私情協ニュース2
「私立大学・短期大学の教職員による自主的な情報教育方法の研究を促進・奨励し、研究成果の発表・評価を通じて大学教育全般の質的向上をはかる」ことを目的に設立された情報教育方法研究会の第7回発表会は、平成12年7月1日(土)にアルカディア市ヶ谷(東京、私学会館)において開催された。今年度の参加者は187名(82大学、17短大、1高専、企業5社)と昨年よりも30名ほど減少したが、発表会は第1次選考も兼ねて昨年とほぼ同様の62件の研究発表が行われた。当日に発表されたテーマ・発表者、内容は以下の通りである。
その後、第2次選考も行われ、結果については、平成12年11月24日の私情協の臨時総会において発表された(結果は次号に掲載)。
A-1 | 教育用大規模利用者階層的管理システムの構築 |
どこの大学でも新入生へのメールアドレスの割り振りや初期のパスワードの付与に頭を悩ましているが、学生の希望するアドレスを与えるために大量の学生をグループ分けしてユーザー名の衝突を避けるように工夫した管理システムの紹介である。
A-2 | クライアントサーバ型パソコン教室/ワークステーション教室統合管理システムの構築 |
PC教室やWS教室のように異種のコンピュータが混在する環境を一括して管理するシステムが紹介された。PC演習室の学生画面監視、簡単操作のリブートや電源断、管理室内でのPC操作が実現された。
A-3 | 音声合成ガイダンスを併用したリアルタイムな履修登録システムの試作と学習意識の向上 |
学生の履修登録を音声ガイダンス付で支援し、学生個々の単位計算や時間割を自動作成するシステムである。現時点ではシミュレーションの段階であるが、教務システムとの連動をすすめることでより実用性のあるシステムとなることが期待される。
A-4 | マルチメディアを用いた図書館利用者案内の教育システム |
学生に図書館の機能を効率よく理解させ、さらに情報リテラシーを身に付けさせることを目的として開発された図書館利用案内システムについての紹介である。既存の利用者手引きでは表現することのできなかった視覚的効果を充分に得ることができるよう、システムにはVisual Basicを用いられた。
A-5 | 放送とインターネットの統合利用〜総合的な学習を設計する実践力の育成〜 |
教職を希望する学生に放送番組を手がかかりに総合的な学習をデザインする方法を身に付けさせるとともに、情報活用の実践力を向上させることを目的に、総合的学習番組とWeb情報を活用して授業を設計し、実践結果をWeb上で公開されたことについての紹介がなされた。
A-6 | 情報関連資格(サーチャー初級・初級システムアドミニストレータ)取得を通しての情報活用教育 |
学生の情報活用能力の育成と学生間の格差をなくすため、文系学生を主対象に実践された情報関連資格取得教育の事例報告である。今後の課題としては、情報処理関連資格と従来の情報教育を融合するには、両立したカリキュラムの立案と、諸々のメディア媒体の構築・活用の導入があげられた。
A-7 | Webを利用したレポート提出システムの評価 |
Webを利用したレポート提出システムを開発し、実験、講義、演習等の提出形態の異なる授業に適用しシステムの評価、学生への教育効果について検討した結果、教員の負担を軽減し、学生に良いレポートを書くことを容易に指導でき、学生のこのシステムに対する評価も90%以上が良いと判定している。
A-8 | 教室規模の制約がない多人数教育〜ネットワークを用いたアクティブな学生参加型教育を目指して〜 |
教師がサーバー上のWWW教材を提示するとともに、NetMeetingを利用して学生のPCに画面の共有を用い、その内容を映し出し、講義を行い、講義中の質問はチャット形式でリアルタイムで閲覧し、講義後の質疑応答はMLを用いるシステムを用いて授業を行った。その結果、グループ学習、学生参加型教育、大人数個別教育が行えるようになった。
A-9 | マルチプラットフォーム型情報教育支援システム |
学生の情報技術に関する継続した学習を期待するためには、画一的な情報技術学習環境は学生個々の学習履歴や学習進度に適合しないために、WWWブラウザとJava Appletプログラムを利用して、プラットホームに依存しない教育・学習支援システムを開発し、学生演習に利用した。その結果、学習者が過去に学習したプラットホームで学習を継続できることがわかった。
