私情協ニュース2
大学教育・情報戦略大会 開催報告
今年度は9月4日から6日までの3日間、アルカディア市ヶ谷(東京、私学会館)で開催した。参加者数は、427名(170大学、23短期大学、賛助会員20社)の参加となった。本大会は文部科学省の後援を受け開催し、「ファカルティ・ディベロップメントとしてのITの戦略的活用について共通理解を深める」という主旨のもとプログラムを企画した。
初日と3日目は主に講演と事例紹介を実施し、2日目は5会場に分かれて公募による83件の発表を実施した。2日目と3日目には賛助会員44社による展示会を実施し、教育の情報化関連の多くの展示が行われた。次に各セッションの内容について報告する。
第1日目(9月4日)
報 告
「FDの義務化と課題」
文部科学省高等教育局
高等教育企画課企画官 鈴木 敏之氏
FD制度化の流れについて、教育基本法および学校教育法の改正、教育再生会議、財政審議会などの動きを鳥瞰的に紹介し、今、なぜFDが求められているのか、概ね次のような説明があった。
1) |
教育基本法の7条で、大学の役割について教育、研究に加え、教育研究の成果を提供する社会貢献を新たに規定した。社会の発展に寄与することを求められており、大学自らの説明責任が国、社会から強く、厳しく要請されてきている。 |
2) |
6月1日の教育再生会議の2次報告において、FDを含む大学教育の質保証を提言、その中で「国は民間機関による試験等により、学生の大学卒業程度の学力を認定する仕組みを検討する」として、学生にどのような能力を身に付けさせているのか、成果主義の議論が強まってきた。また、経済界から「大学は予算を増やせと水を注いでくれというが、そもそも器が壊れているのではないか、砂地に水をまいているようなものだ」という意見もあり、反論はすれども必ずしも分がいいとは言えない。 |
3) |
その中で教員の資質向上が大きな課題となってきた。FDの努力義務は平成11年に大学設置基準に導入されたが、実効が上がっていないことから、現在、中央教育審議会の学士課程教育小委員会においても教職員の職能開発の実質化を議論している。問題意識としては、組織的な教育を展開していく中で、FD拠点センターの体制強化、分野別教育の質保証、教育業績評価の積極化、大学院段階のプレFD機能の強化など意見がある。 |
4) |
このような政策課題に対する国の支援として、競争的資金の手法もあるが限界がある。欧米の例にもあるように、個別大学の努力に支えられるものではなく、大学の枠を越えた仕組みが必要である。分野別の質保証など国が解を見出すのは困難であり望ましくない。その鍵を解くのは学協会、私情協、コンソーシアムなど、大学共同体がもっている役割、社会的役割になってくる。今までの中教審での議論以上に大学共同体に対して、国の支援を考えるべきだという方向で議論も進行している。 |
5) |
大学設置基準の規定は、最低基準であるので、大学の教学理念に即してFDを基準以上に役割、機能を持たせるよう、義務化を前に学内で再定義することは意味のある取り組みではないか。 |
講 演
「FD実現のための大学の課題」
前国際基督教大学学長 絹川 正吉氏
1) |
今回の大学設置基準は、授業の内容および方法の改善を図るための組織的な研修、研究という最低の基準として限定している。本来、FDは、大学の自由な発想でなければならず、授業の内容および方法に限定されず広く考えるべきである、という論理が設置基準に一貫してある。 |
2) |
FDとは、当初、以下の実践項目を想定して活動していた。大学の理念・目標を紹介するワークショップ、ベテラン教員による新任教員の指導、教員の教育技法改善、教育制度理解、アセスメント、教育優秀教員の表彰、教員の研究支援、大学の管理運営と教授会権限の理解、研究と教育の調和を図る学内組織の構築、大学教員の倫理規定と社会的責任の周知、自己点検・評価活動。 |
3) |
ユニバーサル化した現実の中でのFDには、スカラーシップ(学識)の在り方が問われてくる。研究における発見の学識、個々の事実を関連付け、それらに意味を与える統合の学識、知識が問題解決に応用できるか問う応用の学識、教員の理解と学生の学習とに橋渡しする教育の学識がある。 |
4) |
研究だけが唯一大学の使命ではなく、教育は学問の営みとまったく同じ営みをしているという教育の学識性が1991年米国のカリフォルニア大学で主張された。現在では、その考え方が発展してScholarship
Of Teaching and Learning(SOTL)として、知識の創造も含むとし、学術的活動および専門教育を支持するとし、全米でFDとして浸透している。 |
5) |
その実践事例としては、一つは、授業改善を目的として教育効果を組織的に探求するクラスリサーチで、授業の後にミニッツペーパーで授業で扱った重要なコンセプト、最も理解が困難であったことを、一言で総括させ、それをもとに討論・セミナーを実施。二つは、学習ポートフォリオでどこまで学習したか自己評価の記録を書かせ、学習者としてのメタ認知能力を育成。三つは、クラスジャーナルで、討論についての知見・見識、学習者の独創性、討論での興味などの提出がある。四つは、授業自己評価、学生による授業評価、カリキュラム開発、教育関係活動、同僚評価、教育への省察の教育ポートフォリオを教員に作成させる。 |
