本協会による分野別教育「学士力考察」の報告・提言について

 

1.分野別教育における「学士力考察」の経緯

 本協会では、分野別教育での情報通信技術の活用を研究しており、教育改善に情報通信技術を活用することの意義や有用性について、私立大学、短期大学の教員を対象に広く理解を呼びかけてきた。しかし、教育における情報通信技術活用の実態は全教員の3割程度に留っており、普及が期待通りに進んでいないことが判った。

 そこで、情報通信技術を活用していない教員の方々を含めて理解を呼びかけるため、まず、第一段階として分野別教育の「教育目標」を整理し、第二段階として「教育目標のどの部分を実現するために情報通信技術の活用が効果的であるかを」明らかにすることになった。

 このような方針で20年度より、分野別教育固有の教育目標について本格的な研究を始め、昨年11月には中間報告を発表した。その後、21年度においてさらに詳細かつ多面的な検討を行い、教育目標に関する共通認識を「学士力の考察」として整理することにした。

 他方、文部科学省では、中央教育審議会答申(「学士課程教育の構築に向けて」)を受けて、各大学に分野別教育の学習成果、到達目標の設定などの取り組みを促すとともに、日本学術会議に対して分野別教育の質保証に向けた枠組み作り等を審議依頼した。 このような中で、本協会における学士力考察の研究は私立大学関係者による初めての試みであったが、教育現場を担当する教員の方々の見解を「最低限身に付けるべき固有の学習成果」として整理することができた。折しも、学士力の検討は、大学としての喫緊の課題ともなっていることから、いささかなりとも参考に供し得ると判断し、私立大学・短期大学をはじめ文部科学省、日本学術会議に報告・提言することにした。

2.報告・提言のとりまとめ

@  本報告は、本協会の13の「学系別FD/IT活用研究委員会」と14の「学系別サイバ−・キャンパス・コンソ−シアム運営委員会」の27の委員会が中心となり、その検討内容をインタ−ネット上の約9千名による教員の「サイバ−FD研究員」から意見を公募し、8百名以上の意見を踏まえて作成した。

A  「学士力の考察」は、分野固有の学習成果を「到達目標」を設定した上で、それぞれ「コア・カリキュラムのイメージ」、学びの深さとしての「到達度」、到達度確認手段としての「測定方法」を構成要素とし、体系化した。

B  「到達目標」の構成は、分野別教育の学習成果が「学部卒業時点で身に付いていること」を想定し、4年間のカリキュラムを通じて「社会人として身に付けるべき力」を「知識・理解」、「技能」、「倫理・態度」、「活用・提案」に配慮しつつ、ミニマム・リ クワイメントを設定した。しかし、分野によっては、基礎学力の低下という現状に到達目標が沿っていないとの意見もあったが、大学教育に対する社会の信頼・期待に応え得ることを敢えて優先した例も多々ある。

C  「到達度」は、到達目標を実現するための「学びの量と質」の水準を設定した。専門教養としての到達度を設定するように   したが、分野によっては教養として必要な能力水準を「一般レベル」、専門として求められる能力水準を「専門レベル」に区分して到達度を設定したところもある。その上で、到達度を確認する手段を「測定方法」として明確化し、「学びの持続可能化」、  「学びの体験化」、「学びの活用・実践化」の観点から検討を行い、暗記型学習を誘発する従来型試験による測定を減らすよう配慮した。

D 考察した分野は、本協会がかかわることが可能な27分野とした。なお、医学、歯学、薬学等医療系は学習成果、コア・カリキュラムが既に策定されているので除外した。  

3.本報告・提言の取り扱い

@ 学士力の考察は、本協会の事業目的である「教育改善のための情報通信技術の活用研究」と「分野別学士力を実現するための情報教育の改善研究」を体系的・総合的に展開するための事業プロセスの成果である。

A 社会で力が発揮できることを目指して、多くの大学関係者による考えをできるだけ反映したものであり、学士力検討の際に参考意見として供し得ると判断した。

B したがって、本報告・提言は、参考資料の提供に留まるものであり、いわんや教育の画一化・標準化を意図するものではない。

C 本協会は、情報通信技術活用の「可能性」と「限界」を明確にする中で、大学教育の質的向上に寄与することを第一義としている。それ故に、協会では常に分野別教育における教育目標の点検・確認を継続する中で、教育目標との関連において情報通信技術活用の最適化を探求することを常態としている。

D 学士力の考察は、最初の「入口」であり、今後、必要に応じて見直しを行うことを想定している。そのような検討を重ねることにより教育改善の意識を高めることが可能となり、授業デザインの見直し、授業技術の工夫・開発など教員の教育力の再構築に貢献できるものと信じている。 

分野別教育「学士力考察」

インターネットによる意見回答状況


英語学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.英語の基本語彙や基本文法をもとに、より高い技能と運用能力を身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

語彙、文法、表現など

【到達度】

@ 大学入学時までに培った語彙力を前提に、さらに必要な語彙を獲得し、活用できる。

A 大学入学時までに培った文法知識を活用して、英語でより適切な表現ができる。

B 日常的な話題を読み・聞き、口頭や文章で伝達することもできる。

C 社会の身近な話題について英語で意見を述べ、発表・質問することができる。

【測定方法】

@〜Cは、英語の語彙力・文法知識、技能、能力の達成度を客観的試験およびCan Doリストなどにより、確認する。

 

【到達目標】

2.英語で情報を理解して考えをまとめ、対話を通じて情報・意見などの交換ができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

英語による多様なコミュニケーションなど

【到達度】

@ 英字新聞やインターネット上の英文情報などを概括的に理解し、また英語文献を精読できる。

A 英語版ラジオやテレビ番組などを視聴・鑑賞して、番組の概要を伝達し、意見交換できる。

B 様々な英語使用者と口頭や文書で自分なりの表現を用いて意見交換することができる。

【測定方法】

@〜Bは、教員などによる評価、日本国内で普及している外部試験や各大学の多様な試験、および学習ポートフォリオなどにより、確認する。

 

【到達目標】

3.専門分野の必要性に応じて、適切なレベルの英語語彙・英語表現を使用できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

専門基礎分野の語彙、英語論文作成の基本表現など

【到達度】

@ 専門分野における英語文献や英語の講義・講演などを概括的に理解できる。

A 専門分野におけるテーマについて自分の考えを英語で作成し、発表することができる。

【測定方法】

@とAは、専門分野の教員と連携して、試験やプレゼンテーションなどにより、確認する。

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心理学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.人間の心や行動が、生物学的要因、個人的要因および社会・文化的要因の影響を受けていることを理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

生理・神経心理学、知覚・認知心理学、学習心理学、パーソナリティ心理学、社会心理学、発達心理学、教育心理学、臨床心理学、産業・組織心理学、健康心理学など


【到達度】

@ 心理学の基礎知識を持ち、人間の心や行動を理解しようとする姿勢を持っている。

A 人間の心や行動が生物学的、個人的、社会・文化的要因の影響を受けていることを客観的・論理的に説明できる。

B Aで得た知識を用いて、具体的な心理学的現象を説明できる。

【測定方法】

@は、3要因に相当する主要な概念の理解度を測定するための客観式の筆記試験、レポート、ディスカッションなどにより、確認する。

Aは、或る心理学的現象について、人間の心や行動が3要因の影響を受けていることを論述式の筆記試験などにより、確認する。

Bは、具体的な事例を取り上げて、心理学的観点から説明できることをレポート、ディスカッション、論述式の筆記試験などにより、確認する。

【到達目標】

2.人間の心や行動に関わる現象の要因を科学的な手法を用いて明らかにできる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

心理学研究法、心理学基礎実験、心理尺度構成法、心理統計法など

【到達度】

@ 因果関係、相関関係を説明することができる。

A 実験、調査、観察などの手法について長所・短所を説明できる。

B 心理学的現象の原因や諸要因の関連性を明らかにするために、適切な統計分析法による実験や調査をデザインできる。

C 実験や調査などのデータを吟味し、適切な統計手法による分析を行い、結果の解釈ができる。

【測定方法】

@は、因果・相関関係に関する客観式・論述式の筆記試験、レポートなどにより、確認する。

Aは、実験、調査、観察に関連する基礎的概念、データ収集方法、データ解析法の理解度を客観式・論述式の筆記試験、レポートなどにより、確認する。

Bは、或る心理学的現象について、具体的な実験計画や調査計画を立案させ、レポート、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

Cは、各種統計手法を理解していること、および適切なデータ分析ができることをレポート、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

【到達目標】

3.心理学的理論や手法を自己および社会の諸現象の理解に応用できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

研究発表、プレゼンテーション、卒業研究など

【到達度】

@ 既存の理論や概念に基づいて、心理学的観点から問題を発見し、新たな発想が立てられる。

A 問題に対する仮説を検証するために、体系的にデータ収集・統計解析ができる。

B 解析結果を踏まえ、適切に結論を導き出し、レポート、論文としてまとめることができる。

【測定方法】

@〜Bは、研究発表、プレゼンテーション、卒業研究などにより、確認する。

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政治学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.権力、正統性、国家(政治共同体)などの政治学の基本概念とその歴史を理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

政治学概論(入門)、政治理論、政治思想史など

【到達度】

@ 政治的諸概念について論理的に説明し、その歴史的背景を理解している。

A その概念を使って現実の政治現象を説明できる。

【測定方法】

@は、択一式を含む筆記試験などにより、確認する。

Aは、論述式の筆記試験、レポートなどにより、確認する。

【到達目標】

2.政治社会の制度的仕組み、現実の政治現象を動態的・比較的・歴史的な視点から理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

行政学、各国政治史、外交史、政治過程論、政治制度論、国際政治、国際政治史、比較政治、地域研究など

【到達度】

@ 事象についての正しい知識を持っている。

A 事象間の正確な事実関係を把握できる。

B 資料の扱い方や科学的・客観的な評価スキルを身に付けている。

【測定方法】

@は、択一式を含む筆記試験などにより、確認する。

Aは、論述式の筆記試験、レポートなどにより、確認する。

Bは、各分野に相応しい測定手法により、確認する。

【到達目標】

3.政治制度と人間行動の関係について社会科学的な認識を得ることができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

