私情協ニュース3
平成17年度 全国大学IT活用教育方法研究発表会
平成17年度全国大学IT活用教育方法研究発表会は、「全国の国公私立大学・短期大学教職員を対象に、教育改善のためのIT活用の振興普及を促進・奨励し、その成果の公表を通じて大学教育の質的向上をはかる」ことを目的として、平成17年7月2日(土)にアルカディア市ヶ谷(東京、私学会館)において開催された。今年度の参加者は174名(88大学、16短期大学、賛助会員3社)で、発表会は第1次選考も兼ねて100件の研究発表が行われた。当日に発表された内容は以下の通りである。
その後、第2次選考会は9月3日(土)に行われた。選考結果については11月25日(金)の当協会の臨時総会にて発表する予定である(第2次選考結果は次号に掲載)。
Aグループ
A-1 |
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ウィルス検疫システム導入による情報セキュリティ教育 |
千葉科学大学 瀧澤 毅氏、栗田 勝美氏
学内ネットワークの高セキュリティを目指したシステム構築と情報セキュリティ教育の報告である。外から持ち込まれるノートPC等に対して電子証明書の認証を行い、サーバへのアクセスを管理するシステムを構築した。また、これと平行して情報セキュリティ教育を施した。導入後にウィルス検知の件数が大きく減少したことが報告された。
A-2 |
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CMSによるインターアクションを活用した情報工学リテラシー教育の試み |
神奈川工科大学 鈴木 孝幸氏、松田 三知子氏
自習の促進やノートPC使用の動機づけなどを目的に、学生と教員のコミュニケーションツールとして導入したCourse Management Systemの教育効果報告である。授業アンケートの結果から学生への素早いフィードバックの重要性などが指摘され、授業理解、ノートPC活用意欲の向上が見られたことが報告された。
A-3 |
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情報リテラシー教育におけるeラーニング科目と対面授業科目のシナジー効果 |
神田外語大学 中山 幹夫氏、吉永 耕介氏、井谷 荘太郎氏
情報基礎力を教えるWBTを導入するとともに、これによる学生の能力を前提にした対面授業を実施してその教育効果向上を図った報告である。対面授業では、学生が自主的に使用ソフトを選択し、使い方を身につけることを教育方針とし、操作教育を排除した。これにより学生は応用力を身に付け、シナジー効果が明らかになったとの報告があった。
A-4 |
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PBL(Problem Based Learning)による問題発見解決型情報教育 |
甲南大学 井上 明氏
問題発見型教育方法(PBL)を情報教育へ適用しようという提案である。電子教材の作成を課題として提示し、グループ学習形式で教材の内容、対象とする科目などを検討させ作成させた。アンケート評価の統計分析から問題発見、自己学習、リテラシー、対人技能について従来型とPBLでは学習効果に有意な差があることが報告された。
甲南大学 鳩貝 耕一氏
日本語の文章作成能力を身につけさせることを目的にWBTによる教材を作成し、学生の自習に供した報告である。文章構築の各ステップの入力情報をすべて記録するとともに、ステップ間を自由に行き来できるように工夫した。授業で使用することにより、ユーザーインターフェイスや機能の改善などを行ってきたことが報告された。
A-6 |
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UNITeS国連ボランティア実習を通じた総合情報教育プログラムの開発と評価 |
関西学院大学 吉野 太郎氏、豊原 法彦氏、村田 俊一氏
開発途上国のデジタルディバイド解消を目的とした国連情報技術サービス(UNITeS)に学生・院生をボランティアとして派遣するプログラムの2004年初年次の実施報告である。対象国スリランカへの派遣学生3名の選考方法、事前研修、派遣先と学生のマッチング、派遣時のフォローアップ、現地での学生達の実践内容等が報告された。
A-7 |
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講義整理ノートとeラーニングとの連携による授業と学習効果 |
岡山理科大学 宮地 功氏
授業内容の閲覧と小テストが可能なWebベースのeラーニングシステムを作成し、これに授業外での紙ベースの講義整理ノートを併用をさせることにより、授業理解の向上と予習・復習の取り組み向上を図った報告である。統計分析により平均学習時間の増加、試験平均点の増加、および学習意識の変化が30項目にわたり報告された。
A-8 |
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表計算ソフトの実習講義における割合学習の重要性 |
神戸海星女子学院大学 樋口 勝一氏
表計算ソフト(Excel)で計算式の作成などを教える授業の前に、座学による割合に関するドリル学習を行うことにより、その後のExcel理解が向上したことが報告された。割合に関する各種レベルの設問とExcelの数式表現の設問に対する正答率の相関から、割合の理解とExcelの理解に正の相関のあることが報告された。
A-9 |
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楽しく簡単に身に付きすぐに使えるObject指向言語指導法 |
流通科学大学 小無 啓司氏
リテラシーを学習した程度の学生に、オブジェクトの概念を教える段階になると、学生の学習継続への挫折感や興味の減退が問題となった。これを回避する目的で、学生作品をアーケードのスクリーンに投影・展示した実践報告である。作品はScript言語により動画として作成した。学生の学習理解と意欲向上に寄与したことが報告された。
A-10 |
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ハイブリッド型英語教育−e-Learningと対面型教育の相乗効果 |
大手前大学 竹鼻 圭子氏、森本 雅博氏、西村 道信氏
学習モチベーション向上を図った新たなe-Learningシステムの開発と対面授業を併用した授業の報告である。作成したe-Learningシステムは授業のポイントの説明、表現用法を教える「もばリッシュ英語」、ヒアリング学習、練習問題が可能なものとして作成され、対面授業との連携で学習者、指導者とも満足度の高い授業が成立したと報告された。
A-11 |
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学習環境としてのウェブサイトを用いた効果的な英語指導の試み |
東洋英和女学院大学 竹下 裕子氏
各授業毎に容易にWebサイトを構築できる環境を開発し、特に語学系の授業での情報発信と教員や学習者の協同によるコンテンツ作成・追加を可能とした。英語以外にスペイン語の授業でも活用されている。
A-12 |
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自律的な読み手を育てるWebアプリケーションの開発 |
上智大学 水野 邦太郎氏
英語テキストの多読を通じてリーディングの能力を育成するために,Web上で学習者が相互に情報交換し競い合うフォーラムシステム(Interactive
Reading Community)を開発・運用した報告。多読学習を進める顕著な効果が見られた。
A-13 |
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ホームページを活用した共同学習を重視した英語教育 |
同志社大学 北尾 謙治氏
