社団法人私立大学情報教育協会

平成16年度第2回化学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成16年11月11日(木)午後5時より午後7時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:竹内委員長、高野副委員長、堀合、伊藤、及川、庄野各委員、井端事務局長、木田

W.検討事項

1.基礎化学実験素材・試験問題データベースについて

基礎化学実験動画グループ、試験問題グループより進捗について報告がなされた。

まず、実験動画グループについては、実験動画のデジタルコンテンツを所有する教員が少ないこと、また所有していても品質的な問題のために提供いただけないことも予想されることから、提供いただくコンテンツの品質的な基準を設ける意味で、委員会としてサンプル動画を作成する方向で検討することとした。サンプル動画の基本的なフォーマットとしては、時間的に長くても15分以内に収めること、またできるだけ著作権フリーのBGMを付けることが望ましい、などの意見があった。また、データベースの分動画類項目としては、操作方法別に分類することが望ましいとの報告がなされた。さらに聴覚障害者の使用を考慮して、動画に実験の説明を注釈するテロップを入れた方が良いとの意見もあったが、時間的コスト及び労力に鑑み、将来的な課題とすることとした。

次に、竹内委員長に、試験問題提供に関する依頼文が提出されたとともに、事務局よりデータベース案の報告がなされた。データベース案は、xoopsを用いて仮構築されたものであり、問題文はプレーンテキスト(html)、分子構造式等プレーンテキストで表現できないものは、画像として表示される。学習項目別カテゴリーにより分類可能であるが、問題の一括登録は不可能であり、個別に手作業で登録していく必要がある。

事務局より報告されたデータベース案に対して、下記の旨の意見があった。

  • 一問ずつ個別に登録しなければならないのであれば、登録作業が面倒であるため忌避される可能性が高い。また事務局が登録作業を行うとしても、例えば一括して100問のファイルが送信された場合、過大な労力を要するので現実的ではないのではないか。
  • 複数のカテゴリーを跨ぐ問題や検索の便宜性を向上させるために、問題に対してキーワードやメタデータを付与する機能が必要ではないか。
  • htmlでは文字や記号表現に限界がある。また構造式を画像化する作業も面倒なので、例えばdocファイルをサーバーにブラウザ上でアップロードできる機能、さらにアップロードと同時にファイルフォーマットを自動にhtmlに変換する機能が必要ではないか。
  • Tファイルに複数問題が記載されている場合の対処法も検討すべきである。例えば一問ごとに、区切りの目安となる記号や改ページを挿入するなど、予め提供者に対してルールを決めておくべきではないか。

以上、データベースの構造については、委員の意見を踏まえ改良策を検討することとした。また、試験提供依頼の呼びかけは、年度末に実施することを目標とすることした。

なお、基礎実験動画、試験問題データベースの共通問題である、利用者範囲及びコンテンツの著作権について検討した。利用者範囲としては、@完全公開、A私情協会員のみに公開、Bコンテンツ提供者のみに公開の三通りが考えられる。@については、特殊な認証技術が必要ないが、第三者が商営利目的で利用する可能性があるため、利用に際する規定を設ける必要があり、またA、Bについては、アクセス制限を掛けることで、営利目的で利用されることは回避できるが、本人認証の確認、不正アクセスの防止を行うための作業が必要となる、との問題点が挙げられた。また、アクセス制限のレベルを予め設定し、問題の種別や提供者の意思によって振り分けても良いのではないか、との意見があった。

次に、著作権に関する問題については、コンテンツの著作権は提供者に所属するが、営利目的以外での第三者の利用・改変を認めるよう、事前に承諾を得ることとした。また、提供いただいたコンテンツの中に第三者の著作物が利用されている場合を考慮して、提供前に提供者に対して予め第三者に対する利用許諾の有無を確認することとした。

2.その他

 事務局より、7月30日に開催された理事長学長等会議で提起された「教育の社会支援についての提案」について下記の旨の説明がなされた。

本提案は、大学教育に対する社会からの評価、とりわけ人材育成面での評価が厳しいことに鑑み、学生の意欲向上、教員の授業支援、及び社会人の授業参画による教育の質的保証に資するために考案されたものである。具体的には、@社会での現場情報・体験情報の紹介・説明、A知的情報の電子化と教育への利用実現、B実務経験者による授業の実現、C学習成果に対する専門家の助言・評価、Dインターンシップ、ワークショップ、調査実習の受け入れ、Ee-ラーニング等教育プログラムの共同開発を、主に情報技術を活用して実施・協力いただく。

今後は社会からの支援を得るために、文部科学省に対して政策提言するほか、経済各団体に対しても理解を得るよう努める。合わせて、支援依頼の方法や仲介機関の設置、支援内容・方法を研究する。