語学教育における情報技術の活用
永田 善久(福岡大学人文学部助教授)
(1) | LaTeXを用いれば学術文書が要求するレベルにおけるテクスト処理・多言語処理の精密性が(文書の書き手がそれと意識しなくとも)自動的に実現される。 |
(2) | LaTeXはOSに依存しないし、その入力ファイルは単なる「テキストファイル」であるから、文書の互換性が保証されている。また単なるテキストファイルであるがゆえに、LaTeX文書ファイルに含まれる文字列の高次検索・加工等も極めて容易である。さらにLaTeXファイルはHTMLそしてPostScriptやPDFファイル形式との高親和性を有するため、Web上でも抜群のポータビリティを発揮する。 |
(3) | LaTeXでは地の文に「文書の論理構造」を記すコマンドをマークアップしていく方式を採用していることから、書き手は文書を視覚レベルではなく常に「論理レベル」で捉えることを要求され、これにより知らず知らずのうちに物事を論理的・明快・簡潔に表現する習慣と能力とを身につけていけるようになる。LaTeXはこのように、これを用いる者の知的精神の育成に、一見目立たないけれども深くて大きな好ましい影響を及ぼすから、広い意味での知育用ソフトウェアとしても優れているといえる。 |