教授者が課題や教材をWebで公開するとともに、学習者が各自の英作文や学習日誌をWebに公開し、相互に評価し合うことで学習を促進した。英作文能力の向上を自覚させ、学習意欲を高め、学習者の満足度も高かった。
A-14 |
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学生参加型英語版ウェブサイトの作成および配信−日本語スラング語録− |
戸板女子短期大学 北村 弥生氏
コラボレーションによるコンテンツ作成を学ばせることを目的に、画像や音声、文字で日本語のスラングを解説するWebコンテンツを制作・公開させた。制作過程と議論を通じて協同作業の改善をみた。
A-15 |
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DVD映画を用いたユビキタス・ロールプレイCALLシステム |
大谷女子大学 大倉 孝昭氏、山本 淳子氏、渡邊 容子氏
市販の映画DVDのセリフのテキストと映像・音声を連動して操作できる学習支援システムSMILEforMEを開発し、授業で運用した。教材スクリプトを作成する作業や、DVDの音声を映像と同期させ置き換えて発音練習をする英語学習を実践している。
A-16 |
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使える英語力を養成する総合的英語CALLシステムの開発とその評価 |
文京学院大学 |
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竹蓋 幸生氏、与那覇 信恵氏 |
千葉大学 |
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高橋 秀夫氏、土肥 充氏 |
大阪大学 |
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草ヶ谷 順子氏 |
英語学習指導理論の検討から包括的指導システム(3ラウンドシステム)を構想し、それに基づく英語教材を開発した。緻密に構想されたシステムに対応して多種多様のCD-ROM教材を網羅的に開発し、多数の教育機関で顕著な学習効果を上げている例が報告された。
A-17 |
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文学概論・文学購読におけるIT技術の活用−『画像と文学』− |
獨協大学 伊藤 幸次氏
eラーニングシステムを独自開発し、文学の講義資料の配布・提示に活用している。著作権上の問題を回避するために、課題ごとに異なるアクセス制限をかけるなどの工夫をした。特に映像資料の配布・提示に効果を上げており、受講者の評価も高い。
A-18 |
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時事英語チャット:授業内のオンラインディスカッション |
熊本学園大学 米岡 ジュリ氏
日本人学生の英会話に対する苦手意識を解消するために、チャットシステムを利用して英語ディスカッションを行っている。匿名でチャットを行うことで積極的に発言する姿勢を身につけ、英語能力の向上に結びついている。英語クイズに答えることで、チャット用パスワードを取得するなどの工夫もしている。
A-19 |
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テレビ会議を取り入れた交流型外国語授業の試み |
慶應義塾大学 倉舘 健一氏、Nicolas Gaillard氏
フランス語の初級者を対象とした授業に、フランスとのテレビ会議を組み込んだ試みである。情報インフラ、フランス側教員の確保、時差などの問題点はあったが、これらを克服して実施に臨んだ。準備段階では、マルチリンガルBBSやビデオチャットシステムなどを利用して日仏で交流できるようにした。今後は、教授業の確立、授業の位置づけ、教員の役割、評価方法、効果測定などを課題としてあげられた。
A-20 |
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個人PCをサーバにする自動採点e-Learningシステムの開発 |
名古屋外国語大学 松村 保寿氏、徳本 浩子氏
サーバ構築、ネットワーク管理、非常勤講師や学生の自宅への配信のためのインフラ整備など、e-Learning実施における問題を解決するため、モバイルサーバによるe-Learningシステムを開発した事例である。モバイル性以外に、HTMLエディタを使った教材やテストの作成、自動採点、学生の提出物の個別管理、クラス全体のデータ管理などの機能も備えている。
Bグループ
B-1 |
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SIEMアセスメント尺度によるプログラミング入門教育の客観的評価と改善 |
東京電機大学 土肥 紳一氏、宮川 治氏、今野 紀子氏
講義と実習で構成されているプログラミング入門教育において、学生のモチベーションに注目し、これを客観的に測定するための方法であるSIEMを開発し、学生のモチベーションを標準化したSIEMアセスメントを尺度作成した。これを利用して学生のモチベーションを分析することができるようになった。
B-2 |
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Web利用による授業の効率化、学生の対話・他者理解・自己理解の促進 |
東京工科大学 奥 正廣氏、千種 康民氏、中平 頼孝氏
授業の教育・事務的作業の電子化による効率化、授業の教師ー学生間および学生間のコミュニケーションの促進、集積された履歴情報の確認に伴う自己理解の促進にWeb(PukiWki)を活用した結果、授業時間外の連絡や作業が容易になり授業の高密度化が可能になり、コミュニケーションの促進や自己理解の深まりが見られた。
B-3 |
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オープンソースの課題提出・採点支援システム |
東京理科大学 菊池 靖氏
演習授業での課題の提出のオンライン化と、提出された課題のオンラインでの採点・集計をWWWベースで行えるシステムを試作した。課題提出システムには、学生登録、課題提出、課題提出確認の機能があり、課題評価・採点システムには学生毎の課題提出状況確認、課題毎の提出状況・評価採点、受講者の課題提出状況及び課題合計点一覧機能がある。
芝浦工業大学 松浦 佐江子氏
コードレビューとテストプログラムを用いたプログラミング演習の評価方法の提案であり、その方法の特徴は次の3つを行うことにある。1)レポートを電子的に管理、2)基本的なテストプログラムを用意し、テストを自動化し効率よく均一に評価、3)直接対話によるコードレビューにより、学生の理解度の判定、学生の79%がこの審査方式を支持している。
B-5 |
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動きで探る微分積分の授業法と学生の感動について |
日本大学 山本 修一氏
IT活用教育の本質は学生に学ぶ喜びを実感させることにある。これこそが本報告のメッセージである。すなわち、ITに基づく数学の授業法を実践して、アニメーションなどを通して、その動きを見せることによって理解の促進を図った。授業評価アンケートによれば、本取組みによって学生は学びたいという動機づけを持った。
B-6 |
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ブラウザ搭載携帯端末を利用した授業出席登録・管理の改善及び授業活性化の実践 |
帝京大学 |
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熊沢 弘之氏 |
株式会社アルプス技研 |
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海野 崇生氏 |