A-10 | 複数大学において担当する法学・情報処理関連科目のネットワークを利用した統合的指導の試み |
複数の大学で受講している学生たちが、同一のテーマについて相互に意見を交換し、その交流を相互啓発の契機とするために、参考文献、連絡事項、授業に関する質問・要望等を掲載するホームページやメールを利用して統合的に指導することを試みている。また、授業を履修したOB達が、電子メールを使って授業のサポートを行う特徴がある。
A-11 | 情報教育システムのインターネット上における構築およびその効果 |
システムを時間・場所を選ばず瞬時に利用可能にするために、蒸留工学において重要な項目である蒸留塔の設計に利用するために必要な理論・化学物質の物性についてのデータ、および計算システムをWWWページ上に掲載した。計算システムはPerlを用い、作図等はJAVAを用いたプログラムを開発した。
A-12 | 授業外教育の試み〜論集デジタル化作業を通して〜 |
女子短期大学におけるゼミで作成した論文やホームページなどの作品をサーバーに登録する作業を通じて情報機器活用に対する学生の主体性の涵養と理解度の向上を図ろうとしている。通常の授業ではなく課外授業として実施された結果の報告である。
A-13 | デジタルメディアを活用したワークショップ型学習環境のデザイン |
3日間のワークショップ形式の集中授業で音楽CDの制作や新商品開発といった題材を設定し、もの作りにかかわる一連のタスクを体験学習させている。また、企業の企画担当者やミュージシャン、グラフィックデザイナーなどの専門家をスタッフに依頼している。
A-14 | 授業と研究に対するホームページ利用の効果 |
社会学科の教員がホームページを開設し、自分の研究、経歴、開講科目、掲示板などを公開した。教員に対する関心度、授業に対する関心度は高まり、教員学生間、学生間でのコミュニケーションが高まり、理解度の向上のみならず、講義そのものの密度もより濃くなっている。
A-15 | WWWチャット環境を利用した授業改善の試み |
短期大学の経営情報科での授業でWWWチャット環境を利用し授業改善を図ろうとした試みである。チャットの持つリアルタイム性と発言の気軽さが積極的なコミュニケーションを促し、学生間での情報交換が活発になり、教師役を果たす学生も出てきて教員の負担も軽減してくれることになった。
A-16 | インタラクティブなネットワーク教材の活用 |
Webデータベースを活用し、情報の専門でない教員がブラウザ上で簡単に教材を作成できる支援ツールを作成している。教材はデータベースとしてこのシステムで一元管理されている。これにより教員と学生とのコミュニケーションが確立し、教育効果の向上が期待できる。教材だけでなくミニテストも実施できる。
B-1 | 教員免許取得希望者を対象とした情報活用演習〜教職のイメージにつながる情報機器の操作〜 |
パソコンを一人一台使用しての情報活用演習の授業評価分析がなされている。演習内容は文書作成、表計算、電子メール、インターネット情報収集である。「コンピュータと私」の感想文により、機器操作のマイナス印象の分析を行っている。
B-2 | 地域教育機関連携に基づく情報処理リテラシー教育 |
大学院学生が研究テーマを設定し、地域の教育機関と連携して共同研究する実験を行った報告。モバイル保育園バス位置報告システム、高校における3次元画像処理教育、保育園におけるデジタルコンテンツ作成事例が挙げられている。
B-3 | 情報機器を活用したmotivation教育方法に関する研究 |
従来の情報教育が操作や利用に偏っていることから脱却する教育計画を模索している状況の報告。70〜100名程度のクラスで自発的な動機を持った学習への啓発のために、4〜5人の小グループでの研究課題の取り組みを試みた。
B-4 | トップダウン型のプログラム記述を支援するヒューマン・インターフェースの提案〜芸術系学科における情報教育用言語環境(Kid'sLOGO言語)の実践的な問題点の検討〜 |
市販のLOGO言語ソフトを利用して学生に作品造りの実習をさせて、プログラム開発途中におけるデバッグの問題点を探っている。造形とコンピュータを含めた情報学の理解の双方を教育することの困難さを示している。
