歯学教育における情報技術の活用
河合 達志(愛知学院大学歯学部講師)
1) コンピュータを日常的な道具として使用できるように教育する。 2) 情報処理教育以外の通常の授業時間にもコンピュータを使用できるようネットワークを整備する。 3) 学生一人一人が自分のコンピュータを所有する。 4) 時間外においてもネットワークの利用が可能となるような環境を作る。
特に重要であるのは第1番目の項目であり、これを実現するために2、3、4番目の項目が設定された。
コンピュータを日常的に授業で用いるには携帯性の良好なハンドヘルドコンピュータの選択が必須であり、同時に通常の授業で使用する講義室にネットワークを展開して、学生の個々の机に接続口を設けることが必要である。そこで、学生には一人一台ずつコンピュータを購入してもらい、大学側は文部省助成のほとんどをネットワーク整備に投入することにした。ネットワークは既存の講義室、並びに実習室に展開し、さらに学生が授業後も集合する学生ラウンジなどのオープンスペースにも情報コンセントを設置することを計画した。これらを実現するにあたっては、当時の歯学部長長谷川二郎教授の強力な指導のもと、歯学部事務、教員が一致協力した体制を敷くなど各所の共同作業で実現したものである。
このネットワークはTCP/IP による接続とAppleTalkによる接続の両者併用を可能としており、ホームページを介したマルチメディア教育用資料などの配信、ならびに学生用ホームページの自アカウントへのアップロード(Apple Talk経由のみ)も行っている。 また、一部の講義室にはWeb画像を自動発信する機能を組み込み、教員が通常のスライドを授業で使用すればそのままその画像がWWWサーバに転送され、ホームページとして発信されるシステムを構築した。この講義室で授業を行えば、HTMLの記述を知らない教員であっても授業内容の画像に関しては自動発信することができる。現在さらに、授業の内容をビデオ化し自動発信する、動画像自動発信機構も組み込み中である。
講座 | 教育課程 | 内容 |
総合示説(全講座) | 歯科医学の総合的な理解 | 歯科医学における基礎・臨床を総合的に理解させるため静止画像、動画像ならびにネットワークを利用した検索により講義する |
歯科保存学 | 歯科保存学に関する基礎理論 | 窩洞形成、根管治療、歯周疾患治療などの術式を動画により理解させ、また技工操作を動画にて表示する |
歯科補綴学 | 歯科補綴学の臨床の実際と基礎理論 | 歯科補綴学の基礎的な知識技術を静止画像、動画像を使用して教育する |
口腔外科学 | 歯科口腔外科学における治療の実際 | 口腔外科的な疾患の診断と治療を画像を使用して総合的に理解させる |
小児歯科学 | 小児歯科疾患の治療の基礎理論 | 小児への対応方法を実際の動画により説明し理解をうながす |
歯科矯正学 | 歯科矯正の臨床における基礎理論 | 歯科矯正の理論と実際をコンピュータ解析により理解させる |
歯科放射線学 | 歯科放射線学の基礎理論と臨床 | 放射線フィルム上の解析を画像を用いて講義する |
歯科麻酔学 | 歯科麻酔学の臨床と理論 | 歯科麻酔の実際を動画像を用いて講義する |
口腔衛生学 | 口腔衛生学の基礎と臨床 | 歯科予防処置等の実際の手技を動画像を用いて理解させる |