ブラウザ搭載携帯端末による授業支援システムを開発し、これを運用した実践報告である。本システムは、出席登録、アンケート、小テストなどの機能を有する。これらの運用によって種々の効果があがった。たとえば、授業における携帯を用いたアンケートの効果を授業評価からみれば、非常に役に立つとする回答が大勢を占めた。
麻布大学 荻原 利彦氏
大学・短大等の公設サーバでは教員独自のIT活用教育を展開し難いケースが起こり得る。本報告は、この問題に対して一つの解決策、つまりパーソナルWebサーバ構築を提案した。テキストなど学外からの閲覧でも問題がないものは大学ホームページ内に置き、動画コンテンツなど容量の大きいもの及び公開に注意が必要なものをパーソナルWebサーバに置いている。
B-8 |
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個人情報保護に配慮した携帯電話を用いた授業支援システムの開発 |
北海道工業大学 |
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岡崎 哲夫氏 |
酪農学園大学 |
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遠藤 大二氏 |
株式会社HBA |
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山野 孝則氏 |
学内LANとは独立なネットワークに携帯電話からの接続するサーバを個人情報を持つ大学内サーバへ限定的に接続するように配置したシステムを用い、携帯電話による出席管理機能と小テスト実施機能を持ったシステムを作成した。このシステムの利用により個人情報管理の安全性を維持しつつ授業の効率化を図ることができた。
四国大学 辻岡 卓氏、山本 耕司氏、村井 礼氏
学生の表現力向上と授業の活性化を目的とし、各学生の発表に対して他の学生が評価・コメントを述べ、それを発表者が閲覧できるWebベースの学生の相互評価システムを構築・運用した結果、プレゼンテーション能力の向上、授業参加意識が高まり、主体的学習による気づきの効果が見られた。
福岡女学院大学短期大学部 メイヨー デビッド氏
インターアクティブ教材・掲示板・課題提出フォーム・毎日変わるページなどを統合したWeb型CALL(Mission CALL)を開発した。利用制限、拡張制限がある市販のCALLシステムに対して、このシステムは独自性と柔軟性に優れたシステムを目指した作成された。
B-11 |
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リアルタイム授業評価システムとミニ試験システムの併用による多角的な授業評価 |
東海大学福岡短期大 |
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八尋 剛規氏 |
長崎県立大学 |
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大塚 一徳氏 |
携帯電話からもアクセスできるミニ試験および授業評価システムを開発し、これを運用した実践報告である。本取組では、毎回の授業においてミニ試験と授業評価を行った。授業評価は、ミニ試験導入によって理解度が上がったことを示した。なお、ミニ試験システムは学生がいつでも実施できる機能も有する。
B-12 |
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Wfsection2に基づくe-learningサイトの特徴と効果 |
東海大学福岡短期大学 伊津 信之介氏
Wfsection2によるe-learningサイトの構築およびその利用に関する報告である。報告者によれば、Wfsection2を使えばコンピュータ操作に習熟していない教育者でも独自のe-learningサイトが開発できる。さらに、Wfsection2のようにオープンな環境下でe-learningサイトを作成することによって、作成者間の交流が活発化する。
B-13 |
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不得意科目にe-learningを活用した復習システム |
近畿大学 木村 隆良氏
理工学部の授業科目「物理」の復習システムの構築および運用に関する報告である。本取組について特筆すべきは、毎回の講義を収録しその日のうちにストリーミング配信していることである。本システムは、この他に、講義板書内容、課題とその自動採点、掲示板による質問などの機能を有する。学生は土、日曜日までシステムを利用しており効果があがっている。
B-14 |
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学生の自主学習と遠隔講義に対応した教育コンテンツシステムの開発と活用 |
武庫川女子大学 |
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小野 賢太郎氏、岡田 由紀子氏、濱谷 英次氏 |
三菱電機株式会社 |
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阿倍 博信氏 |
講義時間外以外の自主学習に利用できる録画授業の再視聴等の多様な教材の要望が多くなってきていることから、教員が講義映像を簡単に編集するツールおよび映像に同期して注釈を簡単に付加できるツールを開発し、それらを使って教材を開発する人的なサポート、配信するサーバの整備とネットワークの補強を行った。
B-15 |
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構成主義型知識活性化ネットワーク「アルケアルコ」の開発と実践 |
京都造形芸術大学 矢野 一輝氏、新川 健一氏、田中 基紀氏
メール、BBS、ファイル共有などによる学習コミュニケーション支援に加え、学習者の興味や関心をキーワード化し、キーワード同士をメタデータ付きでリンクできる機能を含むネットワークシステムを開発した。このシステムを用いることによって、学習者個々人の多様な興味からつながる能動的学習が発生した。
B-16 |
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インスタントメーッセージングツールを使用した授業時間外教育の試行 |
大阪国際大学 小林 正樹氏、植松 康祐氏
出講日の限られている非常勤講師は、学生からの質問や課題提出に関して連絡がとりにくい傾向がある。そこで、インスタントメッセージングツールを利用してチャット、ファイル転送、URL指示、リモートアシスタント機能を活用し、コミュニケーションを取りつつ課題提出を行う時間外教育の方法を試みている。
B-17 |
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大規模講義での教育支援システム活用の効果測定−自学自習と授業アンケートの実証分析− |
名古屋学院大学 児島 完二氏
多人数講義へのインターネットに基づく教育支援システムの適用およびその効果に関する報告である。まず自学自習システムを構築し、学生はそれを講義時間外に利用する。また、毎回の講義終了後に課題を与える。学生はそれをインターネット端末から教育支援システムにアクセスして解答を入力する。これらのデータを分析した結果、受講生が多人数に上っても、教育支援システムの活用によって、全体として理解度は上昇した。
B-18 |
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アセスメント能力開発を重視した看護過程学習支援システム |
日本赤十字豊田看護大学 杉浦 美佐子氏、小林 純子氏、松田 日登美氏、桂川 純子氏、水野 智氏
症例に基づく看護学学習システムを構築し、問題解決思考の養成に成果をあげた取組の報告である。従来は「紙上模擬患者」による思考トレーニングを行ってきたが、それでは患者を取り巻く環境のイメージ化が困難であった。臨床現場に即した検査画面や患者の表情等のデジタル・コンテンツなどによってcritical