政治意識論、政策・立法過程論、公共選択論、政治社会学、政治分析・調査手法、メディア論など

【到達度】

@ 制度と人間行動についての正しい知識を持っている。

A 実証的資料にもとづいて政治現象を議論できる。

B フィールド調査を企画、実施できる。

【測定方法】

@は、択一式を含む筆記試験などにより、確認する。

Aは、論述式の筆記試験、ディベート、レポートなどにより、確認する。

Bは、フィールドワーク企画報告書などの作成・提出により、確認する。

【到達目標】

4.人間の集合的決定と共同での秩序形成・維持を可能ならしめる様々な仕組みについて、基本的理解ができる。

【コアカリキュラムのイメージ】

行政学、民主主義論、政治文化論、安全保障、平和学、NPO・NGO論、地方自治論、公共政策論など

【到達度】

@ 多面的な意思決定・価値形成プロセスについて理解している。

A 問題解決の切り口を見つけることができる。

【測定方法】

@は、論述式の筆記試験などにより、確認する。

Aは、ディベート、グループディスカッションなどにより、確認する。

【到達目標】

5.現代の政治社会の諸問題を複眼的に捉え、どのような問題があるのか発見し、その問題を集合的意思決定により解決していく態度を身に付ける。(価値の多様性を理解しつつ、異なる価値観同士の共生の方途を探る態度も含む)

【コア・カリキュラムのイメージ】

少人数演習・ゼミ、ディベート、調査実習、卒業研究など

【到達度】

@ 社会に出て活躍していける問題発見力、表現力、解決力を身に付けている。

   

【測定方法】

@は、卒業論文、卒論報告会、合評会などにより、確認する。

 

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社会学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.社会における様々な問題に関心を持つとともに、通常は見過ごされている現象を社会的な問題として発見する視点を持つことができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

社会学原論、社会学史、理論社会学、社会学研究法、演習など

【到達度】

@ 社会学でこれまで何が問題とされ、どのような視点で研究されてきたかについて理解している。

A 「当たり前」とされている現実を改めて疑問視し、見過ごされている現象を問題として認識する姿勢を身に付けている。

B 社会的な問題になり得る事象について、適切なアプローチ方法を検討することができる。

【測定方法】

@は、筆記試験、レポートなどにより、確認する。

AとBは、具体的なテーマをめぐるディベート、グループディスカッションなどを通じて確認する。また、@からBは、卒業論文、卒論報告会、合評会などを通じても確認する。

【到達目標】

2.社会秩序を形成・存続・変容させる日常の営みについて、基礎的な理論を踏まえて理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

アイデンティティ論、コミュニケーション論、エスノメソドロジー、ジェンダー論、差別・逸脱の社会学など

【到達度】

@ 人間の自我やアイデンティティがコミュニケーションを通じて形成される過程を理解している。

A 相互行為やコミュニケーションによって秩序が形成・存続・変容する仕組みを理解している。

B 社会秩序の持つ権力性と、秩序からの逸脱の持つ問題性を把握できる。

【測定方法】

@からBは、客観式・論述式の筆記試験、レポートなどにより、確認する。

【到達目標】

3.現代社会の成り立ちと変動を産業化、都市化、情報化といった歴史的な枠組みから捉え、社会現象をこれらとの関連において理解することができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

産業社会学、都市社会学、社会変動論、現代社会論、家族社会学、宗教社会学、文化社会学、情報社会論、メディア論など

【到達度】

@ 社会の構成要素とその機能の関連を構造的に把握する理論的な枠組みを持つことができる。

A 現代の社会現象を産業化、都市化、情報化といった歴史的変動の中で理解している。

B 「ミクロ」な現象を「マクロ」な構造変動に繋げる社会学的想像力を身に付けている。

【測定方法】

@からBは、客観式・論述式の筆記試験、レポートなどにより、確認する。

【到達目標】

4.社会的な問題に対し、現場の視点に基づいた実証的な調査によってデータを収集し、根拠のある分析をすることができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

社会調査法、社会調査実習、社会統計学、多変量解析、フィールドワークなど

【到達度】

@ ある社会問題・社会現象について、実証的な方法による調査計画の立て方を身に付けている。

A 量的調査、質的調査の基本的な方法論に基づいた調査・分析スキルを身に付けている。

B 社会調査の調査倫理を身につけ、フィールドとの適切な関係を作ることができる。

【測定方法】

@とAは、客観式・論述式の筆記試験、演習などにより、基礎的な知識やスキルを確認する。

Bは、モデルおよび作業仮説に基づいて計画・実施された調査の報告書などにより、確認する。

【到達目標】

5.社会の在り方についてヴィジョンを持ち、社会的な問題の解決に向けた提案を行うことができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

環境社会学、福祉社会学、国際社会学、社会運動論、社会政策論など

【到達度】

@ 社会の現状をもとに、将来の社会を構想することができる。

A 構想を踏まえて調査・分析を行い、その結果から問題の解決策を導くことができる。

B 研究の成果を広く社会に発信する方法を身に付けている。

【測定方法】

@からBは、論述式の筆記試験、卒業論文、卒論報告会、合評会などにより、確認する。

 

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コミュニケーション関係学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.個人や集団、組織、社会、文化におけるコミュニケーションの役割・仕組みを理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

コミュニケーション概論など

【到達度】

@ 対人関係をコミュニケーション論的視点から理解している。

A 集団や組織における活動をコミュニケーション論的視点から理解している。

B 社会、文化事象をコミュニケーション論的視点から理解している。

【測定方法】  

@からBは、コミュニケーションのメカニズムを筆記試験、レポートなどにより、確認する。

【到達目標】

2.多様な場面において期待されるコミュニケーションのスキルを身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

ロールプレイング、プレゼンテーション、スピーチ/ディベート、グループディスカッションなど

【到達度】

@ 場や社会的・文化的「文脈」に応じた適切なコミュニケーションスキルを獲得し、実践できる。

A 互いの違いを認識し、相互理解を深めるためのコミュニケーションスキルを実践できる。

【測定方法】

@、Aは、学生が互いのコミュニケーションを客観的、理論的、批判的に観察し、その結果を発表や討論により、確認する。

【到達目標】

3.コミュニケーションの諸問題を分析した結果を理論的に考察し、様々な状況で応用できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

メディア論関連、マスコミュニケーション論関連、言語・非言語コミュニケーション関連、対人コミュニケーション関連、集団・組織コミュニケーション関連、異文化間コミュニケーション関連、コミュニケーション・メディアの調査方法など

【到達度】

以下の内容のいずれかについて問題設定し、コミュニケーションやメディア研究の方法論を用いて調査・分析を行い、その結果を考察して様々な状況で応用することができる。

※ コミュニケーションにおけるメディアの機能・特徴、メディアリテラシー

※ 言語と非言語コミュニケーションの機能

※ 対人、集団、組織、異文化間などにおけるコミュニケーションの特性

【測定方法】

筆記試験、レポートに加え、演習、事例研究、フィールドリサーチ、メディア制作実習により、確認する。

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国際関係学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.国家、地域、国際組織、多国籍企業、NGOなどで構成される国際関係の基本的な仕組みとその背景を理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

国際関係論、国際関係史、国際政治、国際法、国際経済など

【到達度】

@ 国際社会におけるさまざまな行為主体の概念と定義を理解している。

A 基本的な国際関係の事実を理解している。

B 国際政治・経済・社会・法における基本的原理を理解している。

【測定方法】

@からBは、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

【到達目標】

2.国際的な事象・課題などについて、国家、地域、国際社会の観点から調査し、多元的価値・複合的な視点から分析・説明できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

国際社会論、国際組織論、国際開発論、平和論、地域研究、比較文化論、現代日本論、国益論、安全保障論、人間の安全保障、ナショナリズム、アイデンティティ、ゲーム理論など

【到達度】

@ 国際的問題あるいは課題の発見、把握のために適切な文献検索・資料を収集・整理できる。

A 正確な情報にもとづいて科学的・客観的な手法で分析できる。

B 多元的な価値に配慮し、理論の比較などによる複合的な視点に立って、考察・評価できる。

【測定方法】

@とAは、文献研究、フィールドワーク、情報処理などを評価の観点とし、レポートなどにより、確認する。

Bは、ワークショップ、グループ討論、プレゼンテーションなどにより、確認する。

【到達目標】

3.国際社会と国家、個人などとの関係を認識し、地球的規模で人類共通の問題解決に向け、支え合う態度を身に付ける。

【コア・カリキュラムのイメージ】

地球環境論、紛争解決論、平和構築論、国際協力論、異文化交流論、開発経済学、国際コミュニケーション、少人数演習(ゼミ)、フィールド・スタディー、インターンシップなど

【到達度】

@ 国際平和を連携・協調して実現する価値を説明できる。

A 地球的問題群を理解し、具体的な課題に対する政策提言ができる。

B 政策提言を踏まえて議論し、自己修正できる。

【測定方法】

@からBは、論述式の筆記試験、レポート、グループ討論、ロールプレイングによる。シミュレーション、卒業論文、卒論報告会、合評会などにより、確認する。

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法律学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.法に関する基本的知識として、法の全体像を把握し、主要な実定法のルールおよび概念について、その意味を理解し、具体例および定義で説明できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

法学入門、憲法、民法、刑法、商法・会社法、民事訴訟法・刑事訴訟法、行政法、労働法、経済法、税法、知的財産権法、情報法、消費者法、環境法、国際関係法(公法・私法)など

【到達度】

@ 法の全体像の下で、個々の法とそれらの相互関係を体系的に位置づけて理解している。

A 主要な実定法について、それを構成する法ルールおよび法律概念を相互に関係づけて理解している。

B 幾つかの法領域について、その内容を体系的かつ具体的に把握している。

【測定方法】

@は、法の体系図、構造図等を書かせることにより、確認する。

Aは、法ルールや法律概念の基本的内容を定義および具体例で示させた上、相互比較させることにより、確認する。

Bは、ゼミナールや演習のレポート・論文や口頭試問あるいはグループ討論の評価等により、確認する。

【到達目標】

2.法的問題を解決する能力として、事例問題の事実の概要を客観的に把握し、解決の根拠となる法 ルールを発見し、それを適用して、妥当な法的解決を見いだし、その理由を説明できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

到達目標1のコア・カリキュラムに加えて、法情報調査(リーガル・リサーチ)、法文書作成(リーガル・ライティング)、法的方法(リーガル・メソッド)、公法事例演習、民事法事例演習、刑事法事例演習、模擬裁判など

