私情協ニュース7
第41回・第42回通常総会の開催概要
第41回通常総会開催される
第41回総会は、平成18年3月28(火)午後1時半より、東京市ケ谷の私学会館会議室にて開催された。当日は、18年度事業計画、収支予算の決定の他、情報環境調査の中間速報、産学官連携サイバー・ユニバーシテイ構想の実験計画などについて報告・協議した。以下に主な内容を報告する。
議事に入るに先立ち、文部科学省私学助成課の俵課長補佐から18年度情報関係補助金の政府予算決定内容と申請について概ね次のような説明があった。
1)18年度政府予算は3月27日成立した。私立大学等経常費補助は極めて厳しい財政状況の中で17年度より20億円増の3,312億5千万円、教育研究装置施設整備費補助は29億1,500万円減の1,143万4千円、研究設備等整備費補助は4億900万円増の64億7,700万円となった。
2)情報関係の内訳は、高度情報化推進特別経費の中で教育学術情報ネットワーク、教育研究情報利用経費でそれぞれ5千万円増となったが、サイバーキャンパス整備経費は
1億円の減額となり、大学教育高度化推進特別経費を含めて前年度と同額の予算になっている。装置施設整備補助金の情報通信施設は、2億100万円の減、情報通信装置は3千万円の減で全体として2億3,100万円の減となっている。情報処理関係設備も2億5,300万円の減になっている。私学関係の予算は、私学関係者の協力もあり、通常であれば前年度3%減のところ、同額あるいはそれ以上を確保できたと思っている。
3)来年度の経常費関係の事務手続きの流れとしては、17年度と特に大きな変更点はないが、配分について変更する予定。情報通信設備と教育学術コンテンツは、これまで採択制、教育学術情報ネットワークと教育研究情報利用経費は傾斜配分としてきたが、各大学において不可欠な基盤的な経費であるということもあり、採択・傾斜配分を止め、要件に合えば対象とするという形に変えたいと考えている。ただ、その場合、予算が足りないことになれば、圧縮をせざるを得ないことになると思う。
4)高度情報化推進特別経費の所要経費の下限についても見直しを考えており、情報通信設備は月額で22万2,000円から20万円、教育学術コンテンツのデータベース開発は1事業100万円から60万円、教育学術情報ネットワークは1事業80万円から60万円、教育
研究情報利用経費は1本(組み)100万円から60万円にそれぞれ下限を引き下げ、小規模校も含めて対象となるよう変更を考えている。
5)サイバーキャンパス整備事業の大きな変更点としては、採択内定を4月の上旬を考えている。18年度分は既に構想調書を提出いただき、書面審査の結果を踏まえ各委員会の審査を経て、3月中に内定通知を予定している。内定通知と同時に計画調書の提出依頼を5月末締め切りとしたい。これまでサイバーキャンパスの連携先に大学あるいは短期大学に限定していたが、18年度分から地方自治体、企業も含め連携対象を拡大している。
6)工事の関係で一部不正があったこともあり、一括下請けは建設業法上、原則禁止されているが、各学校法人の書面による承諾があれば一括下請けも可能となっているので、建設業者が一括下請けを行う場合には、必ず各学校法人で承諾を得ていただき契約書に明記いただきたい。
7)交付内定前に契約又は施設の整備に着手する事業については、提出期限までに「交付内定前の事業着手承認申請書」を提出することになっている。事前着手の承認があれば認めるということになった。具体的な承認の要件は、計画した研究及び教育カリキュラムの実施上、特例時期の工事又は設備等の整備が不可欠である。例えば授業に使用する設備であれば、授業開始が4月あるいは5月の事実を書き、カリキュラムで4月あるいは5月が分かるような資料を添付していただきたい。学生等の生命・健康等にかかる安全の確保のため、特定時期の工事又は、設備等の整備が不可欠である場合は、例えば夏休みに始めたいのであれば、その旨を記載し、別途それが分かるような資料を添付していただきたい。
8)最近、補助金の不正が結構見受けられる。一部にそういうことがあると他の学校にも影響し、予算にも影響が出てくる。各職員、各教員の方々に徹底いただきたい。現地調査も含めて今後の再発防止策を考えていかなければいけない。
文部科学省の説明終了後、交付内定前の申請について、事務局から対象とする補助金は、情報通信施設、情報通信装置、研究設備整備費等補助金の情報処理関係設備であって、経常費関係は対象にならないこと。建設業法の丸投げ禁止については学校法人と元受人の間で子会社、孫会社への事業の分担が契約書で明記されていることが重要との追加説明があった。
