特集 大学教育への社会の期待

大学教育の現場に期待するもの
〜株式会社 ネットマークス〜


坂入 あかね(株式会社 ネットマークス 人事総務部 HRDグループ)


1.はじめに

 当社はネットワーク、情報セキュリティ、ストレージ等、企業インフラを支えるIT基盤のインテグレーションや関連するサービスを事業展開している。本稿では、採用と教育を担当している立場から、入社した若者の成長を心から願う一員として、人材育成と大学教育に対する考えを、期待を込めて整理した。


2.期待する人材像

 社会において不可欠な要素として、「コミュニケーション能力」「論理的思考」「主体的に物事に取り組む姿勢」の3点を挙げたい。

(1)コミュニケーション能力
 自分の枠にとらわれずに柔軟に対応できる能力を指す。そのために「聴く力」を養い、相手の意見を尊重・受容するということを身につけてほしい。また、社会では上司や先輩への相談や報告、会議での発表、顧客への提案などの機会が増えてくる。いずれも要点を分かりやすく整理し、的確に伝えることが重要である。Word・Excel・PowerPoint等ビジネスソフトは、コミュニケーションやプレゼンテーションをより有効に実施するための大切なツールとなる。またビジネスソフトの基礎スキルの有無は、自身の業務における成長のスピードにも影響があることも記しておきたい。
 なお、携帯電話の発達により電子メールや電子掲示板が主なコミュニケーションの手段になっている傾向があるが、便利さや手軽さだけに溺れることなく、メリット・デメリットを正しく理解し、基本的知識やマナーを持って活用することを望む。

(2)論理的思考
 論理的思考は、具体的な裏付けに基づいた結論を導き出す思考法であり、状況把握・課題形成・問題解決・意思決定・交渉・プレゼンテーションなど、様々な日常のビジネス場面で不可欠である。論理的思考とそれに基づく行動が繰り返し実践できると、ビジネスシーンにおいて必ず自分自身を高めることになる。研究論文、レポートの作成や発表を絶好の機会と捉え、文章の組み立て方や展開、表現方法をしっかりと習得してほしい。

(3)主体的に物事に取り組む姿勢
 成長意識をもって自己研鑽するという思考や行動、態度を指す。人生のビジョン、目標が明確であれば、決断・行動の軸がぶれない。今、自分は何をすべきか、自分には何が必要かが把握できている人物は、入社後すぐに自身の役割を認識し、的確な目標を定め、常に自分を高めようという意識を持つ。この意識が企業にとって貴重な財産となる。また、専門知識があるに越したことはないが、「知識(知っている)」と「実務(できる)」は異なるものである。その知識を生かし、実際に実践できるかどうかが重要である。ビジネス場面では、実践力(行動力)が知識力を上回るといっても過言ではない。


3.考える時間

 学生時代に、自分が人生に何を求めるのか、どんな風に生きていきたいのか、一番大切なものは何なのか、そういったことを考え抜く時間を持ったか否かが、就職に対する意識の差となるのではないだろうか。これは、社会に出た後の成長のスピード、仕事の面白みの捉え方、仕事をする意義の見出し方の差にも表れていると感じる。ぜひとも大学生活において、「理想の自分の姿」について真剣に考える時間を持つことを心掛けていただきたい。


4.おわりに

 最後に、新卒採用担当として、新入社員には同期という強い繋がりをもって企業を支え、まとめ上げていく「たが」となってほしいと願っている。入社年度により、新入社員には異なった特色があり、それぞれの個性の成長を見守っていきたいと思う。彼らがどのように成長していくか、人生の目標をどのように設定できるかは、配属された部署の上司や先輩の影響も大きく、受け入れる側の体制の整備も重要な責務であることは言うまでもない。


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