私情協ニュース4

平成15年度 大学情報化職員基礎講習会報告



 平成15年度大学情報化職員基礎講習会が、平成15年7月8日(火)から10日(木)までの2泊3日の日程で、京都市の京都産業大学において、神山ホール等の施設をお借りして開催された。
 この講習会は、大学・短期大学の新入職員など比較的業務経験の浅い職員を対象として、大学改革を支える情報化の意義を理解し、情報技術を活用して教育支援に積極的に関与し得るよう、大学職員の資質向上に寄与することを目的としている。そのため日常業務の情報化をはじめ意思決定支援のための情報システムの構築と活用、大学・短期大学における情報化の動向ならびに基礎知識をテキストなどにより分かりやすく講習を行うことにしている。
 最近では、e-Learningに代表されるように、教育の情報化への取り組みが全国の大学において盛んに行われている。教育の情報化は、これまでの高等教育の問題点の解決、課題の克服など、大学改革の有効な手段として導入されつつある。
 こうした現状を踏まえつつ、大学職員として必要な情報化に関する基礎的な知識(情報化の意義、推進のための機能、基盤環境、情報の取り扱いなど)を正しく認識し、日常業務に取り組むことが求められている。
 このような状況から、本講習会の意義は多くの大学から賛同を得ており、今年度は全国108大学5短期大学合わせて221名の参加者があった。
 これまでの講習会は、参加者全員が同一のホテルに宿泊する合宿形式の講習会であったが、本年度は参加者が個別に宿泊を手配し講習会場に出向く通学形式の講習会に変更して運営した。これは、会場校近辺からの参加を容易にするために変更したものである。
 この講習会の運営は、研修運営委員(大学職員)が中心となって、テーマ別の講義を受け持ち、テキスト以外に大学における事例も紹介しながら進められる。各講師は、所属大学で大学情報システム構築や推進役の経験があり、その豊富な経験を活かした熱心な講義が特徴である。
 講習会初日には、各講師の講義に先立って、参加者の問題意識高揚のため、南 雄三氏(研修運営委員会委員長・獨協大学情報センター次長)より、「社会の期待に応えるために、今、大学は何をするべきか?」と題して、講習会の趣旨説明が行われた。説明では、これからの大学が果たすべき使命や職員の役割について共通理解を持つことが重要であると強調された。また、大学教育に何が足りないか、社会に期待される大学と職員の役割等について触れられ、世の中の状況を把握し、「今がチャンス」という常に前向きな姿勢を持つことが重要であると結ばれた。
 基調講演の後、全体講義では、濱中正邦氏(青山学院大学事務局次長)から「大学情報化の意義」と題し、青山学院大学の新キャンパスの事例を踏まえ講義が行われた。
 全体講義終了後、恒例になった懇親会が、神山ホールロビーにて盛大に開かれ、人的交流が活発に行われた。
 講義2日目午前は、情報技術を活用した教育支援の先進事例紹介と、教材作成時における情報の取り扱いについて特別講義が行われた。最初に高橋 誠氏(大阪学院大学庶務課メディア係課長代理)からは「大阪学院大学における教育支援への取り組み」と題し、教育支援体制や環境などについて事例発表が行われ、大学における教育支援の進め方についてアドバイスをいただいた。また、水島章次氏(中部大学学術情報センター長)からは、教材作成時に留意すべき権利上の問題や情報の保護などについて、中部大学の事例を踏まえて講義いただいた。
 午後からは、グループ別に分かれ、杉町 宏氏(立命館大学キャリアセンターBKC課長)、浅見光男氏(東京電機大学校友会事務局長)、石丸勝也氏(山梨学院大学電算機センター課長)の3名の講師により、大学情報化推進のための組織・体制、情報基盤環境整備のあり方、大学における情報資源の取り扱いについて、基本的な考え方・留意点などについて解説された。
 全体を通じて、参加者は熱心に受講し、大学改革を進める上で、情報化が非常に重要であることを認識し、大学改革は教員と職員が一体となって進めていかなければならないという意識改革につながったと好評であった。
 最後に、事例発表にお忙しい中ご対応いただいた先生方、また、校務のお忙しい中、講義の準備をしていただいた講師の皆様に心から感謝したい。なお、今後もより満足度の高い講習会を目指して、今回の講習結果や参加者アンケートを踏まえて、研修運営委員会で検討し、内容をさらに充実させたいと考えている。そのために、今後とも関係各位の積極的な参加と成果を高めるための提言を期待したい。



講義概要

1)大学情報化の意義
 担当:濱中 正邦 氏(青山学院大学事務局次長)

 全体会を踏まえて、これからの大学における教育改革を情報化の観点からどのような工夫をして取り組むことが望ましいか、青山学院大学の新キャンパスの事例を中心に、大学戦略としての情報化の役割や教育研究支援のための情報武装モデルについて、その意義、背景、方向性を大所高所から解説した。


2)情報化推進のための組織・体制
 担当:杉町 宏 氏(立命館大学キャリアセンターBKC課長)

 教育研究活動を推進するために職員としての取り組み方として、情報化戦略の企画・立案方法、全学的な情報化の進め方、教育研究への職員の関わり方、職員に求められる情報スキルなどについて、基本的な考え方を解説した。


3)情報基盤環境整備のあり方
担当:浅見 光男 氏(東京電機大学校友会事務局長)

 大学におけるこれからの情報システムの形態と整えるべき機能、情報システムの運用管理のあり方や補助金などの外部資金の活用などについて、情報環境基本調査の中間分析結果を参考に解説した。


4)大学における情報資源の取り扱い
 担当:石丸 勝也 氏(山梨学院大学電算機センター課長)

 情報を取り扱う上での様々な留意点について、教材の電子化を進める際の注意すべき問題やネットワーク利用上の情報倫理、学生情報管理と保護等をキーワードに解説した。

(文責:研修運営委員会委員 東京電機大学 浅見 光男)



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