開催報告

  • 日程: 平成20年7月9日(水)〜11日(金)
  • 会場:浜名湖ロイヤルホテル(静岡県浜松市)
  • 対象者:私立大学・短期大学の職員 ※私情協非加盟校も対象としています。
  • 参加人数:190名
  • 参加費:加盟校:1 名につき28,000円 、非加盟校:1 名につき42,000円(その他に宿泊費として27,500円を現地にて直接ホテルお支払いいただきます) ※参加費の支払い方法は、開催要項をご覧下さい。

研修方針

開催趣旨

 人材育成を最大の使命とする大学教育に対して、国・社会から強い見直しが求められている。

 大学が掲げる「学士力」を実現していくには、教員はもとより理事会、職員が一体となって取り組むことが不可欠となってきている。このような中で職員の役割は、教育改革を効果的に進めるためのコーディネート、マネジメントを通して教育支援、人材育成支援を実現することにある。

 そこで、本コースでは、講義や具体的な事例研究およびグループ討議を通じて大学職員に求められる役割や責任を理解し、望ましい大学作りのために求められる情報技術(IT)の知識を習得することを目的とする。

講習の進め方

  1. 開催趣旨説明において、大学職員の役割や責任について共通理解を得ます。
  2. 講義において、大学における情報の利活用や情報環境の構築、ITを活用した教育支援のあり方等、情報化に関する基本的な事項について解説を行います。
  3. 講義後、グループ討議を実施します。

※ 各プログラムにおいて学習目標を具体的に示すとともに、その到達度を評価するための指標を提示いたします。これは、受講者全員が目標を共有するとともに、ひとり一人がみずからの学びを省察しながら(振り返りながら)、より主体的に講習に取り組もうとする意欲を喚起することを目的としています。

 

本コースのねらい

本コースでは、次のような成果を目指します。

  • ITを活用した教育支援の理解と最新技術動向の把握
  • グループ討議を通じた課題発見能力、創造的思考力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力の向上
  • 本コースでの学びを大学の教育改善に反映しようとする姿勢の涵養
  • 参加者間の人的ネットワーク構築

 

講義概要

 

講義1 大学運営と情報の活用

講師: 梶田 晶子氏(東海大学総合情報センター情報システム開発課課長)

 大学における情報環境や情報システムは、既に、教育・研究・社会貢献など大学の使命を遂行するためのライフラインとなっている。また、大学が組織として意思決定する場合には、教育・研究情報、教育環境、財務情報、自大学の強みと弱み、優れた教育実践事例と言った情報を客観的、総合的に把握・分析し、戦略的な将来計画に繋げることも可能となった。

 本講義では、大学改革を推進する立場から、業務の効率化、教職員一人ひとりへの支援やサービス、さらに経営戦略や組織改革といった大学の意思決定にまで活用される情報システムについて、基盤としての情報戦略や情報環境、情報共有と協業等の視点から解説した。

キーワード

  • 大学運営、意思決定に関わる情報利用
  • 情報基盤と環境の整備
  • 情報の共有と協働

講義2 情報基盤の整備と大学の新たな可能性

講師: 山崎 達朗氏(芝浦工業大学 学術情報センター事務部長)

 情報技術の革新により、授業の現場や法人業務等、大学の様々なシーンでITはなくてはならないものとなっている。既存のシステムを効果的に活用することはもちろんのこと、最新の技術動向と自大学の教育課題を把握し、柔軟な発想と技術的裏づけをもって、大学運営の改善につながるような仕組みを提案、構築することも大学職員にとっては重要な役割である。

 一方で、重要な情報が集積することで、その取り扱いに当たっては慎重さと積極性をバランスよく求められる。

 本講義では、職員に求められる情報活用能力と最新の技術動向について、実際の大学に導入された事例をもとに解説した。

キーワード

  • 情報技術の活用とは
  • 情報の利便性と危険性
  • 情報基盤整備のあり方
  • 技術導入の実践事例(芝浦工業大学)

講義3 情報技術の活用による教育支援・人材育成支援

講  師: 斉藤 和郎氏(札幌学院大学情報処理課長)

事例紹介:仲道雅輝氏(日本福祉大学教育開発室教育デザイン研究室主幹)

 本講義では、講義1と講義2で解説された内容の理解を深めるため、IT活用の優れた実践事例を紹介しながら「情報技術を活用した教育支援・人材育成支援とは何か?」を受講者と一緒に考えてみる。

 まず、「情報活用」と「データ処理」の違いを明らかにし、この違いを認識するために私たちが持つべき視座と視点を確かなものとする。続いて、情報を戦略的に活用するためには単なるITの導入だけではなく、個人と組織がともに変革することが重要であること、そして、これには大きな困難が伴うものであることをいくつかの事例を交えながら解説する。

 その上で、学生の人間的成長を支援する情報活用システムを企画・立案し、開発・運用に携わっている方をゲストにお招きし、職員がどう動き、大学がどう変わったのか、そのプロセスを共有しながら、「自分たちの大学も変わることができる」、「何よりも自分たち自身が変わることが大切だ」という希望や気づきを得るとともに、教育改革への職員の関与について具体的なイメージを獲得した。

キーワード

  • 情報活用とデータ処理との違い
  • 情報を戦略的に活用するための職員の役割
  • 教育改革への職員の関与


※写真は斉藤氏

グループ討議概要

第1ステージ: お互いを知り、打ち解けるためのブレーンストーミング

第2ステージ: 教育改善のためのディスカッション

第3ステージ: 発表テーマの絞込み

第4ステージ: グループのまとめ、成果発表

※ 本講習会は、単なる情報リテラシーの習得、IT 活用による業務の効率化、事務システムの構築、運用のノウハウの習得を目指すものではありません。またPC 等による実習は行いません。