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日本医科大学情報科学センター講義支援システム「JENZABAR(ジャンザバー)IMS」導入事例


 日本医科大学情報科学センター施設長の伊藤高司助教授よりお話しをいただきました。

 教育へのITの活用は大いに期待され、近年は授業資料をホームページで公開することも始まりました。しかし、毎回の授業にホームページを更新するには、実は、かなりつらい作業です。インターネットで更新が途絶えてしまった多くの授業ホームページが見つかるでしょう。使いやすいe-Learningシステムが必要な理由でもあります。
 Jenzebarはまったく地味なシステムですが、授業スケジュールに合わせたホームページ公開や手持ち電子資料の配布の容易さに、これなら一般教員も学生も簡単に使える、と直感し大きな魅力を感じました。
 さて、皆に広める前に、とりあえず自分の講義(情報科学演習)でJenabarを用いました。
 ブラウザーでのJenzabarの主画面は決して大きくはない。狭い、と言ってよいでしょう。 ここに授業のコア(核)となる用件のみを簡素に書かれるべきとの設計思想と感じられました。良いPowerPointプレゼンテーションと同様です。
 「講義」を開設し、授業第1日目の「シラバス」を作ろうとすると、メニューからは、“質問/検討課題の指示”、“リーディングの指示”、“課題の指示”、“ケーススタディの指示”“実験の指示”、“テスト/課題の指示”の順に項目が出てきます。日本の授業の発想では、“課題の指示”、“実験の指示”が最初に出てくるでしょう。Jenzabarでは“質問=問題提起”が最初でした。
 近年、医学部では「ハーバード流教育」が関心を持たれており、教員は解決すべき問題を提示し、学生はその課題の解決力を養うことが重視されます。この過程では教員と学生の討議が欠かせません。Jenzabarでは正にその通りの仕組みとして “授業ディスカッション”が電子掲示板として組み込まれています。現実の授業形態に即して電子ディスカッションの必要があり、単に技術があったから付けたわけではないようです。
 残念ながら日本での授業は、“ディスカッション”は根付いておらず、私の授業でも、機能紹介でとりあえず学生は楽しむが、本当に活用する場面を作りだすことはできませんでした。
 今日まで、日本の大学の授業は教員に恣意的に任せられてきました。その分、一般教員にとって授業の構成についてはあまり意識されずにきたのではないでしょうか。プレゼンテーション技術は経験で上達するとしても、授業の構成を明確化する作業はまた別でしょう。
 長年似たような授業を繰り返していると、講義の流れは教員の体に染み付いてはいても、その日の授業の核については、意外と明確に意識することが少なくなります。ハーバード大学での経験を基に対面授業支援システムとしてできあがったJenzabarのゆるやかな枠組みに自分の授業を乗せる作業をするうちに、授業に客観的な構造を持たすことがしやすくなった気がします。
 Jenzabarについては、医学部で頻繁に用いる大きな画像を楽に扱うことができないなどの不満も一部にありますが、是は別に運用でカバーできる問題であり、本システムは“ハーバード流”の授業の精神を体験できるシンプルな基盤として高く評価しています。

問い合わせ先
丸善株式会社 学術情報ナビゲーション事業部
営業企画室
Tel:03-3273-3572 Fax:03-3273-2124
E-mail:jenzabar@maruzen.co.jp


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