生は比較的短期間しか通学しないという理由であろうと思われる。このパターンにおいては、昨年と比べて本年は著しい変化は起きていなかった。

表3-2 全学生にe-mailアカウントを発行していますか
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
はい 88.00% 93.70% 94.20% 96.40% 61.40% 91.40%
いいえ 12.00% 6.30% 5.80% 3.60% 38.60% 8.60%

 多くの学生が通学前に既にe-mailアカウントを所持しているという理由で、大学においては全学生に発行することを止めたところもある。表3-3を見ると、e-mailアクセスに関して何が起きているのかということを理解することや、前掲の表のデータを解釈すること、そして、異なった教育課程機関によって用いられている独自の方針におけるパターンを容易に確認できる。全学生にe-mailアカウントを発行するという大学の方針はカーネギークラス内においても異なっているが、全体としては回答者の90%以上が発行していると答えている。DR、MA、BAのうち、全学生にe-mailアカウントを発行するというところはほとんどなく、これらのグループのおける全回答者(DR;97%、MA;93%、BA;96%)が、このサービスを中止する予定はないと回答している。

表 3-3 全学生へのe-mailアカウント発行に関する大学の方針
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
発行しない 7.30% 0.60% 2.90% 0.60% 28.90% 5.70%
中止の予定なし 89.00% 97.10% 93.40% 96.40% 62.70% 93.60%
今後中止の予定 1.50% 1.70% 2.50% 1.80% 0.60% 0.00%
既に発行中止 2.20% 0.60% 1.20% 1.20% 7.80% 0.70%


 一般的な大学のサポートの特徴の最後は、大学の授業において教員、学生共に授業で電子機器を使用するとき、教室内において諸機材がどれだけ自由に使えるのかという程度の問題である。調査結果は表3-4に表されている。

表3-4 種々の機器が教室に設置されてい割合
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
有線インターネット接続 86.50% 83.70% 90.90% 90.10% 88.40% 76.00%
無線インターネット接続 33.50% 40.40% 35.50% 32.80% 27.10% 30.30%
液晶プロジェクタ 50.50% 46.20% 52.10% 50.30% 49.90% 54.40%
コンピュータ 41.90% 31.50% 43.20% 45.00% 47.60% 42.10%
テレビ 31.70% 22.00% 34.50% 33.90% 39.80% 26.50%
スマートボード 4.60% 3.30% 4.90% 3.90% 6.00% 4.90%
印刷物提示装置/カメラ 18.70% 17.50% 19.00% 15.20% 18.00% 24.60%


 有線のインターネット接続ができる教室を持つ大学の割合は、カーネギークラスの機能の一つとして著しく異なっている。また、MA、BA、AAでは、博士課程や『その他』の教育課程機関よりもはるかに高い普及率を示している。博士課程において普及率の低い理由は、おそらく、厳密な意味では、有線インターネットが装備されている教室は実際にはもっと多く存在するのであろうが、大雑把な調査が行われたためこのような数字になったのではと思われる。これらのデータを総合してみると、教室の有線インターネット接続に関しては、BA教育機関を除いて著しく増加していることが分かった。
 博士課程においては、有線インターネット接続の普及が低いと回答がある一方、無線接続に関しては最高の普及(40%)を示している。無線インターネット接続に関しては、このデータによるとすべての教育課程機関において著しく増加している。
 今年の調査におけるカーネギーグループ間では、液晶プロジェクターの設置において違いが見られた。『その他』の大学は、平均として液晶プロジェクターが設置された教室では高い普及を示した。そしてその普及率は、DRやAAと比べて著しく高いものであった。さらに、MAでもDRより高い普及率となっている。全体としてこの調査を眺めると、液晶プロジェクターの普及については昨年度よりも著しい増加(5%)となっており、2002年度から2003年度への増加が6%であったことを考えると、コンスタントな増加をたどっている。
 コンピュータが設置されている教室の割合は、DRの教育機関においては他のカーネギーグループと比べて著しく低く、テレビ設置教室と比べても同様な結果である。また、コンピュータが設置してある教室の割合は、今年の伸びが4%と2年連続して増加している。
 スマートボード(注:タッチパネル、ペンで描くという機能が着いたスクリーンのようなもの)の普及はAA教育機関が最も高く、DR教育機関がもっとも低い。『その他』の教育課程機関では、文書を扱う機器(カメラ、教材提示装置など)の普及率が一番高い。