【到達度】

@ 法的に解決すべき事例問題を分析し、事実の概要を整理して示すことができる。

A 法律、判例、学説等を調査して、各当事者の請求の根拠となる法ルールを見つけることができる。

B 法ルールを事実関係に適用し、法の解釈を行い、妥当な結論を導き出すことができる。

【測定方法】

@〜Bは、典型的な事例問題について、六法または教科書、参考書、判例等を参照して解決案を提示させて確認する。また、現実の事例問題については、教員等の専門家のアドバイスの下、学生同士の議論を通じて、または単独で解決案を提示させて確認する。

【到達目標】

3.法の基礎にある原理を理解して、広い視野から、法を分析的に見ることができる。また、法的知識を活用して、紛争の予防および生活や社会の発展のためのプランを立案して説明することができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

法哲学、法社会学、比較法、外国法、法史学、法情報学、刑事学、行政学、政治学、法と経済学、立法学、法律案作成演習、公共政策、都市・地域計画など

【到達度】

@基礎法・法学関連科目のいずれか一科目以上の基礎知識を身に付けている。

A具体的な問題について、@の知識を応用して分析的に考察し、意見を述べることができる。

B個人、家庭または地域社会ならびに企業、団体または政機関等において起こりうる法的紛争を回避するためのプランを立案して説明することができる。

C生活や社会をさらに発展させるために法律知識を活用した計画案を作成できる。

【測定方法】

@とAは、学生が興味を持っているテーマについて、レポートまたは論文等を提出させ、学んだ知識を生かして法の原理を踏まえた分析的な考察がなされているかどうかで確認する。

Bは、事例を示して、起こりうる紛争を予測させ、それを回避または最小化する施策を提示させることで確認する。

Cは、発展目標を提示させ、法的手段を用いたその実現策を提案し、理由を説明させることで確認する。

 

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経済学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.日常の経済現象や経済全体の基礎的な考え方や理論を理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

経済学入門、ミクロ経済学、マクロ経済学など

【到達度】

@ 身の回りから国や世界の経済現象について関心を持ち、深めることができる。

A 基礎的な経済用語を理解し、経済現象の動きや仕組みを相互依存関係として理解している。

B 経済現象を他者にわかりやすく説明できる。

【測定方法】

@は、経済用語や経済現象に関する関心を質疑応答やアンケートなどにより、確認する。

Aは、経済理論に関する理解を小テストや筆記試験、外部試験などにより、確認する。

Bは、レポートやプレゼンテーションなどにより、確認する。

【到達目標】

2.経済の歴史や制度を理解し、資料を援用して、経済情勢を分析することができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

経済史入門、各国の基礎的な経済史や経済論など

【到達度】

@ 経済の歴史や制度に関心を持つことができる。

A 資料を用いて過去の経済現象の流れを理解し、現実の経済情勢を分析できる。

B 歴史を踏まえて今の経済現象を他者に説明できる。

【測定方法】

@は、歴史的事象に関する関心を質疑応答やアンケートなどにより、確認する。

Aは、経済の歴史や制度、経済情勢に関する理解を小テストや筆記試験、外部試験などにより、確認する。

Bは、レポートやプレゼンテーションなどにより、確認する。

【到達目標】

3.経済政策の基礎的な用語や考え方を理解し、経済政策の重要性を理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

経済政策(国内外)など

【到達度】

@ 身近な経済生活に影響を与える政府の政策に対して関心を持つことができる。

A 経済政策の種類と効果および政府と民間の役割などを理解している。

B 経済政策について他者に説明できる。

【測定方法】

@は、経済政策に関する関心を質疑応答やアンケートなどにより、確認する。

Aは、経済政策に関する理解を小テストや筆記試験、外部試験などにより、確認する。

Bは、レポートやプレゼンテーションなどにより、確認する。

【到達目標】

4.経済データの意味を理解し、必要なデータを収集・整理して、統計的な処理ができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

経済統計、統計学など

【到達度】

@ 経済現象の理解に必要な基本的な経済指標やデータに関心を持つことができる。

A 統計の理論や技法の基礎を理解し、基本的な統計の情報収集と処理ができる。

B 統計データに基づいて相関関係などの処理結果を他者に説明できる。

【測定方法】

@は、基本的経済データのその意味や水準を理解しているかを質疑応答やアンケートなどにより、確認する。

Aは、経済統計の理論や処理に関する理解を小テストや筆記試験、外部試験などにより、確認する。

Bは、レポートやプレゼンテーションなどにより、確認する。

【到達目標】

5.経済学の知識を統合して、倫理と公共性と責任感を持ち、グローバルな観点から判断できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

経済倫理、開発経済論、世界経済、環境経済、演習など

【到達度】

@ 経済効率と倫理(コンプライアンス、公共性、公平性)とのバランスに配慮することができる。

A 経済学の学習成果を総合的に活用し、経済問題を世界の観点から考えることができる。

B 経済学の考え方を基礎にして責任ある選択や意思決定ができる。

【測定方法】

@とAは、レポートや要点整理のプレゼンテーションなどにより、確認する。

Bは、少人数授業や演習における討論、研究発表、卒業論文などにより、確認する。

 

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経営学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.企業をはじめとする組織の社会的責任の重要性について認識できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

企業と社会的責任(CSR)、ステークホルダー、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、企業倫理、経営倫理、エコロジーなど

【到達度】

@ 組織を取り巻くステークホルダー(利害関係者)にはどのような要素と相互作用があるかを理解している。

A 経営倫理やCSRなどについて、具体的な事例を理解している。

【測定方法】

@は、組織とステークホルダーとの事例を示し、相互作用の説明をさせることで確認する。

Aは、経営倫理やCSRなどの概要を具体的な事例を用いて、説明させることで確認する。

*確認手段は、論述式の筆記試験、プレゼンテーション、レポートなどが考えられる。

【到達目標】

2.企業をはじめとする「組織」の全体的な仕組みを経営資源と関連付けて理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

経営学概論、ビジネスゲーム、経営シミュレーションなど

【到達度】

@ 企業・組織の構造と活動の枠組みを理解している。

A 経営資源の基礎的知識を理解している。

【測定方法】

@は、企業・組織の構造に関する理解とプロセスに関する理解を説明させることで確認する。

Aは、経営資源の基礎的知識(組織、財務、生産、サービス、情報システムなど)を確認する。

*確認手段は、筆記試験、プレゼンテーション、レポートなどが考えられる。

【到達目標】

3.経営理論に基づき現実の組織行動を論理・実証的に捉えることができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

市場、組織、戦略、マーケティング、ファイナンス、会計、情報システム、オペレーション、国際化など

【到達度】

@ 現実の企業活動を例に取り、各種経営理論を用いた説明ができる。

A 経営データ分析の基礎的な手法を身につけている。

B 現実に存在する組織の行動を経営理論に基づいて、実証的に分析できる。

【測定方法】

@は、経営諸理論、技能・原則に関して具備すべき知識をどの程度理解しているか確認する。

Aは、経営分析、統計的分析法、事例調査の方法などの理解度を確認する。

Bは、実際の企業事例などを対象にして、グループスタディあるいは単独で、調査・分析を行い論文に取り纏め確認する。

*確認手段は、筆記試験、プレゼンテーション、レポートなどが考えられる。

【到達目標】

4.企業をはじめとする組織の―員として、現実の問題に対して解決策を提案・実践しようとする姿勢を持つことができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

ゼミナール、卒業研究、インターンシップなど

【到達度】

@ 企業・組織の経営目標に対して、個人が関わるべき義務と責任を理解することができる。

A 企業・組織の経営に関する課題を発見・分析・評価するために、利用可能な経営知識や技術を用いることができる。

【測定方法】

@は、ケーススタディを通じて企業・組織の経営に関する課題に対して、自己が果たすべき役割や解決案を提示させる。

Aは、課題に対して、発見・分析・評価の内容および必要な経営知識が使われているかを確認する。

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会計学教育における学士力の考察

※ 一般レベル:会計学を教養として学ぶ学生を対象とした水準

  専門レベル:会計学の高度な活用を必要とする専攻分野の学生を対象とした水準

【到達目標】

1.会計情報の特徴や作成プロセスが理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<一般レベル>

経済活動、企業経営、測定と伝達、複式簿記、財務諸表、財政状態、経営成績、キャッシュ・フロー、会計基準、会計監査、財務諸表分析など

【到達度】

<一般レベル>

@ 会計の対象、目的、機能を理解している。

A 企業会計の一巡過程を理解している。

B 会計情報の読み方を理解している。

【測定方法】

<一般レベル>

@〜Bは、論述問題や計算問題による筆記試験、外部試験などにより、確認する。

【到達目標】

2.組織活動の財やサービスを計数的に測定し、伝達できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<専門レベル>

財務会計、管理会計、複式簿記、原価計算、会計基準、財務諸表、会計情報システムなど

【到達度】

<専門レベル>

@ 複式簿記の原理を説明できる。

A 財務諸表の意義・特徴を説明できる。

B 財務会計の必要性と内容を説明できる。

C 管理会計の必要性と内容を説明できる。

D 会計情報システムの概念、データベースなどを説明できる。

【測定方法】

<専門レベル>

@〜Dは、論述問題や計算問題による筆記試験、外部試験などにより、確認する。

【到達目標】

3.組織の経済活動の実態を会計情報として体系的に把握し、問題発見ができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<専門レベル>

情報開示制度、データ管理、財務諸表分析、原価分析、企業価値評価など

【到達度】

<専門レベル>

@ 情報開示制度を理解し、利用できる。

A 財務諸表の分析手法を活用し、財政状態、経営成績、資金運用上の問題を発見できる。

B 原価分析の手法を活用し、原価管理上の問題を発見できる。

C 企業の価値を評価し、問題を発見できる。

【測定方法】

<専門レベル>

@〜Cは、ケーススタディにより、レポート、論述問題や計算問題による筆記試験、外部試験などにより、確認する。

【到達目標】

4.会計情報の有用性を理解し、問題解決や意思決定に応用できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<専門レベル>