6) |
SOTLは教員個人の営みではなく、組織的な営みとして形成することがFDの最大の課題である。 |
事例紹介
「FDのための支援体制」
中部大学大学教育研究センター長
学長補佐 坪井 和男氏
大学設置基準によるFD義務化の社会的責任を果たすためには、組織を挙げた取り組みが不可欠である。その意味で学長を中心に平成12年という早い時期から大学挙げてFDに取り組み支援体制を整えている中部大学の事例紹介が注目された。中部大学では建学の精神に基づき、教員の教育活動、学生による授業評価、学内行政活動の三位一体評価制度に教員自身の自己申告評価が加わり、総合的なFD向上のための施策が展開されている。具体的な評価項目は、教育改善、学生指導、講義という教育活動面、役職や委員会活動など学内行政に加えて、一定の成果には報奨金や特別研究教育費も用意されている。これ以外にも、FDの学内機関である「大学教育研究センター」では、FD講習会や研修会開催、ビデオ授業撮影、授業相互見学、資料の発行などの活動もしている。FDを通して教員の意識改革と教育・研究力を高め大学知的財産を活性化する事例が具体的に報告された。
法政大学FD推進センター長 大沢 暁氏
法政大学における平成15年「全学FD推進委員会」の発足の経緯やその委員会の役割、そして現実との乖離に対する率直な反省や分析が報告された。理事側のトップダウンで開設された「全学FD推進員会」は、各学部の温度差や委員の兼務過重負担、教員側の人事考課に利用される危惧等があり、十分な機能を発揮することができなかった。
次に、「FD推進センター」設立に至る経緯の中で、アメリカ視察団を契機に学内状況が変化し、現在のセンターへの発展経緯が報告された。施設開発プロジェクト、FD推進プロジェクト、サーベイ&フィードバック・プロジェクト、コミュニケーシュン・プロジェクト、学習・教育支援プロジェクトや学内助成金支給などの具体的なセンターの活動内容も報告された。委員会制度からセンター組織への移行経緯は、他の大学にも共通した生きた一つの教訓として参考となった。
報告・ディスカッション
「情報人材育成の課題」
国における情報人材に関する問題やそのための対応、企業や大学における現状や問題点をそれぞれ報告いただき、大学に求められる情報人材育成の課題についてフロアを交えて討議した。
「国における情報人材育成の取り組み」
文部科学省高等教育局専門教育課課長補佐 徳岡 公人氏
日本におけるIT戦略の経緯を踏まえ、重点計画2007に関連した文部科学省の施策、高度IT人材育成に向けた取り組みのイメージ、先導的ITスペシャリスト育成推進プログラムの概要やポイント、採択状況、大学での実施状況、今後の同プログラムなどについて報告された。
「企業における情報人材育成の問題点」
日本アイ・ビー・エム(株)執行役員、
ソフトウェア開発研究所所長 岩野 和生氏
世界の流れとしてグローバル化が加速し経営戦略が短命化している中で、技術と企業の変化が迫られていることが挙げられ、日本ではIT活用による高付加価値を創造できる高度情報通信人材の育成が重要な課題で、日本で産業全体の競争力の一翼となるソフトウェア技術については、ソフト開発・利用の人材の質・量の不足、IT分野への人材の求心力の低下が問題として指摘された。
「大学における情報人材育成の実情と問題点」
私立大学情報教育協会・世界水準情報専門教育研究委員会委員長 斎藤 信男氏
大学における情報教育の進化、大学の情報教育への批判、各省庁や団体の動きなどを背景に、当協会の世界水準情報専門教育研究委員会においてイノベーションに寄与できるIT人材育成構想の検討状況について報告した。
第2日目(9月5日)
大会発表(83件)*敬称、副題略
太成学院大学 |
|
松浦 宏之 |
高野山大学 |
|
高倉 正行 |
学生に身近なItinerary(旅行日程表)の作成を通じて、英語学習の目的意識や情報技術の広範な応用力を育成する授業の事例報告。学生は予算の範囲の中で外国旅行の目的地や時期、日程を決めて現地での交通手段や観光・文化・歴史情報、宿泊設備など可能な情報検索を駆使して必要な情報を収集し、それをハイパーリンクで結びつけて旅行日程表を作成する。英語の実践応用能力と情報検索やITの活用能力を高める教育効果の発表である。
A-2 |
|
技術英語におけるWeb利用課題提出システム |
玉川大学 |
|
和高 慶夫 |
アメリカにおけるWeb上の技術英語教材を活用してPC教室で行う授業プランとそのシステム構築の報告。システムは、MySQLとPHPから作成される学生データーべースと課題データベースから構成されている。これを利用し、学生は事前にWebサイトの割り当てられた教材を期限内に提出し、実際の授業では原文に忠実な正しい和訳をさせる。そして、授業では学生はPC上で原文・和訳対比を確認しながら学習できる計画である。