教員サポート

 もしe-learningが高等教育機関で実現されるのならば、教員が学び、あるいは電子機器が教室の配備されるために実施されるサポートがどれくらい行われるのかという変化が重要な鍵となるであろう。表3-5にはこれらのデータを再びカーネギーグループ間と比較対象し、また、大学の特徴に関連した違いを示した結果、教員ための多くのサポートの特徴に関するデータが要約されている。

表3-5 授業での機器利用に関して教員はどのようにサポートされていますか。
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
特定の教育工学センター 73.40% 87.90% 75.10% 59.20% 74.70% 67.60%
ITサポートを行う教育センター 56.00% 67.80% 60.20% 39.60% 57.20% 52.10%
機器を扱うインストラクショナルデザイナー 56.90% 77.60% 58.50% 35.50% 51.80% 60.00%
専門分野の教育工学者 19.70% 28.20% 17.40% 19.50% 13.90% 20.00%
機器利用の教員への重点的なサポート 51.90% 57.50% 55.60% 47.60% 49.40% 46.40%
常設のセミナーでの教員研修 87.20% 95.40% 92.10% 82.20% 89.80% 71.40%
臨時の教員研修 93.60% 93.70% 98.80% 94.70% 93.40% 83.60%
教員同士が意見交換できる活動 71.90% 85.60% 79.70% 68.60% 62.70% 56.40%
機器利用の教員への研究補助 40.30% 50.00% 45.60% 33.70% 36.70% 31.40%

 教育における教員による機器使用として報告されているサポートの多くは、カーネギークラスによって著しく異なっている。博士課程では、唯一のサポートが他を歴然として上回っている。それはリクエストに応じた教員研修というサポート方法である。そしてこの方法は、現在大半の大学で行われており、カーネギークラスにおいても違いは見られなかった。BA教育機関では、大学機関としての教育工学センターを利用したり、IT設備を備えた教育実践センターを活用したり、さらに技術者との共同作業をするインストラクショナルデザイナー(注:教育工学の一分野で、授業設計、授業構築などの分野を扱う)を活用することは、他の教育課程機関フループと比べるとあまり頻繁ではない、と報告されている。
 教員研修を企画したり、あるいはリクエストに応じて研修を行ったり、新しいテクノロジーの利用法を教員同士が相互に教え合ったりする機会を持つことは、『その他』の高等教育機関では最も少ないと報告されている。しかし、この教育課程機関グループ内では、70%以上のところが計画的に教員研修を実施しており、ほぼ84%がリクエストに応じてそのような研修を実施している。全教育課程機関において、教員のテクノロジーを利用に関してこれらの2種類の研修を実施するところは、それぞれ計画に基づいた研修:87%以上、リクエストに応じた研修:94%と報告されている。
 授業デザインに関する専門家である教育工学者を雇用しているところは、全教育機関の中でも20%程度しか報告されていない。しかしながら、博士課程教育機関においては、28%以上がこの雇用をしていると報告されている。教育活動のために教員の斬新な機器利用をサポートするために、研究助成費や賞金を与えている教育機関は下から2番目の方法であり、教育機関全体で40%程度である。
 我々のデータを総合して全教育機関を比較すると、この分野の専門家である教育工学者を除いて、全体としては教育活動において教員がテクノロジーの助けを受けるというようなサポート手段は、包括的に増加が見られた。 