thinkingの養成の実が大幅にあがった。
愛知学泉短期大学 神谷 良夫氏
学生にWEBサイト(ブログ)運営を経験させ、それによっていかなる教育効果があがったかに関する報告である。報告者は、本取組を通して、ITが学生参加型の講義実現のツールになり得ると主張する。これに従えば、情報技術は学習コミュニティの形成に貢献する。
中部大学 高橋 道郎氏、前田 和昭氏
Weblogを用いた授業支援システムの構築およびその活用効果に関する報告である。本システムは、教材提示機能、ログイン機能、意見交換機能、課題提出機能などを有する。これらのデータによると、理解度の高いクラスでは授業評価点が高い。これは、ITが教育効果にプラスに貢献することを意味する。
Cグループ
城西大学 堀合 公威氏、石井 宏氏
物理化学実験の予備的補習教材として、操作ごとの細分化された動画ファイル群を編集し、DVDにHTMLファイルとともに納めたマルチメディア教材が作成されている。学生がDVDあるいはCDを借り出して利用するだけでなく、インターネット上のサーバにアクセスして利用できるシステムとなり、この教材での予習効果が高いことが報告された。
C-2 |
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携帯電話を用いたグラフ描画に関する教材作成とその技術的問題点 |
日本大学 戸塚 英臣氏、藤井 利江子氏、鈴木 潔光氏
携帯電話のディスプレイ上にフーリエ級数やリサージュ図形を描画させ、学生のグラフ理解度向上を目指した報告。携帯電話上のJavaによりアプリケーションプログラムを動作させる際に、ベンダー依存の非互換部分が、開発効率を大きく阻害している。独自の数学関数ライブラリを作成し互換性を保つことを試みていが、学生への教育効果についてはまだ未知数と報告された。
C-3 |
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画面言語を用いた物理学e-Learningシステム |
埼玉医科大学 赤間 啓一氏、赤羽 明氏、勝浦 一雄氏、向田 寿光氏
様々なレベルの学生に、物理学を短時間に効率的に修得させるための補助的電子教材を作成しWeb上に公開した報告。PowerPointによるプレゼンテーション作成過程の論理構造をメタ言語的に「画面言語」と称し、普遍化を試みている。講義と演習内容等をPowerPointファイルとして提供し、講義時間の減少に対処し、効果があったと判断されている。
C-4 |
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分散型反復学習アドバイスを活用したe-Learningによる初等物理の学習促進 |
東海大学 松浦 執氏
初等物理教育の予備教育として適度な時間間隔をあけて反復学習する方法によって、学生のe-Learning学習が定着したことの報告。理解度の定量的評価による反復学習のアドバイスと弱点抽出指摘機能により、理解度定着、学習動機の維持が可能となっている。コンテンツ項目間の連携が明示され、学習者の利便性も向上している。今後の対面学習とe-Learningの使い分けの扱いにも触れ、示唆に富む報告といえよう。
C-5 |
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Javaアプレットを用いた球面振り子の実験マニュアル |
九州共立大学 森 信之氏、太田 成俊氏、牧原 義一氏
高校で物理を学んでこなかったり、実験を行ってこなかった学生が増加する傾向にある。このような学生に対して、発見する喜びを与えるために、実際の実験以外に、「強制球面振り子の物理実験」を題材にしたJavaアプレットによる数値シミュレーションを、HTML形式の電子教材の中に埋め込んだシステム開発し、自学自習を可能にした。
中部大学 塩見 弘幸氏
従来の図学の教授法は、作図が完成していくプロセスは記述により説明されているが、多くの学生は、文面から作図過程をイメージするのが苦手である。これを改善するために、PowerPointのアニメーション機能を利用したスライド教材を作成した。半数以上の受講者から「板書の授業よりも良い」との評価を得ている。
C-7 |
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インターネットコラボレーションによる製品設計の教育実践 |
高知工科大学 坂本 東男氏
製品の設計開発は、個人で実施する時代ではなく、大学、官公庁、企業が共同あるいはグループで実施する時代になっている。このような要請に対応するために、IT技術を利用したコラボレーションツールの開発と、それを用いて実践した過去数年間の教育事例が報告された。
C-8 |
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産学連携による3次元CAD用e-Learningコンテンツの開発 |
近畿大学 |
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加藤 暢宏氏、藤井 雅雄氏 |
三菱電機エンジニアリング株式会社 |
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田口 晋也氏、清水 隆紀氏 |
産学連携のグループ演習を可能とする3次元CAD用のe-Learningコンテンツを産学協同で開発した報告。高機能なアプリケーションを設計ツールとして使用するための操作スキルを個人のペースに合わせて自学自習し、修得可能としている。開発コンセプトは明快で、有用性の確認を学部3年生100名に対し、実技試験、アンケートにより評価確認している。
C-9 |
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デジタルエンジニアリングによる機械系ものづくり教育の試み |
日本大学 青木 義男氏、入江 寿弘氏、川幡 長勝氏
設計から製造までをコンピュータの可視技術によって実現するデジタルエンジニアリングを、学部1年生の機械系カリキュラムに活用した報告。3次元CADを用いた動機付け教育としての効果は、興味の喚起にあるが、実施方法の問題点として特に、個人の
進捗状況に対応するサポート体制が挙げられている。
C-10 |
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3次元CAD/CAM/CAE教育システムの活用 |
産業技術短期大学 二井見 博文氏、小池 稔氏、飯田 尚紀氏、福田 芳行氏
3次元CAD/CAM/CAE教育システムを短期大学に導入した事例報告。実物を意識しながら設計から製造までのモノづくりの過程を学ばせ、時代に対応した技術者の育成を目指している。さまざまな学科への活用事例の紹介を行っている。
C-11 |
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シミュレーション教材の工科系短期大学教育への導入 |
産業技術短期大学 |
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小池 稔氏 |
新潟国際情報大学 |
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佐々木 桐子氏 |
工学系短大では、確率・統計学の教育を十分に行なえないために、それらを基礎とするモデリング、シミュレーション技術を教育することは大変困難である。これを解決するために、本協会サイバー・キャンパス・コンソーシアム経営工学グループで検討されている4年制大学で実績のあるソフトを活用した教育事例が紹介されている。
広島工業大学 横田 壽氏
学生がどの部分が分からないのかをリアルタイムで把握するために、数学の記述式問題を教室内でノートPC上で解かせ、受講生の何割が解けたかが把握できる数学教育支援システムを開発した。記述式問題自動生成機能、自動正誤判定機能を持っており、学生はTeX形式で記述する点が特徴である。
C-13 |
