日 時:平成25年3月13日(水)13:30〜17:00(人材ニーズ交流会)
17:30〜19:00(情報交換会)場 所:新宿住友ホール (東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビルB1)
大学参加者:76大学 111名
企業参加者:29社 45名
情報処理推進機構: 1名 合計157名
成長社会から成熟社会への大きな変化が始まっている中、これまでの成功体験モデルやシステムへの依存から新しい価値創造を目指した世界・社会へ脱皮することが避けて通れなくなっています。
このような時代を切り拓いていくためには、社会が抱える課題を克服する課題解決に向け、世界や地域の認識の仕方、関与の仕方を教育の場で実践的に身につける必要があります。しかしこれまでの産業界、教育界はそれぞれの立場で人材育成を進めてきているもののそれぞれの領域にとどまることが多く、未知の時代を切り拓く若者を育成するための創発的な議論の展開は十分に行われていません。
そこで、今回はグローバルな視点で課題解決に取り組むイノベーションのための人材育成をオープン化する新しい産学連携の仕組みを企業や大学が相互に協働して考える場にしたいと考えております。
1.開会挨拶
向殿 政男 氏 (公益社団法人 私立大学情報教育協会会長)
2.オープンイノベーションを創り出す人材育成を考える
相澤 益男 氏 (独立行政法人 科学技術振興機構顧問)
(独)科学技術振興機構顧問の相澤益男氏から事例を踏まえて、国際レベルでの科学イノベーションが基礎技術の分野及びあらゆる分野の産業に波及することの重要性が紹介され、我が国の成長力の基盤となることが指摘された。その上で、イノベーションを育成する環境づくりが必要で、国からの財政支援や大学と社会との連携及び人材の育成が急がれるとした。特に人材育成では常識に囚われることなく破壊的創造の中で価値を創出するイノベーションが求められていることが指摘された。その上で、イノベーションの人材育成に求められる要素として、「なぜと疑問を持つ力」、「観察して、新しい視点を提案する力」、「新しいことに挑戦して行動する力」、「ICTを活用して様々な領域から多様な考えを組み合わせる力」が必要であることが強調された。
3.オープンイノベーションで実現する教育改善モデルの意見交流
大原 茂之 氏 (東海大学専門職大学院教授)
高田 哲雄 氏 (文教大学情報学部教授)
情報系教育の改善モデルについて、「情報通信系教育」、「情報コンテンツ・サービス系教育」の学士力とそれを実現する教育改善の仕組みを資料の通り報告した。
情報通信系教育の学士力は、情報通信技術が安全・安心で豊かな社会を築いていく上で重要な役割を担っていること鑑み、人々の生活を豊かにする新しい情報通信システムをグローバルな規模で考え、イノベーションに関与できることを目指した。また、情報コンテンツ・サービス系教育は、情報通信技術と連携して新たな経済・社会的価値をもたらすイノベーションを可能にすることから、人文・社会科学、自然科学の観点に立って人々の生活や社会に新たな価値や変化もたらすことのできる人材の育成を目指した。その上で、実現モデルとして、専門分野の教育だけでなく他分野の教員・学生や社会人などとの連携を通じて、多面的な視点から社会に有益な提案ができる教育の仕組みを考察した。
以上の報告を踏まえて、質疑・意見交流を行ったところ、情報通信系教育については、積極的に賛同するが30%、概ね賛同するが67%、賛同できないが3%であった。また、情報コンテンツ・サービス系教育では、積極的に賛同するが30%、概ね賛同するが60%、賛同できないが10%であり、参加者の90%以上の賛同が得られ、本協会の改善モデルについて方向性が確認できた。資料 「オープンイノベーションで実現する教育改善モデルの考察」
4.教員インターンシップの拡大策の検討
大原 茂之 氏 (東海大学専門職大学院教授)
平成24年度から取り組んだ「大学教員の現場研修(インターンシップ)」の結果として、9月と3月に実施した状況について資料の通りの報告が行われた。24年9月実施の「最新技術動向の現場研修」、25年3月実施の「先端的なICTの活用事例の現場研修」について、参加者から高い評価が得られ、今後継続・拡大してほしいとの要望が多く寄せられた。なお、3月に実施の現場研修では、新入社員との意見交流の中で、大学に求めるものとして「学ぶ姿勢と意欲を高める授業」、「学びを実践に結び付ける授業」、「専門分野の知識が社会でどのように役に立つのかを理解させる授業」などの意見があり、改めて授業を振り返る機会が持てた。その上で次年度はさらに取り組みを拡充することを確認した。
5.学生を対象とした連携事業の取り組みについて
井端 正臣 氏 (公益社団法人 私立大学情報教育協会事務局長)
日本の未来を切り拓く志のある若者が希望と夢を自ら描けるきっかけをもたらすことができるよう、情報通信技術を活用している産業界の将来像、社会的な役割、今後の課題などの業界情報を分かりやすく説明する「社会スタディの場」を平成25年9月に実験的に実施することを資料の通り報告した。計画の概要について意見を求めたところ、ほとんどの参加者から積極的な賛同が得られ、開催に向けた準備を進めることにした。
6.情報処理推進機構(IPA)の汎用的教育コンテンツについて
IPAが昨年度開発した汎用的教育コンテンツ「ソフトウエア開発演習」、「要求工学問題発見、解決」、「情報セキュリティ、プロジェクト開発」に加えて、本年度開発した「ロジカルシンキング養成教育」の内容を紹介し、大学教育で活用することについて説明を行った。
7.情報交換会
約70名が参加し、大学教育へ提言を学内で周知し、多くの教員に活用させるようにしたい、教員インターンシップ取り組み拡大を期待する等今後も活動を継続していくことへの前向きなご意見を数多くいただいた。
今後の事業や委員会活動に |