特集−IT活用によるファカルティディベロップメントへの取り組み(2)
本特集は、前号(Vol.12 No.1)に引き続き掲載しています。
半谷 精一郎(東京理科大学情報科学教育センター教育部門長)
(2)どのような形でIT化が進もうとも授業のスピードは上げられない
図1 臭化メチルとアンモニアによる
Menshutkin反応の可視化
(上:反応前、下:反応後)
一方、コンピュータリテラシー、コンピュータプログラミングといった実習を伴う授業では、画面内に授業用のホームページと実習用のアプリケーションを表示させながら解説していく方法が一般的になってきました。中には、キーボードの解説や用語説明をFlashを利用して画像と音声で行うものなど、先生の熱意が表れているものもあります。
図2 入学式に行われた情報倫理の講演を
ストリーミング配信
2003年春に野田キャンパスに移転した薬学部では、研究者養成と薬剤師養成の二つの目的を両立するためにハードウェアとソフトウェア両面の基盤整備が行われ、最先端の薬学教育が行われはじめました。具体的には、
図3 学生の予復習を支援する講義のVOD化
1) | 全学生の2/3にあたる400口の情報コンセントの設置 |
2) | ノート型コンピュータ持参を義務づけ、リテラシー教育を行いつつ通常授業の課題・レポートの電子メールによる提出を促進 |
3) | ネットワーク利用の授業教材の提示と提供 |
4) | 高度教育用ソフトウェアのサイトライセンス化と持参コンピュータへのインストール |
5) | 最新の薬剤師業務を模擬できる医療薬学教育研究センターの設置 |
・ | グローバルWeb文献検索システム(Chemical Abstracts ServiceやMEDLINE等)の徹底的利用 |
・ | 計算科学手法(CAChe等)による分子の3次元構造の最適化、物理化学的パラメーターの評価 |
・ | 医薬品情報データベースJ-set(医療用医薬品集)の徹底的活用 |
・ | Evidence-Based Medicine(The Cochrane Library Web版 など)による医薬品評価 |
・ | 薬剤師業務支援システムによるシミュレーション学習 具体的には電子薬歴システム、服薬指導支援システム、調剤支援システム など |
・ | Therapeutic Drug Monitoring(PEDA、Win-PEDAなど)による投与設計の検討 |