1.18年度の事業計画
17年度継続の事業と新規に着手した事業の充実を図ることを基本方針として計画した。
「教育改善のための情報技術の活用の研究」は、18の学問分野で「ファカルティ・ディベロップメントのIT活用」として報告書を上梓、11月臨時総会で発表を予定。「世界水準を目指した情報専門系教育の研究」では、社会の要請と大学との人材育成に大きなギャップがあることを認識し、ITで社会をイノベーションできる人材育成の提案を計画。「情報倫理教育の普及」は、協会で開発のeラーニング教材の活用調査を実施し、授業での効果的な活用方法の紹介を通じてファカルティ・デベロップメントに役立てる。
情報環境に関する研究の「教育の情報化評価」は、自己点検、自己評価のガイドラインを提示する。検証のためのデータ、点検後の評価結果の活用を含めてシミュレーションを行い、最終報告をとりまとめる。
「情報環境調査」は、中間集計を行い方向性を紹介した後で、11月総会に情報環境白書を上梓する。「ネットワークによる教育連携の実施・支援」は、優れたIT活用授業をWebサイトに掲げ、教育業績の履歴バンクへの活用を考える。さらに、教材の相互利用、教材の共同開発、eラーニングの専門門家人材の育成については、帝塚山大学を中心とするNPO法人CCC-TIES、青山学院大学と連携して、事業の積極化を図る。
「電子著作物の権利処理事業」は、コンテンツ登録の拡大を最優先し、稼動できる状態に全力をあげる。「産学官連携による教育支援システム」は、賛助会員及び一部の企業などを対象に、特定の学問分野で支援の仲介方法や教育効果の検証を実験する準備に入る。賛助会員への説明会は4月26日を予定。
研究会・研修は、報告・協議事項第四号で特徴を報告するので概要に止どめるが、(1)から(3)は、文部科学省の後援事業を継続し、国立大学法人を始めとする非加盟校にも参加の拡大を図る。「大学教育・情報戦略大会」は従来は大学情報化全国大会としていたが、大学改革としての情報化戦略を強調するため改組した。「教育改革ITフォーラム」も従来の教育の情報化フォーラムから改組し、教育改革を実現するためのフォーラムを前面に出すことにした。「理事長・学長会議」は大学のガバナンスとしての情報戦略を取り上げる。「短期大学部門検討会議」はファカルティ・デベロップメントとしての教育力、「情報技術講習会」では教員の授業運営能力の向上、「職員研修会」では教育支援、人材育成支援に取り組めるよう職員のコーディネート力、マネージメント力の育成、「大学情報セキュリティ研究講習会」は従来は学内LAN運用管理講習会としていたが、情報の管理能力の向上を目指す場とするため改組した。「機関誌」は変更ない。「情報環境の整備促進」は、補助金予算の獲得の他に、補助対象の改善、採択の仕組みなど文部科学省と連携して一層の改善に努めるとともに、大学に対しては申請が組織的に行われるように働きかけを行う。
2.情報環境調査(17年度版)の中間速報
大学の情報環境の整備計画について、17年度の現状と3年後の20年度の姿を自己点検し、教育に最適な環境作りのための整備計画の促進に役立てることを目的としている。
「情報環境整備の目標」は、3年前の調査ではコンピュータネットワークの整備が3割、自学自習環境の整備が5割5分、学外連携まで整備が1割5分であったが、20年度目の目標は教室内の機器整備から、携帯電話、無線LANによる教室のコミュニケーション環境の整備の傾向が高い。携帯電話で授業中に質問し、スクリーンに映し出して授業を運営する傾向が大きな特徴。
「ネットワークの整備」は、ネットワーク伝送能力は20年度には幹線、支線とも1G以上、学外接続は100M以上としている。「セキュリティポリシーの状況」は、17年度時点では2割程度がポリシーを作成・実施しているが、5割の大学、短期大学は全学共通のポリシーの作成を進めており、情報の管理と取り扱いの組織的対応が段々本格化してきた。実施している場合の問題点は、ポリシーを作っても教職員の意識を維持することが大変、手順まで作成したが不正をどのように常時監視するのかシステム作りが大変、研究室までポリシーを徹底できない、教員、学生の持ち込みPC対策などポリシーを作っても改善しないなど。
「セキュリティ対策の内容」は、暗号化対策と不正検知システム、生体認証、危機管理対策がこれからの課題。「ネットワークの運用管理」は、8割の大学が学内の教職員と外部委託で対応しており、出張とリモートによっている。生涯管理、運用管理、構成管理、機密管理、性能管理が一体的に委託されている。「授業情報のアーカイブ化」は、20年度までには大学45%、短大35%が計画。シラバスが多く、教材、資料を始めとするコンテンツを学科以上で組織的に整備しているところは少なく、一部授業での授業情報にとどまっている。