B-5 | C++Builderによるオブジェクト指向プログラミング演習〜Web上に公開された画像/数値データを解析対象として〜 |
Windows上でのプログラム作成演習にC++Builderを利用すると、いかに簡単に画像と数値データを含めた解析アプリケーション開発ができるかを提示している。このため学生にとって作成過程が単純過ぎることの悪影響が指摘されている。
B-6 | 授業支援のためのホームページ作成 |
女子短期大学においてパソコン、インターネットの授業を支援するためのホームページを作成し、演習や講義で活用する実践報告。教育に役立つリンク集や学生が授業で作成した作品等を豊富に掲載することで成果を見た。
B-7 | 経営学部におけるノートパソコンを前提とした情報教育の推進 |
ノートパソコンを全学生に貸与している環境でのコンピュータ・リテラシー教育の成果と問題点をに関する報告。学生の基礎学力、ハードウェアのメンテナンス、カリキュラム・シラバスの整備、授業方法の工夫等を指摘する。
B-8 | 超初心者のためのコンピュータ・リテラシ育成の試み |
新入生を対象にした必修科目「コンピュータ・リテラシ」の実施結果について、受講生の自己評価アンケート集約による教育成果の分析。全体として満足度はかなり高く、所期の教育目的が基本的に達成されていることが報告された。
B-9 | 利用者の習熟度に応じた学習教材の選択と作成システムの構築 |
コンピュータ利用の習熟度を3つのレベルに分け、VIDEOの視聴による導入学習、Web上の静止画教材による学習、Web上の動画による操作の学習を行えるシステムを構築した。特に、VIDEOと動画の作成において、実際の画面推移を再現するための工夫を行った。
B-10 | 総合大学におけるマルチメディア教育の試み:早稲田大学MNCにおけるマルチメディア入門・原論 |
同大学のメディアネットワークセンター(MNC)が開講している「マルチメディア入門」と「マルチメディア原論」について、教育の位置付けや内容を紹介した。いずれも、機器やソフトの利用方法の習得が目的ではなく、マルチメディア・コンテンツ作成の意義を体験的に学ぶことを主眼としている。
B-11 | VODを利用した授業の補習システムの構築について 〜導入編〜 |
大規模多目的教室でのコンピュータリテラシー科目において、欠席者などへの補習を行うために、授業内容をVODで配信できるシステムを構築した。4種のシステムを運営上の観点から検討した結果、SGIのMediaBaseが最適と判断された。
B-12 | 発表中止 |
B-13 | コンピュータ入門教育への個別復習システムの導入 |
コンピュータ入門教育において、授業時間後にも学生が個別に復習ができるように、既存のオーサリングツールを用いてマルチメディア教材を作成し、成果を上げている。教材のコンテンツ作成にはまだかなりの労力が要るが、多人数に対しては効果が大きいといえる。
B-14 | フィールド調査を盛り込んだ情報リテラシー教育 |
情報リテラシーという観点から、情報通信環境の総合的活用を学生に実践させるため、1年次後期にフィールドワークを含めた授業を行っている。
実体験に基づく現実的データを基にするため、情報リテラシーの経験として非常に効果的である。
B-15 | 画像処理とCGの基本技術を自学検証可能なソフトウエアの開発と教育への適用評価 |
画像処理の基本的技法のアルゴリズムの原理と処理内容を、学生が自ら体験して検証できるようにするためのソフトウェアを自作し、授業で用いている。
市販のCG・CADソフトでは表に出さないような情報を表示可能にすることにより、教育効果を上げている。
B-16 | ハンズオンとデジタルポートフォリオ作成の活動を取り入れた情報教育の実践 |
短大1年次後期の学生を対象に、学習用ブロックLEGOのキットを用いてロボットを組み立て、さらに制御プログラムを作成・入力させる。
学生が自ら見て触って試し(ハンズオン)、さらにその過程を自ら蓄積・評価する(ポートフォリオ)ことにより、学生の能動的な学習活動を引き出すことに成功している。
C-1 | 教育道具としての汎用アンケートシステムの開発と活用 |
