教育支援環境とIT

 

中央学院大学における情報環境と支援体制

1.はじめに

 「教養と倫理を身につけた真の商業人の育成」を目的として明治33年に開設された、「日本橋簡易商業夜学校」が中央学院大学の前身となります。本学は、昭和41年千葉県我孫子市に「公正な倫理観・社会観の涵養」を建学の理念とし、商学部商学科の大学を誕生させました。その後、昭和60年に「現代日本における地方社会の重要性を考え、地方公務員の養成」をその主眼とする法学部法学科を設置しました。そして、平成18年に「会計と経営の専門的な知識をもった、高度専門職業人の育成」を目指す大学院商学研究科を開設しました。
 現在、中央学院大学は商学部・法学部の2学部2学科で、学生数3,505名、専任教職員147名の文科系大学です。この学生と教職員のために、すべての教室及び教員研究室からインターネット利用を可能とし、教育の情報化と教員の研究を推進することを方針として,情報環境の整備を推進しています。


2.情報環境

(1)ネットワーク
 平成12年度にセキュリティを強化するためにサーバ及びネットワーク機器を一新し、ファイアウォールと非武装地帯(DMZ)を組み込んだネットワークデザインとしました。平成13年度は安定的な運用を維持するために、ネットワーク機器の保守とネットワーク管理を業務委託し、現在に至っています。そして、平成14年度には、サーバセグメントと基幹FDDIの間を100Mbpsとし、トラフィックの増加に対する強化を図りました。平成15年度は新棟の建設に伴い、ギガビットイーサネットを新棟内に整備しました。平成17年度には基幹をFDDIからスター型トポロジに変更し、教育研究と事務のネットワークを分離しました。

図1 ネットワーク概念図

(2)パソコン教室
 授業で利用できるパソコン教室は6教室あります。60人教室が4教室で、36人教室が2教室です。主に、一年生の必修科目「情報処理論」で利用されています。この他に「プログラミング論」などの専門科目でも利用されています。

(3)CALL教室
 パソコンとLL機器を組み合わせて、4教室をCALL教室として運用しています。1教室教師用1台、学生用36台で総数148台となっています。また、印刷機は1教室に4台で学生の利便性を考慮しました。ビデオ映像とパソコン画像の両方を中間モニターに表示するために映像分配器も導入しました。主に、英語科目で利用されています。

図2 教育用パソコン構成図

(4)その他
 キャンパスで、パソコン教室やCALL教室以外で学生が利用できるパソコンは、パソコン自習室に36台、図書館に35台と就職活動支援用に10台が準備されています。他に、学生がサークル活動で利用しているパソコンがネットワークに接続されているので、全体で600台程度となっています。
 教員個人研究室には118台のパソコンが導入されています。基本的に教員は一人1台のパソコンで、5年ごとに機種を更新しています。特に、機種や性能に希望がある場合は要望書提出する必要があります。

3.支援体制

 本学の情報システム部門の構成員は総員9名です。ネットワークやパソコン教室の運用の他に、情報教育研究活動への支援、事務の情報化、AV関連機器の整備を行っています。内訳は専任職員が5名(内管理職2名)、非常勤職員1名、常駐委託業者が3名です。業務は委託職員と専任職員が相互に協力し合って行っているので、明確な役割分担はありませんが、サーバの管理は分担して行っています。または、大学内の情報基盤整備や機器の導入に関する意思決定や連絡調整は、教授会から選出される4名の委員と事務部門の役職者3名の委員で構成される「情報システム運営委員会」で行われています。

