歯学教育における情報技術の活用
森實 敏夫(神奈川歯科大学歯学部教授)
1) | 講義を受身で聞いて単に記憶することではなく、学生に自ら能動的に学ぶことが要求される。 |
2) | 医学の進歩に応じて常に知識を最新のものにできる能力を身に付けられるようにする。 |
A. | インターネット検索により適切な医学情報を見つけ出す方法を身に付ける。(さまざまなホームページ、オンラインジャーナルなど) |
B. | MEDLINE検索の基本を身に付ける。特に、PubMed(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/PubMed/)の検索法について学ぶ。 |
3) | 講師が一方的に話をして学生が聞くのではなく、講師と学生がインタラクティブに講義を進めていく。 |
具体的には、1学年約120名の学生を10名ずつのグループに分ける。毎回の講義をそれぞれのグループに割り当て、Webに掲載してある内科学講義を中心に教科書を参考にしながら、予習してくる。さらに、少なくとも一つのテーマを与えて、インターネットを検索して、そのテーマを扱った優良サイトを探してくるように指示する(Infoseek Japan:http://www.infoseek.co.jp/などの検索サイトを利用する)。したがって、毎回10名の学生は予習とインターネット検索を行うことが義務となる。それぞれの学生は1年間で2回から3回自分が当番としてあたることになり、それほど大きな負担にはならない。また、当番にあたっていない学生もやる気があれば、当番の学生と同じように勉強してきてもよいわけである。実際の講義の際には、担当のグループの10名の学生は、教室の一番前の席に座らせ、講師はスクリーン上に内科学のホームページを表示しながら、学生に質問をしながら講義を進めていく。講師用と学生用のマイク2本を用意し、発言の際には、学生にもマイクを使わせる。つまり、講師と学生のやりとりを残りの学生全員も聞くことになる。その講義の担当の10名の学生が質問に答えられない場合には、残りの学生で答えられるものがいたら、発言させる。与えられたテーマに関する優良Webサイトはあらかじめ電子メールで講師に送信させ、講師はそれをまとめて、全員に電子メールで配布する。当日は時間が許せば、学生に発表させ、その場でURLを打ち込んで、スクリーンにホームページを表示させたり、他の学生たちもほとんどがノートPCを持参しているので、各自アクセスして確認させる。授業終了後にも必要に応じて、閲覧するよう指導する。
学生には、どれくらい理解しているかを試す質問に答えさせ、回答に対して不十分な部分やホームページや教科書には書いていないような内容を必要に応じて講師が追加するようにする。また講師の代わりに担当の学生に講師が講義をするのと同じように解説させる。このようなやりとりの中で、学生のとらえ方や、理解の仕方が間違っている場合に、それが明らかにされ、訂正されることになる。ホームページ内容の理解に困難な点があったり、解説の不十分な点があった場合にも、学生とのやり取りの中で浮き上がってくるので、必要に応じて書き換えたり、追加することで、さらに内容を改善することができる。
内科学のすべての講義はWeb上に公開してあるが、それだけでなく同じものをテキスト部分はHTML化し、表示画像ファイルはJPEG形式のファイルとして、すなわちWeb上のファイルと同じものを、1回の講義の分を自己解凍型圧縮ファイルとして一つのファイルにし、ダウンロードできる形で学内専用Webサイトにアップロードしてある。学生たちはそのページをブラウザで開き、あらかじめダウンロードして解凍して、自分のノートPCのハードディスクに保存しておくことができる。したがって、学生たちは講義内容を見る場合、インターネットからあるいは学内LANからホームページへアクセスすることなく、何回でも好きなときに見ることができる。また、当番のグループ以外の学生もやる気に応じて予習することができる。
講義終了後の理解のチェックのために多選択肢問題を1回の講義につき8から10数個Web上に載せてあり、ラジオボタンをクリックすることによって正解かどうかを確かめることができる。また、質問は電子メールでも受け付ける。
内科学教室のURL
(参照URL 神奈川歯科大学内科学教室: http://www.kdcnet.ac.jp/naika/)