A-3 |
|
オンライン・英語発音トレーニング教材の開発と実践報告 |
帝京大学短期大学 |
|
今関 雅夫 |
英語教育の中で語彙力や文法力を養っても、実際のコミュニケーションでは、正確な発音が重要となる。この課題を克服する学習ツールとしてオンライン英語発音トレーニング教材を開発した。音声学を基礎にした教材で、学生は正しい音声分析と自分の発音とを目で比較確認することができる利点がある。現在は二つの音声学領域であるが、より語彙力や文法力も養える総合的な音声科学的システムの完成に期待が寄せられる。
A-4 |
|
専門領域における学生の英語力増強のための一つの方法 |
医療・科学系の専門領域での英語読解レベルを高めるために、データベース化されている教材を利用して、自力学習ができるようにした。1年生レベルのサイエンス英語教科書の行間に主要英単語の訳語とスラッシュを入れておいて、学生(3年生)が単語を引く労力を省き、逐次和訳作業をしないで英語教材のまま自力で学習できるようにした。ネット上の有益なデータベースも利用しており、ITより英語教育法に重点を置いた報告である。
A-5 |
|
言語処理技術を活用したスラッシュ・リーディング用教材の開発 |
立命館大学 |
|
田中 省作、池田 洋子 |
(株)ジャストシステム |
|
行野 顕正 |
九州大学 |
|
冨浦 洋一、徳見 道夫 |
獨協大学 |
|
木村 恵 |
英語学習法の一つであるスラッシュ・リーディング(SR)の効用を高めるため、自助的に高速でスラッシュを入れるシステムを構築した。従来のSR用教材作成システムは、作成者の直観に基づいてつけられるケースが多くあったが、チャンクごとに理解させることに主眼を置き、システムには五つの実装を用意し、任意の英文を用途に応じてスラッシュ化できるシステムで、いくつかの他大学の実験でも教材としての有効性が確認された。
大阪産業大学 |
|
鈴木 章能 |
英語を使用する様々な「仕事の現場」を、具体的な映像を通して「実感」させ、英語学習の目的作りと強い動機付けを行うとともに、職業選択への意志形成を支援する教材を開発した。
A-8 |
|
PowerPointの視覚効果を活用した英語授業の実践 |
PowerPointスライドの視覚効果を活かして、学習者の興味や関心を高める教育実践の例を紹介した。PowerPointが一般化した教育現場にあっては、講師の工夫やアイデアがますます求められると結論付けた。
東京工芸大学 |
|
曽根順治、金子 格、小野文孝、浦谷則好、北村光芳 |
一定のe-Learning環境における映像コンテンツの活用方法や作成コストについて検討、あるいは試行した結果を、授業のアンケート結果とともに報告し、今後の課題についても明らかにした。
A-10 |
|
コミュニケーションスキル向上のためのe-Learningシステム |
東京理科大学 |
|
村上 学、本田宏隆、野沢 肇、佐藤喜一郎、竹内 謙 |
これまでゼミ形式など少人数教育において難しかった、議論の流れの中での効果的な発言を学習するためGroup StudyingやCompetency Managementの手法を用いた、コミュニケーションスキルの向上の試みである。
A-11 |
|
Web e-Learningを併用した音楽教育カリキュラムの実践 |
武蔵野学院大学 |
|
荻原 尚、木川 裕 |
立正大学 |
|
山下倫範 |
楽譜画像と音声データを中心としたマルチメディア教材に、セルフトレーニング機能を随所に取り入れ、講義形式ながら個人的な反復学習を可能にした音楽教育プログラムを実現した。同時にWeb教材として併用し、その有用性と必要性について再認識した。
A-12 |
|
PC演習を伴う遠隔授業でのLMS活用と双方向性の確保 |
中部学院大学 |
|
井村 保 |
分散するキャンパスにおける授業展開の負担を解決することを目的に、Learning Management System(LMS)をコミュニケーションツールとして活用した遠隔授業を実施し、遠隔授業での方向性の確保とその問題点や有効性について検証した。
A-13 |
|
コースマネジメントシステム開発と国際ハイブリッド型授業での実践活用 |
法政大学 |
|
児玉靖司、小林尚登、八名和夫、林 公美、日野好幸 |
2001年以来の遠隔授業プロジェクトの実践活用例を紹介し、プロジェクトにおける各フェーズにおける問題点と対応策について考察した。また、4万人規模のユーザー管理、さらには国際化、あるいは日本語化対応を目指した2007年における新たな目標について報告した。
A-14 |
|
遠隔教育によるGIS実習での質疑応答手法の改善に関する研究 |
立正大学 |
|
酒井聡一、後藤真太郎、山下倫範、櫻井広幸 |
