情報教育と環境
(1)システム概要
学内LANはATM交換機2台・サーバ8台・ルーター13台・スイッチングハブによって構成され、通信速度は幹線LANが155Mbps、支線LANは10Mbpsです。インターネットにはSINET経由1.5Mbpsの専用回線で接続されています。サーバはDHCP(全学)のみがWindowsNTである他は、すべてUNIXマシンで、ユーザが直接パソコンを接続する情報コンセントは2,373個と大変多くなっています。これらによってWWWサービス、インターネットメールサービスを提供し、また、八王子キャンパスのホームページや、学部学科、事務局各セクションのホームページを開設運用しています。図書館のOPACシステムをはじめ10個のサブネットワークがシームレスに接続されています。学外へのインターネット接続はPROXYサーバを経由して行い、接続回線の負荷軽減と応答の迅速性を図っているほか、ファイヤーウォールによって外部と内部を分け、セキュリティを守っています。
なお、医学部の2年次以降が学ぶ板橋キャンパスの学内LANは各棟間を1ギガビットスイッチで接続し、端末には100Mbpsで分配しており、インターネットにはSINET、OCNそれぞれ1.5Mbpsで接続しています。
(2)学生の学内LAN利用環境
ユーザーが直接パソコンを接続する情報コンセントは2,373個をキャンパス内に広く配置しています。そのうち学生の使用する施設である情報処理教育教室、図書館閲覧室、就職室等に1,138個、またゼミ室、一般教室他に678個、合計1,814個と全体の76%を配置し、学生に対して、良好なアクセス環境を提供しています。
学生には全員にU.I.D.を与え、フリーなWWW利用、メール利用が可能としています。しかし、このようなネットワーク利用にあたっては当然、ネットワーク社会の一員として要求される倫理があり、その教育も大学としては必要なことです。そこで、利用を許可するにあたり、LAN・インターネットに関する基礎的な知識教育とともに徹底した倫理教育とを実施しています。さらに、ネットワーク使用に際しては、接続時にユーザー認証を必要とするシステムとしています。これにより、学生の倫理意識の向上が図られています。
(1)情報教育教室
2種類の情報教育教室が用意されています。一つは、デスクトップパソコン教室で、5教室あり275台のパソコンが設置され、すべて学内LAN接続されています。
次に、学内LAN接続可能なノートパソコン教室で合計14教室あり、630台のパソコンが同時に接続可能です。また、ゼミ室にも情報コンセントを設置し情報機器を駆使したゼミが行われています。これらの教室内には、液晶プロジェクタ、教材提示装置、大型スクリーン等を備え効果的な授業が行われています。また、学内LANとは別に教室内LANが利用でき、これにより、企業内のLAN利用と同様なLAN上の各種資源であるプリンター、サーバ、サーバドライブの共有、ファイルの共有、ファイルの転送、ドライブのアクセス制御、LANのセキュリティ管理などを学ぶことができます。これら教室では、ワープロソフト、表計算ソフト、ブラウザー、メールソフトなどの基本的なソフトウェアを常に最新の状態に保ち、さらに専門教育で使われる学科専用ソフト、統計ソフトなど高度なソフトウェアを揃えています。板橋キャンパスではデスクトップパソコン25台、プロジェクター2台、ソフトボードを備えた情報教育教室を1室が用意されています。
(2)情報教育
大学の情報教育では単なるソフトウェアの操作教育ではなく、急速に発展する情報処理技術に的確に対応できる応用力をつけなければなりません。しかも、現時点では、大学で初めてコンピュータに接する学生も多いため、八王子キャンパスの情報教育は、基本的なコンピュータ活用能力を身につけることを目的とした情報リテラシー教育の科目とコンピュータの高度利用を目的とした実践的な応用科目を用意しています。リテラシー教育は主に1、2年次向けに開講しており、Windowsの基本的概念とその操作ファイルやフォルダの管理、ワープロソフト・表計算ソフトの基本的活用方法、インターネットによる情報検索を始めとする活用方法、メールの利用方法、ネットワークの倫理などについて学ばせています。例をいくつかあげると、学部共通の総合基礎科目として「情報科学」、医学部では1年次の基礎教育科目の必修科目「情報科学」、法学部の「コンピュータ講座」、文学部心理学科の「情報処理演習」、同部社会学科の「コンピュータ基礎実習」、同部国際文化学科の「情報処理演習」、経済学部の「情報基礎演習」などがあります。
応用科目では、リテラシー教育の基礎の上に、各学科の専門分野と結び付けられた題材を採りあげ、コンピュータの高度活用を学ばせています。例をいくつかあげると、医学部では板橋キャンパスで3年次専門科目必修の「統合実習」の中の医療情報でコンピュータを使った多変量解析を含めた医学統計の基礎統計処理の技術およびインターネット上のMedcine(PubMed)を検索して関心のある文献を絞り込み情報収集をする文献検索等の情報収集の技術などを習得させ、文学部心理学科の「心理学基礎実験実習」、同部社会学科では多変量解析法の活用にまで至る「コンピュータ・データ解析法」「コンピュータ解析法」、経済学部の「情報処理演習A(プログラミング)」やデータ分析・インターネット上の統計諸表のデータの統計的解析法を学ぶ「情報処理演習B(データ処理)」などがあります。また、専門科目の中にはコンピュータの利用によってのみ成立する科目も多くなっています。
文責: | 帝京大学八王子キャンパス 情報処理センター 宮地 利彦 |