「eラーニングの実施状況」は、17年度時点では、大学全体として8%、一部の学部・学科が15%で2割程度、短期大学は全学的7%、一部の学科が10%とに止どまっている。20年度には、全学的導入が23%、一部の学科が5割に近い大学が検討。短期大学も3割が対応するとのこと。但し、eラーニングを実施しない・予定しないところは、大学の文科系単科大学が2割、家政系、芸術系の単科大学が3割ある。短大法人は4割、併設短大3割。教室の外で授業の2倍の時間を学習させるという大学の義務を徹底するには、避けられない課題。それを裏づけるものとしての「学習管理システム(ラーニング・マネージメントシステム)」は、17年度で4割5分。LMSの導入形態は、大学、短期大学とも市販を利用している。大規模大学では独自開発が多い。これから必要な機能は、コミュニケーション、学習管理のための機能が課題。「eラーニングの実施支援体制」は、2割、3年後には5割となっている。支援体制を作らないという大学が5割ある。中規模校、単科系に多く、何らかの対応が求められる。逆に支援体制を作っているところは、大規模に多く、5割近となっている。実施体制の規模・構成は、学内の教職員による支援体制が大学3分の2、短期大学も6割。支援内容は、eラーニングに関するセミナー、授業の設計・開発のコンサルティング、補助金申請、教材作成、コンテンツの標準化などとなっている。「携帯電話の活用」は、大学19校、短期大学4校。出欠管理、授業中に学生の意識を確認するアンケート5割、小テスト4割、授業評価2割となっている。「情報化支援環境」は、大学6割、短大約5割弱となっているが、社科学系単科大学4割、家政系、芸術系は6割が情報化支援の環境を持たない。支援組織の規模は、大学全体で平均12人で、教職員、TAで対応している。一番多いと大学34人、少ないところでも6人が必要となっている。
3.産学官連携サイバー・ユニバーシティ構想の実験計画
実験の趣旨は、ネットワークを介して大学教育に社会の感覚・体験を導入するための支援の仕組み、その教育効果を検証するもので、特定の分野に限定して実施する。支援の内容は、現場情報、体験情報、技術指導、助言・評価、人間力養成講座に対して企業から情報提供いただき、オンデマンド配信により多くの大学にコンテンツを利用していただく。情報専門系、英語、会計学、経営学、経営工学系を考えている。その他に化学、機械工学、建築に関しては、委員会で支援先を特定することにしている。対象は、企業内組織の中でのプロジェクトチーム、団塊の世代の個人を対象とする。支援依頼の手順は、教員に支援の希望を4月に公募し、委員会で整理して参加大学を決定する。その上で依頼の内容を協会の仲介サイトに掲載し、支援の呼びかけを行う。支援の提供方法は、オンデマンド配信を基本とするため、私情協のサイトにコンテンツを預託いただく。実験に伴う運営経費は、実費は協会が全面負担する。著作権処理も私情協の著作権サイトを活用して代行処理していきたい。利用者認証、支援者の適格認証などの電子認証は2年間は控え、20年度に実験を行って備えていくことを計画。
実験の内容は、仲介ポータルサイトの機能、大学と企業との調整、コンテンツ要件の共通化、オンデマンド配信の機能、支援者の経費負担と回収方法を予定している。加盟大学向けには、ITを授業で使用している特定分野の約2,800人を対象に実施する。コンテンツの配信方法としては、一つは現場情報・体験情報、実務経験者による実務教育、失敗・成功事例など人間力養成のための体験談など、協会で録画・編集してオンデマンド配信する方法、支援内容を直接インターネットで協会のサイトに預託して配信する方法、リアルタイムでTV会議方式で行う場合には大学で録画し、協会のサイトに掲載してオンデマンド配信する方法がある。二つは、学習成果の支援、例えば英語でのプレゼンテーションの評価、会計学・経営学等での意見発表への意見、建築設計の評価については、インターネットを介して、専門家から学生の識別を外したコンテンツを私情協のサイトに一度預けていただき、私情協のサイトで意見を書き込み、掲示板などで配信する方法、大学間講評会での専門家の意見を録画、オンデマンド配信する方法がある。
