文部科学省ニュース2
文部科学省は、去る8月下旬に平成14年度概算要求を財務省に提出した。
14年度の要求にあたっては、8月下旬に13年度予算を10%削減した上で、構造改革特別要求枠として、環境対策、少子・高齢化、地方活性化、都市再生、科学技術の振興、人材育成・教育、IT(情報技術)の7分野について20%を上限に増加要求を認め、IT戦略本部や総合科学技術会議など省庁横断的な内閣官房で9月下旬に10%程度まで絞り込み、その上で財務省に要求する2段階方式とした。ただし、特殊法人向けの予算は構造改革枠には含めないこととした。
その結果、文部科学省では、8月31日の第1段階で私立大学等経常費補助は、特殊法人である私学振興・共済事業団の所管と文部科学省の所管とを区分し、一般補助を1.3%減の2,225億4,900万円、特別補助を32.1%減の602億100万円とした。その上で事業団を通さないで、文部科学省が直接補助する「私立大学教育研究高度化推進特別補助」として572億円を新たに設けたが、9月下旬の第2段階の内閣査定により393億円に圧縮され、経常費補助全体では2.5%増、78億円増の3,220億円5千万円を要求することになった。393億円の内訳は、大学院高度化推進特別経費、学術研究推進特別経費、大学教育高度化推進特別経費で構成し、新規に大学院整備重点化経費、産学連携経費、サイバ−・キャンパス整備経費を設けての増額要求となった。
特に、注目すべきは、本協会が始めようとしているネットワーク上での教育連携事業(サイバー・キャンパス・コンソーシアム)の実現を支援する補助として、サイバー・キャンパス整備事業が要求されることになった。新設の私立大学教育研究高度化推進特別補助では、教育コンテンツの作成、ネットワーク維持管理など10億円を要求し、9月の段階で6億円の要求を行うとともに、マルチメディアの情報通信施設では1億円の要求、学内LAN等の情報通信装置では3億円、研究設備補助金では2億5千万円と四つの補助合わせて12億5千万円が新規要求された。
従来の特別補助としての「情報通信設備(借入)」は4億円増の107億2,600万円、「教育学術情報ネットワーク」は4億円増の56億100万円、「教育学術コンテンツ」は減額せずに前年度同額の29億3,300万円が要求された。さらに、「教育・学習方法等改善支援経費」は7億円増の34億5,800万円が要求された。買い取り補助としての「情報通信装置」は3億円増の19億5,700万円、「情報通信施設」は1億円増の15億6,500万円となり、増額分はサイバー・キャンパス整備費とされた。なお、1千万円以上の買い取りの「情報通信設備」はサイバー・キャンパス整備費の増額との調整により、1億1,200万円減の13億2,600万円を要求することになった。
本協会としては、文部科学省の概算要求に先立ち、6月に全国の私立大学、短期大学等を対象に情報関係の国庫助成希望調査を実施し、その結果を踏まえて私立大学側の要求をとりまとめ、7月下旬に文部科学省に要望した。特に、補助対象の拡大として教育研究専用の情報検索機器への適用と外国大学も含め、ネットワーク上で教育の連携を実現するサイバー・キャンパス・コンソーシアム事業への国の財政援助について強く働きかけた。
平成14年度情報関係文部科学省概算要求 単位:百万円
※ノートパソコンの貸与については、高等教育研究改革推進経費の内数として815百万円を要求した。