賛助会員だより
湘南工科大学は、「社会に貢献する技術者の育成」をミッションに1963年に開学した工科系単科大学です。工学に関する幅広い知識や技能と活用力を身につけることができる、充実したIT環境と専門分野の研究施設を活用した特色ある教育と、きめ細かな支援が多くの学生に支持されています。少人数教育による体験型授業「アクティブラーニング」も、その一環です。こうした教育環境が、実践的かつ創造力を備えた人間性豊かな技術者を育み、時代の変化に対応できるエンジニアの輩出につながっています。
2013年度には、アクティブラーニング授業を実践するための教室「コラボルーム」を設置しました。「コラボルーム」では、教室前方のみに配置された電子黒板プロジェクターを使用して、プレゼンテーションやディスカッションを実施し、グループワークの成果は模造紙などにまとめ、壁に貼っていました。
今回のシステム導入には、全学的にアクティブラーニングを促進していくことと、ICT機器を取り入れた参加型授業をさらに積極的に行うための教室を設置する目的がありました。アクティブラーニング授業におけるグループワークの内容をより充実させ、社会で必要とされる柔軟性のあるエンジニア育成のために、新たなシステム導入に踏み切りました。
学生が主体となって進行するアクティブラーニング形式の授業を、誰もがスムーズに実践するために必要な設備を検討する中で、具体的な要望をいくつかいただくことができました。例えば、電子黒板プロジェクターを、学生グループが個別に自由に使用でき、教員プロジェクターの画面が学生グループにも投影されること。無線LAN環境により、学生全員が同時にタブレット端末を使用できること。可動型什器により、学生席のレイアウトを自由に変更できることといった要望がありました。
システムは共信コミュニケーションズの「クリエイティブ・スクエア」がベースとなりましたが、いくつかの解決するべき課題がありました。例えば、学生グループの電子黒板プロジェクターを一括または個別にコントロールできることや、誰もが使いやすいユーザーインターフェースでスムーズにコントロールできること。学生のタブレット端末から電子黒板プロジェクターに無線で画面投影ができ、授業の流れに応じた教材を学生グループ側の電子黒板プロジェクターにすぐに投影できること。電子黒板のホワイトボードに記入した内容を、ネットワークを介して自由に保存/呼び出しができることなどです。収録システムや遠隔通信など、今後の拡張が検討しやすいシステムであることも重要となりました。
グループごとにプロジェクターを設置
共信コミュニケーションズでは、このような要望・課題を受け、以下のような点に留意してシステムの設計を行いました。
まず、複数の電子黒板プロジェクターを同時に使用する際に、教員がストレスを感じることなく、画面を見ながら直観的かつスムーズに操作できるよう、タッチパネル方式のユーザーインターフェースを開発しました。タッチパネル操作画面は、プロジェクター等の機器の設置レイアウトに即した画面レイアウトにしました。また、教室の壁面全体を「ホワイトボード」にし、学生グループごとに電子黒板プロジェクターを設置しています。それぞれのプロジェクターは教員・学生が使用するタブレット端末と連携しており、教材ファイルや参考となるウェブページなどを大きく壁面に投影することで、学生同士・グループ同士の情報共有を容易に行うことができます。
教員用
電子黒板プロジェクター学生グループ
可動式什器とタブレット端末
さらに、授業においてICT機器をより積極的に活用するために、受講する学生全員がタブレット端末を使用できる無線LAN環境を整備しました。インターネットを活用した調べ学習を簡単に行うことができ、学生グループが主体となって、プロジェクターを活用したグループディスカッションができる環境を実現しました。
グループワークの様子
大学側の意見やアイデアに対して、共信コミュニケーションズ株式会社は「やってみましょう」と積極的に対応してくださいました。教室を見ながら、空間を活用したアクティブラーニング授業の流れを意識して、システムやレイアウトなどのイメージを膨らませていく中で、互いの信頼を深めていけたと思います。今回「コラボルーム2」に「クリエイティブ・スクエア」を導入したことで、本学のアクティブラーニング授業への取り組みが、大きく前進していけるものと考えています。アクティブラーニング授業を実践している大学は近年増えてきましたが、その効果を高めるには「設備の充実」だけでなく「教員側の授業の変革」も重要なファクターとなります。本学ではいずれの課題に対しても徹底的に取り組むことで学生の学ぶ意欲を高め、中退者の減少や、志願者・入学者の増加につなげています。
今後は、授業外学習のためのラーニングコモンズ、卒業研究での発表や討論、さらには教員の研修や会議まで、様々なシーンで「コラボルーム2」を活用していきたいと考えています。
(工学部長/教務部長/工学部人間環境学科 木枝暢夫教授)
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