賛助会員・特定企業向けの詳細計画では、参画するためのメリットとして、高齢者雇用対策の一環として新たな雇用の創出に貢献できる可能性がある、大学との有料契約が成立すればマーケットプレイスが拡大できる、支援を受けた大学でリカレント教育が受けられる可能性がある、団塊世代の方々の知識・技術・人間力を教育資産として活用することにより、生きがいを享受できる、支援者の表彰を通じて企業、個人のステイタスを高めることが可能となる。実験に伴う負担は、合意形成のための企業内での説得、担当者の配置、実験に伴う交通費、食事代などの実費は協会で負担するが、労務費、助言・評価の評価料は2年間は排除いただいく。最終年度の20年度は有料も含め実験する。著作権処理は、自作の場合は有料、無料の決定を行い、18、19年度は凍結いただく。私情協と一緒に作成した場合には、権利持分の契約を私情協と行い、その上で有料・無料を決定いただく。2年間はシステム機能の有効性に重点をおいて実験をすすめ、最終年度に認証、経費負担も含めて実験する。
第42回通常総会開催される
第42回総会は、平成18年5月30(火)午後1時30分より、東京市ケ谷の私学会館会議室にて開催。当日は、議事に入るに先立ち文部科学省私学助成課の梅野係長から計画調書の留意点等について説明。次いで、審議に入り、17年度事業報告と収支決算の後、19年度情報関係予算の要求方針、産学官連携サイバー・ユニバーシテイ構想の実験手順、理事長・学長等会議の開催計画等について報告があった。以下に主なものを報告する。
1.18年度補助金申請の留意点
<文部科学省の説明>
文部科学省梅野私学助成係長から、18年度情報関係補助金の申請について概ね次のような説明があった。
1)高度情報化推進特別経費の主な変更点は、採択制、傾斜配分を18年度より止めることにした。採択制でなくなることにより、補助基準が緩和されたり、申請が楽になることではない。引き続き補助要件の審査は行うことを強調したい。4月26日付の計画書の提出依頼文において要件に合致していない事業は補助対象とならないことを明記した。なお、サイバー・キャンパス整備経費は、引き続き従来どおり採択審査を行う。
2)借入、教育学術情報ネットワーク、データベースの開発、教育研究情報利用経費について、補助事業経費の下限の見直しを行った。提出期限は7月14日とし、様式は文部科学省のホームページからダウンロードいただく。
3)計画書の主な変更点としては、様式6−3の使用計画・期待される効果等の欄で、教育と研究を一緒にして、教育にのみ使用する場合には、教育に限定して記述することができるようにした。様式6−6の使用計画調書ではシラバスの掲載場所を示すことにより、使用目的・方法を明らかにすることにした。様式の6−15の教育研究情報利用経費計画書に「コンソーシアムによる購入」欄を設けた。電子ジャーナル等の購入にコンソーシアムを結成していただき、コンソーシアムを通じて安価な経費で購入していただけるようにした。
4)施設装置設備の補助金は、スケジュールに大幅な変更がある。サイバー・キャンパスは、1月に構想調書を提出いただき、選定事業の決定、5月26日に計画調書の提出とした。施設装置等も5月26日に計画調書のを提出とし、その後は7月に交付の内定、8月に交付の決定を予定しているが、変更あることあらかじめ了承いただきたい。
5)マルチメディア施設や学内LANでは、工事費にかかる諸経費は対象外としていたが、18年度から対象とした。サイバー・キャンパス整備事業では、連携対象を大学等とし、大学・短期大学のみに限定していたが、18年度から地方自治体や企業等、NPO法人等も含めるようにした。また、15年度に選定され、17年度に終了するものが始めて継続ということになり、今回、同じく継続の申請を開始、選定した。
6)サイバー・キャンパス整備事業は、情報通信施設、情報通信装置、情報処理関係設備、経常機能補助の高度情報化推進特別経費を組み合わせて一体化として行う事業で、インターネット等を活用した国内外の大学との交流・連携による教育研究を推進するもので、他大学との間でネットワークを構築するもの、開発したコンテンツを他大学へ配信、もしくは受信するというものが対象になる。同一キャンパス内でのネットワークの構築は対象外となる。18年度は採択率70%で12大学が新規事業に選定された。不採択理由としては、他大学との連携が行われていない、ネットワークの構築が非常に狭いなどであった。
7)情報関係の装置設備について計画書の提出は終了している。昨年度の実績として情報通信施設のマルチメディア施設整備、情報通信装置の学内LANの整備がともに9割の採択となった。設備は約6割程度とかなり厳しいものとなった。
