私情協ニュース2
平成12年度の私情協大会は、9月19日から9月21日までの3日間、私学会館で開催された。
今回の参加者数は479名(151大学、28短期大学、賛助会員20社)と、例年よりも50名ほど少ない結果となった。開催日の設定が例年よりも遅く、後期授業の開始時期と重なったことが影響しているようであった。なお、賛助会員による展示会の出展数は昨年より少し多く33社であった。
今年度の私情協大会プログラムの概略を紹介すると、まず、初日午前中は、「ネットワークの不正侵入問題」と題して、私情協、文部省(現文部科学省)、郵政省(現総務省)、セキュリティ関連団体からの実状紹介が行われた。また、午後は、「21世紀の教育のグローバル化」と題して、早稲田大学からのキャンパス間のサイバーキャンパスコンソーシアムの紹介、「教材・素材データのデジタル化促進と権利問題」と題して、私情協の教材・資料等電子化促進プロジェクト会議メンバーによるパネルディスカッションが行われた。またこの他、国の補助金活用について文部省からの説明と私情協活動報告について事務局より説明がなされた。
2日目は四つの会場(A:教育支援、B:情報環境・教育方法、C:情報基礎教育・ソフト、D:評価)に分かれて50件の事例発表が行われた。
3日目の午前中は、実践的な内容や問題点を中心としたテーマとし、「次世代のネットワーク技術の動向」と題して、「次世代のネットワーク技術の動向とトラフィック制御」、「暗号と電子認証」、「検索エンジンの高速化」、「マルチメディア衛星通信システム」についての紹介がなされた。また、午後は2会場に分かれ、一つの会場では「ネット教育の技術標準化への取り組み」紹介や、「高等学校『情報』科目の教員養成と課程認定」について文部省による説明がなされた。もう一つの会場では「携帯端末による学内情報の開示」や「シラバスデータベースシステムの構築と運用」と題した大学での実践事例の紹介が行われた。なお、2日目の午後から最終日まで、好評の賛助会員33社によるマルチメディア関連の機器等の展示が併設され、2日目の最後は、例年同様に懇親会が催された。
次に、各セッションの内容について報告をする。
私情協では、昨年度、加盟校に対してアンケートによるネットワーク不正侵入の実態調査を実施し、その結果が紹介された。多くの場合、不正侵入の被害を受けているか否か分らないという問題を重視して、ネットワーク研究委員会では、不正侵入対策小委員会を設置して、当面、学内外からの不正侵入を検知するシステムを、賛助会員の協力を得て開発に着手したことが報告された。
今年初頭、各省庁のホームページが改ざんされるという事件をきっかけに、政府の内閣安全保障・危機管理室では、情報セキュリティ対策推進室を設置して、各省庁の情報システムを対象とした情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを発表した。これに対応して、文部省でも、文部省情報セキュリティ対策委員会を設置して、情報セキュリティポリシーを策定するためのワーキンググループを設置したことが紹介された。
海外の大学では、情報システムのセキュリティ問題が発生した場合には、報告を受けてから緊急に調査・対応する機関として、CERT(Computer Emergency Response Team)やCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置するのが当たり前になっており、海外での教育、研究ネットワークでのこれらの機関の現状が紹介された。
セキュリティ問題に対する最近の郵政省や政府の対策について紹介され、さらにセキュリティの性能や管理・運営に関する最近の標準化の動向が紹介された。特に、情報システムの管理運営の国際標準であるBS7799について詳しく紹介された。最後に、セキュリティポリシーの重要性を指摘し、今後のあり方について述べられた。
大学審議会の審議を踏まえ、「グローバル化時代に日本の大学が求められている改革の視点」と「その方向性(特に、情報通信技術の活用)」の紹介と、「私立大学における問題の視点」と「私立大学における個性化の方向性(教育内容、教育方法など)」についての考え方を示され、さらに「今後の私情協の役割」についての提言が行われた。
例えば、情報通信技術を活用することにより、一つの学部や学科単位に限らず、個々の教員や学生がその研究や学習目的に応じて、自分の望む研究や学習環境を相当程度自由に構築できる可能性が高まってきたとの立場から、「マルチメディア(具象化を通した、学生の興味、分かり易さを求めた授業・教材化)」、「ネットワークの活用とグローバルなアライアンス(学生の望む授業作り、教員間・研究者間や授業の国際間協力、標準化と競争化)」、さらに「生涯にわたり動機付けの明確な学習機会の提供の在り方」についての事例を含めた紹介がなされた。