マイクによる質疑応答に対する質問の「しづらさ」を軽減すべく、マイク使用、手順書による不明箇所提示、質問内容のワープロ入力などの質疑応答手法を用いた実験授業について、実施アンケート結果とともにその評価を報告した。
経営データ分析のツールは進歩しているが、「経営データをどのように活用するか」実務経験のない学生にとっては「実感」するのは難しい面もあるが、様々な技法を活用しながら、問題解決に向けて学生自らが考え、創造性が発揮できる授業実践について報告した。
共愛学園前橋国際大学 |
|
兼本雅章 |
バーチャル・カンパニーを通じた地元企業との関わりやトレードフェア、商品化の実例、さらには企業同士のつながりやアンケートによる企業の反応について報告した。バーチャル・カンパニーが授業を越え、産官学連携を実現する一方で、商品開発によってもたらされる知的財産の問題が新たな課題となっている。
A-17 |
|
大学・博物館・中学校の連携によるIT教育の実践 |
帝京平成大学 |
|
仲井克己 |
袖ヶ浦市郷土博物館 |
|
能城秀喜 |
市原市立南総中学校 |
|
地引尚幸 |
伝統的な「上総掘り」による実験井戸の掘削から博物館企画展、さらには教育デジタルコンテンツの制作に至る研究を通じて、広義のネットワークを活用した教育について報告した。このネットワークの実現は、産官学連携とは異なる大学の新たな「連携」を創造させるものである。
紙と鉛筆が中心の数学教育を、PC活用の数学教育に変えることによって、数学の内容を実際に見て、触れて、考えることができるようにする。センサーを使った実験やExcelでの計算などの具体的思考から始まり、それを抽象化する訓練が重要である。
B-2 |
|
プリント教材と携帯電話用Web教材を連携させた基礎数学の教材開発 |
金沢工業大学 |
|
中村 晃 |
e-Learningの端末として、場所の制約がない携帯電話を用いる。プリント教材にQRコードを印刷することにより、手書きによる計算過程の記述に重点をおいたプリント教材と、リンクをたどって必要なところへ戻れるWeb教材を組み合わせることができる。
B-3 |
|
gnuplotを使用して物理実験データをグラフ解析させる試み |
北海道工業大学 |
|
佐藤宏一 |
レポートを書くのに必要なグラフ描画スキルの向上を目標とし、gnuplotを使用したグラフ描画の支援教材を作成して授業を行った。物理学実験のグラフを描くにはgnuplotが適しているが、文字ベースで敷居が高いため、インターフェースの改善が期待される。
比治山大学 |
|
山田耕太郎 |
統計処理への理解を深めるため、プログラミングによって途中の処理過程をすべて追えるようにした。プログラミングには、学生の抵抗感が少ない日本語プログラミング言語の「なでしこ」を用いた。Excelとの連携が簡単にできるので、データはExcelで入力し、統計処理の過程を「なでしこ」で記述する。
B-5 |
|
プログラミングと物理学/数学を連携させた演習授業の設計 |
大阪電気通信大学 |
|
高見友幸、荒矢 剛、林 潤、平井史郎 |
プログラミングの演習に物理学と数学の内容を加味した新しい形態の授業を実施した。ActionScriptで画像とアニメーションのプログラミング演習を行い、次に運動方程式の数値解法による物理シミュレーションを行った。これにより、プログラム設計と物理学の面白さを相乗させて提示できる。
B-6 |
|
先端情報技術実践を伴う情報システム開発技術者育成 |
広島工業大学 |
|
長坂康史、永田 武 |
要求定義・分析から実装、試験に至る情報システムの設計・開発手法全般を体験する授業を行った。システム開発は学生5〜6名のグループで実施する。アンケートによれば、すべての学生がこの実習によって情報システム開発の流れが理解できたと回答している。
B-7 |
|
FPGAを使った論理回路設計体験学習用演習基板の開発と実用化 |
湘北短期大学 |
|
小田井圭、小松恵一 |
デジタル回路教育用演習基板をザイリンクス社のFPGAを用いて開発した。これには、論理回路作成ツールの無償配布、業界標準言語であるVHDLとVerilog-HDLが使用可能、I/Oピンが141本使用可能なためいろいろな素子を接続できる、などの利点がある。
B-8 |
|
診療情報管理のための情報システム学習への取り組み |
京都創成大学 |
|
神谷達夫 |
診療情報管理の職を目指す学生が情報システムへの理解を深めるために、LANによる情報システムの構築を実際に体験させる授業を実施した。現実の情報システム管理では、ハードウェアに対応する技能も必要であるため、ネットワーク設置や設定、機器の組み立て等を含めた情報システムの構築を経験させる。
京都創成大学 |
|
中井秀樹 |
仮想世界上における教育システムにより、従来は対応が難しかった要支援者学習支援や社会人向け教育の充実を図りたい。教育コンテンツをゲーム形式で取り組むようなシナリオを作成し、その解決を目指すために情報を収集(学習)し、それを実践することでシナリオを解く(単位を修得する)。
B-10 |
|
