特集 大学教育への社会の期待


新しい価値創造ができる人材の育成〜シャープシステムプロダクト株式会社〜


竹内 勇二(シャープシステムプロダクト株式会社 ビジネスソリューション第五営業部長)


1.はじめに

 当社はシャープグループの中にあって、情報システム商品の国内販売という役割を担っている。その中で私が担当している部門は、私立大学に的を絞り、主に教育研究システムの構築により、各大学の情報教育の一端を担わせていただいている。約20年に亙るその事業の中で、ビジネスを目的としながら、私は毎日のように各大学を訪問し、教職員や学生の方々と接してきた。そういった経験も加味し、大学教育に期待することを述べたい。


2.大学における教育の現状

 大学教育に携わる方々からの情報によると、今の大学におき、一部には学生の基礎学力低下、学習意欲の低下、人間力の不足等の問題点があると聞いている。基礎学力の有無は、社会に出てどのような仕事に就くにせよ、その成果に影響するものである。また、学習意欲は成長に、人間力は会話能力、忍耐、向上心等に不可欠なものと思われる。


3.求める人物像と人材育成

 では社会が求めている人材はどうか。当社を含むシャープグループでは、既存概念にとらわれず新しい発想を取り入れていける能力【しなやか】、現状の的確な分析と、変化を先取するための論理的戦略、周囲と協創できるコミュニケーション能力【スマート】、自らを啓発し、新たな成果を創造できるタフな心身と基礎力、応用力【タフ】の三つを人材育成のキーワードとしている。また、新卒社員は、「新しい発想」で「新しい価値」を創造していける人材に期待しており、それには自らを変え、成長し続けようとする強い意志が必要であると考えている。


4.大学教育への期待

 大学時代は短期間であるものの、年齢的に、体力、気力とも充実し、また頭も柔軟で多感な年代でもある。この時期に学んだことや経験したことが、社会に出てからの礎となり、その後の成長に大きな影響を及ぼすことが考えられる。それだけに社会の大学教育に対する期待は大きく、その成否も注目されるところである。先程述べた一部に当てはまる教育の問題点に関しては、大学において、基礎学力向上のための教材の充実、学生一人ひとりに合わせた指導、教員と学生、また学生同士の対話や討論の場の提供といったことが必要かと思われる。大学時代に自分が将来やりたいこと、相応しいことを限定してしまう必要はなく、社会に出てからいろいろなことにチャレンジしていく中で見つけていっても決して遅くないと思われる。そのためにも基礎学力、人間力を十分に養い、努力や勉強をいとわない姿勢を身に付けることが大切である。


5.終わりに

 いま多くの企業のキーワードがイノベーション(変革)であるように、大学を取り巻く環境も大きく変化し、大学教育も企業同様に変革を迫られていると聞いている。当社としても、これからも様々な形で大学と関わりを持ち、大学教育変革の一助となるよう取り組んでいきたい。


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