学生のコンピュータ利用

 学生が大学で自分が所有するコンピュータを使用するという割合は、カーネギークラスの機能としては著しく異なっていることが表3-6を見れば分かる。その割合は博士課程とBAで大きく異なっていない。しかし、両者とも他の教育課程機関よりも高い割合であった。さらにMAの学生が自分自身のコンピュータをキャンパスで使用する割合は、AA機関や『その他』の教育機関に比べて著しく高かった。我々の調査によると、2003年から2004年にかけてコンピュータ所有率は著しく伸びており、平均としては64%から67%(中央値は、75%から80%)へと変わっている。この傾向は両アンケートに答えた大学の中のどのカーネギーグループにおいても見られ、その差は統計的にも有意であった。

表3-6 自分が所有するコンピュータを使用していると答えた学生割合
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
平均 67.10% 81.50% 74.80% 80.30% 34.80% 58.10%
中央値 80.00% 90.00% 80.00% 89.00% 30.00% 70.00%
最小 0.00% 0.00% 0.00% 8.00% 0.00% 0.00%
最大 100.00% 100.00% 100.00% 100.00% 91.00% 100.00%

 学生のコンピュータ所有は、おそらくコンピュータを授業で使用するというようなことが理由ではあろうが、その他の理由も十分に考えられるだろう。教育機関主導でこのようなコンピュータ所有について調査するときには、表3-7に見られるように公立校と私立校の違いは非常に大きく、統計的にも著しい違いが表れてくる。私立校では、全体としてはおおよそ21%ほどの違いで多く所有している。例えば学生が私立校に通っていた場合、たとえ学費援助が考慮されたにしても、その学生の家族の相対的な経済的事情というものが少なからず関係してくると思われる。したがって、私学に通う学生は、自宅から近くの公立校に通っている学生よりも、そのようなテクノロジーを購入するために、より多くの経済的な援助の手段があるであろう。デジタル格差は私立校、公立校にかかわらず、依然どの教育機関にも存在するという前提とともに、この調査からコンピュータへのパブリックアクセスが継続して保証されるべきであり、もしそれが保証されないと学生は学業の遂行において、テクノロジーの効果的使用に関して不利になる。ということがわかる。

表3-7 自分が所有するコンピュータを使用している学生が所属する等教育機関の種類による割合
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
私立校 80.90% 90.50% 79.10% 82.50% 41.80% 68.90%
公立校 59.40% 77.00% 70.70% 67.40% 34.70% 59.00%

 表3-8にも見られるが、学生がテクノロジーにアクセスすることは、大学間での要求と期待において大きく異なっている。博士課程では85%が個人所有のコンピュータが必要であるとし、かつ推奨もしているが、AAでは82%以上がそのようなガイドラインは持っていないと答えている。MA、BA、それから『その他』の教育機関では、だいたいその間の割合でガイドラインを持っている。博士課程では、43%以上のところで、一般的に博士課程の学生はコンピュ−タを持つようにという方針を持っており、ある分野においてはコンピュータを購入するかリースで借りるかといったことを要求しているところもあった。全学生にコンピュータを購入、リースを強制ではなく、推奨している学校の割合はBAにおいて最も高く、半数以上のところでそのような方針を持っていると答えている。MAでは43%を少し上回るくらい、博士課程ではだいたい28%がそのような方針を支持すると回答していた。AAにおいては、実質的にはまったくそのような方針を持つところはなかった。

表3-8 学生のコンピュータ利用の規定に関する方針
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
全学生にコンピュータを与える 2.50% 0.60% 2.10% 5.30% 0.00% 5.00%
学生に購入あるいはリースを義務づける 3.70% 6.30% 3.30% 1.80% 1.20% 6.40%
所属分野によっては購入/リースを義務づける 13.60% 36.80% 9.50% 1.80% 6.60% 14.30%
コンピュータ購入/リースを推奨するが、全員には義務づけない 30.70% 27.6& 43.20% 51.50% 1.80% 22.10%
一定の所属分野によってはコンピュータ購入/リースは、推奨するが、義務づけはしない 8.00% 12.60% 7.50% 3.60% 6.60% 10.00%
コンピュータに関しては義務づけも推奨もしない 40.10% 14.90% 32.40% 34.90% 82.50% 40.70%
その他 1.50% 1.10% 2.10% 1.20% 1.20% 1.40%