ネット環境を利用したプログラミング教育支援システムの試作 |
いわき明星大学 |
|
高山文雄、工藤清美、渡邊景子、大表良一 |
他の学生との協調による学習やゲーム性のあるものがプログラミング教材として有効ではないかと考え、サーバに接続した他の学生のプログラム内容や描画結果が表示されるシステムを構築した。これにより、ゲーム性を加味してプログラミング力を競うこともできる。
B-11 |
|
アドベンチャーゲーム作成で学ぶアプリケーション開発 |
戸板女子短期大学 |
|
別宮 玲 |
テキストアドベンチャーゲームを素材とすることで、プログラミングへの苦手意識が高い、あるいは一切やったことがない学生でも気軽に学習できる方法を用意した。サンプルと簡易な開発テンプレートを用意し、アプリケーション開発の全工程を疑似体験する。
B-12 |
|
文系学部におけるプログラミングスキル修得の再構築 |
城西大学 |
|
加藤武信 |
SEを志向する学生に対してDB業務システム、Web業務システムの開発から実装に至る手法を教育する事例が報告された。文系学部ではあるが、オブジェクト指向、UMLモデリングなどについての工夫された教育計画が展開されており、他大学でも参考となる事例である。
大阪経済大学 |
|
太田幸一 |
学生にアルゴリズムを理解させるために、GUIで流れ図を構成することのできるLogic Masterシステムが具体的デモを含めて紹介された。学生に興味を持たせるためにゲームの解法やゲーム面の作成なども含んでおり、対応するCプログラムも自動生成される。学生の評価も良好である。
B-14 |
|
グラフィックス機能を強化したアルゴリズム学習教材 |
大阪国際大学 |
|
中井哲夫、岡本容典、下條善史 |
初心者向けのアルゴリズム学習ソフトDynamic Flow Chart(DFC)の紹介が具体的なデモも含めて行われた。GUIベースで流れ図が構成でき、それからCのソースコードが生成される。4種類のグラフィックス命令が追加され、学生が興味を持って学習に取り組めるように工夫がなされている。
B-15 |
|
e-Learningからみたバーチャルリアリティ空間 |
立正大学 |
|
櫻井広幸、山下倫範、後藤真太郎、王 在、酒井聡一、東川昌之、石松明長、藤村 哲、野田唯志、菅野智文 |
富士通(株) |
|
福瀧敏典、安部和弘 |
(株)富士通ビジネスシステム |
|
室本秀行 |
(株)FFC |
|
加藤 博 |
ソリッドレイ研究所 |
|
神部勝之、鮫島正大 |
eラーニング、遠隔授業はVR(Virtual Reality)そのものであり、それによる教育の構築が多面的な形で展開されていることが紹介された。VRであってもコンテンツの質と量が成否を決めることになるが、サイバーキャンパス整備事業のもとで行われた大規模な試みでの成果が示された。
B-16 |
|
シミュレーション型実習教材をより効果的に活用していくためのいくつかの試み |
淑徳大学 |
|
戸塚法子、松山恵美子 |
社会福祉実習のための教材とそれを活用するための個別学習コースの設計、シミュレーション型の自習用eラーニング教材などが紹介された。学生がいきなり福祉施設に実習に行ってもうまく対応できない場合があるが、事前に自習してから実習に入ることにより良い効果が得られる。
B-17 |
|
データベースソフトウェアを利用したクローズドテスト学習教材の自動作成 |
大阪工業大学 |
|
神谷健一 |
ニューヨーク市立大学 |
|
永野友雅 |
同志社大学 |
|
北尾謙治 |
外国語教育における総合能力の測定や、外国語の学習のための手段としてクローズテストがある。このテストでは、一定のルールで英文から単語を抜き取り、ランダムに並べて学習者に復元させる。この問題をITスキルの乏しい教員でも容易に作成できるシステムの紹介がデモを含め行われた。
C-1 |
|
情報リテラシ教育における同一素材を使用した各学科特有の試みと一考察 |
兵庫大学 |
|
高市英明、平井尊士、原田昭子、西田悦雄 |
新入生を対象に基礎科目として、情報リテラシ教育「コンピュータ演習」を実施し、同じ教材(素材)でも各学部・学科に特化した利用方法によって、学生により理解しやすくし、また、各専門分野で応用活用できることを目指した情報教育の試みである。資料の配布や課題の回収なども従来のファイルサーバ利用からe-Learning
を利用した授業形態に移行した。
C-2 |
|
ライフサイエンスの体験実習における情報リテラシー教育 |
鶴見大学 |
|
阿部道生、山根 明、佐々木史江、西川純雄、大貫芳樹、安藤 準、島田明美、木村利夫、島田道子、山本竜司 |
ライフサイエンスの体験実習において、1)図書情報から必要な文献や情報を見つける検索法、2)収集した情報を整理・解析しレポート化する技術、3)調査内容を伝達(発表、発信)するプレゼンテーション法を修得することを目的として、統合科目「情報リテラシー」を実施している。授業形態やテーマ設定等の工夫が今後の課題とされた。