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コース管理システムを活用した電気基礎実験の授業改善 |
帝京大学 大森 康司氏、矢幡 明樹氏、海上 隆氏、渡辺 博芳氏、高井 久美子氏、熊澤 弘之氏
実験内容の理解度向上と自主学習促進のために、コース管理システムを活用し、講義ビデオの配信、セルフテストの掲載、Javaアプレット教材の提示、レポートチェックリスト・考察ガイドの提示を行った。この結果、学生自身が分かっていない部分を把握でき、学習効果が上がり理解が深まった。またレポートの完成度も向上した。
C-14 |
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生命・環境化学分野における映像デジタル化技術を活用した実験教育 |
千葉工業大学 寺本 直純氏、河合 剛太氏、坂本 泰一氏
実験映像をデジタル化し、CD-ROMとして学生に配布、予習・復習用の教材として活用を図った報告。また一部は、Web上に動画映像の配信を行い自由に閲覧できるようにした。CD-ROMの利用学生の中で、有用であるとの評価は7割を越え、視覚を利用した実験学習への効果をうかがわせている。
C-15 |
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水文地理学の教育におけるGIS・IT活用に関する実践的研究 |
法政大学 小寺 浩二氏
多様な情報のデジタルコンテンツ化、データベース化の実践的な訓練を通じ、様々な空間情報を活用し解析する方法を修得させた報告。現地調査を含むグループワークの中で研究結果を解析できる総合力を高めることを目指している。課題として、学生が受講する多くの科目との連携が要請されており、学部、学科のFDの一環として取り組むべき問題点が挙げられる。
C-16 |
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科学教育番組制作と連動した地学の授業展開 |
武蔵工業大学 萩谷 宏氏
NHKの再構成番組制作とのかかわりから、授業中にこれらの番組の映像を多用し、映像が学生の授業に対する満足度を上げていることが判明した報告。放送局の膨大な映像資産の有効利用が期待されるが、著作権処理の問題は、個人レベルでは不可能な現状がある。番組Webサイト構築、デジタル教材蓄積における大学教員と放送局との連携が重要と考えられる。
C-17 |
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-ラーニングの弾力的併用による専門科目のユニバーサル教育化の試み |
日本大学 山本 登氏
情報工学科の必修科目である「命令セットアーキテクチャ」を対象に、学生の理解度向上を目的としたWeb学習教材を開発した。この教材は400を超える説明画面と問題画面からなり、問題画面が全体の45%を占めること、節単位で到達すべき理解度が設定されている点が特徴である。低得点者の減少が顕著になり、導入効果が見られた。
C-18
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経営工学におけるe-Learning教材を用いた動機付け教育 |
新潟国際情報大学 佐々木 桐子氏
講義の中だけでは捉えにくい「生産の場」への問題意識を持たせる動機付け教育を目的として、インターネットを介した「学習の場」、「交流の場」、「発表の場」を構築し、シミュレーションモデルの構築を学習させる教育方法が述べられている。これを利用することにより、大学の枠を超えた教育指導体制が整備できる点が特徴である。
C-19 |
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CD起動型オープンソースソフトウエアによる教育教材共有広域ネットワーク構築の試み |
東北学院大学 |
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志子田 有光氏、石川 雅美氏、熊谷 正朗氏、小野 孝氏 |
福岡大学 |
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濱田 龍義氏 |
IT教育環境が整備されるにつれ、管理負担が増大する一方、学習の費用対効果の向上が見られない。これに対処する方法として、発表者の大学では、LinuxベースのCD起動型オープンソースソフトウエアを、学内2000名に配布し、効果をあげていることが報告された。移植性が高いことから、今後、多くの大学に普及することが期待されることが述べられている。
C-20 |
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オープンソースソフトウエアを活用した大規模なIT教育実践 |
拓殖大学 |
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佐々木 整氏 |
千里金襴大学 |
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中野 由章氏 |
北海道工業大学 |
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中川 嘉宏氏 |
北海道東海大学 |
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サバウ バシレ ソリン氏 |
株式会社アルファシステムズ/金沢工業大学 千葉 大作氏 |
LinuxベースのCD起動型オープンソースソフトウエアの概要と、それを用いた4大学における教育実践の概要が報告された。
Dグループ
D-1 |
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インターネットワークを活用した海外の大学からの遠隔授業の試み |
東京女子医科大学 金井Pak雅子氏、尾岸 恵三子氏、柳 修平氏、飯島 治之氏、浅川 典子氏、谷本 真理子氏、伊東 栄子氏、江口 晶子氏
看護教育にとって、近年不可欠な保健情報学(Health Informatics)の授業の一環として、日本側100名の学生を対象に米国テキサス大学からの遠隔授業を、インターネットを介して行った。教材の事前提供を受け、事前学習の下に受講し好評を得た。専門分化し不足がちの教員の人的・知的資源を国内外で有効活用する試み。
専修大学 板坂 則子氏、松永 賢次氏、高橋 龍夫氏、西野 強氏
インターネットを利用し、日本文学文化専攻の学生約45名、韓国壇国大学の日本学専攻生約10名を対象として日韓リアルタイム共同授業を試みた。教材を相互交換し事前学習を重ね、日本語を使用し双方に通訳の留学生を配して、ネット会議ソフトにより授業を進めた。学生の学習意欲向上など有意義な結果を得た。
D-3 |
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日米を結んだリアルタイム遠隔授業E-Classの実践 |
法政大学 八名 和夫氏、福多 裕志氏、清原 孟氏
日本人学生及び在法大交換留学生等16名と米国カリフォルニア大学デイヴィス校生13名を対象とし、American Violenceというテーマの下、インターネットによる相互単位認定の日米リアルタイム遠隔授業(E-Class)を実施した。パワーポイント資料を画像・音声と同期させ、電子白板機能を併用しての復習用教材も生成可能。
D-4 |
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コミュニケーション型e-Learningシステムによる学生参加型授業の実践 |
北海道東海大学 町田 佳世子氏、吉村 卓也氏
学生参加型授業での活発な意見交換や多様な解答が導出可能であるような環境を実現すべく、WebTubeと呼ばれるWebベースの学習支援システムを構築した。画像、映像、音声を含むデジタル教材を活用して、教員と学生、学生同士のコミュニケーションが容易になり、授業内容の理解を深めつつ、意見や考え方の多様性を理解できた。
