既にご承知の通り、「我が国の高等教育の将来像(答申)」では、高等教育に対する問題として、教育機能の軽視が指摘され、教育の「質の保証」、「国際的通用性」、「人材養成の社会のニーズへの対応」等が要請されています。その施策の一環として、学問分野ごとのコア・カリキュラムを策定し、教育目標の標準化を通して教育内容、教育方略の均質化を図ることが提言されています。これを英語教育の問題に置き換えてみますと、「読む・書く・聞く・話す」の四技能を実践的に活用できる能力について、到達に向けた教育方略を提示するとともに、社会が求める英語活用能力を保証する必要があります。
そのためには、対面授業での可能性と限界を整理し、さらに情報技術の活用をも組み合わせて、学生一人一人の能力を着実に向上させる工夫が要請されます。その手段の一つとして、学生個々の進捗状況や理解度を把握し、到達目標に向けた適切な助言や指導を行うLearning Management Systemの活用を挙げることができます。しかし、最適な環境で行うには、大学の支援体制や担当教員の負荷、教材開発等の課題があり、一大学で全てを賄うには、自ずと限界があります。多くの大学関係者が、共通の教育目標(コア・カリキュラム)を構築し、授業改善に向けて連携していくことも重要な課題であります。
そこで、私立大学情報教育協会英語教育IT活用研究委員会では、英語教育の更なる授業改善の方途を模索することを目的に本研究集会を企画しました。
プログラムは、特別講演として鈴木 佑治 氏(慶應義塾大学環境情報学部教授)をお迎えし、自身の実践されたカリキュラム変革とe-Learningの活用を踏まえた、次代の「英語教育プログラム」のグランドデザインを提起いただくほか、Learning Management Systemの実践事例と今後の課題、Common European Frameworkとの対比による今後あるべき日本の英語教育カリキュラムを検討することにしております。
本研究集会を通じて、先生方の授業改善の一助となることを願っております。皆様方の積極的なご参加を心よりお待ちしております。 |