C-3 |
|
コメディカルに対するコンピュータリテラシー教育とその特徴 |
国際医療福祉大学 |
|
石川 徹、長谷川高志、今田敬子、外山比南子 |
医療従事者にとってコンピュータ利用技術に関する能力の必要性は年々増加している一方で、限られた時間に多人数の学生へのリテラシー教育を実現するため、受講者のレベルに合わせ、基本操作中心の「情報処理I」と練習問題や発展的内容も取り入れた「情報処理II」にクラス分けし実施した試みである。
C-4 |
|
Intranet整備による、24時間アクセス可能な医学情報検索システムの確立 |
慶應義塾大学 |
|
佐藤 徹、中島理加、天野隆弘、安井清孝 |
患者情報や電子カルテ等の個人情報保護の問題から、診療システムとは別個の教育用のネットワーク環境が必要なため、病院内(信濃町キャンパス)に教育公開情報コンセントを新たに設置した。また、病棟、学生自習室、学習施設等を含めた、医学部キャンパス全体で24時間アクセスして学習を可能にするユビキタス環境を目指し、Intranetを整備した。
C-5 |
|
ハイビジョン教材開発と薬学授業アーカイブス |
明治薬科大学 |
|
梶原正宏 |
学生の学習意欲向上のため、新たに鮮明な画像と良質な音声を特徴とするデジタルハイビジョン教材を作成し、インターネットで自宅からいつでも自学自習できるように整備した。授業そのものをコンテンツ化した薬学アーカイブスとともに、デジタルハイビジョン教材を増やすことで、学習意欲をさらに高めることが期待できるとしている。
C-6 |
|
教科「情報」の状況と大学における情報教育について |
いわき明星大学 |
|
中尾 剛、柴田和聖、渡邉景子、若松輝彦、野木直人 |
大学新入生や高校の情報担当教員に、高校の必修科目「情報」の教育状況をアンケート調査した。ワープロ、表計算等は教員が教えやすく、学生の理解度も高かった。情報倫理やPCの仕組み等はその逆で、未履修者もいた。大学ではこうした格差を吸収し、より高度な情報活用能力や情報倫理の教育などが必要と考えられた。
C-7 |
|
高等学校教科「情報」2年目履修生に見る情報習熟度推移と情報関連授業の適合 |
中京女子大学短期大学部 |
|
前野 博 |
高校科目「情報」必修化以降の情報習熟度状況の推移を大学新入生に対し、「基本操作」「表計算」など操作系統別に調査・得点化した。平均値は昨年度より悪く、また未履修もいた。2年次以降の履修者の方が理解度は上であった。大学のPC基本スキルを含む情報リテラシー教育は必要であると考えられた。
C-8 |
|
Excelにみる学習環境と高校情報の大学への影響 |
立正大学 |
|
友永昌治、宮崎智絵、近藤武明、武井順介、野呂一仁 |
高校の履修の実態とExcelの習熟度、学生の階層意識と学力差、学習環境と学力、学習意欲との関係を調査した。2007年度は学習意欲に階層間であまり差はなく、Excelの習熟度は商業高校出身の学生が高かった。また、母親の学歴と相関があったが、2006年度と2007年度で逆の相関であった。さらなる調査が必要とされた。
C-9 |
|
コンピュータリテラシー教育におけるかな文字入力方法の検討 |
日本工業大学 |
|
吉岡 亨、飯倉道雄、樺澤康夫 |
携帯電話が普及し、主にメールに利用されている。そこで、コンピュータ文字入力装置として携帯電話型キーボードの可能性を検討し、学生個人毎の差をなるべくなくす工夫をした。携帯型を用いた入力速度は練習で大きく改善し、フルキーボード並みに近づき得た。体の不自由な方等に有効と考えられた。
C-10 |
|
情報教育に対する短期大学生の潜在的スキル調査 |
コンピュータ使用経験、PCスキル、情報関連用語認知度等についてアンケート調査をした。スキルはあるが知識が不十分である可能性が高く、また情報倫理等を学習させるため高校教科「情報C」の学習内容を短大の情報教育に盛り込む必要性や、打鍵練習によりコンピュータ実習授業への不安を取り除く必要性が明らかになった。
武蔵野学院大学 |
|
木川 裕、荻原 尚 |
大東文化大学 |
|
永田 清 |
ある学会大会参加の中国人教員に対し、情報倫理および情報関連法規教育の現状のアンケート調査しフィリピンでも同様の調査を行った。その結果、中国の情報倫理意識が不十分である可能性が伺われ、一方、フィリピンでは高かった。中国での著作権や情報倫理教育の遅れが感じられた。
C-12 |
|
授業改善を目的とした授業アンケートの効果的活用法 |
青山学院大学 |
|
大野博之、稲積宏誠 |
授業アンケート結果の分析法を検討し、授業改善のための手がかりを得る方策を考えた。総合評価に対して、授業のわかりやすさなどの設問との相関の強さを分析し、顧客満足度(CS)の評価グラフにより、具体的改善案を提示できた。さらに、学生のグルーピングから意見傾向を抽出して利用する等の工夫も行った。
C-13 |
|
学生、企業のIT教育に関するアンケート調査と教育改善について |
東海大学 |
|
