特集 教育ミッションとIT化
大学の学部学科の新設や改組などが容易になったことに伴い、各大学が有する教育理念や建学の理念をどのように教育で実現しようとしているか明らかにすることが求められています。また、大学での学習プロセスでは、「実感を通じての理解」という初期プロセスが重要です。しかし、近年の大学教育、とりわけITを活用した教育においては、単なる「内容の伝達」という形式的なプロセスのみが達成され、もっとも基本となる「板書を写す」などで達成される「実感」プロセスをどのように実現すべきかさえ見落とされる場合があります。1) | 学部の目標を「人間理解」に置き、人間存在そのものに対するより深い洞察と多面的理解に結びつく総合的な研究と教育を可能とする。 |
2) | 社会福祉の大きな転換期にあって、従来の社会福祉の枠を超えた新しい福祉制度の構築と援助技術の開発を図り、時代の求める人材の養成と供給への期待に応える。 |
3) | 時代的・社会的養成に応えうる人材養成を可能にするための教育課程を開拓する。 |
4) | 内外の専門教育機関、福祉サービス機関、行政との交流により新しい時代にふさわしい開かれた大学の実現を図る。 以上の考え方をもとに、カリキュラムの編成にあたっては次のような特色を持たせています(図1)。 |
図1 人間福祉学部構成図
ア) | 豊かな人間性を育み、人と社会の多面的な理解を目的とする科目を「人間理解基礎科目」、「自己実現・自己表現関連科目」及び「専門基礎科学科目」等の科目群に配置し、また、専門的知識・技術の習得と応用力を身につけることを目的とする科目を「専門基幹科目」、「専門科目」及び「実践・統合科目」等の科目群に配置しました。 |
イ) | 入学時から卒業時までの4年間を通して、 主体性と判断力を養い基本的な学習能力を身につける演習科目と、理論学習に基づく実践体験とフィードバックによる学習を可能にする配属実習と実習指導の科目をそれぞれの段階に対応させて配置しました。 |
ウ) | 今後の福祉領域の拡大を視野に入れ「人間福祉」の実現を目指して人間福祉学科と健康福祉学科に各3コースを設けました。 |
<人間福祉学科>
対人援助コース:ヒューマン・サービスの視点に立った福祉実践の研究と人材養成
福祉政策コース:総合政策の視点に立った生活支援の研究と人材養成
福祉教育コース:住民参加の視点に立った福祉教育の研究と人材養成
<健康福祉学科>
健康心理コース:健康心理学的知見と精神保健福祉実習のあり方に関する研究と人材養成
介護支援コース:生活の質を高めるための介護支援の開発と介護予防に関する研究と人材養成
福祉健康マネジメントコース:健康福祉情報のシステム化と福祉経営に関する研究と人材養成
エ) | 福祉先進国における専門職養成校や放送大学との単位互換制度の導入、公開講座の開催、福祉現場職員との交流や学習・情報交換の場の設定により、教育研究の促進を図っています。 |
(2)国家試験対策講座
図2 e-Learning授業コンテンツ例