予測情報、意思決定会計、業績管理会計、戦略支援(管理)会計、損益分岐点分析、財務会計、投資意思決定、監査論、国際会計、税務会計、公会計、環境会計、会計倫理など

【到達度】

@ 会計情報を利用して投資意思決定の支援ができる。

A 管理会計情報を利用して戦略の実行、経営資源の最適利用などの支援ができる。

B 会計情報の有用性を保証するために会計監査の手続きを説明できる。

C 公会計、環境会計、国際会計、税務会計の特徴や内容(構造)を説明できる。

D 国際財務報告基準(IFRS)が企業経営に(会計情報に)与える影響について説明できる。

E 会計倫理の重要性について事例を用いながら説明できる。

【測定方法】

<専門レベル>

@〜Eは、ケーススタディにより、レポート、論述問題や計算問題による筆記試験、外部試験などにより、確認する。

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社会福祉学教育における学士力の考察

※ 専門職業人養成の教育だけでなく、社会福祉学教育の視点から検討したもので、既存の社会福祉士等養成施設のコア・カリキュラムによるだけでなく、今後の社会福祉学教育発展の視点を含めた。

【到達目標】

1.人間と社会環境の視点から、現代社会の生活に関わる諸問題を把握し、社会福祉の意義と機能を理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

現代社会と社会福祉など

【到達度】

@ 人間という存在と家族、集団、地域、制度など社会環境について概説できる。

A 差別、貧困、家族関係、虐待・暴力、疾病、就労など現代社会における諸問題の発生要因・歴史的背景・実態について概説できる。

B 現代社会における諸問題と関連づけて、社会福祉の目的・機能を具体的な事例に合わせて概説できる。

C 社会福祉制度・政策および関連施策などについて概説できる。

【測定方法】

@〜Cは、社会福祉の意義と機能の観点から、講義、演習におけるレポート、筆記試験などにより、確認する。

【到達目標】

2.人権尊重および社会正義の理念を確認し、ソーシャルワークの目的・価値・倫理の概要を理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

ソーシャルワーク論など

【到達度】

@ 基本的人権について概説できる。

A 性別、国籍、人種、民族、障害、宗教、セクシャリティなど人間の多様性を通して、共生の価値観について概説できる。

B 人権侵害の状況を理解した上で、エンパワメントの理念と権利擁護の仕組みを概説できる。

C ソーシャルワーカーの倫理綱領を概説できる。

【測定方法】

@〜Bは、ソーシャルワークの視点から、レポート、筆記試験などにより、確認する。

Cは、筆記試験、口頭試問などにより、確認する。

【到達目標】

3.ソーシャルワーカーとしての基本的態度を身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

ソーシャルワーク演習、ソーシャルワーク実習など

【到達度】

@ 他者の話を傾聴することができる。

A 受容的、共感的態度をもって対人関係を形成することができ、他者と協働することができる。

B 守秘義務について理解し、プライバシー保護に努めることができる。

C 援助における自己覚知の必要性を理解し、深めようとする姿勢を持っている。

【測定方法】

@〜Cは、ソーシャルワーカーとしての基本的態度を身に付けるために、演習、実習などにより、確認する。

【到達目標】

4. ソーシャルワークの専門的な知識および技術を身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

ソーシャルワーク論、ソーシャルワーク演習、ソーシャルワーク実習など

【到達度】

@ 社会福祉サービスの利用者を理解し、ニーズ分析した上で援助目標を設定できる。

A 生活歴、家族関係、経済的背景、心理的・身体的背景など個別的状況を全体的に把握し、アセスメントについて理解し、説明できる。

B ミクロ・メゾ・マクロのソーシャルワークについて概説できる。

C ソーシャルワークのジェネラリスト・モデルについて概説できる。

【測定方法】

@は、社会福祉サービスの利用者ニーズを理解するため、演習および実習などにより、確認する。

Aは、社会福祉サービスの利用者の個別的状況を理解するため、演習および実習により、確認する。

BとCは、ソーシャルワークの方法を理解するため、講義、演習におけるレポート、筆記試験などにより、確認する。

【到達目標】

5.社会福祉に関する制度・政策を客観的に分析し、新たな社会資源やサービスプログラムを企画できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

地域福祉論、社会福祉調査、福祉行財政と福祉計画など

【到達度】

@ 社会福祉制度・政策について理解している。

A 制度・政策の問題点と課題について説明できる。

B 社会福祉ニーズを把握するための基礎的な社会福祉調査の設計ができる。

C 問題解決のために、行政・地域・市民への働きかけや新たな資源やサービスプログラムの企画案を作成できる。

【測定方法】

@〜Cは、演習、事例検討、プレゼンテーション、卒業研究などにより、確認する。

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教育学教育における学士力の考察

※ 教職課程にとどまらない教育学の幅広い領域を想定し、検討したものである。

【到達目標】

1.学びの意義と教育の必要性を論理的、分析的に説明できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

教育哲学、教育倫理、教育原論、教育史、教育思想など

【到達度】

@ 「学ぶ」ということについて、以下の段階で論理的に説明することができる。

(A) 自らの体験(教育体験、教育を受けた体験の両方)から「学ぶ」ことの自分なりの意義を具体的に説明できる。

(B) @で行われた「学び」に関する学問的な裏付けを、教育学に関する様々な文献や資料を用いて論理的、分析的に説明できる。さらに、過去の教育実践や教育思想に学び、教育の現代的課題への教訓として用いることができる。

(C) 自らが所属する(もしくは今後所属する予定の)集団にとっての意義のある「学び」というのはどういったものかを論理的に説明できる。(企業、学校など個人々によってそれぞれの集団がある)

A 学びの意義、教育の必要性を他者に伝えることができる。

B 自ら学ぶ力(課題解決力)を有している

【測定方法】

@は、上記の(A)〜(B)の各段階をそれぞれ論述または発表させることにより、確認する。
(A)はその具体性、(B)は学問的裏付けの論理性、(C)は自分が所属する予定の集団の関係者を交えるなど、他者の評価を踏まえた上で確認する。

Aは、学んだことを理解した上で、ディスカッションやディベート等を通して自分の意見を述べさせることにより、確認する。

Bは、自ら研究テーマを設定し、その解決に向けて取り組ませ、成果(卒業研究、ゼミ論等の作成)を発表させることにより、確認する。

【到達目標】

2.実態に応じた学びを教育としてデザイン(設計、実施、評価、改善)できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

教育心理、臨床教育、教育内容、教育方法、教育工学、教育メディアなど

【到達度】

@ 学習者の意欲、能力などを多面的、客観的に把握することができる。

A 学習者の実態に即した学習目標や学習方法のデザインについて論理的に説明できる。

B 学習を効果的に進めるために、教育指導の理論と技術を活用できる。

C 学習過程で他者の意見を聴き、自らの実践を反省し、改善案を作成することができる。

【測定方法】

@は、模擬的な学習場面を想定したロールプレイング等を用いて把握の度合いを自己・他者評価させることで確認する。

A及びBは、実際の学習場面を想定した学習計画案を作成させることで確認する。

Cは、学習実践記録、改善案等を作成させることにより、確認する。

【到達目標】

3.直面する課題や問題に自らが積極的に関心を持つことができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

教育社会学、教育行政、教育行政、比較・国際教育、生涯学習、臨床教育学など

【到達度】

@ 教育に関する時事問題について常に関心を持っている。

A 地域社会、グローバリゼーション等広い視点から教育問題を理解し、分析できる。

B 現代の教育課題について自分の考えを示すことができる。

【測定方法】

@〜Bは、変動する社会の教育課題について、ディスカッション、フィールドワークや教育ボランティア等を通じて問題の所在を分析し、自分の考えを示せるかどうかを論述形式、観察法などにより、確認する。

【到達目標】

4.教育学を学んだ者としての責任と義務について、その重要性を自覚できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

教育法学、教育哲学、道徳教育、生涯教育、教育行政学など

【到達度】

@ 日々の生活において教育学を学んだものとしての自負を持ち、学び続けることができる。

A どのような職種においても教育の重要性を踏まえて社会生活を営むことができる。

【測定方法】

@〜Aは、卒業後の進路においてどのように大学で学んだことを活かしていくか、将来像をレポートにまとめ発表させることにより、確認する。

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統計学教育における学士力の考察

※ 到達目標の構成

  到達目標1および2は、すべての学生に教養として身に付けることが望ましい。

  到達目標3および4は、選択科目として少なくともどちらかを身に付けることが望ましい。

  到達目標5は、各専門分野において問題解決の一手段として身に付けることが望ましい。

【到達目標】

1.社会におけるデータと統計の役割・限界を理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

統計、データの種類、観察・調査・実験、仮説、実証分析など

【到達度】

@ 統計とその背景にあるデータの関連を説明できる。

A 統計の信頼性、信憑性について説明できる。

B データの収集法として、観察、調査・実験の違いを説明できる。

C 科学的問題解決の枠組み理解し、仮説に基づく実証分析の有用性を説明できる。

【測定方法】

@とAは、具体的な統計を示し、論述式の筆記試験などにより、確認する。

Bは、具体的なデータを示し、論述式の筆記試験などにより、確認する。

Cは、簡単な仮説を示し、その仮説を実証するための方法について論述式筆記試験などにより、確認する。

【到達目標】

2.データを統計的に整理し、データの特徴を表やグラフを用いて説明できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

分布、度数分布表、基本統計、統計グラフ、二次元データ、散布図、時系列データなど

【到達度】

@ 基本的な統計表やグラフの種類を知り、データの特徴に応じた使い分けができる。

A 平均値などの基本統計の種類と意味を知り、求めることができる。

B 表・グラフ・基本統計の値を用いて、データの特徴を説明できる。

C 二次元データや時間情報の入ったデータをグラフで表し、データの特徴を説明できる。

【測定方法】

@とAは、データを示し、演習またはレポートなどにより、確認する。

BとCは、データを示し、総合的に活用させるような演習またはレポートなどにより、確認する。

【到達目標】

3.統計的な調査や実験の仕組みを理解し、母集団の特徴を表現できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