谷口唯成、上村龍太郎 |
学生や社会のニーズに対応して大学の情報教育の改善に役立てるため、各種IT技術の必要性をアンケート調査し、因子分析した。学生・企業共リテラシーは必要性が高く、次に学生はマルチメディア、企業はプログラムやハードの知識であった。因子としては、学生は五種で第一がマルチメディア系、企業は三種で第一が系統立てられたIT技術であった。企業業種別などのさらなる調査が課題である。
C-14 |
|
PDCAシステムを導入した先進的授業改善 |
鎌倉女子大学 |
|
田中康正、高垣マユミ |
授業アンケートとその結果の利用にPDCAシステムを活用した。情報教育センターが学習進度、興味などについてのアンケート用紙を作成、学生が毎回評価・提出し、その後分析、授業者へ還元、さらに教授システム開発室が授業者にカウンセリングを行い、次回の授業に反映させるものである。結果は、改善の効果が上がっていると評価された。
流通科学大学 |
|
小無啓司 |
情報処理関連科目について、学生の到達度の評価として具体的な資格試験を基準にし、講義品質の保証を学生に実感させた。レベルによるコース分けを基礎に、説明回数の調整、教え合いシステム、待ち時間における問題集形式のe-Learningの導入など工夫した。実験段階ではあるが、資格試験合格という形で効果が示された。
流通科学大学 |
|
平越裕之、南木睦彦 |
FDのための公開授業制度として、全教員・全授業に対してオープンクラスウィーク制度(3週間で、希望者が参観、報告、授業者に還元、まとめを行う)を導入、その効率的実施のため情報システム開発を行った。特に、メール自動とりまとめと自動受信確認を取り入れ、管理効率を上げた。その結果、現在では大半の教員が参観体験をした。
C-17 |
|
電子アナライザによる受講生理解度とシラバスの再評価 |
名古屋学院大学 |
|
児島完二 |
FD活動の一つである授業評価アンケートを十分活用するため、「誰でも簡単に効果がある」を目指して工夫した。PDCAシステムとして、大学の教育支援システム上で簡単な理解度調査と意見記述を全学生に課し、電子アナライザで評価・公開、その結果を次回の授業に反映させ、また自学自習用補習教材も示し、結果的に理解度を改善した。今後組織的取り組みを検討する。
東京医療保健大学 |
|
岩上優美、深澤弘美、西大明美 |
医療情報技術士や診療情報管理士の資格取得を目指した教育では、データベースの概念は大変重要である。また、抽象的な理論と具体的な技術の関連性を明確に把握させるためには、技術の導入から理論へ進む方が有効であると言われていることから、医療情報学科では医療に関係するデータを扱うことで、学生のモチベーションを高めている。
D-2 |
|
単純X線撮影ポジショニングにおける自己学習Web教材の作成 |
鈴鹿医療科学大学 |
|
松浦佳苗、武藤裕衣 |
単純X線撮影におけるポジショニング技術を十分習得させるため、教員によるポジショニングのデモンストレーションを模倣し、実際に自分たちの身体を動かし反復して学習を行いながら、ポジショニング手法と撮影写真がより効率よく理解できるような自己学習支援Web教材を作成している。
細胞検査士教育では細胞所見判読トレーニングは大変重要であり、10〜15名程度の少人数で、スライドカンファレンスという方法をとるが、35mmポジスライドを用い、指導者との対話が必要なため、復習や自宅学習には向かないが、Webにデジタル画像を公開し、Webログ上でのカンファレンスを試みた。
東京文化短期大学 |
|
中ノ瀬千尋、清水憲二、中島美雪 |
栄養士系学生の情報リテラシーを向上させるため、栄養士専門業務文書や献立表等の作成を通してオフィスソフトの習熟を図り、ライセンスフリー素材やレタッチソフトを使ってマルチメディアを活用した食育教材の作成を通して、栄養士養成施設としての独自のICT教育の充実を目指している。
法政大学 |
|
坂本 旬、菅原真悟、村上郷子、山田 泉 |
国立情報学研究所 |
|
新井紀子 |
文化探究学習には学習者が検索できる情報資源、コミュニケーション空間、共同作業空間が必要となる。そのためコミュニケーションツールとして国立情報学研究所が開発した情報共有システム「NetCommons」、Webコラボレーションツールとして「NOTA」、さらに翻訳システムを導入している。
日本大学 |
|
丸山 茂 |
中国古典のデータベースと星の運行をシミュレーションするソフト「星空はかせ」を駆使して漢詩の季節感を実感させる、また中国人の漢詩専門家の発音を聞かせるなどで、「中国古典文学」の魅力を伝え、「時代遅れ」「難解」「堅苦しい」という「漢文」への先入観を取り除く効果を上げている。
D-8 |
|
e-Learningを活用した書道教育の試み |
武庫川女子大学 |
|
西山明美、岡田由紀子 |
e-Learning用の「変体仮名」教材では、文字の書き方(筆で文字を書いている様子の動画)、読み方(音声)、発音記号(英語表記)が一体化されているため、初めての学習者や海外からの留学生でも比較的簡単に学習できるようになっている。また、電子会議システムも利用でき、学生の意見も聞ける。