また一方で、このようなグローバル化、サイバースペース時代の大学にあっては、「大学の存在に対する主体者の変化」を踏まえた、「大学の強い個性化」が、同時に必要であるとの主張がなされた。
最後に、「マルチメディアとネットワークを活用した大学の教育・研究のデジタル化とオープン化」、「学生の選択幅の拡大と教育内容の向上」、「日本の高等教育の国際間、異学種間の競争力の向上」、さらに「学生に分かりやすい授業の実現」と「問題発生・解決型授業の実現」などを目指し、大学間の交流を一層活発にするために、私情協を中心とした「CCC(サイバーキャンパスコンソーシアム)」設立提案が行われた。
この問題は大変に範囲が広くかつ複雑であり、一般に個々の教員が実務上の諸点をまだよく認識できてないことでもある。このプログラムは、この問題に対する理解を深めるためのきっかけとして設けられた。
名和小太郎氏は、教材の電子化をする前に、1)法律がどこまで決められているか、2)誰が著作権の所有者なのか、3)権利が制限されて教育ではどこまで利用できるか、そして電子化したときには、4)従来の著作権法でカバーできるのか、などの諸点を整理されて述べられた。
市川 昌氏は、大学人も著作権についても認識すべきだとして、欧州、ニュージランドの大学における、著作権に関する教員のためのマニュアル、チェックリストの類を示されて、そのようなものがわが国でも必要であることを述べられた。また個々の大学で著作権の問題の処理をするよりも、そのための協会を持っている国があることを示された。
鵜野公郎氏は、いろいろな個別分野だけではなく、多くの分野の素材、データ、状況などを一つのツールで総合していけるいくつかの例を出され、問題の複雑さを示された。そして、従来は個別学問に分かれてしまう分野を総合して現在の政策を立てることを、大学の役割として行うべきだと主張され、デジタル化については、難しいことが多いが、入り口の手前であれこれ難しいことを言っていてはよくないのではないかと述べられた。
さらに、市川 昌氏は、デジタル化はこれまでの密室の授業が著作物になるということであり、学生や教員を教材作成にどう巻き込むかということになるが、著作権や知的所有権、個人のプライバシー等について1年生から教え込む必要性を説かれた。
司会者からは、教師の権利や、教材の内部、外部の著作者との対応をしていくために、私情協で機関を作ることを進めるべきとの提案を受けて、私情協でも実現に向けて準備がなされていることが紹介された。その後フロアーからの質疑応答や討議が行われた。
(文責: | 明治大学 | 向殿 政雄 |
立正大学 | 山崎 和海 | |
文教大学 | 真鍋龍太郎) |
A−1 | 学習用コンテンツの自動生成ならびに学習者ごとの自動最適化を目指したプラットフォームの試用 |
早稲田大学 | 石堂 陽子氏、原田 康也氏 |
教材用コンテンツの自動生成などの技術開発とその応用事例、特に教材作成(英語学習用練習問題の自動生成や、採点・集計の自動化とそれに基づいた問題提示の学習者ごとの最適化)を可能とする学習用プラットフォームの試用結果についての報告がなされた。
A−2 | デジタルメディアOS「BeOS」を用いたマルチメディア教育環境の構築 |
大阪電気通信大学 | 早野秀樹氏、伏本和人氏、今井久雄氏、西木 毅氏、対馬勝英氏 |
メディア教育を実践するためのBeOSを核とした教育システムである「電通大方式」(対話型教育、学習履歴柬理、CAIを利用した個別学習などの教育支援システム)、並びにメディアコンテンツの制作を強力にサポートする「メディアD/B」の設計、構築事例の紹介がなされた。
A−3 | Webを活用したプログラミング授業支援環境 |
日本工業大学 | 青木 収氏 |
不特定多数の学生を対象とした Server Side Script 学習環境を提供するため、1999年夏よりゼミなどで使用している、Web上に構築した動的な情報発信を可能にしたプログラム開発技術教育支援システム(WebASES)についての、稼動実績などの報告が行われた。
A−4 | 初級プログラミング教育の内容とWeb教材 |
大阪国際女子短期大学 | 谷口 るり子氏、小田野 郁子氏 |