4.利用

 教育系ドメインサーバに登録されている利用者は合計2,430名です。内訳は次の通りです。在学生2,326名、大学院生7名、卒業生4名、教員(非常勤含む)85名、事務職員8名。事務系ドメインサーバに登録されている利用者は合計101名で、内訳は役職教員と事務職員(非常勤含む)です。
 本学の学生が情報システムを利用する場合は、「中央学院大学情報システム利用細則」により、一年生の必修科目「情報処理論」などを担当する教員が、年度初めに情報倫理教育を徹底してから、利用者コードを発行することになっております。しかし、パソコン教室を使用する授業科目を履修しない学生がパソコンを使用する場合は、「NetTutor情報倫理教育ソフト」を利用し、テスト機能で80点以上の学生に利用者コードを発行しています。テスト機能で80点以上を取得できないとパソコンを利用できないので、学生は自学自習を行っています。このことで、学生の理解度が進み、多くの学生を一定の期間に、ある一定のレベルに上げることができます。
 本学のパソコン教室とCALL教室に導入されているすべてのソフトウェアを列挙すると下記の通りです。
 これらのソフトウェアはMicrosoftOffice2000のように、すべてのパソコンに導入されているアプリケーションもありますが、教師用パソコン1台に導入されているフリーソフトウェアもあります。数多い種類のソフトウェアが導入されています。
 この内、「教育情報処理」、「消費経済学」、「心理学CAI」は本学の教員が独自に開発したソフトウェアです。

AcrobatReader Lotus1-2-397 TOEFLSampler AdobePhotoDeluxe
MicrosoftOffice2000 Tomcat AfterEffects5.0  
MicrosoftOfficeXP TsubasaPDF AirMail1.7.2  
MIFESforWindowsNT4.0 TurboLinux6.0 COBOL85 MySQL
TypeQuick Dimensions3.0J CoolChaser2.00  
NetscapeCommunicator4.7 Visio2003 Cultiiva  
Nettutor(INFOSS情報倫理) VisualBasic6.0    
NewDynamicEnglish      
(Level1,2,TheLostSecret)      
VisualC++6.0 Eclipse OlympusDSSPlayer5 Windows2000
EpsonSMARTPANELforScanner1.03J  PaintShopPro7J    
WindowsXP F-BASICV4.1 PhotoDeluxeforファミリー4.0  
オシロ君 FFFtp1.92 Photoshop6.0 音声工房ProSP4WINPro2.0C
FrontPage Premiere6.0 教育情報処理 Illustrator9.0.2
QuicktimePlayer 消費経済学 InterVideoWinDVD4  
RealOnePlayer10 心理学CAI InternetExplorer6.0  
RealPlayerG28.0 統計解析    
HBforWIN体験版1.00 Java2SDK    
SAS/JMP,窓の手5.0 Jude竹1.2.7 COX-Visionサーバ7.30  
めもりーくりーなー KazooPlayer2.0 SonicRecordNowDX4.6  
やってみ店長 Lhaca0.71 SonyDigitalVoiceEditor2  
読んde!!ココ      

5.CALL教室と語学学習ソフト

 本学の商学部英語科は語学学習ソフトとして「New Dynamic English」を採用しています。「New Dynamic English」は、ネイティブの声が録音された聞き取り練習や、音声認識機能を使ったスピーキング練習の機能があります。このソフトウェアはCALL教室に88ライセンス導入されています。主に、一年次必修科目の「英語LL」などで9名の教員が使用する計画です。平成17年度に、このソフトウェアを初めて導入して使用しました。この結果、多くの成果があったので、本年度はコースウェアを変更して、多くの英語教員が授業計画の中に組み込んで本格的な利用となりました。担当教員は導入の成果として、「学生は授業の始まる前から問題に取り組む」、「無駄話がほとんどなくなった」、「授業時間以外でも利用している」、「学習記録があるので学生の管理しやすい」、「学生は自分のペースで学習できる」としています。

6.課 題

 ネットワーク環境やパソコン導入などの情報基盤整備は、「情報システム運営委員会」が計画的に行っています。その結果、文科系の中規模大学としては、情報基盤は充実していると考えています。しかし、デジタル化をキャンパス全体で統合する取り組みや、教育の情報化を大学の基本方針として実践する活動は今後の課題となっています。また、大学と付属高校や学外施設(セミナーハウス)間のネットワーク回線を充実することや、学校法人内で情報機器の導入や運用を統一することも課題となっています。このような課題や学生・教職員から要望を解決するためには、情報部門職員のスキルアップは当然必要となりますが、大学全体の教職員が情報機器を適切に利用する技術や目的意識を持つことが重要だと考えています。本学の独自性を社会にアピールできる情報化のテーマを設定し、大学全体で協力して推進することが急務となっています。

文責: 中央学院大学
情報システム部長 佐藤 弘憲


【目次へ戻る】 【バックナンバー 一覧へ戻る】