私情協ニュース6

平成12年度 授業情報技術講習会報告



 授業情報技術講習会は、加盟大学・短期大学の教員を対象に、コンピュータ、ネットワークを活用した教材・資料の作成および提示方法などを、実習により習得し、情報技術の理解を深め、授業改善に資することを目的として、昨年度から実施されている。
 今年度は、8月29日(火)から31日(木)までの3日間の日程で、慶應義塾大学の日吉キャンパスと矢上キャンパスを会場として開催され、66大学16短期大学合わせて125名の参加があった。コースおよび会場を二つに分けて開催し、収容人数が増やせた関係から、昨年度よりも50名ほど多く参加いただくことができた。
 今年度は基礎コースと応用コースの2コースに分けたプログラムを企画し、実施した。
 基礎コースでは「プレゼンテーションツールの基本操作」を中心とし、講習の内容は大学の授業で利用できる情報技術の習得に置かれ、そこではグラフや写真などの画像と文書を合成・編集すること、授業や研究で提示する技術、さらにはWeb上で利用できる保存方法などの実習が行われた。
 応用コースでは「プレゼンテーションに関する動画の加工編集」を中心とし、ビデオ編集やPowerPointへの動画の取り込みなどの実習が行われた。
 参加者は3日間に亘る講習を熱心に受けられ、今回の講習会が今後の授業改善の一助となることを期待したい。
 今回の講習会開催にあたってご協力いただいた会場校の慶應義塾大学の皆様はじめ、関係者各位に感謝いたします。



基礎コース

<1日目>

 大学の授業を改善していくという共通の目的と認識でスタートし、最初にプレゼンテーションについての概説が行われた。そこでは、講師からプレゼンテーションの方法が講習会の導入段階で効果的に提示されたことにより、終始学習意欲をそそる実践的な講習内容で構成された。
 さらに午後のプレゼンテーションの操作では、プレゼンテーションのモデルとして実際に大学の授業で使用しているスライドの提示があり、様々な授業を想定した説明があった。その後、大学の授業をイメージしながら受講者が各自持参した素材を使いながらスライド作成を行った。特に、午前・午後のプレゼンテーションの基本操作を確認しながら、自分の専門に活用できるようにという願いから、基本操作はスパイラル方式をとりながら十分な時間をとって講習が進められた。

<2日目>

 前日のプレゼンテーションの基本操作を確認しながら講習が始まり、新しく画像を取り込む基本操作の実習が加わった。受講者が各自で講習に利用できる画像素材を用意することになっていたが、講習会プログラムに「取り込みと加工」と明記してあったためか、受講者はスキャナーで読み込む方法を実習で行うと考えたようである。そのため、この講習会でスキャナーでの読み込みを覚えて帰りたい、あるいは、ここでたくさん読み込んで授業の素材をたくさん作ってしまいたいという人が多かった。これは開講者と受講者の認識の違いであったが、受講者側からみれば、様々な技術を実践する講習会であると予想して臨んだのは当然であると思われる。
 午後はプレゼンテーションソフトで作成したスライドをWeb化する方法の実習が行われた。教材作成した後、FTPソフトを使用し、Webサーバの各受講者のホームディレクトリにファイルを転送し、転送した画面を確認しながらスライドを完成させた。これら一連の基本操作は3日目の内容に繋がるものである。

<3日目>

 Webページの作成を行ったが、その内容は、HTMLのタグの仕組みとその基本を理解するものであった。講習会では、テキストを参考にしながら作成したホームページを参加者も見ることができた。午後は、講習会で作成したスライドを使用して、受講者による模擬授業のデモンストレーションが行われた。
 最後に、講習会の開催責任者である知的資源開発委員会委員長の東京電機大学の星野 洋氏から、講習会の意義と授業改善の今後の方向性についてまとめが行われ、終了した。
 3日間の講習会を通して、参加者からは、大学での授業に活用できる講習会であったと好評であった。

(文責:東洋大学 志賀 政男)


応用コース

<1日目>

 午前中は、プレゼンテーションに関する動画・音声の加工編集に際して、テレビ放送とコンピュータでの動画の相違、表現方法、様々な圧縮技術などについて説明を行った。また、午後には、アナログVTRとDigital VTRの取り込みを目的として、Premiereを使ったビデオ編集の基礎的な実習と、VAIO付属のチューターCDを使った実習を行った。

<2日目>

 初日に引き続き、ビデオ編集を講習内容として、動画を使ったプレゼンテーションの実例紹介や、プレゼンテーションに動画を用いる効果および作業量、講義でのプレゼンテーションと自習用教材の相違について、説明がなされた。また、受講者が用意した素材データ(ビデオテープ)の取り込みと編集など実習を行った他、AVI, MPEG1, MPEG2, MPEG4など圧縮形式の意味や違い、用途について説明がなされた。

<3日目>

 PowerPointへの動画の取り込みについて、その実例紹介と作成方法の説明がなされた後、実習となり、HyperLinkの実践、自分の教材を利用した授業用プレゼンテーションの作成、動画教材のCD-Rヘの出力などが行われた。最後に、Webを用いた動画配信(ストリーミング)についての解説とデモンストレーションが行われた。

(文責:慶應義塾大学 山本 喜一)


【目次へ戻る】 【バックナンバー 一覧へ戻る】