初級プログラミング教育のこれまでの経過(使用言語、時間数、授業内容)と、その経験を踏まえた授業の再構成内容と、新たに開発したプログラミングの復習用Web教材(採点処理等についてはPerl利用)とその利用実績についての紹介が行われた。
A−5 | 栄養士養成学科における実習料理データベース化の試み |
西南女学院女子短期大学 | 井ノ口 美佐子氏、内岡 三枝子氏 |
調理関係の実習科目の一つである「給食管理実習」で行っている「献立作成から給食」に至るデータの電子化・データベース化と、インターネット上でのリンク集作りについて、そして今後の検索方法の研究とデータベース化の改善課題についての報告が行われた。
A−6 | 学習者の多様なニーズに対応するマルチリンガル・マルチOS・マルチメディア語学自習環境の構築と運用 |
早稲田大学 | 伊藤 博康氏、原田 康也氏、 伊藤 岳氏、川島 治英氏 |
法学部マルチメディア演習室における音声映像資料、デジタル教材、ネットワーク利用による外国語自習システムの概要と運用上の特徴が紹介された。マルチリンガル・マルチOS環境が問題なく実現されていることが報告された。
A−7 | 教員にとって使いやすいマルチメディアコントロール装置を目指して 〜早稲田大学メディアネットワークセンター語学教育実習室の試み〜 |
早稲田大学 | 鈴木 陽一郎氏 |
新設されたマルチメディア教室(語学教育・マルチメディア実習室・教育実験室)において多様なマルチメディアを教卓から自由に利用することができるコントロールシステムが報告された。各教員のニーズに応えるための工夫が随所になされている。
A−8 | ストリームビデオを用いた講義データベース |
久留米工業大学 | 佐塚 秀人氏 |
学科の講義の一部、公開講座、卒業研究発表会等のビデオを収録し、それらをWeb上でアクセス可能にすることにより、実験的に講義データベースを構築したことが紹介された。少人数のスタッフで作成可能であるが、著作権上の問題があることが報告された。
A−9 | 大規模経済統計データベースの構築とシステムリリース |
麗澤大学 | 高辻 秀興氏、龍 義樹氏、 大塚 秀治氏、牧野 晋氏 |
日経NEEDS-MTデータを元に、大規模経済データベースを構築し、ブラウザー上でデータ検索を可能にしたシステム(REISTAT)が紹介された。教員、学生(特に経済分析を行う者)がともによく利用していることが報告された。
A−10 | Webコンテンツを用いた課外学習の支援システム |
東京情報大学 | 中嶋 淳氏、清水 伸彦氏 |
専門分野に関連する各種検定・資格試験の学習支援システムとしてWebコンテンツを活用したインタラクティブなシステムが紹介された。課外学習であるため、利用者の様々なニーズに対応するための工夫がなされている。
A−11 | インターネットを活用した公開講座の運営 |
明治大学 | 和田 格氏 |
受講者参加型の公開講座に、インターネットを活用し、受講者同士がメールでディスカッションするシステムを導入した結果が報告された。参加者の多くは満足しているが、スクーリングも必要であるという意見も紹介された。
A−12 | 多言語環境におけるWWWを機軸とした教育支援システム |
立命館アジア太平洋大学 | 永松 利文氏、笠井 高博氏 |
起動時に英語/日本語OSを選択し、日本語OS上ではアジア系言語を主とする8カ国語入力が可能な他言語環境を構築したことが報告された。さらに、Web上で日本語・英語の講義データも供給されている。各種サポートとしてSAが役立っていることも紹介された。
A−13 | シラバスデータベースの効率的利用に関する研究 |
東洋大学 | 上原 稔氏、秋元 秀司氏 |
全国の大学のシラバスデータベースを調査し、問題点を改善したシステムおよびその評価について報告がなされた。科目名、時間割、学科別など多機能な検索が実現されている。アンケートの結果、使い勝手は概ね良好であることが紹介された。
(文責: | 立正大学 | 山崎 和海 |
早稲田大学 | 船木 由喜彦) |
B−1 | 学外サーバ環境の利用とその利便性について |
千葉経済大学短期大学部 | 江上 邦博氏 |
大学のセキュリティー強化に伴い、学内に設置していたWebコンテンツ等を、自宅サーバーおよび学外の無料サービス・サーバーに分散して設置した。帯域等の大きな問題は生じていない。フロアから、大学の過剰なセキュリティー強化がむしろ問題である、という疑問が出された。
B−2 | マイクロルータ活用による研究室内サブネットワークの構築と活用について |
高千穂商科大学 | 中山 良一氏、渡辺 恵子氏 |
