文部省ニュース2
平成13年度 情報関係補助金の文部省概算要求決定される
文部省は、去る8月31日に平成13年度概算要求をとりまとめ大蔵省に提出した。
13年度予算に対する政府の概算要求方針は、景気回復を後押しするため、IT(情報技術)革命の推進や環境対応など経済構造改革に寄与する分野に重点的に配分する「日本新生特別枠」と「生活関連等公共事業重点化枠」の特別枠を設けるとともに、政策経費の伸びを12年度当初予算に比べ2%台とする3年連続の積極型予算とする方針を8月1日の閣議で決定した。具体的には、日本新生特別枠で公共事業4千億円、非公共事業3千億円、生活関連特別枠3千億円とし、12年度より総額で2千億円増額の1兆円としている。
そのような中で、情報関係補助金の要求については、日本新生特別枠を活用して、私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助金、私立大学等研究設備整備費等補助金、経常費補助金の三つの中にそれぞれ「バーチャル・ユニバーシテイ推進」、「最先端IT基盤整備」に関する補助の枠総額38億600万円を新たに設ける要求が行われた。
経常費補助金
12年度予算に対し90億円(2.9%)増の3,160億5,000万円が要求された。増額の全ては特別補助となっており、新たに要求の「オープン・リサーチ・センター経費」「専門大学院等整備推進経費」の17億円を含む高度化推進特別経費が27億円の増、 「バーチャル・ユニバーシテイ推進経費」、「最先端IT基盤整備経費」の18億円を含む高度情報化推進特別経費が21億円の増、「小人数教育推進経費」「短期高等教育改革推進経費」「高校生の大学等受け入れ」の27億円を含む大学改革推進特別経費が39億円の増、国際交流特別経費同額、生涯学習推進特別経費3億円の増となった。
特に、「高度情報化推進特別経費」については、本協会の要望に十分配慮され、対前年度12.6%増の総額188億500万円が概算要求された。増額幅も特別補助の中では大学改革特別経費の28%に続き2番目と高くなっており、大学改革推進と情報化推進、高度化推進に重点がおかれた要求となった。情報化推進特別経費の内訳は、日本新生特別枠を活用して、インターネット等を活用した遠隔教育を行うために必要な装置・設備の借入費および通信費・ネットワークの維持管理費、ネット上で理解度確認、質問・討論を行う教員と学生、学生同士のコミュニケーションを支援する学習支援システム、コンテンツの開発などについて一体的に補助する新規要求の「バーチャル・ユニバーシテイ推進経費」として6億円が計上、さらに、ITを活用した教育研究の実施(ヘルプデスクの運営委託、情報リテラシー教育やIT・FDの実施を含む)に対する補助として新規要求の「最先端IT基盤整備経費」として12億円が計上された。また、既設補助の対象件数の増を図るとして「教育学術情報ネットワーク」で3億円増の合わせて21億円が増額概算要求された。なお、「情報処理関係設備(借入)」、「教育研究用ソフトウエア」、「教育学術情報データベース等の開発」は、前年同額が要求された。また、教室等のマルチメディア化に伴う維持運営費を計上した大学改革推進特別経費の「教育・学習方法改善支援事業」は、ほぼ協会の要望に沿って5億円増額の20億3,600万円が要求された。ノートパソコン貸与事業を含む「特色ある教育研究の推進」は、内訳は不明であるが、全体として前年同額の44億2,800万円が要求された。なお、情報関係に限定した補助ではないが、短期大学の特色ある教育研究の推進に対する新たな要求として「短期高等教育改革推進経費」10億円が概算計上された。その結果、経常費補助金増額90億円の内、情報関係の増額分は、情報化推進、大学改革推進の中で合わせて26億円となり、約29%となっている。
私立大学・大学院等教育研究施設整備費補助金
12年度に比べ9億8,700万円増の総額205億8,700万円の要求となった。その内、8億8,900万円は、インターネット等を活用した遠隔教育に必要な最先端のサーバー、コンピュータ、無線LAN装置等の整備等に対し、一体的な支援を行う新たな要求として「バーチャル・ユニバーシテイ推進事業費」の2億1千万円、IT教室・IT研究室・ITホールのマルチメディア化、大容量のLAN・WAN、高機能ワークステーション等の整備等に対し、総合的かつ重点的な支援を行うための新たな要求として「最先端IT基盤総合整備事業」の6億7,900万円が概算要求された。
既設補助の私立大学ジョイント・サテライト事業については、衛星通信活用プログラムの申請が11年度、12年度、13年度と申請が終了したと見なし、文部省と相談の上、移動体情報通信ネットワーク活用も含め廃止することになった。学内LAN整備費事業は、協会として4億円の増額を要望したが、IT基盤整備事業でもLANへの補助が含まれることから、前年同額の15億円が要求された。また、教育・学習方法高度情報化推進事業も当協会として19億円増の31億円の要望を行ったが、新規要求のIT基盤整備事業の中で改造工事に加えて新築の施設にかかわるマルチメディア関連の工事も対象に含まれるようにする方向で同額の12億2,500万円の要求となった。
私立大学研究設備補助金
私立大学研究設備補助金は、既設の補助の他に新たに「私立大学等最先端IT基盤設備」として5億2,900万円、「私立大学等バーチャル・ユニバーシテイ推進設備」として5億8,800万円が計上されたため、情報処理関係設備(1,000万円以上の購入補助)は前年同額の5億8,800万円、私立大学等教育・学習方法高度情報化推進設備(工事を伴わない1,000万円以上の情報機器)は前年同額の6億9,100万円が要求された。
本協会としては、文部省の概算要求に先立ち、6月に全国の私立大学、短期大学等を対象に情報関係の国庫補助希望調査を実施し、その調査結果を踏まえて私立大学側の要求を次頁の通りとりまとめ、8月上旬に文部省に要望した。
平成13年度情報関係文部省概算要求 |
単位:千円 |
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