アンケート調査の活用を教育の質的な向上と学生の要望や様々な状況を把握し授業に反映させるための道具と考え、手軽に利用できるアンケートシステムを開発、活用した研究報告。本システムではWWWブラウザーからアンケートを作成・修正してアンケートページを簡単に生成、実施直前にメインページにリンク、学生はこのページを開き解答しサーバに送信、分析はネットワーク上から結果をダウンロードし詳細な分析が簡単に短時間に幾つでも定期的な実施も負担なく行える、といった特徴があるとのこと。
C-2 | 記述問題評価を考慮した教育支援情報システムによるInteractive Educaation |
記述式問題の実状をアンケート調査し、(A)語彙説明問題、(B)要点抽出問題、(C)原因探索問題等についてテキストマイニング技術を活用することによって模範解答との類似度という視点から客観的に自動採点できる本システムを開発された。完全に自動化できるわけではないが、完成度の高い解答と、稚拙な解答とを層化することは可能であり、一次スクーリングのためのツールとしては大変に有効である、との研究発表であった。
C-3 | ハイパードキュメントを目指した段階的学習法の展開 |
ハイパーリンクを用いたハイパードキュメントの「構想」「制作」「公開」、更にはネットワークの「拡張」と情報処理手段の「結び付け」を融合した段階的な学習法の展開を行っておられる。各アプリケーションを修得するに当たり、単独で考えるのではなく、内容やそのつながりを意識すると、その吸収力は目覚ましく、また、各自興味のあるテーマで表現方法を習得しながら作品を進めて行くためその取り組みは非常に熱心で、質的に高い教育が展開できるとの研究発表であった。
C-4 | 大学「一般英語」学習のためのマルチメディア・テキストと学習プログラムの開発 |
語学の学習速度には個人差があり興味も異なるため個別対応が可能なコンピュータの活用が大変有効であるとのことから、コンピュータを学習機能の延長として利用することで、学生が自分のペースでかつ自分の責任で学習できるLearning Autonomyを目指した英語学習カリキュラムを開発、実践された。また、学習者が必要とするであろう様々な情報を準備しておくことによって必要なときにすぐに取り出せるようなマルチメディア・テキストと学習の方向を提示した学習Sequenceを製作された。
C-5 | マザーグースのマルチメディア教材と卒業論文のCD-ROM |
3年生対象の「イギリス文化演習」で、英語の面白さや楽しさと同時にイギリスの文化や歴史が学べる教材としてマザーグースを取り上げ、ビデオの動画と音声、音楽、その他、多種類の資料をコンピュータ画面上で一つに統合したマルチメディア教材を作成し教育に大いに活用されていた。その技術を基に、イギリス文化コースの卒業論文のCD-ROM化をされ、目を見張るようなとても綺麗なでき映えで大いに教育成果が認められる研究報告であった。
C-6 | インターネットを活用したOn-line授業とその効果 |
インターネットを英語教育における異文化理解・自文化理解の視点から捉え、その試みとしてOn-line授業用ホームページに異文化Portfolioや電子掲示板を設定。
電子メールなどでの交流を通じて異文化・自文化理解のプロセスや結果をアンケートなどで評価した。
C-7 | 実学的立場でのゼミ指導の一つの試み |
英語学科4年生卒業ゼミ指導を「情報英語研究」という視点から指導。学生の自主性に重点を置きながらワープロ・ブラウザ・メーリングリストを活用、成果をパワーポイントで発表するといった実践ゼミ指導を通じて、専攻英語と情報教育の在り方を研究した。
C-8 | インターネットによる基本英単語学習システムの開発と利用結果に基づく語彙リストの作成 |
学生の英語基礎能力向上と自学習可能なシステムとして、独自に作成した英語基本語彙3,000をベースにWeb上に英単語テストを構築。CGIを使って問題提示・解答表示・成績管理などを作成し、データ分析を行うことによってその有効性を検証した。
C-9 | 対話作成を中心とした授業支援用中国語コンピュータ教材 |
授業・復習の学習サイクル、コンピュータ利用の効果的文法学習・対話学習を目的として、授業支援の中国語コンピュータ教材を開発。その結果、アンケートでは「PC学習」「対話作成」の評価が高く、到達度テストの比較においては中国語の文法(語順)獲得に大きな効果があることが検証された。