研究室単位で複数のコンピュータをインターネット接続するために、マイクロルータを設置してプライベートサブネット化した。いくつかの問題点はあるが、IPアドレスを無駄に消費しないで、WWWサーバー等の構築ができるなど、多くの効果があったことが報告された。
B−3 | Webを利用したキャンパス情報サービスの構築 〜授業科目の登録変更システムを中心に〜 |
南山大学 | 伊藤 聡氏 |
南山大学で新しく開発された事務システムの中で、Webによるキャンパス情報サービスに焦点を当てた紹介があった。特に登録科目の「変更」をWeb化したことにより、登録科目の変更と妥当性のチェックがリアルタイムで行うことができ、学生の待ち時間が大きく減少された。
B−4 | 東京電機大学グローバルサービスシステムについて |
東京電機大学 | 飯田 公子氏、坂田 一也氏 |
東京電機大学で開発した新教学システムにおける11のサブシステムの中で、第1フェーズで開発された学生管理・履修管理・成績管理・学生情報管理・就職管理という五つのサブシステムの詳細な紹介があった。教員へのサービスの向上、職員の意識向上が図られた。
B−5 | ネットワーク導入教育のための統合型Webアプリケーションの開発と実践 |
目白大学 | 新井 正一氏、中島 光雄氏、 池田 勝枝氏 |
目白大学で新しく開発した、統合型のWebアプリケーションが紹介された。出欠やアンケートなどの管理面ばかりでなく、作品を相互に閲覧したり、あるいは評価しあったりするなど、受身ではなく、学生自ら情報発信する能力を身に付けるための、ユニークな新しい試みである。
B−6 | 携帯電話への休講情報提供・メール配信システムの開発 |
羽衣学園短期大学 | 山岡 俊章氏 |
携帯電話への休講情報提供・メール配信システムの開発マイクロブラウザ内臓の携帯電話の爆発的な普及に対応して、学生所有の各種携帯電話へ警報発令に伴う休講措置を含む休校情報の提供や学科・専攻・学年単位の連絡事項も一斉配信できるシステム開発の事例報告である。
B−7 | Webを利用した遠隔授業の試み |
玉川大学 | 清水 秀典氏 |
オーストラリアのソーラーカーレースに参加した大学生と小学部4・5年生との間でインターネットとWebを利用した共通学習テーマの遠隔授業実験を行い、その教育的効果と可能性について検討結果を報告している。
B−8 | ネットワーク教材を利用した学生参加型の医学教育 −薬理学を例に− |
愛知医科大学 | 安藤 裕明氏 |
ネットワークリソースおよび電子化教材を利用して、学生にグループ毎のプレゼンテーションを行わせるという問題解決型学習と、CAIシステムを利用して問題を解かせるという網羅的な学習を組み合わせた医学教育の事例として、薬理学教育を例に4年間の実績を紹介された。
B−9 | コンピュータ演習室を活用した英語教育 |
帝京平成大学 | 小野 光氏 |
コンピュータ演習用の教室を使って、各種英文サイトの検索・英文電子メールによる情報交換が行えるようになることを学習目標とした、英語教育の試みが報告された。授業評価や学習の効果については、発表者自身も満足していないが、これからの英語授業の一つの材料が示された。
B−10 | 英語教育カリキュラムとCALL教育環境 −文教大学国際学部の事例− |
文教大学 | 小林 ひろみ氏、生田 祐子氏 |
機器を28台備えたCALL教室を用いてパイロット・プログラムを実施し、本年4月よりCALL授業を必修とするという英語カリキュラムの変更を行った。Placement Test の結果については、問題の質の差もあり判断は難しいが、アンケート調査等も行った結果、一定の効果があったことが報告された。
B−11 | 主成分分析のCAIゲーム開発と高校生への授業 |
青山学院大学 | 竹内 俊彦氏 |
有名人20人に対して七つの指標をユーザに挙げて主成分分析を行い、主成分をネーミングさせたり、結果をグラフ表示し、さらにユーザ自身のセルフイメージも表示し、理解を深めさせるCAIゲームを作成した。実際に中高生に体験させた結果、一定の成果が得られた。
B−12 | ゲームの作り方・作らせ方 −日本語教育における学生主導の教材作成− |
早稲田大学 | 本多 久美子氏 |
日本語教育の一環として、学生にゲームの問題を作成させ、学生に主導的に学習内容を理解させる実践例を紹介された。また、作成されたゲームを他の学生が解答するというクラス・ワークを行うことで、コミュニケーション・ツールとしてゲームのあり方が重要であることも報告された。
B−13 | 「情報システム設計」教育のパラダイムシフト |
