社団法人私立大学情報教育協会
平成17年度第1回被服学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成17年5月14日(土)午後1時から午後3時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:高部委員長、鈴木、小倉、山口、伊佐治各委員、井端事務局長、木田

W.検討事項

1. 17年度の活動内容について

 事務局より、17年度委員会活動の方針について、下記の旨の説明がなされた。

学系教育IT活用研究委員会では、18年度11月に報告書の発刊を予定している。報告書のテーマについては、文部科学省中教審大学分科会の答申「我が国の高等教育の将来像」において、各学問分野別にコア・カリキュラムを作成することが提言されたことを受け、各学問分野別にコア・カリキュラムを想定するとともに、教育目標の到達に有効なIT活用モデルを報告することにしている。それに伴い、本委員会でも、本年度中に報告書の内容の見通しをつけるために、まずはコア・カリキュラムを想定と、遠隔授業やシミュレーション教材の有効事例や課題を検討いただきたい。

以上の説明とともに、コア・カリキュラムの参考例として、医学教育モデル・コア・カリキュラムが紹介された。医学教育モデル・コア・カリキュラムは、文部科学省の医学における教育プログラム研究・開発事業委員会により作成された。高等教育で医学を学んだ者が最低水準身に付けるべき知識・技能・態度が、学習項目別に一般目標、到達目標として提示されている。国内の医科系大学は、このモデル・コア・カリキュラムから3分の2の項目を選択した上でカリキュラム編成を行うことが義務付けられている。また、本委員会で作成した被服学授業情報データベースには、15分類別に多数の授業科目に関する情報があることから、逸れに基づきコア・カリキュラムに関して検討されたいとの提案がなされた。

 以上の説明に基づき意見交換したところ、下記の旨の意見があった。

  • 被服学は、人文科学、社会科学、自然科学、造形学の4つから構成されているが、これまでの被服学は、自然科学の理論に偏重してきた衒いがあり、そのため日本発のデザイナーがあまり育成されなかった要因にもなっている。日本の高等教育の被服学教育では、デザイン教育に弱い。
  • 工学分野であれば、人命に直接的に関わることから、一つ一つの専門領域が高度に発展しているが、被服学分野は専門領域が曖昧であり、例えばデザイナーとパターンナーの領域がオーバーラップしてしまうなど、厳密な棲み分けが為されていない。
  • 既存の科目でも、例えば整理学や染色学では、研究の発達とともに、市場製品の品質向上にも貢献しているが、デザインに関して言うと、アパレル企業に対する貢献は低い。
  • 企業の求める人材像に関して言うと、大卒者はパターンやグレーディングを専門とする人材ではなく、企画立案能力のある人材である。例えば素材知識を有してそれをデザインに反映する能力や、資料の分析力、文書作成能力など、経営的能力が求められている。
  • 授業間の連携が取れていないことにも問題がある。授業は教育プロジェクトであるから、教員間で事前に協議した上で、教育目標を明示するとともに、教員も責任を明確化しなければならない。

以上を踏まえ、次回委員会では、継続してコア・カリキュラムについて検討することとした。

2. 被服学授業情報データベースについて

神戸芸術工科大学、大阪樟蔭女子大学のデータが未登録のまま放置されていたことに伴い、事務局にて急遽データ登録を対応することとした。