特集

授業改善奮闘記


英文法指導へのコンピュータ活用を考える

相川 由美(愛知学院大学短期大学部非常勤講師)



 コンピュータを用いた授業を始め1年半が過ぎようとしています。準備期間を含め、2年程度という短い期間しか経っておりませんので、まだ手探りで方法を模索しております。
 現在コンピュータで授業を行なっておりますのは、英語コミュニケーション学科1年次の「コミュニケーション英文法」という必修科目です。従来型の紙のテキストや黒板、教員の言葉で行ってきた解説をWebページに載せ、学生は授業中にそれを見ながら各自で学習するようなスタイルを採っています。1年半前までは、講義形式で英文法の授業を行っておりましたが、日々学生と接しておりまして、個別指導の必要性を痛切に感じていたのと、授業をどのように活性化したらよいかも切実な問題でしたので、解決策の一つとしてコンピュータでの取り組みを始めました。前述の方法だけでは普通教室での授業とそれほど違いませんので、コンピュータでしかできない活動には何があるのか考えた末、電子メールでの英作文やインターネット上から取ってきた英文を用いた文法項目の分析、キーパルとのメールのやり取り、こういった内容を行いました。コンピュータを使う場合の利点はなんと言っても、クラスサイズが比較的大きい場合でも、学生個々の興味や必要に応じての指導がしやすいことにあると思いますが、語学ことに文法ということを考えると、文法学習が文法知識の習得だけにとどまらず、実際のコミュニケーション活動に役立つものだという思いを学生に持たせるためにも良いのではと考えております。学生たちと接しておりまして、この点が実際の成果となって表れつつあるのを感じます。
 こういった活動を行ってはきましたが、私自身がコンピュータについてそれほど習熟している訳ではない状態でのスタートだったため、知らないことも多く、常にこのままでは駄目だという思いを持ちながらやってきました。自分自身のパワーアップを図るため、以前から所属している外国語教育メディア学会の研究大会や、中部支部で行われているメディア活用研究部会月例研究会に参加して実践報告を行ったり、他の先生方の取り組みからヒントを得たりしております。また、具体的なコンピュータの操作等に関しては詳しい人に尋ねたり、本を読みながらの独学で、日進月歩の毎日です。

 今までの授業での実践を振り返ってみると、一番の感想は「大変だ。」の一言に尽きます。普通授業よりも授業の準備や学生が行った活動に目を通すのに時間がかかるため、時折、なぜこういう授業を始めてしまったのだろうかと自ら苦笑することもあるほどで、目下、より効率のよい作業法を考えております。
 加えて、コンピュータの操作に不慣れであったり、元々英語が得意ではない学生はついていくのが大変なようですので、授業後個別に指導をしていますが、授業中にはどのように扱ったらよいのか頭を痛めております。学生のプライドをいかに傷付けずに授業に取り組ませるかということも大きな課題の一つです。
 このように、まだまだ問題が山積しており、授業前には今日は上手くいくだろうかと不安になったりもしますが、学生が楽しそうにパソコンに向かっている姿を目にすると嬉しくもあり、今後はWebページに音声や画像を載せたり、掲示板システムを使用するなど、学生間で双方向の学習を行えるような環境作りを計画しております。

E-mail:yumiai@rf6.so-net.ne.jp



【目次へ戻る】 【バックナンバー 一覧へ戻る】