 全学生に一人1台のコンピュータを与えているところは、全体としてはまれである。回答があったなかでは、博士課程とMAでは全員にパソコンを与えるというところはめったになく、また、AAではどこも与えてはいなかった。一方、BAと『その他』の高等教育機関では、約5%が全学生にコンピュータを与えていた。この数字は昨年と比べてほぼ同様のものであった。
 次の特徴は、学部生の住む寮などにおけるコンピュータ利用のサポートレベルに関するものである。表3-9や表3-10に見られるように、BA、MA、それからDRにおいては、94%以上の割合で寮の高速通信ネットワークを保証している一方、『その他』の高等教育機関ではわずか70%が保証していた。AAでは、12.7%のみが高速通信ネットワークを保証していたが、実際には約82%のAA校では寮を持っていないという事実があった。つまり、カーネギークラスであるかどうかにかかわらず、ほぼ全校の寮に高速通信ネットワークが設置されているAA教育機関では、表3-11、3-12からもわかる通り、主にイーサネット接続を用いており、接続スピードは教育課程のタイプにかかわらず共通していた。

表3-9 寮で高速ネットワークが設置されていますか
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
はい 76.60% 98.90% 94.60% 96.40% 12.70% 70.00%
いいえ 2.80% 0.60% 0.40% 0.60% 5.40% 9.30%
寮がない 20.60% 0.60% 5.00% 3.00% 81.90% 20.70%
表3-10 寮がある高等教育機関で高速ネットワークが設置れていますか
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
はい 96.50% 99.40% 99.60% 99.40% 70.00% 88.30%
いいえ 3.50% 0.60% 0.40% 0.60% 30.00% 11.70%
N=707
表3-11 寮での高速ネットワーク接続の種類は何ですか。
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
イーサネット 92.80% 94.20% 91.70% 96.90% 71.40% 90.80%
有線モデム 2.10% 1.70% 3.10% 0.00% 9.50% 2.00%
DSL 0.90% 1.20% 0.00% 0.00% 4.80% 3.10%
無線 3.50% 1.70% 4.40% 2.50% 14.30% 4.10%
その他 0.70% 1.20% 0.90% 0.60% 0% 0%
N=682
表3-12 寮での高速ネットワーク接続の速度
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
10 Mbps 21.60% 29.70% 21.10% 12.30% 4.80% 27.60%
10-11 Mbps 2.90% 1.70% 3.50% 3.70% 4.80% 2.00%
10/100 Mbps 45.90% 45.30% 45.20% 49.70% 57.10% 39.80%
100 Mbps 26.10% 21.50% 27.60% 31.30% 19.00% 23.50%
>100 Mbps 3.50% 1.70% 2.60% 3.10% 14.30% 7.10%
N=682

 今年の調査では違法なファイル交換、高等教育機関が受けている不当な注意に答える形で、大学内で取り決めたオンラインでの音楽、映画の配信についてのサービスについて質問した。全体的には、わずか約4%でそのようなサービスを行っていると回答されたが、調査は最初の大学がそのような手続きをとると声明を出してからわずか14ヶ月後に行ったものであるということを考慮しなくてはならず、その意味では、この4%という数字は印象強いとも言えるであろう。表3-13に見られるように、全教育課程の学校の25%が現在この選択を実施している、実施を計画している、あるいは考慮中であるという報告をしている。非常に高い割合でこの種の対策を講じているのは博士課程であり、半数のみが実施をしていない、計画していない、考慮していないと答えているのに対し、MAとBAの全教育機関では、約70-75%が計画なし、AAではほぼまったくこの選択を考えていない。違法なファイル交換に関連する訴訟やその他の法的訴訟にもよるが、そのようなサービスを実施している割合を眺めるのは興味深いことであろう。