C-10 | コミュニケーション科目としての日本語<文法> 〜教科教育情報化における四段階推移過程の観点から〜 |
日本語「文法」をコミュニケーション科目とし、その情報化という観点からの授業実践報告。学生が作成する例文を取り込むOn-line教材作成、文型の意味・用法のプレゼンテーション、ディクテーション結果のメール返信、練習問題の誤答を含めたDB化とエラーチェックなどは「文法」教育の概念を変えつつある。
C-11 | 学内LANによる工業技術英語の基礎教材作成について |
工業技術英語基礎力の養成を目的として、カリキュラム改革・教員連携の提案と、学内LANに対応すべく教材を開発した。単語力強化と基本的な読解・作文・文法力の向上をはかる自学自習を目的としている。
C-12 | Excelマクロを利用した、LAN対応の語学マルチメディア教材 |
Excelのマクロを利用し、マルチメディア教材の作成、回収、評価の仕組みを作成した。汎用性のある教材開発であった。
C-13 | MS-Excelによる文字、音声、画像、映像を利用したネット配信型反復学習システム |
Excelを用いて、会計学の授業ばかりでなく、音声、画像、映像をランダムに提示できるので、同じ仕組みにより外国語学習にも応用できることが示された。
C-14 | 遠隔学習システムを活かしたゼミナール授業の活用 |
Lotus LearningSpace R2.5Jを用いて、「談話分析入門−理論と実践」という演習科目を遠隔学習として教授し、コースの内容構成、今後の課題などが提示された。
D-1 | 文科系専門科目における学内イントラネットを活用した問題探求型情報管理論教育 |
問題探求型情報教育として、学生が自ら選定したテーマについてのデータ収集・分析・情報提示に至る一連の作業を体系的に支援するため学内イントラネット、教材データベース等を中心にシステムを構築し、その成果を検証している。
D-2 | Web上のゲーミングによる仮想経済システムと経済学の導入教育 |
経済学への導入教育としてWeb上に仮想経済システムを構築し、参加者が労働・消費財・資本財の各市場と金融市場の中で、合理的な経済行動とそのインパクトを模擬的に学ぶ経済ゲームの意欲的な試みである。
D-3 | 総合情報処理教育としての統計分析能力の育成法について |
総合情報処理教育としての統計分析能力を高めるため、Web上に対話型テキスト、オンライン統計用語辞書、検索機能付き電子図書、統計分析マクロ等から成る教育システムを体系的に構築して、その運用を試みる。
D-4 | 高等学校の数学教育内容の多様化に対応したMathematicaの活用 |
入学直後のテストで、数学力の低いグループが2/3いた。Mathematicaを操作させ、単方向型の受動的学習態度を改善し、数学を「実験科目」と認識させ、操作実験−結果観察−考察というアプローチを行った。初期と期末の試験の結果、効用が確認されている。
D-5 | 表計算ソフトを用いた科学導入教育 |
コンピュータリテラシー教育の一つとして表計算ソフトを用い、物理学の波動を説明した。波動伝搬の場合、時刻、場所の2変数をグラフにして例示することで視覚的に現象を理解しやすくなった。グラフを作成し、内容を吟味する力をつける点では効用がある。
D-6 | 情報教育の基礎としての数学学習システムの開発 |
基礎学力の低下は教師サイドの教育努力の不足にあるとの観点から、紙と鉛筆による数学演習を基本とし、コンピュータはこれを支援するものとし、教師は数式処理プログラムを学生に効果的な例題を作成するという立場をとる。これらの経過・結果について報告している。
D-7 | 概念を見る〜「体」での理解の可能性〜 |
数学が楽しくなるための一つの解決策としてのテクノロジー活用の授業が紹介された。具体的には、センサー付きのグラフ電卓を用い関数(グラフ)の意味、微分の意味を理解させた。ビデオを活用して授業風景が示され、また、発表の場でも実演されて聴衆にも関心が持たれた。
D-8 | Graphing Utilitiesを利用した微分積分の教育方法 |