D-5 |
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eラーニングによるビジネス教育システムの開発と実践 |
横浜商科大学 |
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柳田 義継氏、立川 丈夫氏 |
株式会社テクニカルユニオン |
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戸倉 貴史氏、戸倉 正貴氏 |
関東学院大学 |
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荒川 峰彦氏 |
横浜市立大学 |
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野々山 隆幸氏 |
ビジネス実務に即した人材育成のために「ビジネスセンター」と称する架空の卸売業の販売管理に関するビジネス教育ソフトを開発し実践した。この卸売業者は、得意先3社、仕入れ先2社、取扱商品5種、従業員は5名を対象とし、一連のビジネスプロセスを体験し全体像を理解できる。生成される当該ビジネス情報は別途Excelで分析可能。
D-6 |
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e-learningによるビジネスプランニングの大規模協調型教育 |
青山学院大学 戒野 敏浩氏
ビジネスモデル転換による新事業企画プロセスをサイバー空間で体験し、事業構造変革の実践方法と新事業企画の戦略を習得するために、100名以上の大規模な学生を対象とする協調型教育システムを構築し実践した。教員の負担軽減、より広い教育環境の提供、配信教材や学生提出物の蓄積による継続的な改善等が実現できた。
D-7 |
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Web上の協同学習の習熟が教材理解と討議集団内の対人態度に与える効果 |
大阪経済大学 光田 基郎氏、滋野 和重氏
チャット・ソフトを用いて協同学習の習熟度、教材の理解度に伴う対人態度の向上と教育効果を考察した。被験者グループを、チャット画面での討議に習熟した班と不慣れな班とに分けて試行した。その習熟に伴って学習集団の課題とその解決のための合意形成が容易になり類推も活性化され、集団内の対人態度の相互評価が向上した。
東海学園大学 瀬川 久志氏
学内LANシステムに、学生の携帯電話、GPSの他、各種ソフトウェア等を有機的に連動させて「いつでも、どこでも学習機会にアクセスできる」教育環境を構築した。これによって期末試験の受験放棄が皆無になるなどの顕著な学習意欲向上がみられ、同時に学生へのメンタルヘルスケアとの連携も図れるようになった。
D-9 |
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株式投資教育と情報処理−ポートフォリオ理論の実践的応用− |
松山大学 松本 直樹氏
株式投資シミュレーションゲームを実践的に応用し、複数の資産運用によって一定のリターンを確保しながら大きなリスク低減が可能であることのポートフォリオ理論を、擬似的売買を通じて学ぶことを試みた。更に地域密着型投資信託(四国ファンド)の組成を試み、就職活動や地域活性化にも興味を深めつつ、本質的な視野を広げた。
関西大学 柴 健次氏
Webベースの汎用型授業支援システム(CEAS)を用い、簿記学習への意欲減退防止と関心の持続、教員・学生間に擬似的な個別指導の関係構築を主たる目的として、138名余の学生を対象に簿記初学者教育を試みた。この有効性と学習意欲向上は認められたものの、本システム適合性や教材の多様性確保等に課題を見出した。
D-11 |
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マルチメディア講義ノートを活用した統計教育の実践 |
玉川大学 |
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二宮 智子氏 |
東洋大学 |
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渡辺 美智子氏 |
立教大学 |
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山口 和範氏、酒折 文武氏 |
実践女子大学 |
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竹内 光悦氏 |
東京情報大学 |
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櫻井 尚子氏 |
情報社会の発展と連動して統計教育の必要性が高まっているが、それに答える充分な情報教育はなされていない。ここでは人文社会科系の学部におけるITを活用した効果的な統計教育方法論の標準化を目標にマルチメディア教材の開発と共同利用のためのデータベースの構築に取り組んでいる。
D-12 |
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複雑現象の理解のためのコンピュータ・シミュレーションの活用 |
慶應義塾大学 井庭 崇氏
近年、複雑現象に関する授業が行われ始めている。これらの理解のためにはテキストによる現象や理論の説明だけでは理解につながらない。そこで、筆者は文系の学生に対して受動的な教育方法から自らがシミュレーションを動かして理解させる能動的な方法の実践を報告している。
D-13 |
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携帯電話メールと超発想法ISOPによるアイディア・サポート |
追手門学院大学 真庭 功氏
ここでは知識情報の創造の必要性から、いかにアイディアを生み出すかの問題を取り上げている。発想と問題解決の技法として広く知られるKJ法を電子化した「超発想法ISOP」を携帯電話メールと結びつけた発想であり、言語データを親和性によって整理し、問題の本質を理解させるものである。
D-14 |
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携帯電話を利用した歴史博物館学習支援システムの共同開発プロジェクト |
花園大学 |
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師 茂樹氏、佐藤 誠氏 |
宝鏡寺門跡百々御所文庫 |
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田中 正流氏 |
大阪市立大学 |
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後藤 真氏 |
人文科学におけるコンピュータ利用教育は人材不足などの問題でコンピュータ・リテラシ教育の域を出ないのが現状である。歴史学におけるコンピュータ利用の教育には情報処理に対する知識のほか研究史や方法論的な知識に基づく自発的かつ創造的な問題意識の形成が必要となる。ここでは、博物館の展示物の学習・閲覧を携帯電話の機能を用いて支援するシステムを、学生のプロジェクトチームで開発させる課外授業について述べている。
D-15 |
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インターネットを利用した時事中国語教材の作成と配信 |
東海大学 高橋 祐三氏
この発表は中級中国語の教科書を用いて中国を中心とした政治経済に関する時事問題を解説する講義の地域文献研究[中国]において使用する時事中国語教材の作成と配信についてである。時事問題を扱う教科書には専門性と速報性が求められ、適当な教材が見つからないために発表者自らがインターネットを利用して作成し、学生に発売するものである。教材作成に対して著作権などの問題のため制限があるとしている。
D-16 |
