文部科学省ニュース
文部科学省は、去る8月下旬に平成20年度概算要求を財務省に提出した。
政府は8月10日の閣議で、20年度の概算要求基準を決定。財政健全化のため歳出削減の抑制を続けるとして、社会保障費の自然増の抑制、公共事業3%削減の継続、防衛関係費、国立大学法人運営費交付金と私学助成は前年度予算から1%削減の継続とする一方、地域活性化、教育再生、生活の安全・安心、環境立国戦略、成長力の強化など5分野を「重点施策推進要望枠」として、6千億円の要望枠を設定した。
その中で文部科学省では、教育再生会議が大学の「基盤的経費の確実な措置」を提言したことなどを踏まえ、国立大学の運営交付金は2%増の1兆2,313億円を要求することにした。私立大学については、一般補助において上記の基盤的経費に加え、「FDの義務化」、地域医療における新医師確保総合対策としての「医学部定員増」、特別補助において「9月入学枠設定の促進」を新設する要求をとりまとめ、一般補助2,225億9,800万円(前年度2.6%増)、特別補助1,124億5,200万円前年度1.0増)とし、全体で2.1%増、70億円増の3,350億5千万円を要求することになった。
一般補助では、教員の教育力を向上するため全ての私立大学等にFD実施体制を整備するため、「FD支援経費」を新設する他、医学部定員増を含め58億1,900万円の増を要求。
各大学等の特色を活かせるきめ細かな支援は、新規のメニューとして「9月入学の推進」を「地域社会のニーズに応える教育の推進」、「個性豊かで多様な教育の推進」、「教育研究活動の高度化・拠点化の形成」の三つのゾーンに新設するとともに、先端的学術研究推進メニュー群の「学術研究高度化推進」を再編し、「戦略的研究基盤形成支援事業(仮称)」とし、1,013億1千万円を要求。また、授業料減免事業支援を含む「新たな学習ニーズ等への対応」(前年同額の30億円)、
多元的評価の「高等教育機関の質の確保」(前年同額の8億円)、 教職大学院を含む「特定分野の人材育成支援」(8億4,200万円増の65億4,200万円)、「定員割れ解消等の改善に取り組んでいる大学等に対する支援」(4億円増額の8億円)として111億4,200万円を要求。ゾーン別メニューの比較は次頁を参照。
その中で、情報化関連は、高度情報化推進メニュー群として、19年度と同様「情報通信設備(借入)支援」、「教育学術情報ネットワーク支援」、「教育学術コンテンツ支援」、「教育研究情報利用支援」として、上記の三つの区分に共通してメニュー化されている。要求額は三つの区分の内数となるため記載がない。
買い取り補助としての学内LANの「情報通信装置」は、前年同額の9億300万円、マルチメディアの「情報通信施設」は、前年同額の19億6,300万円、1千万円以上の買い取り補助の「情報処理関係設備」は、前年同額の10億8千200万円を要求した。
本協会としては、文部科学省の概算要求に先立ち、6月下旬に全国の私立大学、短期大学等を対象に情報関係の国庫補助希望調査を実施。その結果を踏まえ私立大学側の要求をとりまとめ、8月に文部科学省に要望した。要望に際しては、買い取り補助の情報処理関係設備、学内LANの情報通信装置、マルチメディアの情報通信施設は、前年度補助予算を下回らないよう要望するとともに、経常費補助金特別補助については、ゾーン別の要望額702校分(Aゾーン220校、Bゾーン380校、Cゾーン102校)として、総額314億1,500万円を措置されるよう要望した。