「私情協ジャーナル」から「大学教育と情報」へ



 当協会の会誌「私情協ジャーナル」は季刊として年4回発行して、平成13年度で第10巻を迎えようとしている。掲載内容も、情報教育・環境に関しての調査・研究、学系別情報教育の紹介、海外の動向の紹介、ネットワーク運用などについて広く行ってきた。これも、読者皆様のご支援の賜物であると感謝している。
 しかし、昨今のIT革命と呼ばれるような、ネットワークを前提とした個人ベースの情報利用における変化は、私立の大学、短期大学、高等専門学校等での教育を取り巻く情報環境の大きな変容を生じせしめている。例えば、リソースに関しては、学内のみのリソース活用で十分ということは少なくなり、インターネット網に代表される外部リソースの同時活用が求められている。これに伴い、さまざまな学系からの情報技術の活用も盛んになり、フォーラムや研修会への関心が年々高まり、教育内容の更なる充実が図られてきている。
 しかし、一方では、ネットワークセキュリティや知的所有権などの問題について、これまで関わることのなかった教職員までも注意しなければならないようになってきている。また、環境整備に関しては、従来は一定の形態の情報環境を整備するという提供側によるものに主眼があったが、近年は、「このような教育を行いたい。そのために、このような設備、支援体制が必要である」と具体的に教職員側からの情報環境整備への要請が数多く積極的に提案されるようになった。いわば教育を行う利用者側からの整備が求められてきているとも考えられよう。これは、情報教育・環境の第二ステージともいえるもので、高速ネットワーク網上のマルチメディア環境を前提とした教育資産として、コンテンツの環境整備、ネットワークセキュリティや知的所有権問題への配慮などが求められるようになってきているものである。高等教育に関係する大半の教職員にとって、教育と情報環境がインフラストラクチャとなりつつある新時代となったともいえよう。

 会誌発行を担当している広報委員会でも、このような変容を踏まえて広報内容の検討、会誌の在り方を検討してきた。「より良い教育・環境」の提供の第一歩として、会誌については、全教職員に役立つ構成とし、文章表現やレイアウトの変更、増頁を行うこととした。具体的には、これまで掲載してきたような各専門科目教育における情報技術の活用や、さまざまなリテラシー教育への取り組み、教育支援環境づくりの事例、海外動向の他に、教材づくり・教育方法での身近な話題やインタビュー記事など、読者に有益な内容を積極的に取り上げる予定である。これに伴い、会誌名を、その目的とする所を明確にする意味で「大学教育と情報」と変更した。皆様の一層のご協力とご支援をお願いして、会誌変更のお知らせとしたい。

社団法人 私立大学情報教育協会
広報委員会委員長  今泉 忠



【目次へ戻る】 【バックナンバー 一覧へ戻る】