私情協ニュース

第18回情報センター等部門研修会開催される


 本研修会は平成14年10月30日(水)から11月1日(金)の3日間、立命館大学衣笠キャンパスを会場として開催された。参加者はこれまで情報センター等部門を担当する教職員を対象に行われてきたが、今年度は図書館、AVセンター等の教育部門の教職員からの参加もあり、参加者数は139名(94大学、1短期大学、賛助会員4社)となった。
 「教育の情報化」をメインテーマとして講演と三つの分科会(「情報部門マネジメントコース」、「教育・研究支援コース」、「情報環境整備コース」)の形式で実施し、各大学でのこれまでの取り組みや抱えている諸問題について意見交換を行い、教育支援のあり方、支援業務の内容、今後の情報環境整備のあり方について討議を行った。


基調講演

「私学における情報ネットワークインフラの活用−これからの大学とセンター職員−」
講師:太田 雅久 氏(甲南大学理工学部教授)

 甲南大学の情報ネットワークインフラの構築と活用について、講演いただいた。情報ネットワークインフラを構築する際には、「長い時の尺度で見て大学とは何か?」という問題意識をもった上で構築することの重要性について強調された。


事例紹介

「青山学院大学新キャンパス構想」
発表者:濱中 正邦 氏(青山学院大学情報科学センター事務長)
 学園情報化の先進事例として、青山学院大学における新キャンパス(相模原キャンパス)事業について、情報インフラ整備および運用体制整備のポイントなどを紹介いただいた。


第1分科会:情報部門マネジメントコース

 システムやネットワークの管理を業務の中心としてきた情報部門も、今後は大学の教学理念に基づく教育の高度化や情報化を経営戦略的な視点から提言するなど「攻め」のできる人材の育成を目指すことが急務である。また、教育支援においては情報部門だけで推進するものでなく、学内他組織と連携を強めた新たなスキームが要求されるため、高い視点から学内を見渡し、柔軟な姿勢で組織に入り込める体制づくりも同時に行われなければならない。
 本分科会では情報部門スタッフの育成における問題点や学内における情報部門の今後の位置づけ、将来像について討議を行い、今後、情報部門における攻めのサービスを展開するうえでの方向性を理解することをねらいとした。情報部門のマネジメントに関わる討議が行われるため、例年同様、管理職の参加が多く、情報部門の今後のあり方を見出そうとする問題意識が顕著に現われていた。
 まず、武庫川女子大学からICカード導入プロジェクトで経験された学生サービスの向上を基軸とした業務分析・業務改革の取り組みについて、東洋大学から事務システムの変更と情報関係組織の再構築について紹介いただいた。次に、運営委員より「センター部門の存在意義とアウトソーシング」、「情報戦略と職員の育成」について問題提起・発題を行い、大学改革を進めるうえでの管理・運営の側面から情報センターの将来像をどう考えるべきかについて視点を提示した後、3グループに分かれて討議を行った。
 受身のサービスから攻めのサービスへの転換を図るために、建学の理念・学園の政策に照らして、今何を改革しなければならないか明確にするとともに、常に評価を繰り返して改善し、戦略的に学内外に向けて情報を発信する必要性がある、との共通認識を得た。


第2分科会:教育・研究支援コース

 本分科会は、メインテーマ「授業改革におけるITの活用と教職員一体の教育支援」をもとに開催された。e-Learningという言葉が近しいものとなってきた今日、教育の改革、とりわけ教育方法の革新には教育の情報化が不可欠である。各大学ともWBTなど教育支援ツールの導入など教育の情報化への取り組みが進んでいる。しかし、それらのツールの利用が一部のパワーユーザにとどまっており、拡がりを見せていないという現実がある。
 まず最初に、獨協大学、大阪学院大学から事例紹介いただいた。両校とも、ITの利用が拡がらないのは支援の体制が整っていないためであると結論づけ、コンテンツの作成など直接教育を支援する組織を立ち上げている。次に、コンテンツの作成において避けることのできない著作権問題についての本協会の取り組みについて、井端正臣私情協事務局長から報告があった。その後3グループに分かれて、授業支援に求められるサービスの内容、スキル、要員体制、学内組織間の連携、情報センターや図書館、AVセンター等の関係諸機関が教育支援の役割を担うための方策について討議した。
 グループ討議では、継続して支援活動を続けてきたところでは、多くのノウハウが蓄積され、その先に新たな取り組みが展望される一方で、これから始めるところでは、具体的な支援の中味、何から手をつけるのかという模索の段階で、支援の必要性については理解しつつも、情報センター、図書館や教務部などそれぞれの組織がどのような役割を果たすのかという展望を描けず、従来の縦割り組織のなかで立ち止まっているという現状もあった。個々の事例の中には、様々なヒントが提示され、支援の方法について理解を深めることができた。継続した活動の中でしか新たな発見がありえず、その後の展望が描けないこと、そして授業が個々の大学の財産であることを共通の認識として持つことができた。


第3分科会:情報環境整備コース

 教育の情報化が進む中で、センター等部門(組織)の存続意義は、ネットワーク運用技術、情報技術、コンピュータ利用技術の高度化を先導する部門、または情報化戦略を推進する組織へと変貌している。その中心的な役割として、先進的な情報化の企画、開発、技術ノウハウの蓄積、活用、供与、部門間の業務連携を通じて、「教育の情報化」を先導するコーディネータ力のある人材の育成、構成員の情報化に対する意識改革を行い、センター等部門の存在意義を再点検することが求められている。
 本分科会では、運営委員より「情報センターに求められるもの−情報インフラから教育支援まで−」について発題した後、立教大学より、「立教大学センター組織とV-Campusのご紹介」と題して、事例紹介いただいた。業務委託のメリット、デメリット等の紹介があった。参加者からは、業務委託する業者との契約(業務範囲、守秘義務など)などについて質疑があった。
 インフラ整備のあり方、センター組織のあり方、IT支援について、職員の一人一人の意識改革、現在抱えている問題と解決に向けての取り組みについて共通理解を深めることができた。


(文責:研修運営委員会)


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