教育支援環境とIT
(3)遠隔講義システム
図1(a)Web学習支援システムの授業一覧画面 図1(b)各授業ごとの内容・計画画面
「いつでもどこでも」学べる通常のe-Learningを大学の正規の授業で実施するためには、学生に強い学習意欲が必要です。そうでないと学生は試験の直前に慌てて知識を詰め込むだけで、学習効果は上がらないことになってしまうからです。また、実施するための組織や制度を整える必要があり、多額の予算も必要です。本学では、手軽に実施できるe-Learningとして、「集合型e-Learning」とでも言うべき形態を実行しています。これは通常の講義形式の授業で、先生が講義する代わりに前もって用意した授業コンテンツに学生をアクセスさせ学習させる形態です。授業時間が来ると学生と先生はPCのある教室に集まり、学生はPCに向かい、自らの意欲と自らのペースで学習を始めます(怠惰な学生は一つの部屋に集められて強制的に学習させられると思うかもしれません)。先生は講義をする必要がないので学生の間を巡回し、個別に質問に答え、個別に指導します。時には重要なポイントを黒板で説明したりします。進度の早い学生は、一定の範囲の学習が終わりしだいに学期の途中でほぼ1ヵ月ごとに行われる修了テスト(期末テスト相当)を受け、次の高度の学習に進むことができます。遅れている学生や成績の悪かった学生は次回に同じ範囲のテストを受けられますので、マイペースで勉強でき、しかも何度もテストを受けられるということで、学生は喜んでいます。最終評価の成績も講義形式のときに比べて格段に良い結果が出ています。この形式のe-Learningを実施するには、受講学生数だけのPCのある教室があることと、先生が自分の講義内容をe-Learningコンテンツに仕上げることが必要です。通常のe-Learningではコンテンツを専門家に外注して多額の費用をかけて作るようですが、それは必ずしも必要ではありません。先生の熱意が感じられる手作りのコンテンツのほうが学生を惹きつけるようです。ホームページ作成ソフトを使えば、ワープロ+αの知識でPowerPointとビデオを同期させたコンテンツでも簡単に作ることができます。組織もいらず費用もかけないで、手軽にできるe-Learning形態として読者の皆様にお勧めしたいと思います。
図2 e-Learningのメニュー画面
(Internet Navigwareを使用)図3 e-Learning教材の一例
文責: | 吉備国際大学授 |
教育開発センター教 錦織 毅夫 |