表3-13 キャンパスにおけるオンラインでの音楽、映画アクセスのービス
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
既に設置されている 3.90% 10.30% 2.90% 4.10% 0.00% 2.10%
これから設置する計画である 1.80% 3.40% 3.30% 0.60% 0.00% 0.70%
考慮中 18.80% 36.20% 23.70% 19.50% 2.40% 7.10%
予定はない 75.50% 50.00% 70.10% 75.70% 97.60% 90.00%

授業管理システム

 学生と教員のコンピュータ利用に関しての最後に考察すべきことは、授業管理システムの利用に関わっている。ここでの分析は、その利用とその導入パターンに焦点を当てる。実施に使用されている授業管理システムは、このまとめの報告書の第5章をご覧いただきたい。
 表3-14から分かる通り、すべての大学の90%以上が授業管理システムを利用していると答えた。全回答校のうちわずか1.2%がそのようなシステムは配置したことはなく、またその計画もないと答えた。合わせて1.7%が授業管理システムを導入する計画はあるが、まだ未実施であると答え、4.7%が現在調整中であると答えている。調査全校のうち70%近くが、現在までに一種類の市販授業管理システムを実施しサポートしていると答えた。その他、3.6%が独自で開発した授業管理システムを1種類、8%以上が2種類以上の市販授業管理システムを導入していると答えている。2種類以上の授業管理システムを導入していると答えたのはたいてい博士課程(13.8%)であり、BA(4.7%)が最も利用が少なかった。全回答校のうち、8%以上が独自で開発したシステムと市販のシステムを併用していることが分かった。その中でも博士課程校が一番この方法を採っていることが分かった。全回答校では、2003年から2004年にかけて一種類の市販の授業管理システムを使用しているという割合は一定していた。

表3-14 授業管理システム(CMS)の配備と実践
  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
配備されていないし、その計画もない 1.20% 0.00% 0.00% 1.80% 2.40% 2.90%
一種類以上のCMSを配備する計画である 1.70% 0.00% 0.00% 5.30% 1.20% 2.90%
現在選択肢を検討中 4.70% 2.30% 2.50% 8.30% 4.80% 7.10%
一種類の市販のCMSを利用している 69.30% 63.20% 78.40% 68.60% 75.30% 55.00%
二種類以上の市販のCNSを利用している 8.40% 13.80% 7.90% 4.70% 7.20% 8.60%
一種類の大学独自のCMSを利用している 3.60% 4.00% 3.30% 4.10% 1.20% 5.70%
二種類以上の大学独自のCNSを利用している 0.40% 0.60% 0.40% 0.60% 0.00% 0.70%
大学独自のものと市販のものを使い分けている 8.40% 14.90% 5.40% 3.00% 6.60% 14.30%
その他 2.10% 1.10% 2.10% 3.60% 1.20% 2.90%

表3-15 授業管理システムの教員利用

  全体 博士課程 修士課程 学士課程 準学士課程 その他
すべてあるいはほぼすべての授業で利用されている 19.10% 17.20% 18.70% 14.80% 19.30% 27.10%
教員が選択的に利用している 76.50% 82.80% 79.70% 76.30% 74.90% 65.70%
教員は使用していない 4.40% 0.00% 1.70% 8.90% 6.00% 7.10%

 最後に、表3-15にあるように、教員の授業管理システムの利用についての様相と程度について報告する。多くの高等教育機関で教員はこれらのシステムを選択的に使用していることが分かった。その中でわずか19%において、これらのシステムが教員全員あるいはほぼ全授業で使用されていた。これらの全データの中で、2003年から2004年にかけて全授業あるいはほぼ全授業に、授業管理システムを使用したと答えた学校は著しく増加した。その中でもMAが一番劇的に変化した。全体として授業管理システムを使用しなかったと答えた割合は、特にBAにおいてこの調査年度では著しく減少した。

(次号に続く)



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