産能大学 | 松家 英雄氏 |
学生に問題領域の典型的なシステムを与え、これを稼動しながら学生が問題点を発見し、解決策を立てて構築し、評価を行うという体験学習法を採用している。今後は電子会議で討論させる予定であることも紹介された。
(文責: | 法政大学 | 宮脇 典彦 |
東海大学 | 高橋 隆男) |
C−1 | デジタルメディアを活用したゼミナール活動 |
山梨学院大学 | 今井 久氏 |
ゼミナールにおいて、医療について学生が自ら問題意識を持ったテーマを選び、デジタルメディアを活用して調査・考察・発表・公開する「プロジェクト方式」を実践したもので、目的意識の育成と、メディア教育環境の重要性を確認している。
C−2 | 情報収集能力向上を踏まえたPowerPoint教育 |
九州東海大学 | 白鳥 裕氏 |
熊本学園大学 | 隈井 泰樹氏 |
インターネットをはじめとする情報環境の活用教育において、情報収集の目的をPowerPointによるプレゼンテーション資料作成と設定して動機付けを行い、授業での質問・課題提示と提出等でネットワーク環境利用に慣れさせながら教育した過程について述べられている。
C−3 | 情報リテラシー教材としての「プレゼンテーション」の導入 |
白鴎大学 | 黒澤 和人氏、帥 啓二氏 |
1年生科目の経営情報科学における情報リテラシー教育のまとめとして、プレゼンテーションソフトの実習を取り入れ、情報の収集から整理・加工・伝達までの総合的な学習を目指し、スライドのデザインシートで内容を洗練させ、限られた枚数での効果的な表現力を育成した結果を紹介している。
C−4 | Web教材を利用した情報リテラシー導入教育 |
国際基督教大学 | 星野 義昭氏、小林 智子氏 |
新入生の情報基礎教育の導入プログラムとして、コンピュータ基本操作、電子メール、情報検索などを学習させるためWebサーバー上に教材を用意し、学生が知識や技術レベルに応じて学習を進め、必要なときにインストラクターのサポートを受けられ、最後にCGIによるクイズ形式で理解度を確認するというシステムの実施状況について報告したものである。
C−5 | マルチメディア技術を利用した情報教育用コンテンツの研究 |
甲南大学 | 小谷 祐二氏、大橋 裕之氏、 辻田 忠弘氏 |
システムアドミニストレータの人材育成方法についての研究を進める中で、短期間に効率よく安価に進めるための手段として、「パソコン組立実習」と「ネットワーク構築実習」において、静止画・動画・3D画像・音声等を利用したCAIを導入した結果、画質の良い静止画が有効度が高いなどの調査結果を報告したものである。
C−6 | 大規模一般教室の情報教育併用教室への改造後における教育システムの変化 |
日本大学 | 小林 貴之氏、谷口 郁生氏、 毒島 雄二氏 |
一般教室を改造した情報教育併用教室を、リテラシー科目と情報教育以外の一般教育とに利用することについて検討を行い実施した結果それぞれ有用性が確認されたとの報告があった。
C−7 | 実践活用を目的とした授業教材の作成について |
聖霊女子短期大学 | 石崎 利巳氏 |
郵便番号検索システムという具体的な実践目標をもってOA実習を行った経緯と有効性および問題点が報告された。
C−8 | 情報倫理教育を中心とした新入生向けコンピュータセミナー実施の経験 −早稲田大学における4年間の推移、傾向と対策− |
早稲田大学 | 平野 泰氏、前野 譲二氏 |
1997年から行われてきた早稲田大学における全新入生を対象とした情報倫理教育の変遷と、同学で発生したコンピュータ・ネットワークに関連する不正・不適切利用の事例およびその変遷、今後の取り組みへの展望について報告があった。
C−9 | データ処理結果のPower Poiintを使用した発表事例 |
帝塚山大学 | 竹原 卓真氏、落合 史生氏 |
心理学の基本的な内容を復習しつつ、それに関するデータ処理を行って論文を作成するという一連の作業を通して、情報処理能力を高める視点から展開したコンピュータ演習について、成果と今後の課題について報告があった。
C−10 | 武蔵野女子大学文学部における情報処理教育 |
武蔵野女子大学 | 味村 一樹氏、柘植 健司氏 |
当大学における情報処理教育について、新入生と企業への卒業生に対するアンケート調査の結果が報告され、それに基づいて展開された文学部における情報教育について報告された。
C−11 | 情報教育を重視した学内環境の総合的改善 |
道都大学 | 由水 伸氏、野口 光孝氏 |