確率変数、確率分布、2項分布、ポアソン分布、正規分布、母集団、標本、統計的推測、標本調査、標本抽出、無作為化、バイアス、推定、仮説検定など

【到達度】

@ 不確実性を伴う現象を確率分布を用いて表現できることを理解している。

A 全数調査と標本調査の違いを知り、標本抽出におけるバイアスの意味と無作為化の効果を理解している。

B 統計的推測の枠組みを理解でき、標本分布と標本誤差の関連性がわかる。

C 統計的仮説検定の状況とロジックを理解し、関係する用語を正しく文脈の中で使用できる。

【測定方法】

@からCは、客観式・論述式の筆記試験、レポートまたは演習などにより、確認する。

【到達目標】

4.変数間の関係を検証するために統計的手法を活用できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

統計モデル、相関係数、目的変数、説明変数、回帰分析、回帰係数、偏回帰係数など

【到達度】

@ 変数間の関係を散布図と相関係数で説明できる。

A 統計モデルに基づく単回帰分析を行い、その結果を説明できる。

B 重回帰分析を行い、偏回帰係数について適切に説明できる。

C 説明変数がカテゴリーの場合にも、回帰分析を適用できる。

【測定方法】

@からCは、客観式・論述式の筆記試験、レポートまたは演習などにより、確認する。

【到達目標】

5.統計的な考え方・技能を活用して、実際上の問題に取り組むことができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

実際の事象とデータとの対応、因果関係の記述(十分条件と必要条件の区別)、定量分析(確率を用いて表現)、仮説の設定(2種類の過誤)、データと誤差、QC7つ道具など

【到達度】

@ 実際の事象での因果関係を表現できる。

A 問題解決の枠組みを用いて分析の到達目標を表現できる。

B 実験・調査を設計でき必要なデータと分析を行える。

C 統計分析結果を目標との対応で評価できる。

【測定方法】

@は、専門分野での因果関係を図などを用いた論述式の筆記試験などにより、確認する。

Aは、具体的な分析目標を論述式の筆記試験などにより、確認する。

Bは、@での図に対応して手法を活用した結果をレポートなどにより、確認する。

Cは、レポート、プレゼンテーションなどにより、確認する。

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数学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.社会生活に現れる数の基礎的な概念を例示し、簡単な計算ができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

数の概念、比、指数、対数、組合せ、確率など

【到達度】

@ 数の概念を体系的に例示できる。

A 社会生活に現れる比をその意味とともに例示できる。

B 累乗で増える量の具体例を例示できる。

C 対数の便利さを例示できる。

D 場合の数が「順列」になるケースや「組合せ」になるケースなどを例示できる。

E 確率のもついろいろな意味(統計的意味、直感的意味)を例示できる。

【測定方法】

@〜Eは、単なる数学的なスキルを確認するに留まらず、他分野の課題に数学の知識を活用できることを論述式の筆記試験、レポートなどにより、確認する。

【到達目標】

2.自然・社会現象を数量化し、図形・記号を用いて具体的に表現することができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

三角関数、指数関数、対数関数、座標とグラフ、確率分布、グラフ理論など

【到達度】

@ 自然・社会現象の数理を数式(2次関数、分数関数、指数関数、対数関数、三角関数など)や適切な図・グラフで表すことができる。

A ものの間の関係を点と線の「グラフ」で表すことができる。

B 自然・社会現象に現われる代表的な確率分布を理解している。

【測定方法】

問題の解析に@〜Bの技能を活用できることを論述式の筆記試験、レポートなどにより、確認する。

【到達目標】

3.数理的表現に基づいて問題の発見・解析ができ、結論を導き出すことができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

数理モデル、シミュレーション

【到達度】

@ 自然・社会現象の中から問題を発見し、数理的に表現できる。

A 数理的表現に基づいて自然・社会現象を解析し、論理的に結論をまとめることができる。

【測定方法】

@とAの問題設定は、必要に応じて他分野とも連携し、演習による討論、その解決法のレポート、プレゼンテーションなどにより、確認する。

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生物学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.生物の基本単位と生命活動の仕組み、および細胞レベルから生態レベルまでの相互関係を含めた生物学の基礎知識を身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

生物の基本構造、遺伝、代謝、細胞間・個体間のネットワーク、進化と生態など

【到達度】

@ 生物学の関連用語を知っている。

A 生物学の関連用語を他者に説明できる。

B 生物学の知識を体系的に説明できる。

【測定方法】

@は、客観式の筆記試験などにより、確認する。

Aは、論述式の筆記試験などにより、確認する。

Bは、論述式の筆記試験、レポート、プレゼンテーションなどにより、確認する。

【到達目標】

2.生物の観察や実験によって、実証に基づいた自然科学的で客観的な論理性を習得できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

基礎生物学の実験など

【到達度】

@ 与えられた材料と方法を使って実験ができる。

A 実験結果をまとめられる。

B 実験結果に基づいて背景や関連事項を考察できる。

【測定方法】

@は、実験を行うことにより、確認する。

Aは、レポートなどにより、確認する。

Bは、レポートおよびプレゼンテーションなどにより、確認する。

【到達目標】

3.生物学の視点から生物や環境に関連する問題について考えることができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

生物や環境に関連する取り決め(条約、法令)、生命倫理、哲学、宗教学、社会学など

【到達度】

@ 生物や環境に関連する人文・社会学分野の知識を身に付けている。

A 人文・社会学分野の知識を活用して、生物や環境について考えることができる。

B 生物や環境について、人文・社会学分野に関連付けて発展的に議論できる。

【測定方法】

@は、客観式の筆記試験などにより、確認する。

Aは、論述式の筆記試験などにより、確認する。

Bは、小論文、レポート、プレゼンテーションなどにより、確認する。

 

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物理学教育における学士力の考察

※ 一般レベル:物理学を教養として学ぶ学生(例えば文系)を対象とした水準

 専門レベル:物理学の高度な活用を必要とする専攻分野の学生を対象とした水準


【到達目標】

1.物理学の基本概念と法則を理解している。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<一般・専門レベル共通>

物理現象、物理法則、基本概念と物理量、単位など

【到達度】

<一般レベル>

@ 典型的な物理現象について知っている。

A 主要な基本概念と物理法則を知っている。

B 物理法則が確立された過程を知っている。

<専門レベル>

@ 典型的な物理現象について説明できる。

A 物理法則を基本概念と物理量を踏まえて説明できる。

B 物理法則が確立された過程を説明できる。

【測定方法】

<一般レベル>

@〜Bは、客観式の筆記試験、レポート、口頭試問などにより、確認する。

<専門レベル>

@〜Bは、論述式の筆記試験、演習、小論文、口頭試問などにより、確認する。

【到達目標】

2.実験や観察に基づき、自然現象を科学的にとらえる態度を身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<一般レベル>

物理学概論、物理学の方法、物理学史など

<専門レベル>

物理学詳論、物理学史、物理学演習、物理学実験など

【到達度】

<一般レベル>

@ 自然現象や地球環境問題に対して、科学的な説明に関心を持ち、理解しようとする。

<専門レベル>

@ 自然現象や地球環境問題に対して、科学的証拠に基づく推論と単なる意見とを区別し、問題点を整理し、自らの意見を主張することができる。

【測定方法】

<一般・専門レベル共通>

プレゼンテーション、レポート、スモール・グループ・ディスカッション、ディベートなどにより、確認する。

【到達目標】

3.自然現象を科学的に考察するために、仮説を立て、モデル化し、実験や数理的技法を活用することができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<専門レベル>

力学、電磁気学、熱力学、波動、量子力学、統計力学、物理学実験、コンピューターの活用など

【到達度】

<専門レベル>

@ データの信頼度を評価できる。

A 物理学の知識をもとに現象をモデル化し、説明できる。

B モデルを数理的に表現し、解析できる。

C モデルの妥当性を検証できる。

【測定方法】

@〜Cは、演習、プレゼンテーション、レポート、論述式の筆記試験、口頭試問などにより、確認する。

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化学教育における学士力の考察

※一般レベル:化学を教養として学ぶ学生(例えば文系)を対象とした水準
 
  専門レベル:化学および化学関連分野を専門とする学生を対象とした水準

【到達目標】

1.物質科学の観点から、身の回りの現象・事象や環境・食料・エネルギーなど多くの問題を適切に認識し、判断できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<一般レベル>

物質と粒子の構成、原子と分子、分子と分子集団、状態変化、化学反応、物質と人間生活、物質と生命など

<専門レベル>

一般レベルの内容に加えて、物質の分類と特徴、命名法、基本的な物質の取り扱いなど

【到達度】

<一般レベル>

@ 身の回りの物質を原子・分子およびその集団の観点から認識できる。

A 身の回りの物質が生活環境や健康に及ぼす有効性や危険性などに関する情報を正しく理解している。

B 身の回りの化学変化を物理変化と区別できる。

C 身の回りの物質がどのように作られているかを概略として理解している。

<専門レベル>

*一般レベルの内容に加えて次の各項目が身についている。

@ 物質の性質を原子・分子およびその集団のレベルで理解している。

A 基本的な物質の種類と特徴、命名法を理解している。

B 物質の化学反応を原子・分子レベルで説明できる。

C 物質の変化を定量的に扱える。

D 基本的な物質の性質を理解し、実験で安全に取り扱える。

【測定方法】

<一般レベル>

@〜Cは、客観式の筆記試験、演習、レポートなどを組み合わせて確認する。

<専門レベル>

@〜Dは、客観式・論述式の筆記試験、演習、実験とそのレポートなどを組み合わせて確認する。

【到達目標】

2.物質の性状や化学反応の基礎知識、実験技術および数値解析技術を用いて問題解決に取り組むことができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<専門レベル>

物質の構造と性質・化学結合・化学量論・化学エネルギー・反応速度・化学平衡・物質の分離と分析(実験を含む)・物質の合成(実験を含む)など。

【到達度】

<専門レベル>

@ 基本的な物質の構造から化合物の性質を類推できる。

A 物質の変化とそれに対応するエネルギーの変化との関係を理解できる。

B 平衡論と速度論の観点から現象を理解できる。

C 分離・分析・測定法の基本原理を理解し、実験技術を身に付けている。

D 化学的な視点から実験結果を解析することができる。

【測定方法】

<専門レベル>

@〜Dは、客観式・論述式の筆記試験、演習、実験とそのレポートなどを組み合わせて確認する。

【到達目標】

3.現代化学における新たな知見に基づいて論理的思考を行い、持続可能性・安全性・信頼性などに配慮して、物質を適切に活用することができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<専門レベル>

