さて、ビデオ撮影には二つの方法があります。一つは受講生が撮影する方法です。この方法では、撮影者がどのような意図で撮影したかも議論の対象となります。前述のように、人は観ようとするものしか見えません。実習をライブで観察すると、全員がそれぞれ自分の意図に基づいて360℃を自由に観ることができますが、ビデオカメラで広く撮影した映像は被写体が小さく、何をしているのかがわかりにくくなります。そこで撮影者は、限られたエリアを大きく撮影する必要に迫られます。このとき、どの場面をどのように撮影するかの判断に、その人が何を観ようとしているのかが反映されます。このビデオ映像を受講生がそれぞれ観察するとき、「なぜ、こんな撮り方をしたんだろう?」と考えることが、他者との共感を試みるきっかけになると考えます。他方、コーチングに見識を持った人が撮影すれば、その撮影の仕方を分析することが勉強として位置づけられます。また、一つの実習を複数で撮影すれば、それぞれの映像を比較観察し、観点の違いが明確になるでしょう。
図 e-classを利用した授業の流れ
参考文献 | |
[1] | Andreas Kosel:Schulung der Bewegungskoordination. Verlag Hofmann Schorndorf, p.10m, 1992. |
[2] | 田附俊一:フィットネスプログラムとして実施している46のUbungsformen(練習形態)の検討. 同志社保健体育, 第39号, pp.37-59, 2001. |
[3] | 田附俊一: デジタルスポーツ・運動形態(Ubungsformen)データベース. 同志社保健体育, 第42号, pp.55-96, 2004. |