筆者らは当短期大学の情報教育について中心的に関わる立場から、同学が目指す情報教育に適した環境を作るために行ってきた諸活動の経緯と内容が報告された。
C−12 | MS-Excelによる文字、音声、画像、映像を利用したネット配信型反復学習システム |
同志社大学 | 川端 保至氏、百合野 正博氏 |
予習と復習の段階での勉学方法の改善を目指して、MS-Excelを利用して音声や映像を出力する簡単なプログラムを提示し、NHK番組とネット配信の利用によってデータ入手と配布の費用が大幅に減少できる見込みであると報告された。
C−13 | Perlプログラムを利用した古英語入門 |
上智大学 | 石川 彰氏 |
筆者は語形変化の学習に役立つプログラムをPerl言語で開発し授業で活用している。学生は従来の黒板だけの授業に比べて古英語の語形変化に興味を持つようになったことが報告された。
(文責: | 武蔵工業大学 | 横井 利彰 |
専修大学 | 魚田 勝臣) |
D−1 | 学内LANによる教育効果のオンライン調査の可能性 |
武蔵工業大学 | 中村 雅子氏 |
情報教育関連調査の方法として、学内LANを利用したオンライン調査と従来の紙ベース調査による方法を併用して実施した結果を分析し、教育効果を測定する場合にオンライン調査の持つ可能性と限界を報告している。
D−2 | 情報教育における充実感の確認 −1991年の調査と現状より− |
日本女子大学 | 立花 厚子氏、山内 美恵子氏 |
コンピュータ関連用語の内、パソコン基本操作とインターネットに関連する用語に絞ったコンピュータに関するアンケート調査結果で、1991年度と2000年度(専門学校を含む)とを比較検討した事例報告である。
D−3 | 汎用アンケートシステムを活用した複数大学における情報処理に関連するアンケート調査の実施例 |
明海大学 | 疋田 春水氏、石川 博久氏、 白野 伊津夫氏 |
武蔵野女子大学 | 矢内 秋生氏 |
九州東海大学 | 藤原 勉氏 |
東洋大学 | 大谷 奈緒子氏 |
アンケート書式を簡単に作成でき、配布、回収、集計を連続操作できるインターネット上の汎用電子アンケートシステムを開発し、情報処理教育における基礎調査を広域で実施した成果と問題点の検証結果を報告している。
D−4 | インターネット中毒 −コンピュータネットワークへの依存− |
城西大学女子短期学部 | 渡辺 透氏 |
東北文化学園大学 | 青木 智子氏 |
立正大学 | 水國 照充氏、大場 隆広氏 |
日本の文化背景や情報環境を考慮した我が国独自のインターネット中毒(Internet Addiction Disorder:IAD)尺度作成を意識したアンケート調査の因子分析結果から、大学生のIADの中毒構造を検討した結果を報告している。
D−5 | 大学生の情報関連法規の認識とその重要性 −著作権法教育を中心として− |
武蔵野短期大学 | 木川 裕氏 |
立正大学 | 山下 倫範氏、細谷 順二氏 |
静岡精華短期大学 | 中原 陽三氏 |
「コンピュータ犯罪」や「著作権法違反」などについて、情報教育の前後でコンピュータ関連法規の認識度をアンケート調査し、大学における情報関連法規教育(特に著作権)の重要性について検討した結果を報告している。
D−6 | 学生の対インターネット意識について |
東海学園大学 | 細谷 順二氏 |
城西大学 | 渡邉 透氏 |
東北文化学園大学 | 河本 進氏 |
情報倫理教育の一環としてインターネットに対する意識調査を3年前から行っている。これまで不安要素の分析を中心にしてきたが、今回は楽しさ・好奇心も含めた調査を行った。経験年数により後者の意識が強まることがわかった。
D−7 | 大学生の情報倫理意識とWeb Based Trainingによる情報倫理教育 |
立正大学 | 山下 倫範氏 |
武蔵野短期大学 | 木川 裕氏 |
日本データパシフィック(株) | 平 治彦氏 |
岩手県立大学 | 菅原 光政氏 |
情報倫理教育を行うためにWebベースの教育システムを開発している。これはまず意識調査を行い、その結果に応じて異なる教材を与え、事例などによる意識向上を行う流れになっている。今回はその中の意識調査の部分について実験を行った。
D−8 | 情報リテラシー教育の改革に関する調査 |
大阪国際大学 | 中井 哲夫氏、下條 善史氏、 岡本 容典氏 |
高校以下での情報教育の普及に伴い、大学として行うべき情報教育について検討した。入学時のリテラシーレベルの調査を行い、既学習者を優遇するために単位認定を行うシステムを導入した。今後情報発信などの能力育成を検討したい。