課題研究(ケーススタディ・卒業研究など)、化学技術と環境、安全教育、技術者倫理、化学情報など

【到達度】

<専門レベル>

@ 物質の持つ有用性と危険性を認識し、安全に活用できる。

A 化学情報を適切に入手し、活用できる。

B 物質の開発や新たな応用の方法を理解している。

C 化学技術が生活・健康・地球環境などに及ぼす影響を理解し、指摘できる。

D 物質に関する法令や技術者倫理を理解している。

【測定方法】

<専門レベル>

@〜Bは、口頭発表、卒業論文などにより、確認する。

CとDは、客観式・論述式の筆記試験、演習、レポートなどを組み合わせて確認する。

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機械工学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.力学系、熱・エネルギー系、材料系、制御系、数理・情報系等の基礎知識を理解し、機械・システムを解析・設計できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

数学・物理・化学・情報の基礎、材料・機械・流体・熱力学、エネルギー変換工学、材料工学、計測・制御工学、メカトロニクス、数値計算法、プログラミング、機械設計法、CAD/CAEなど

【到達度】

@ 機械工学における基礎的知識を用いて、機械やシステムの原理や仕組みが説明できる。

A機構設計、機能設計、強度計算、図面作成ができ、そのプロセスでCAD/CAEの技術を利用できる。

【測定方法】

@は、筆記試験、面接試験、プレゼンテーション、ディスカッションなどにより、確認する。

Aは、基本的な機械やシステムの設計課題に取り組ませ、その解決法、解決プロセス、成果物などにより、確認する。

【到達目標】

2.機械・システムを製造するための基礎知識や情報基礎技術を理解し、それらを設計課題の成果物の試作に利用できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

加工学、機械要素、設計・製図、工作実習、CAMなど

【到達度】

@ 設計した機械やシステムを製造(試作)するための方法やプロセスを立案できる。

A 工作機械、CAM等の技術を用いて設計課題の成果物を試作し、その評価ができる。

【測定方法】

@は、そのための方法やプロセスを立案させ、報告書やプレゼンテーション・質疑応答などにより、確認する。

Aは、設計したものを試作させ、その過程や成果物により確認する。

【到達目標】

3.技術者として、自然との共生、安全性や倫理性等に十分配慮することができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

環境工学、安全工学、技術者倫理など

【到達度】

@ 環境面・安全面・倫理面に関する知識や考え方を身に付けている。

A 具体的な機械・システムの設計に環境・安全・倫理等の観点を反映できる。

【測定方法】

@は、筆記試験や口頭試問などにより、基礎的知識を確認する。さらに、機械やシステムについて自然・社会との適応性、倫理性、安全性に対する意見を述べさせ、理解度を確認する。

Aは、機械・システムの設計・評価の結果を通して確認する。

【到達目標】

4.人間や社会に有益な機械・システムの提案ができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

課題調査研究、卒業研究、インターンシップなど

【到達度】

@ 身の回りの機械やシステムに関し、問題点や課題を把握できる。

A 問題点や課題に対する改善案や代替案を提案できる。

【測定方法】

@とAは、問題点や課題について調査・研究させ、面談、プレゼンテーション、ディスカッションおよび学外の専門家の評価などにより確認する。

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建築学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.建築の学術、技術および芸術に関する基礎的な知識や素養を身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

建築の数学、建築の物理学、建築概論、建築図学、基礎製図、建築情報処理演習、造形演習、建築史・意匠など

【到達度】

@ 数学や物理などの自然科学系の基礎的な知識を身に付けている。

A 建築の安全性や機能性に関する基本的な素養を身に付けている。

B 建築の図法や設計製図に関する基礎的な技能を身に付けている。

【測定方法】

@とAは、レポートおよび筆記試験などにより、確認する。

Bは、建築の立体的な空間把握に関する図法などの成果物により、確認する。

【到達目標】

2.建築の計画、環境、構造、材料に関する基本的な専門知識が理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

建築計画、建築環境工学、建築設備、建築構法、建築構造力学、建築材料、建築生産、建築に関する実験・演習・実習など

【到達度】

@ 住宅などの各種建築物を設計計画するための専門知識を身に付けている。

A 建築の環境・設備に関する物理的性質や社会的なニーズを理解している。

B 建築の構造を理解し、その安全性について力学的な把握ができる。

C 建築材料、建築生産に関する実践的な知識および素養を身に付けている。

D 建築に関する実験などを通して、建築を構成する要素の特性を理解している。

【測定方法】

@〜Cは、レポートおよび筆記試験などにより、確認する。

Dは、実験のレポートや取り組み状況などにより、確認する。

【到達目標】

3.生活環境の安全・安心、公共の福祉などの視点から建築を考えることができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

都市計画、地域計画、建築法規、建築倫理、建築企画、建築のマネジメントなど

【到達度】

@ 生活環境の安全・安心、快適性に配慮する知識や素養を身に付けている。

A 都市や地域の計画において公共の福祉に貢献する素養を身に付けている。

B 法令の主旨、技術者倫理を理解して建築に取り組むことができる。

C 地球環境や都市・地域社会と関連付けて建築のマネジメントを理解している。

【測定方法】

@〜Cは、レポートおよび筆記試験などにより、確認する。さらにAとCは、ワークショップなどにより、確認する。

【到達目標】

4.建築分野における体系的な知識や技能をもとにして、自ら建築作品や卒業研究などの成果物としてまとめられる素養を身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

建築設計、建築ゼミナール、卒業研究(卒業論文・卒業設計)など

【到達度】

@ 建築の設計課題に対して、自ら企画立案して建築作品にまとめられる。

A 建築の課題研究において、自ら問題意識を持って取り組むことができる。

B 建築分野の包括的な学習によって得た専門知識や技能を活用して卒業研究にまとめ、その成果を発表することができる。

【測定方法】

@とAは、設計課題で制作された図面や模型などの成果物および発表により確認する。

Bは、提出された卒業論文や卒業設計の成果物および発表により、確認する。なお、外部評価などにより確認することが望ましい。

 

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土木工学系教育における学士力の考察

【到達目標】

1.構造力学系、測量系、地盤系、コンクリート系、水理系など、土木工学の専門基礎を身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

構造力学、測量、地盤、コンクリート、水理、土木基礎実験など

【到達度】

@ 数学や物理、情報技術などの工学的基礎知識を身に付けている。

A 身につけた工学知識をもとに土木工学の基礎的な計算技術を身に付けている。

B 土木工学に必要な基礎実験技術を身に付けている。

【測定方法】

@は、筆記試験などにより、確認する。

Aは、筆記試験および演習などにより、確認する。

Bは、実験状況の観察やレポートにより、確認する。

【到達目標】

2.「計画、設計、施工、維持・管理、更新」を総合的にマネジメントする観点から各工程の仕組みを理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

環境、土木計画、設計、施工、維持・管理、アセットマネジメント、プロジェクトマネジメンなど

【到達度】

@ 安全性、経済性、機能性及び環境に配慮し、計画、設計、施工、維持・管理、更新の概念および方法論を理解している。

A 事業工程全体の仕組みを理解し、概念や方法論と関連付けることができる。

【測定方法】

@は、筆記試験などにより、確認する。

Aは、現場見学、インターンシップなどを通じて、レポート、ディスカッションなどにより、確認する。

【到達目標】

3.社会基盤整備において、技術者倫理の重要性を認識し、自然環境および社会に及ぼす影響・効果の重大性を理解している。

【コア・カリキュラムのイメージ】

技術者倫理、関連法規、環境工学、社会科学、土木史など

【到達度】

@ 土木事業により安全・安心に暮らせる社会基盤を共通資産であることを理解している。

A 土木事業と自然環境の共生について理解している。

B 生活や経済産業を支える観点から土木事業を理解している。

C 技術者倫理を持ち、法を遵守することの重要性を理解している。

【測定方法】

@からCは、筆記試験、レポート、ディスカッションなどにより、確認する。

【到達目標】

4.自然・社会・文化・歴史などに親しみ、社会基盤整備に関する新しい考え方、方法、技術などを提案できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

課題演習、インターンシップ、フィールドワーク、卒業研究など

【到達度】

@ 自然・社会・文化・歴史などと社会基盤との調和を踏まえた課題を自ら設定できる。

A 設定した課題に対し、「解」を選択し、提案・発表することができる。

【測定方法】

@は、レポート、ディスカッションなどにより、確認する。

Aは、演習、インターンシップ、プレゼンテーション、卒業研究などにより、確認する。

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経営工学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.経営資源を有効に活用するために、企業や組織体の活動を科学的に調査し、分析できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

経営の基礎、業務と経営資源、調査・分析の基礎など

【到達度】

@ 企業や組織体の目的と構造について理解している。

A 業務活動の流れに対応して、必要となる人、もの、金、情報などの経営資源を知っている。

B 業務活動に関する科学的な調査・分析手法について知っている。

C 企業活動の事例やモデルに対して科学的な調査・分析手法を用いて、問題点を指摘できる。

【測定方法】

@〜Bは、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

Cは、教員および学生間のディスカッションを通して、成果の発表などにより、確認する。

【到達目標】

2.企業や組織体の活動に関して、課題の発見・構造化・解決に必要な知識とスキルを身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

オペレーションズ・マネジメント(IE、QCなどを含む) 、数理解析(OR、統計解析などを含む)、プロ

ジェクトマネジメント、情報処理技術(データ処理とプログラミングやアルゴリズム開発などを含む)など

【到達度】

@ 問題解決のプロセスについて理解している。

A モデル化ならびに最適化の手法を理解している。

B データ処理技術について理解している。

C プロジェクトの管理・運営の基礎について理解している。

D 具体的な問題に対して、問題解決のプロセスを適用し、適切な手法を用いて解を導くことができる。

【測定方法】

@〜Cは、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

Dは、教員および学生間のディスカッションを通して、成果の発表などにより、確認する。

【到達目標】

3.企業や組織体の活動に関して、システムの計画・設計・運用・管理・改善に必要な基礎知識・技術を身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

システム分析・設計、コストマネジメント、情報システムの設計・開発など

【到達度】

@ 経営管理に関する原則や手法について理解している。

A 経営資源に関する管理技術の基礎について理解している。

B 管理技術を適用してシステムの計画・設計ができる。

【測定方法】

@とAは、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

Bは、客観式・論述式の筆記試験により確認するとともに、教員および学生間のディスカッションを通して、成果の発表などにより、確認する。

【到達目標】

4.技術と経営およびこれらを取り巻く国内外の社会との関わりと、技術者の社会的責任を理解している。

【コア・カリキュラムのイメージ】

経営システムに関連する基礎的法知識、技術者倫理、技術マネジメントに関連する基礎的知識、環境マネジメント、国際標準など

【到達度】

@ 企業や組織体の活動が国内外の社会に及ぼす影響について理解している。

A 技術者の役割と技術者倫理について理解している。

【測定方法】

@とAは、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

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電気通信学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.電気工学、通信工学、電子工学の基礎知識を持ち、エネルギー、材料、デバイス、コンピュータ、 ネットワーク、計測・制御との関連技術の基礎を理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

