特集

授業改善奮闘記


アトラクティブな授業をめざして

福本 紘(梅花短期大学教授)



 私のWebページ(注) は、教育利用を主な目的として、各ページは簡素なものとし、CGI(Common Gateway Interface)はフリーウェアを利用し、費用をかけずにマニュアルとの格闘をして設置しました。内容は、公開部分(自己紹介、シラバス、授業と試験のやり方、履修登録前の質問箱、卒業生BBS[電子掲示板]など)と、受講生専用部分(授業ツールの解説、スケジュール、各教科単位のBBS、フォームメール、チャット)とから成ります。教材のダウンロードは、ページの書き換えが面倒なのでFTP(File Transfer Protocol)で行うようにし、アップ状況はBBSで告知しています。基本的に、長期の掲示はページとし、短期的で可変性のある内容や集団対象の指導にはBBSを、助言・励まし等の個別指導には携帯宛メールを使い、ページの更新や同じ内容の送信などの労力をできるだけ節約するようにしています。また、BBSやメール部分は携帯電話からもアクセスでき、私の携帯電話に書込・着信の通知が可能なCGIを使っています。こうして学生への「24時間受付体制」というか、可能な限り早く対応できるようにしました。BBSやメールでの対応やページの更新は、原則として大学から行いますが、都合によって自宅PCもかなり使います。この場合、職務行動でありながらその費用(機器・ISP経費、携帯電話料)のすべては私費です。自宅PC関係の費用は、職務と私用との区分を明確にするにはかなり難しい点があるでしょう。また、学生への返信を自宅から発信するときには、晩酌の量を減らさなければならず、これが一番つらいところです。

 講義では、A4判に規格統一したノート兼用のプリント、カラーOHP、VTR、PC投影などを使い、時には内線PHSでネット接続を行い、分かりやすいアトラクティブな授業を心がけています。板書は一切せず、モバイルを用いてワープロソフトからプリント内容と連動させてPC投影します。内容は板書では消えてしまいますが、この方法では修正と保存が教室ででき、再利用できる利点があります。この場合、学生がプリントと照合しやすくかつ見やすいように、字体はMSゴシック、印刷部分は一行の字数を保つために縦倍角、記入事項は4倍角としています。ファイルは各単元終了後、印刷不可のPDFに変換し、パスワードをかけ、書庫化してFTPにアップします。これは、ノートが遅れたり、欠席した学生への対応策です。印刷不可とするのは、板書と同じ環境を作るためと、文字が大きくそれだけ用紙を多く使うため資源節約という意味もあります。基礎演習ではBBSのほか、チャットも必要に応じて利用しています。卒業研究では、BBSで休暇中も学習報告をさせ、資料収集にはWeb、論文作成にはワープロ、レポートにはFTP、発表にはPowerPointを使わせています。ただ、講義資料のうち写真や図表類の電子化は、意外と手間がかかるので徐々に作成しつつ、これまでに作成してきたカラーOHPを中心として使用しています。この点で、担当教員が設計した様式で電子処理をしてくれる「授業研究支援センター」の必要性を説いていますが、予算・人員・技術力の面で、なかなかうまくいきません。

 情報通信ツールは、あらゆる業務の改善は勿論、学生とのコミュニケーションツールとして、またアトラクティブな授業の構築や多様な学習形態へと、その道は広く、夢が広がっています。しかし、現時点では、「ネット社会」と「紙社会」との狭間にあり、どちらにもつきあわざるを得ないのが現実です。それでも、私が行っているこのような簡易な手法が、数年後には本学では<ごく当たり前で最低限のこと>になるだろうと夢見ています。一方、ツールの発達に伴って「ネット市民としての学生」が行う「いま、ここでの判断力」の養成が大きな課題となるのではないかと考えています。

(注)
  http://www.baika.ac.jp/~fukumoto/



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