D−9 | コンピュータネットワークにおける学生の個人情報意識 |
大東文化大学 | 永田 清氏 |
岩手県立大学 | 柴木 恒一氏 |
東北文化学園大学 | 河本 進氏 |
カリタス女子短期大学 | 山澤 浩司氏 |
学生の個人情報をネット上で企業・個人に対してどの程度開示してよいと考えているかを調査した。PC経験は長く、ホームページアクセス頻度は低く、電子メール利用頻度の頻度は高い方が、また女性の方が情報開示に慎重であるという結果が得られた。
D−10 | 文科系学生のメディア嗜好とコンピュータセキュリティ意識調査 |
立正大学 | 山下 倫範氏、宮崎 智絵氏 |
東北文化学園大学 | 青木 智子氏 |
大東文化大学 | 永田 清氏 |
インターネット上の種々のメディアに対する嗜好とセキュリティー意識との関係を継続して調査している。ホームページ閲覧、漫画、ゲームなど嗜好別にグループ分けしてセキュリティー意識の要因分析を行ったが、メディア嗜好との関連性が確認された。
D−11 |
中部学院大学 | 田久 浩志氏 |
有料サイトからの脱会、迷惑メールなど、学生がどのような被害に遭っているかをインターネット歴などとの関連でアンケート調査した。6割程度が何らかの被害にあっていることが判明した。被害に関するホームページなどでの実例提示が防止に有効と考えている。
(文責: | 東海大学 | 高橋 隆男 |
湘南工科大学 | 後藤 宣之) |
マルチメディアネットワークでは、低速ではあるが一定の帯域保証で一定の太さのパイプを占有使用ができ、一定の速度で伝送できる電話網による点と点を接続した方式と蓄積交換方式で多くの端末で多重使用が可能なインターネットを利用した伝送方式がある。後者は帯域を予約して占有的に使用できず、音声、データ、画像、映像等の情報を区別なく同一の伝送処理をし、ネットワークの混雑を考慮した入力トラフィックの制御を行わないために輻湊が発生する。次世代高速インターネットでは、伝送する情報の種類に応じて伝送サービスのマルチグレード化を行うQoS(Quality of Service)制御によるパケット交換アーキテクチャに基づいた帯域変動型のネットワーク(TCP/IP)をうまく使う工夫が必要である。
大阪大学の超高圧電子顕微鏡を沖縄から遠隔操作する郵政省のギガビットネットワークを利用した実験によって上記アーキテクチャーの正当性と有用性が説明された。
情報セキュリティーの中核技術である暗号は、サイバースペースの中でも人、モノ、金、サービス、情報コンテンツ、時刻、権利等の真正性を保証することにより、経済、行政、文化、医療等、社会全般を変革する力を秘めていることを電子マネーや電子商取引の具体例を基に説明された。次に、共通暗号鍵と公開暗号鍵について最近の技術動向を具体的に説明された。なお、共通鍵暗号は送信者と受信者がペア毎に固有の鍵を共有する方式であり、公開鍵暗号は個人毎に固有の秘密鍵と公開鍵をペアで持ち、公開鍵は不特定多数に使わせ、秘密鍵は公開鍵に数理的に内蔵して本人のみの秘密とする方式である。
いずれの場合でも、インターネットとそれを利用する電子商取引等の急速な普及によって、暗号の安全性に対する客観的評価への必要性がますます高まり、我が国でも政策や法制度の整備と共に産官学の協力で安全性を評価する第三者機関を早急に設置をするように提言している。
急激に増加を続けるWWWサイトの最新情報の収集速度を向上させることを目的として、複数の収集ロボットを分散配置して協調動作させるためのプロトコル設計と実装を行った研究成果について紹介をして頂いた。2000年当初で、日本のWWWサイト数が7,000万サイト、10億ページほどある中で、WWWのアクセスの約3割がロボットからのものとも言われ、検索重複などもあり現在の一般のサーチエンジンでは、時間をかけても2割しか探しきれていない状況にある。この研究で考案した方式は、負荷状況に応じてダイナミックに負荷均等化するものであり、分担範囲を検索するPRS(Public Robot Server)と、PRS群を管理するPRS Managerからなる構成をとっている。研究は1996年から開始し、30サイトの協力を得て、日本のデータを1日で集めることを目標としてスタートした。実際には、各サイトの保守管理等のために全ロボットが一斉に動くのはまれであり、現在までに17ロボットで一番速いPRSと遅いPRSとの差は2倍から710倍、平均で67.5倍を達成し、このことから今後30台のロボットが一斉に協調動作すれば、1日で集められる見通しをつけている。