電磁気学、電気回路学、電子回路学、論理回路、通信工学(無線・有線通信、アナログ・デジタル通信など)、電力・エネルギー、伝送工学、物性物理、半導体工学、電気・電子材料、電気・電子計測、制御工学、情報理論、信号処理、音響振動工学など

【到達度】

@ 数学、物理、化学、情報技術などの工学的基礎知識を身に付けている。

A 電気通信工学の基礎となる物理量、公式、用語について概念を含め、具体的に説明できる。

B 学習した知識と技術を与えられた課題の解決に援用し、発表できる。

【測定方法】

@とAは、複数回の筆記試験・小テストなどにより、確認する。

Bは、テーマに基づく演習・実験授業の中でディスカッション、プレゼンテーションなどにより、確認する。

【到達目標】

2.電気通信関連分野における設計、シミュレーション、プログラミング、試作の一連の流れを実験や実習などを通して理解し、関連の基礎技術を身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

電子回路設計・製作、システム設計、数値解析、各種シミュレータの運用スキル、プログラミング、アプリケーションソフトウエア、ロボット・組み込み技術、インターネットの利用技術など

【到達度】

@ 設計・解析にあたって、その要素技術やツールの利用方法を身に付けている。

A PBLなどを通じて自らの計画に基づく電子・電気回路、プログラムなどの設計から試作までの工程を理解し、制作できる。

B 制作過程で他者の意見を聴き、自らの作品を評価し、改善案を作成できる。

【測定方法】

@は、設計・解析した結果により、確認する。

AとBは、PBLプロジェクト学習などによる制作過程を、レポート、プレゼンテーションなどにより、確認する。

【到達目標】

3.社会の基盤である電気通信技術の重要性を理解する中で、自然環境や社会環境との関わりを常に認識し、安心・安全に配慮することができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

環境科学、工学倫理、情報倫理、情報管理、関連法規、電磁環境(生体効果を含む)、信頼性工学など

【到達度】

@ 電気通信工学分野に関する倫理、法規、管理などを理解している。

A 電気通信工学分野の技術者として社会的責任の重要性を理解している。

B 環境関連などの社会課題に関心を持ち、その解決および改善の方向性を理解している。

【測定方法】

@は、筆記試験、レポートなどにより、確認する。

Aは、自らまたはグループにより学習テーマを設定し、その調査活動で得られた認識と分析結果のレポート、プレゼンテーションなどにより、確認する。

【到達目標】

4.電気通信技術者を目指すものとして、社会のニーズに応える最新技術の動向を把握し、主体的に問題発見に取り組むことができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

課題演習、卒業研究など

【到達度】

@ 電気通信工学分野に課せられた社会的ニーズを調査、フィールドワーク、ディスカッションなどを通じて認識できる。

A 電気通信工学分野に関連する知識を体系化して、課題を整理することができる。

B 自ら設定した課題について、問題解決に取り組み、その方向性を示すことができる。

【測定方法】

@〜Bは、卒業研究、ゼミナールを通して、自らまたはグループが取り組んだ成果をプレゼンテーションなどにより、確認する。

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情報通信系教育における学士力の考察

 

※ 一般レベルとは、情報通信系の基礎知識を当該専門領域で活用できる力

  専門レベルとは、情報通信系の知識を情報利活用、情報設計、情報システム開発などに適用できる力

【到達目標】

1.情報通信技術の基本原理および技術的要素の基礎を理解している。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<一般レベル>

情報通信システムの概要、情報通信システムと社会など

<専門レベル>

情報通信システム、情報科学、計測・制御、コンピュータシステム、組込みシステムなど

【到達度】

<一般レベル>

@ 情報通信システムに関する歴史、構造、構成要素などの概要を理解している。

A 情報通信システムが社会に提供しているシステム、製品、サービスなどについて理解している。

<専門レベル>

@ 情報通信システムの構成と機能について説明できる。

A 情報理論、通信理論、計算理論、制御理論、回路理論について、少なくとも3項目以上の概要を説明できる。

B 情報処理技術、ネットワーク技術、コンピュータ、オペレーティングシステムについてその機能を具体的に説明できる。

C 通信技術、マルチメディア、ユーザインタフェース、計測、制御について、少なくとも2項目以上の機能を具体的に説明できる。

D 特定の情報通信技術を応用したシステムに使用されている技術的要素の役割、機能を説明できる。

E 複数の異なる技術的要素を組み合わせて要求されたシステムを構想することができる。

【測定方法】

<一般レベル>

@とAは、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

<専門レベル>

@〜Cは、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

DとEは、試験、実習(演習)、レポート、発表の組み合わせなどにより、確認する。

【到達目標】

2.情報通信技術の基本的なツールを必要に応じて、問題発見・解決に利用することができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<一般レベル>

論理的思考法とPDCA、コミュニケーション技法、統計データの分析ツールなど

<専門レベル>

シミュレーション技法、モデリング技法、要因分析法、計測、制御、開発環境など

【到達度】

<一般レベル>

@ 論理的思考法を身につけ、インターネットなどの情報通信技術を活用できる。

A コンテンツ作成やコミュニケーションに情報通信技術を活用できる。

B 統計データの意味を説明でき、表計算ソフトなどを用いて可視化し、特性や相関関係などを説明できる。

<専門レベル>

@ 適切なシミュレーションツールを使ってモデルを解析することができる。

A 適切なモデリングツールを用いて、簡単なモデルを作成しモデルを制御することができる。

B 計測の原理を理解し、計測するツールを使って必要なデータを計測できる。

C 多変量解析や特性要因図などについて、その意味を理解している。

D 開発環境を用いて、システム開発(ソフトウェアやプログラミングを含む)ができる。

【測定方法】

<一般レベル>

@とAは、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

Bは、実習(演習)により、確認する。

<専門レベル>

@〜Dは、客観式・論述式の筆記試験、実習(演習)、レポート、発表の組み合わせなどにより、確認する。

【到達目標】

3.情報通信技術を応用したシステムのライフサイクル(要件定義、設計、開発、構築、運用、保守)の概要を理解している。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<一般レベル>

システム開発工程、情報システムと企業活動など

<専門レベル>

開発環境、テスト技術、プロジェクト管理、品質管理、運用保守など

【到達度】

<一般レベル>

@ システム開発工程について理解している。

A 企業などの組織活動と情報通信システムとの関係を理解している。

<専門レベル>

@ 開発工程と開発環境の関係を理解し、開発環境を用いて簡単なシステムを構築することができる。

A テスト技術、形式検証について理解し、開発環境を用いて簡単な検証作業を行うことができる。

B プロジェクト管理、品質管理、運用保守の概要について理解している。

【測定方法】

<一般レベル>

@とAは、客観式の筆記試験などにより、確認する。

<専門レベル>

@とAは、客観式・論述式の筆記試験、実習(演習)、レポートの組み合わせなどにより、確認する。

Bは、客観式・論述式の筆記試験、レポート、発表の組み合わせなどにより、確認する。

【到達目標】

4.情報通信技術の利用を通じて、豊かな社会の実現を考えることができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

<一般レベル>

高度情報社会の特徴、社会の安全・安心と情報通信技術、情報倫理、情報通信関連法規、情報セキュリティなど

<専門レベル>

情報通信技術の利害得失、情報通信技術者としての職業倫理、情報セキュリティ技術、機能安全など

【到達度】

<一般レベル>

@ 高度情報社会を構成する要素の役割とその利害得失を理解している。

A 高度情報社会を構成する要素が社会の安全・安心にどのような影響を与えるかを説明できる。

B 情報セキュリティを勘案して情報を取り扱う上での心得を身につけ、著作権法、個人情報保護法などの概要を理解している。

<専門レベル>

@ 高度情報社会を構成する要素の役割とその利害得失を具体的に説明できる。

A 情報通信技術者としての職業倫理とは何かを理解している。

B 情報セキュリティ技術の種類・形態について説明でき、簡単なシステム構成を示すことができる。

C 高度情報社会を構成する要素が備えるべき機能安全について説明できる。

【測定方法】

<一般レベル>

@〜Bは、客観式・論述式の筆記試験、レポート、発表の組み合わせなどにより、確認する。

<専門レベル>

@〜Cは、客観式・論述式の筆記試験、レポート、発表の組み合わせなどにより、確認する。

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栄養学教育における学士力の考察

※ 既存の栄養士養成課程、管理栄養士養成課程のコア・カリキュラムによるだけでなく、今後の栄養学教育発展の視点から作成したものである。

【到達目標】

1.栄養・食生活と心身の健康との相互関係を理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

基礎栄養学、食品学、調理科学など

【到達度】

@ 栄養素等の役割を説明できる。

A 栄養素の代謝を概説できる。

B 栄養との関係から人体の構造と機能を概説できる。

C 食品の化学成分(栄養成分、嗜好成分、機能性成分等)が説明できる。

D 食品の調理・加工による変化について説明できる。

E 栄養と健康との関係が説明できる。

【測定方法】

@〜Eは、主として、口頭試問、実験レポート、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

【到達目標】

2.栄養・食品・調理の理解に基づいて、個人および集団の健康維持・増進、疾病予防の活用に発展させることができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

食教育など

【到達度】

@ 各ライフステージにおける栄養の特性を説明できる。

A 栄養性、嗜好性の良好な食物を調整する技能を身に付けている。

B 栄養・食生活に関するアセスメント、計画・実践・評価およびカウンセリングの技法を身に付けている。

C生産・流通・消費・食文化などから食生活と健康との関わりについて理解している。

D 食育の意義について理解し、地域社会での取り組みを提案できる。

【測定方法】

@とCは、客観式・論述式の筆記試験、口頭試問などにより、確認する。

AとBは、実技試験などにより、確認する。

Dは、実習課題に対するプレゼンテーション、レポートなどにより、確認する。

【到達目標】

3.食環境づくり(食情報・食物確保・食の消費と安全など)の必要性を理解し、実践できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

食環境など

【到達度】

@ 食の安心・安全性(法規・制度・施策・リスク情報など)、衛生管理について概説できる。

A 衛生管理対策に関する技術(HACCPシステムなど)を身に付けている。

B 正しい食情報にアクセスして、活用・発信できる。

C 世界の食文化について理解し、地球規模の食環境についてグローバルな視点を持つことができる。

【測定方法】

@は、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

AとBは、実技試験などにより、確認する。

Cは、課題に対するプレゼンテーションなどにより、確認する。

【到達目標】

4.疾病の予防・治癒および再発を防ぐための食事・栄養療法について、科学的根拠に基づき説明できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

臨床栄養など

【到達度】

@ 病態について理解し、臨床における主観的・客観的な栄養評価について概説できる。

A 疾病、身体状況に対応した栄養補給法について概説できる。

B 傷病者の適正な栄養投与量(経口、経腸および経静脈)を算定し、管理する方法を身に付けている.