微分積分の公式の学習を暗記から、定義の原点に戻って無限の操作である概念をビジュアルな面から補足し、正しく概念を理解させることを目的としている。従来の教科書的な教授法とは別な観点から学生は反応しており、効用があると説明している。
D-9 | ニューラルネットワーク学習支援システムの開発と実践 |
専門科目教育の情報工学、信号処理に特化した内容で、ニューラルネットワーク学習支援システムの3層BPネットワークによる文字パターンの学習・認識について詳述しており、情報教育方法論については触れられていない。
D-10 | 経営工学体験実習教育支援システム |
経営工学の入門教育としてWebを利用して開発された教育サポートシステムの事例である。システムは九つの課題についてワークショップ形式で経営工学のさまざまな手法を学生に学ばせるもので、学生のペースで学習できると同時に問題からモデル化を行い、解答をビジュアル的に確認できるようになっている。
D-11 | Web利用による外部者参加型建築設計教育への試み〜VDS(Virtual Design Studio)システム構築とその実践〜 |
2年前に本発表会で発表された内容をさらに発展させたもので、CAAD設計教育のみでなく、場所と時間を問わず、学生のエスキス、建築設計教育全般を支援することができ、学外のアドバイザ参加による学生との相互情報交換や実践的な知識教育への反映をはかることを目的としたシステム構築と実践事例である。
D-12 | コンピュータによる力学現象のビジュアル化に基づくイメージ教育 |
建築工学科での力学教育について、学生に力学の現象を視覚的に把握し想像する能力を育成するシステムの開発事例。システムは小型模型実験をカメラで映写したりコンピュータで模型の力や変形を視覚化して表紙し、学生には、スクリーン上で実験と解析結果を対比させながら理論と現象を理解させる仕組みとなっている。
D-13 | 理科教員を志望する学生のためのマルチメディア教材作成実習 |
理化学系の教職課程の学生を対象に、中等教育での理科の補助教材を作成する実習教育を行った。テーマやプラットホームは学生に自由に選択させ、開発ソフトウェアにはHyper CardやPowerアPointを使用させた。最後に10分間の発表をさせた。アンケートの結果75%が満足を示した。
D-14 | 化学におけるVisual Basicによるプログラミング教育 |
化学科の卒業研究の一部として、緻密な思考力を養うために最も適した方法であるプログラミングを教育した。地味な学習を嫌いがちな学生のために、視覚的なBasic言語と、テーマとしてフーリエ解析を選択した。はじめは興味を示さなかった学生も自らソフトを開発するようになった。
D-15 | ナチュラルなVisual Basic言語を用いた図形科学教育 |
図形科学の講義において、土木工学科1年生の必修としてBasic言語を使用して簡単な線画を描かせる講義を行った。毎回講義時に課題を出し、その日のうちに印刷結果を提出させた。講義教材をマルチメディア資料としたため、学生は最終的にはExcelで立体図形を描くまでに成長した。
D-16 | マルチメディア教材を用いた薬剤師のためのコミュニケーション教育について |
薬剤師の質の高い対人法を目的として、薬学部生のコミュニケーション教育用のマルチメディア教材を開発した。薬学系26大学から得た資料をもとにシナリオを作成し、ビデオ画像と音声を中心にロールプレー化してCD-ROMに収めた。教材を使用した学生の70%以上が理解を深めた。
D-17 | デザイン教育とコンピュータ〜テキスタイルデザインの視点から〜 |
芸術専攻の学生にむけた表現実習教育において、コンピュータを利用したテキスタイルデザインを行った。ボールペンで描いた抽象的線画をもとに、画像処理ソフトによるフィルタリングや反転、回転、重ね合わせなどの技術から、創造と破壊がもたらされることを示した。
文責: 法政大学 若山 邦絋 関西大学 東村 高良 国際基督教大学 尾崎 敬二 実践女子大学 城島栄一郎 十文字学園女子大学 若山皖一郎 中央大学 有澤 秀重 東京工芸大学 杉山 精 東京女子医科大学 石島 正之 東洋大学 大島 尚 早稲田大学 中野美知子 帝京科学大学 山本 涼一 摂南大学 山根 敬三 千葉経済大学短期大学部 井芹 康統