新方式のマルチメディア衛星通信システムの実用化に向けて、私情協として考える構想と技術環境の標準化に際しての検討課題について戸高会長から紹介があった。
新方式では、高画質MPEG2の採用、安価な受信機、映像とPCデータの同時配信・LANとの連携、各大学からの利用予約システム・遠隔地からの運用管理による利用の簡便化、などを前提としている。これにより、「双方向公開講座」「共同授業」「講評授業」等での大学のオープン化・グローバル化および学習意欲向上の推進を目指している。これを受けて菊川氏から、構想を実現するための裏付けとなる通信方式と運用方式の現状と今後の可能性について紹介があり、マルチメディア衛星通信システムの特性である、広域性・同時性・即応性を活用した多地点キャンパス間での双方向遠隔ネットワーク構築の概念図および連携案について解説していただいた。
教材の再利用の促進や、異なる学習システム間での学習を可能にするために、IEEE(米国電子電気学会)など九つ以上の団体が連携して、ISOを核に学習技術に関する標準化が行われている。日本でその役を担っている団体が「先進学習基盤協議会(ALIC)」である。
伊藤氏は、標準化に取り組む項目として、1)教材コンテンツのフォーマット、2)教材DBの分類情報(メタデータ)、3)学習者情報、の三つを挙げ、最初に1)から進めていくことを提言された。さらにALICとして、様々な大学をはじめとする教育現場のプロジェクトと連携し、必要な標準化を緩やかに推進していきたいと述べられた。関心のある私情協のメンバーは、ぜひALICにご連絡いただき、標準化推進の原動力となっていただきたいと述べられた。
平成11年3月の高等学校指導要領の改訂で、普通教育に関する教科「情報」と、専門教育に関する教科「情報」とが新設されることになった。この二つの教科、普通教科「情報」と専門教科「情報」とに対して、高校の教員免許の教科としては一つで「情報」が新設された。この免許を出せる課程の設置を各大学が昨年9月に申請する準備中であり、教科の概要の説明を受けた。その後、申請に関する質疑応答がなされた。
V-campusはインターネットを教育に生かしたバーチャルキャンパスを目指すシステムで、アウトソーシングにより研究用と教育・事務用の二つのドメインを置き、11Mbpsのサービスを行っている。モバイル端末としての携帯電話の普及に着目し、 i-mode端末に対する学内情報提供を開始した。PC対象のホームページから携帯端末用の簡易版を作成し、学内ニュース、カレンダー、電話帳、掲示板、マイカリキュラムなどのサービスを行っており、1ヶ月3万件のアクセスがある。今後他社の携帯方式への対応、コンテンツの充実などを図っていく。
学内情報の開示用に、ホームページから見られるWeb Phoenixと、i-mode携帯端末用のPocket Phoenixを開発した。後者は通信費用を考慮して「今日の予定」など深い検索型にならないメニューとし、休講情報や会社説明会など、個人向けの重要情報に関して電子メールによるプッシュ型の機能をも持たせた。情報の登録は両者に対して行う必要があるが、業務のシステム化により合理化した。学生個人の予定なども入力できるようにし、緊急連絡から履修状況、施設予約、落とし物情報に至るまで広範囲のサービスを実現した。
愛知工業大学に導入されたシラバスシステムについて、システム開発を担当した日本電子計算(株)より、開発上の創意点を中心に報告がなされた。データベースは冊子印刷体からコンバートして作成されたが、苦労した点としては外字データの取り扱いであり、作業量の関係でそれらを取り扱わないこととした。セキュリティーのため既存の事務システムからの情報の取り込みも必要最小限とした。当年4月からの試験運用中のため、利用成果があまり報告されなかったのが残念であった。
東京理科大学応用数学科助教授 森田 昌宏氏3年前に遡る組織作りの話から始まり、必要項目の検討、運営とメンテナンス、環境整備、システムの構成など多岐にわたる検討および導入の経過が報告された。キャンパスが東京、埼玉、千葉、北海道に分かれているがプロキシーサーバ等を利用し、効率的に機能する工夫がなされている。教員の要望をアンケートで集め、できる限り対応したシステムを運用している点、検索用インデックスを作成し全文検索可能としたこと等が特徴である。
(文責: | 東海大学 | 高橋隆男 |
武蔵工業大学 | 横井利彰 | |
法政大学 | 宮脇典彦 | |
文教大学 | 真鍋龍太郎 | |
湘南工科大学 | 後藤宣之 | |
早稲田大学 | 船木由喜彦) |