8)今後事業経費が変わる場合、事業が年度内に終了しないなどの場合には、早急に文部科学省私学助成課に連絡いただきたい。財産処分については、補助金を受けて整備したものを破棄したり、目的外使用をした場合、文部科学大臣の承認を事前に得ることが必要となっている。学内LANを一回処分して、新たなLANを整備する場合には、まず処分するLAN以上のものを新たに全額自己負担いただき、残りの処分年限期間を引き継いで使用していただくという方法と、処分するものの処分年限期間の残残存期間について補助金を按分し、残りの補助期間相当分を国に返還する方法で処分を解除するという二通りがある。
19年度情報関係等予算要求の基本方針
5月22日付で会員代表者宛に補助申請の自己点検を要請した。採択性等の審査が無くなることによる申請の適格性を検証するために、補助要件に合致する内容の点検表を作成。事前に文部科学省とも相談、賛同を得、協会として試行した。
点検項目の共通事項はどの補助項目にも共通する確認事項で、特に「管理部門の経費が除かれているかどうか」、「他の補助項目に二重に含まれて申請されていないかどうか」を掲げ、二重申請チェック用ワークシートで点検いただく。
借入設備では、契約終了後に譲渡するなど所有権の移転を前提にしていないかどうか、使用計画と導入設備の必要性の相関が読み取れるか、基盤的な設備に対する使用状況を検証するため、使用教員、科目名の把握ができているか、把握していなければ1年度以内での月日を明記させることにしている。客観的な証拠を整備できるかが今後の課題となる。
ソフトウエアでは、使用対象者以外の人が含まれていないかどうか、ソフトウエアを使う先生の名前、科目名の把握が必要となる。データベース、コンテンツは、特に市販製品にあるものの開発は対象外。市販の製品にない機能の独自開発かどうかが重要となる。電子ジャーナルは、コンソーシアムに参加して自助努力をしているかが重要となる。コンソーシアムは私情協の中に共同購入機構があるので活用いただきたい。
19年度の要求方針は、政府与党による歳出・歳入の一体改革をめぐり、歳出削減の洗い出し作業が現在行われている中で、基本的には、大学の計画を調査し、その結果を踏まえて要求する。但し、要求が前年度補助額に満たないような場合には減額要求することにしている。要求方針は、特に大きな変更はないが、19年度は借入補助、ネットワーク、LAN装置、マルチメディア、教育学術コンテンツについて重点要求したい。サイバー・キャンパスは、補助対象を地方自治体、企業に拡大することを約束したことが、18年度から実現したが、さらにコンソーシアムに参加した大学の運営経費の拡大を要望していきたい。
2.産学官連携サイバー・ユニバーシテイ構想の実験手順
実験には、大学および賛助会員としての理解と協力をお願いすることになる。大学の教員が希望する授業コンテンツを協会ポータルサイトに送信し、協会で要望を整理し、参加大学の教員を確定した上で、ポータルサイトに依頼事項を掲載して賛助会員に開示し、公募する。賛助会員は支援提供の可能性があればポータルサイトに意思表示し、大学と賛助会員との間で支援の具体的内容、条件を詰める。なお、賛助会員から支援の逆提案があった場合にも対応できるようにしている。
実験期間中の19年度までは大学に負担がかからないようにするが、20年度からは有料も対応できるように考えているので、改めて大学側に理解と協力を要請することにしている。現在は、分野を限定した中で実験することにした。
現在実験への依頼は、18年4月10日から24日に寄せられた情報で、英語では実践英語の表現力や運用能力についての学習成果の助言評価で、実際に英語を活用している専門家の体験情報、現場の映像提供。会計学では経営者のビジネスに対するものの見方の紹介、理論に対する実践例を人間力養成講座として提示や会計情報電子開示についての実務現場での問題点の紹介。経営学では、経営者から経営戦略の失敗成功談として生の声、助言の提供や製品開発の現場情報、体験情報の紹介と、人間力養成講座での経営者による経営哲学の紹介、学生との質疑応答への参加。経営工学では、もの作りのプロセスの現場情報、生産管理のモデリングシュミレーションに必要なデータの提供。情報系では、Webコンテンツの作成者による体験情報、情報システムの経営での活用と問題点の紹介、システム設計の具体的な事例紹介、企業の新人教育に使われているビジュアル系プログラミング言語学習コンテンツのオンデマンド配信、ソフトウエア作品の評価方法、新しいソフトウエア環境の変化に対応できるような助言、職業観の醸成の促進、プロジェクトマネジメント手法の紹介、知的財産権の実例紹介があり、整理の上、Webサイトで支援依頼を行うことにしている。5月から7月、9月から10月に向け作業を進める。
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