文部科学省ニュース2
文部科学省は、去る8月下旬に平成16年度概算要求を財務省に提出した。
16年度の要求にあたっては、政府は公共投資の3%削減、省庁の判断で増減できる裁量的経費は2%の削減、科学技術振興費は前年同額、人件費等義務的経費の制度改革を含めた増加額の抑制などの概算要求基準の骨子をとりまとめ、公共投資、裁量的経費とも削減目標に対して2割増まで要求を受け付け、財務省査定の後、12月の政府予算編成で政府予算案が決定される。
これを受けて文部科学省は、私立大学等経常費補助金については、一般補助、特別補助、私立大学教育・情報化推進特別補助、私立大学学術研究高度化推進特別補助含めて、全体で4.7%増、150億円増の3,367億5千万円を要求することになった。
増額150億円の内訳は、生涯学習、個性化推進特別経費で30億円、特定大学院支援経費、法科大学院支援経費など新規要求を含む大学院高度化推進特別経費で74億5,100万円、学術研究推進特別経費で10億5千万円、前年度の特色教育拠点経費を廃止して新規に組み替えた教育機能基盤整備経費を含む大学教育高度化推進特別経費で15億円、高度情報化推進特別経費で19億9,900万円となった。
その中で、高度情報化推進特別経費は、15年度の204億5,100万円から9.8%増の224億5,000万円が要求されることになった。内訳は、コンピュータ、マルチメディア機器、通信機器などの情報通信設備の借入が前年度同額の110億円、ネットワークの通信費やセキュリティ関係費、データベース更新費などの教育学術情報ネットワークが56億100万円から60億円の3億9,900万円の増、電子教材の開発などの教育学術コンテンツが27億円から32億5,000万円の5億5千万円の増、ネットワークで大学連携するサイバー・キャンパス整備経費が7億円から12億円の5億円の増、e-ジャーナルなどの教育学術情報利用経費が4億5千万円から10億円の5億5千万円増として要求された。
また、大学教育高度化推進特別経費としての教育・学習方法等改善支援経費は、12億円増の51億5千万円が要求された。買い取り補助としての情報通信装置は、前年度同額の16億5,700万円、情報通信施設は、2億円増の16億6,500万円となり、増額分の1億円はサイバー・キャンパス分とされた。なお、1千万円以上の買い取り補助の情報処理関係設備は、サイバー・キャンパス分の増額2億6,500万円を含め前年同額の15億9,100万円が要求された。
本協会としては、文部科学省の概算要求に先立ち、6月に全国の私立大学、短期大学等を対象に情報関係の国庫補助希望調査を実施。その結果を踏まえ私立大学側の要求をとりまとめ、7月下旬に文部科学省に要望。特に、大学連携を推進するためのサイバー・キャンパス予算の増額をはじめ、教育の情報化の進展を加速させるためのコンテンツの電子化予算の増額、教育研究基盤として市販されているジャーナルやデータベースの増加に十分予算が反映されるよう増額を働きかけた。
以上は、私立大学を中心とした補助であるが、16年度では国公私立大学を通じた大学教育改革の支援として、特色ある大学教育等支援プログラム128億4,500万円の他に、産学連携教育、実務能力養成インターシップ導入教育、地域振興・活性化貢献支援事業、大学間連携等支援事業などの社会・地域・大学間の連携強化に75億1,500万円、ITを活用した教育研究支援事業として11億2,000万円が要求された。ITを活用した遠隔教育(e-Learning)に取組む大学のうち、先導的かつ効果的な取組みをe-Learning実戦モデルとして選定し、3年間継続的に支援する。
平成16年度 情報関係文部科学省概算要求 単位:百万円