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講義「音楽」における「音楽教育プログラム」の利用効果 |
武蔵野学院大学 荻原 尚氏、木川 裕氏
音楽教育は感覚的な理解を伴う知識の教授が必要な教育分野である。そこで楽譜画像と音声データを組み合わせて、学習者の感覚的な理解を助け、個人的に反復学習が可能なマルチメディア教材を作成している。著作権問題の解決のために、使用する音楽は発表者が自ら作成している。
D-17 |
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動画とセンサ情報の統合による音楽指導支援手法の提案 |
同志社大学 |
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金田 重郎氏、柳田 益造氏 |
常磐会短期大学 |
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安谷屋 武人氏、新谷 公朗氏 |
幼児教育においては様々な所で「音楽」が活用されている。その有効な活用のためには、個々の児童のリズム感や音への反応を注意深く観察・記録する必要がある。そこで、音楽指導の場面を撮影したビデオ画像からマーカートラッキングを用いてリズムを表現する様子を抽出し、これによって音楽指導を支援する手法を提案している。
D-18 |
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コンピュータによる制御システムを用いたモノづくり教育の手法に関する研究 |
神戸芸術工科大学 曽和 具之氏、向井 昌幸氏
ロボット社会のものづくり教育の中で、ロボットと人間との間に生じる非言語的コミュニケーションを円滑に行うためのマン・マシン・インターフェイス・デザインを考える人材の育成が重要となり、ここでは小型コンピュータによる機器の制御技術を教えながらマン・マシン・インターフェイス・デザインを行うことのできる教育環境を構築している。
D-19 |
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学生も手軽に参加できるテキスト制作〜wikiを用いた知識共有の形〜 |
九州産業大学 佐野 彰氏
発表者の教育テーマは「コンピュータを活用した芸術表現であり」、芸術表現を扱う内容が多岐にわたり、形式知より暗黙知が多いところに問題がある。この問題を解決する手段として「ゼミ内のコミュニケイションを促進するシステム」と「様々な知識が蓄積・深化できるシステム」の構築を提言している。
D-20 |
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芸術系建築学科の建築CAD教育について−大阪芸術大学での目的と方法および成果− |
大阪芸術大学 杉本 真一氏、樋口 文彦氏、田代 純氏、奥 佳弥氏、佐々木 一泰氏
芸術系建築学科の就職までも意識した建築デザイン教育の一環として建築CAD授業の必要性を述べている。その教育領域は、建築製図能力、建築デザイン能力だけでなく動線や数量を扱う建築計画やプレゼンテーションに及ぶと考え、それらを取りいれた教育カリキュラムを提言し、その実践成果をアンケート調査で求め更なる改善に生かしている。
Eグループ
E-1 |
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医学基礎教育におけるインターネットを利用したスピーチ学習システム |
東邦大学 岡 和之氏、室 増男氏、高柳 進之輔氏
能動的学習を促進する目的で、課題の問題解決を学生自身が行った結果をウェッブカメラとPCを利用した画像音声記録システムを使って、学生が口頭報告しその報告を教員が評価する学習システムを開発した。コンピューターリテラシーを持たない学生にも配慮したシステムであることが特徴である。
E-2 |
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聴覚障害を持つ医学生のためのプレゼンテーションソフトを用いた講義 |
帝京大学 田島 康夫氏
PowerPointによる授業用資格素材に字幕による説明を加え、視覚障害を持つ学生が暗い教室で画像教材を解説する教員の言葉を読み取れない問題点に対応した試みである。視覚障害者への改善効果については限られた評価のみであったが、一般の学生にも視覚教材の要点の理解に役立ったという解析結果が得られた。
慶應義塾大学 高橋 孝雄氏、小崎 健次郎氏、嶋田 博之氏、三橋 隆行氏
電子診療録を学習用コンテンツとするためのシステム開発の取り組みである。診療録は高度の個人情報を包含するが、一方で臨床技能を学習する医学生には貴重な教材となる。電子化された個人情報を保護しながら必要な情報を出力し教育に活用する今後の医学教育に資することのできる取り組みである。
E-4 |
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学習過程を自らがモニターするための医学学習環境 |
東京慈恵会医科大学 福島 統氏、飛内 峰和氏、綱川 ルリ子氏、小松 一祐氏
電子化した学生評価システムによる知識の教育促進、電子録画システムによる評価による技能教育促進を行う二つの取り組みを示した。臨床実習開始前あるいは卒業時における知識と技能の習得が、電子化された学習環境で有意の効果をもたらすことが期待される。
E-5 |
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歯学部における病理組織診断学の学習支援に向けたWeb教材の開発 |
日本歯科大学 佐藤 かおり氏、江成 里香氏、柳下 寿郎氏、島津 徳人氏、青葉 孝昭氏
病理学教科における学習到達度の不十分さを克服するための、画像情報のデータベース化とWeb教材の開発の取り組みである。Web教材は、画像情報の検索・閲覧システム、予習復習向け解説教材、Q&A形式の自習教材である。学生のデジタルディバイドへの支援体制は今後の課題とされた。
E-6 |
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サイバーキャンパスを活用した薬学自主学習支援システム |
明治薬科大学 日野 文男氏、向日 良夫氏、高取 和彦氏、梶原 正宏氏
授業だけでなく薬剤師国家試験念頭に置いた自己学習システムを開発し、学生が動機を持って利用する環境を整えた。国家試験を受験する学生では高い動機をもってシステムを活用すると思われる。教育効果として薬剤師国家試験成績の向上を認めた。
E-7 |
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「薬剤師国家試験学習システム」の運用と問題点 |
近畿大学 村上 悦子氏、鈴木 茂生氏、桑島 博氏、三宅 義雅氏
薬剤師国家試験対策として作成されたe-Learningシステムである。将来、共用試験(学部教育途中での全国レベルでの試験)でも活用することを計画している。資格試験、進級にかかわる公的試験対策だけでなく、実践的教育のツールとなることが望まれる。
日本工業大学 小林 哲二氏
情報工学の学部および大学院教育の中に、特許作成法の教育を取り入れた。ソフトウェアの特許などはこの分野に特徴的であり、また電子出願の説明をネットワーク・セキュリティの解説と合わせて行うことは有効である。特許庁Webサイトの活用や特許明細書作成の実習課題など、授業運営の工夫により受講者の動機付けや教育効果を高めることに成功している。
E-9 |
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1枚のDVDで起動可能なOSを用いた演習室内外での演習環境の整備 |
大阪電気通信大学 |
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西木 毅氏 |
株式会社日本システムディベロップメント |
