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(1)授業の対象学年および学生数
コンピュータを活用した授業を実施している対象学年について、表1に示す。学部においては3年次における授業での活用が最も多く28.4% であり、次に1年次で21.6%であった。また、大学院では修士課程1年における授業での活用が13.4%と多かった。
授業おける対象学生数(図1)は、100名以上の学生に対して実施している授業が全体の約6割を占め、コンピュータを活用した授業が多くの学生を対象とした形で実施されていることが明らかとなった。
表1 対象学年 学部/大学院 学年 回答数(%) 学部
(81.4%)1年 21.6 2年 15.7 3年 28.4 4年 15.7 大学院
(17.0%)修士1年 13.4 修士2年 2.2 博士1年 0.7 博士2年 0.7 不明・回答なし 1.5 図1 対象学生数
(2)授業の開講数およびコンピュータ利用回数
コンピュータを活用した授業の開講数(図2)については、15回以下の回答が全体の3/4を占める結果となり、その中で開講数が1回という回答が16.7% みられた。また、各授業におけるコンピュータの利用回数(図3)においても、利用15回以下の回答が約8割を占め、その中でも利用2回以下の回答が約2割を示した。これらの結果から、実際には、授業でコンピュータを活用していても利用頻度が数回にとどまっている例が少なくないことが明らかとなった。
図2 開講数 図3 コンピュータ利用回数
(3)コンピュータを活用している科目及びその具体的内容
コンピュータを活用している科目とその具体的内容について調査を行った。その結果、表1に示すように学部においては「講義」における活用が59.8%、「実習」における活用が27.7%、「その他」が12.5%となり、その科目内容としては「情報科学系の科目」及び「薬剤系以外の実習」における活用が14.3%と比較的多かった。一方、大学院では、表3に示すように「講義」における活用が70.6%、「実習」における活用が29.4%であった。その科目内容については「医薬品情報学実習・演習」が29.4%、「医薬品情報学」が23.5%であり、大学院レベルでは「医薬情報学」に関連した科目において情報教育がさかんに行われていることが示された。
各授業におけるコンピュータ活用の具体的内容について調査した結果(表4)、薬学分野における活用分類としては、「医薬品情報関係」(22.9%)、「医療薬学関係」(10.4%)、「コンピュータ操作関係」(18.2%)、「専門教育への利用」(21.2%)、「授業法への改善」(22.8%)、「その他」(4.7%)の6項目に大別された。具体的内容では、「教材提示・資料提示」の活用が13.4%、「医薬品情報検索」及び「コンピュータ基本操作の修得」に関する活用が11.9%と多かった。
表2 学部における科目内容 分 類 内 容(複数回答) 回答数(%) 講義(59.8%) 情報科学系の科目 14.3 医薬品情報学 4.5 薬剤学系の科目 7.1 医療薬学関連科目 4.5 化学系の科目 11.6 生物学系の科目 8.0 衛生系の科目 3.6 教養科目 0.9 演習科目 1.8 英語関連科目 3.6 実習(27.7%) 情報科学系の実習 4.5 医薬品情報学実習 2.7 薬剤学系の実習 6.3 薬剤系以外の実習 14.3 その他(12.5%) 実務実習事前指導 5.4 卒業論文作成等 3.6 その他 3.6
表3 大学院における科目内容 分 類 内 容(複数回答) 回答数(%) 講義(70.6%) 医薬品情報学 23.5 化学系の科目 11.8 生物学系の科目 35.3 実習(29.4%) 医薬品情報学実習・演習 29.4
表4 コンピュータ活用の具体的内容 分 類 内 容(複数回答) 回答数(%) 医薬品情報関係(22.9%) 医薬品情報検索(含、副作用) 11.9 文献検索 4.2 患者情報・薬歴管理 2.6 医薬品鑑別 1.6 保険調剤 1.0 処方解析 1.6 薬物速度論的解析 3.6 医療薬学関係(10.4%) TDM 4.7 輸液に関する計算 1.6 実務実習中の通信連絡 0.5 コンピュータ操作関係(18.2%) 基本操作修復 11.9 プログラミング 2.6 データベース作成 1.6 ホームページ作成 2.1 専門教育への利用(21.2%) シミュレーション 1.0 モデリング 2.1 計算機化学 3.1 データ処理 7.2 データベースの利用 1.6 インターネット情報の検索 4.7 測定機器の制御 1.5 授業法への改善(22.8%) 資料の入手 1.6 教材提示・資料提示 13.4 教材作成・資料作成 2.6 資料配布 2.1 メールによる課題提出・添削 1.6 メールによる質疑応答 0.5 成績処理 1.0 その他(4.7%) CAI 4.2 アンケート調査 0.5
(4)授業に使用している教材の内容
コンピュータを活用している授業で使用している教材については、「一般的パソコン用アプリケーション」を使用している例が26.8%と最も多く、次いで「自作教材」が14.6%、「市販医薬品情報データ集」が13.0%という結果であった(表5)。「自作教材」が多く見受けられた理由として、薬学教育に適した教材の供給不足の現状が考えられる。表6には「自作教材」の事例内容について示したが、その内容については、各教員の授業に対する工夫が色々となされており、利用価値の高いものが多いと思われる。
表5 授業で使用しているソフトウェア 内 容(複数回答) 回答数(%) 文献検索データベース 3.3 TDM関連ソフト 7.3 調剤業務市販ソフト 5.7 市販医薬品情報データ集 13.0 中毒情報データベース 0.8 分子モデリング及び計算機化学用ソフト 8.1 その他の専門科目に関するソフト 6.5 一般的なパソコン用アプリケーション 26.8 インターネットブラウザ 7.3 メールソフト 4.9 その他(国家試験問題ソフト) 1.6 自作の教材 14.6
(5)コンピュータ活用授業の経費
授業でコンピュータを活用する際の経費とその資金内訳について調査を行った。回答が得られたもののみについての分析結果(回答率:46.5%)であるが、かかった経費については図4に示したように、10万円以下の回答が全体の約半分を占めた。しかし、一方で経費が100万円以上かかった例も約1割みられた。
これら経費の資金内訳(重複回答有り)については、図5に示すように「研究費」、「校費」及び「補助金」をあわせると8割を越え、経費の多くは大学などの公的予算から支出されていることがわかった。しかしながら、一方では「私費」の回答も13.6%あり、一部では教員の個人的負担も無視できないことが明らかとなった。
図4 コンピュータ授業実施の経費 図5 経費の支出内訳
表6 自作教材の事例