C 病態別の栄養ケアについて、献立の立案・実践・評価・改善ができる。

D 食事と運動および主要な医薬品・サプリメントの相互作用について概説できる。

【測定方法】

@とAとDは、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

Bは、実技試験などにより、確認する。

Cは、課題に対するレポート、実技などにより、確認する。

【到達目標】

5.栄養マネジメントを実施できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

給食経営管理、公衆栄養学、応用栄養学など

【到達度】

@ 栄養アセスメント、栄養ケアプラン、モニタリング、評価、改善のシステムについて説明できる。

A 栄養マネジメント業務遂行上の機能、方法、手順が説明できる。

B 栄養マネジメントのために他職種間との連携の必要性を理解している。

C 栄養スクリーニング、栄養アセスメント、栄養ケアプラン、モニタリング、評価、改善に関する技術を身に付けている。

D 栄養マネジメントに必要な情報を収集・蓄積・分析し、活用できる。

【測定方法】

@〜Bは、客観式・論述式の筆記試験などにより、確認する。

Cは、実技試験などにより、確認する。

Dは、コンピューターによる実技試験などにより、確認する。

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被服学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.被服の歴史・文化や被服の社会的、保健衛生的役割を理解し、被服の着用などによるイメージや感性の表現ができる能力を身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

服飾文化史、現代ファッションデザイン、ファッションイメージ表現、被服心理、基礎造形など

【到達度】

@ 被服の歴史・文化・役割を理解し、被服の社会的、保健衛生的役割を論理的に説明できる。

A 被服のイメージや感性の表現ができる基礎能力を身につけている。

【測定方法】

@は、レポート、筆記試験などにより、確認する。

Aは、作品を通して感性や技術を確認する。

【到達目標】

2.人体を把握し、人体と被服との関係や被服構造を知り、被服の構成力を身につけ被服パターン設計に活用できる能力を身に付けている。

【コア・カリキュラムのイメージ】

被服人間工学、被服構成の基礎、パターン設計、縫製など

【到達度】

@ 人体の構造と機能を理解して、被服形態との関連を説明し、機能評価ができる。

A 被服構成の基礎を理解して、被服設計ができる。

B 縫製の基礎的な知識と技術を身につけ、被服造形ができる。

【測定方法】

@は、レポート、筆記試験などにより、確認する。

Aは、筆記試験および実技試験などにより、確認する。

Bは、筆記試験および作品などにより、確認する。

【到達目標】

3.被服材料の特性を理解し、被服設計への応用と被服デザインの着用表現ができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

被服材料、テキスタイルデザイン、アパレル設計、色彩設計など

【到達度】

@ 被服材料の特性を理解している。

A 被服材料の特性を活かしたアパレルの設計ができる。

B ファッションプレゼンテーションができる。

【測定方法】

@とAは、筆記試験、レポートなどにより、確認する。

Bは、作品制作やプレゼンテーションなどにより、確認する。

【到達目標】

4.繊維、アパレル産業における生産、流通の仕組みと企画設計までのプロセスを理解することができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

アパレル生産、アパレル企画、マーケティング、リテーリング、ビジュアルマーチャンダイジング、アパレル産業構造・流通など

【到達度】

@ アパレル産業の構造と生産のプロセスを理解している。

A マーケティング手法について理解し、市場調査・分析の方法を身に付けている。

B アパレル製品の情報収集、コンセプトの策定、デザインを考えることができる。

【測定方法】

@は、筆記試験などにより、確認する。

Aは、筆記試験、レポートなどにより、確認する。

Bは、レポートなどにより、確認する。

【到達目標】

5.被服の生産、流通、消費における環境問題などを理解し、生活の質の向上を考えることができる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

アパレル管理、アパレル環境科学、アパレル消費科学、ライフスタイルなど

【到達度】

@ 環境や社会への影響などを考えて、被服の選択、維持管理の方法を理解している。

A 省資源的ライフスタイルを意識した衣生活の向上を考えることができる。

【測定方法】

@とAは、レポート、筆記試験などにより、確認する。

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美術・デザイン学教育における学士力の考察

【到達目標】

1.社会、歴史、科学などの観点から視覚芸術表現を理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

美学、美術史、芸術学、色彩学、材料学、デザイン学、造形理論、メディアアートなど

【到達度】

@ 視覚芸術表現が社会にもたらす役割(機能・社会的価値)を理解している。

A 社会における視覚芸術表現方法・手段を理解している。

B 視覚芸術表現・造形表現の歴史を概観できる。

【測定方法】

@からBは、筆記試験、レポート、プレゼンテーション、ディスカッションなどにより、確認する。

【到達目標】

2.感受性に富み、創作や鑑賞を通じて視覚芸術表現が理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

構成、デッサン、アートプログラミングなどの専門分野に求められる技術、鑑賞など

【到達度】

@ 芸術作品を理解できるだけでなく、様々な現象の中に潜在する芸術性を理解し、伝達することができる。

A 美術・デザインを解析して、表現および鑑賞できる。

B 素材・メディア等を表現に活用し、創意工夫することができる。

【測定方法】

@からBは、筆記試験、研究発表、作品提出、プレゼンテーション、ディスカッション、講評会などにより確認する。

【到達目標】

3.美術・デザイン系分野における専門の理論と技術を統合し、社会貢献に寄与できる

【コア・カリキュラムのイメージ】

作品制作、研究論文、作品発表、企画・製品化、インターンシップなど

【到達度】

@ 表現のコンセプトを記述、口述でき、それに沿って具現化できる。

A 市民生活や組織との関係の中で作品制作を通じて、社会での機能性、利便性、生活の質向上などの実現に取り組むことができる。

【測定方法】

@とAは、講評会、外部評価、企画・提案書、報告書、論文などにより、確認する。

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体育学教育における学士力の考察

※ 体育・スポーツ科学専門教育の学習成果を整理したものである。

【到達目標】

1.身体運動による健康の維持増進の重要性を学術的に理解できる。

【コア・カリキュラムのイメージ】

スポーツ科学概論、健康科学概論、運動生理学など

【到達度】

@ 身体運動による効果の重要性を理解している。

A身体運動の効果(筋力、心肺機能、平衡性、体脂肪率、骨密度等)を数値的に把握し、変化を自己評価できる。

B 他者の身体運動の効果を評価できる。

【測定方法】

@からBは、主に知識の理解と活用方法について、試験(筆記・実技)、実習・実験、レポートなどにより、確認する。

【到達目標】

2.身体運動の効果を体感することにより、心身ともに充実したライフスタイルを送ることができる

【コア・カリキュラムのイメージ】

体育実技、スポーツ心理学、運動と健康、生涯スポーツ、スポーツとコミュニケーションなど

【到達度】

@ 生活の中に運動を積極的に取り入れることができる。

A 運動により集中力を高め、それを持続できる。

B 運動を取り入れることにより、ストレスをコントロールすることができる。

C 運動を取り入れることにより、健康な体づくりに取り組むことができる。

D集団の中でスポーツや運動を通じて、周囲の人と協調し、意思決定を通じて一体感を得たり、自己実現を図ることができる。

【測定方法】

@からDは、試験(筆記・実技)、実習・実験、レポート、グループディスカッション、卒業研究などにより、知識の理解度、活用力を確認する。

【到達目標】

3.スポーツ競技に関する知識・技能を習得し、スポーツの振興・普及に活用できる

【コア・カリキュラムのイメージ】

コーチング論、スポーツ政策、スポーツ社会学、スポーツ史など

【到達度】


@ スポーツ科学の専門知識を身につけ、競技力向上に取り組むことができる。

A 競技スポーツを社会の活性化との関わりで考えることができる。

【測定方法】

@とAは、試験(筆記・実技)、レポート、グループディスカッション、卒業研究などにより、知識、技能、態度の習得を確認する。

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インターネットによる意見回答状況

委員会 送付件数 回答件数 回答率
学士力考察
PDF版
英語学教育FD/ICT活用研究委員会 699 65 9%
心理学教育FD/ICT活用研究委員会 454 68 15%
CCC政治学運営委員会 141 23 16%
CCC社会学運営委員会 214 11 5%
CCCコミュニケーション関係学運営委員会 116 7 6%
CCC国際関係学運営委員会 105 11 10%
法律学教育FD/ICT活用研究委員会 362 41 11%
経済学教育FD/ICT活用研究委員会 642 58 9%
経営学教育FD/ICT活用研究委員会 580 58 10%
会計学教育FD/ICT活用研究委員会 178 20 11%
社会福祉学教育FD/ICT活用研究委員会 174 15 9%
CCC教育学運営委員会 298 27 9%
CCC統計学運営委員会 113 13 12%
CCC数学運営委員会 232 24 12%
CCC生物学運営委員会 292 28 10%
物理学教育FD/ICT活用研究委員会 269 24 9%
化学教育FD/ICT活用研究委員会 262 25 10%
機械工学教育FD/ICT活用研究委員会 453 44 10%
建築学教育FD/ICT活用研究委員会 322 37 11%
CCC土木工学運営委員会 245 28 11%
経営工学教育FD/ICT活用研究委員会 103 11 11%
CCC電気通信工学運営委員会 440 29 7%
CCC情報系学運営委員会 1,466 110 8%
栄養学教育FD/ICT活用研究委員会 223 32 14%
被服学教育FD/ICT活用研究委員会 52 8 15%
CCC美術・デザイン学(芸術系)運営委員会 218 17 8%
CCC体育学運営委員会 282 40 14%
総計 8,935 877 10%  

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