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中島 章雄氏 |
ソフィー株式会社 |
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川野 邦仁 |
学生が大学で受講した演習授業の続きや自主学習を自宅で行えるようにするために、CDから起動してLinux環境を提供できるという特色を持つKNOPPIXを採用した。授業用にカスタマイズしたKNOPPIXを演習室のコンピュータにインストールするとともに、DVD版を配布することで自宅でも同様の環境で学習ができるようにしたところ、受講生から高い評価を得た。
E-10 |
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MAX/C:WEB上のCプログラミング実習システム |
明治大学 玉木 久夫氏、疋田 輝雄氏、小島 崇輝氏、早川 智一氏
学生がプログラミング学習における障壁を乗り越えやすくするために、細分化された練習問題をWeb上で大量に実施することで理解の獲得を図るシステムを開発した。このシステムを利用することで、学習者の習熟度別の対応や個別指導の強化、授業時間以外の学習機会の提供を行えるようになった。また、出題、解答の検査、指導をアルゴリズムで実施することの有用性も認められている。
E-11 |
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Wikiを利用した協調的プログラミング学習 |
大阪国際大学 谷口 るり子氏
プログラミングの授業において、作品(プログラム)の案から進捗報告、完成作品までをSwikiシステム上に提出させることにより、全学生および教員がWebコンテンツとして情報を共有できるようにした。その結果、作品の説明や質問などを通じて他の学生の様子がわかるようになり、予習復習の増加や理解度の向上、意欲の向上を実現できたことがアンケート結果から明らかになっている。
E-12 |
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プログラミングを用いたシミュレーションシステムとその表現 |
兵庫大学 森下 博氏
グラフィックスプログラミングを用いて、図形のシミュレーションシステムを制作させる授業を実施した。図形の拡大縮小、移動、回転をビジュアルに示すプログラムの作成は、理論と実践の両面において学習効果を向上させることができた。さらに、3次元図形への拡張や、日常生活への応用を意識させることで、創造的な作品への展開も期待できるようになっている。
E-13 |
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文科系学部におけるプログラミング教育がもたらす効果 |
九州ルーテル学院大学 |
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赤坂 亮氏、松岡 英里奈氏 |
九州女子大学 |
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岩木 信喜氏 |
文科系の学生への情報教育において、コンピュータ本来の機能を気づかせる目的で、C言語によるプログラミング教育を導入した。市販のテキストは使わず、プログラムを作ることの面白さを体験できるような講義計画を立て、ある程度難度の高い演習問題に挑戦させることで意欲を保たせるように工夫した。学生の内観調査から、プログラミングへの興味やコンピュータ観の広がりが観測できた。
E-14 |
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大教室での授業を少人数教育に−Web上での授業情報公開システム |
関西大学 雑古 哲夫氏
講義に際して電子化コンテンツのプレゼンテーション、レポート作成、成績評価とそのフィードバックを電子的に行う試みである。受動的、一方向情報伝授型教育となりがちな大教室の講義を、双方向性、個別教育性を高める可能性が示された。
E-15 |
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VTRを含む福祉機器学習のe-Learning手法に関する検討 |
中部学院大学 井村 保氏
市販のソフトウエアを用いて動画を入れた講義用コンテンツを作成し福祉機器についての学習効果を高める試みが示された。よい教材が提供され、教員が教材を作る困難性が縮小され、学生が利用しやすいメディアであることがこの取り組みの発展につながると思われた。
E-16 |
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教育支援ソフトCelebの展覧会機能による思考力の養成 |
神戸学院大学 |
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小野坂 敏見氏、佐藤 雅美氏 |
日本ソフト開発 |
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中居 久幸氏、藤田 敏之氏、山田 保之氏 |
教育支援ソフトを利用して、レポート作成とその相互評価をWeb上で行う試みである。教員からのフィードバックと学生の相互評価が加わることで学習動機を高めることが期待される。
E-17 |
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自尊感情をマネジメントするための認知的技術の開発 |
星陵女子短期大学 竹村 哲氏
社会資質開発では、説明責任、継続的学習、自己尊重を有した学習者モデルが想定される。そこで、自己尊重を養成する教育プログラムを「問題解決」ワークショップの授業において実施した。その中で、自己認知ネットワークを構築するシステムと、自尊感情の規定要因を明らかにするシステムを開発し実践した。授業アンケートの結果では、役に立った、自分発見に繋がったとの評価を多く得た。
E-18 |
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携帯電話回線を用いた遠隔地授業の試みについて |
神戸学院大学 五十嵐 真子氏、大西 慶作氏
遠隔地授業は、学生に多様な情報を身近に感じられるように伝えることができるという点で有効である。その際、相手方に負担をかけずに、安定して映像を送受信でき、汎用性を持つ方式として、携帯電話回線の利用が適している。そこで、遠隔地と教室内のカメラ映像を一つのコンテンツとして表示し、双方向通信ができるシステムを構築して授業を実施したところ、満足できる結果を得た。
E-19 |
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メディア・サーバーの利用による教養授業の専門科目への活用 |
実践女子大学 犬塚 潤一郎氏
教養科目の授業内容を専門科目の授業運営の中で活用できるようにするため、授業を動画としてコンテンツ化し、メディア・サーバからLANやインターネットを経由して利用可能にする試みを続けている。また、そのような専門科目の教授法についても研究・開発を行っており、担当教員への支援を検討するとともに、コンテンツをパブリック・ドメインとして公開することも計画している。
E-20 |
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高齢者理解へのアプローチに果たすIT活用の役割 |
女子栄養大学 伊藤 光代氏、尾崎 沙和子氏、山口 文芳氏
学生に高齢者を理解してもらうには、学生一人ひとりが高齢者と直接交流するという実践的な働きかけのプロセスが必要である。そこで、「行動の変容とレベルアップのピラミッド」の教育手法を用いて学生に高齢者理解への働きかけを行い、結果をPowerPointによるプレゼンテーションで発表させたところ、高齢者像を美しい映像にまとめ真心のこもった表現が作り出された。
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