日本歯科大学 |
|
佐藤かおり、島津徳人、青葉孝昭 |
病理学の教育において、病態と生体応答の教材としてイラスト・アニメーション、3次元動画表示、バーチャルマイクロスコープによる広域組織画像の動的観察を取り入れるとともに、画面入力ソフトを用いて学習者の参加を促す学習スタイルで、双方向性のある自主学習支援システムを実現している。
D-10 |
|
ブレンディッドラーニングによる自学自習システムの構築 |
近畿大学 |
|
岩崎光伸 |
近畿大学理工学部では教育理念を実現するためにe-Learning学習を通して「学生が自学自習する」環境を積極的に構築しており、理工学部の新入生のほぼ全員(約1,600人)が何らかの科目でe-Learning学習を行い、授業内容の復習および予習するのに役立て、勉学への意欲や習熟度の向上に繋がっている。
立正大学 |
|
小堺光芳、山下倫範 |
武蔵野学院大学 |
|
木川 裕、荻原 尚 |
従来の簿記教育の本質を残したまま教育効果を高めるため、ExcelとPower Pointだけで 「初級簿記教育デジタル支援システム」を開発している。板書による時間を省くため、Power
PointとExcelをVBAで動的に利用して簿記一巡の流れや数値の移動によってわかる簿記構造を視覚的に表現している。
D-12 |
|
Moodleを利用したe-ラーニングの取り組みについて |
三重中京大学 |
|
岡田良明 |
北九州市立大学 |
|
恩地紀代子 |
オープンソースLMSであるMoodleの小規模(学生総数1,000人未満)大学への導入例が紹介された。1クラス100名未満であれば、通常のPCをサーバに仕立ててもメモリーを2GB程度入れれば、十分使用に耐えることがわかった。
D-13 |
|
マネジメントゲームにおけるmoodleを用いた教育事例とその効果 |
大阪国際大学 |
|
田窪美葉、韓 尚秀、市川直樹 |
チーム対抗型のマネジメントゲームを行ってきたが、チーム内での意思統一、欠席学生のフォローアップ、教材配布、提出物の管理、提出書類の履歴の管理等が難しかった。これらの管理をMoodleで行うことにより、教育効果を上げることができた。
大阪国際大学 |
|
矢島 彰、石川高行 |
必修科目の基礎ゼミにおいて、リメディアル、ガイダンス・レポート作成・プレゼンテーションなどを教育しているが、内容が多岐にわたるため、各分野が未消化となる傾向にあった。しかし、これにLMSを使うことにより、時間的余裕を確保することができた。
D-15 |
|
全人的教養教育を支援するe-LearningシステムSPES NOVAの開発 |
東京理科大学 |
|
佐藤喜一郎、本田宏隆、野澤 肇、竹内 謙、村上 学 |
個に応じた教育成果の解析とその結果を反映させる再帰的評価法を取り入れ、評価結果を迅速に取り込む自己変革型のe-Learningシステム「SPESNOVA」の開発事例が示された。このシステムを使用した結果、講義が円滑に行えるようになった。
D-16 |
|
マルチストーリーに対応したe-Learning CMSの開発 |
東海大学福岡短期大学
|
|
八尋剛規、宮川幹平、矢原充敏 |
システムラボラトリー(株) |
|
遠藤昇司、内田靖彦 |
多様化する学生の学力への対応を目的に、マルチストーリー対応のe-Learning CMSの開発を行った。このシステムを利用することで、受講途中での挫折などが少なくなり、e-Learningを利用した学修の継続性、理解度、満足度の向上に効果があった。
D-17 |
|
理数系少人数教育のためのe-Learningシステムの開発 |
東京理科大学 |
|
竹内 謙、本田宏隆、野澤 肇、佐藤喜一郎、村上 学 |
Playstation portable(PSP)を用いた、学生実験実習に特化したe-Learningシステムの開発・利用事例が紹介された。実験室ではPCでなく、PSPを端末として使うことで、実験操作手順が動画で配信でき、実験台の上が有効に使える等の利点が挙げられる。
E-1 |
|
履修申請における乱数シミュレーション・ベースのクラス編成法 |
岩手医科大学 |
|
高橋 敬、斉藤匡俊、斉藤健司、松政正俊、佐藤洋一 |
新カリキュラムに対応した履修申請・登録システムの構築とその実施結果について報告された。新カリキュラムの複雑な履修条件の中で、より適切なクラス編成を行うために、乱数シミュレーション・ベースのアルゴリズムを考案した点が工夫されている。その実施結果も良好ということであった。今後のさらなる改善に期待したい。
E-2 |
|
継続的・主体的学習を目的とした全学規模のICT活用型学習支援システムの構築 |
福岡大学 |
|
鶴田直之、田村隆一、黒瀬秀樹、志渡澤登、今野 孝、山口住夫 |
学生と教職員の密なコミュニケーションを可能にするための多彩な機能を一つのポータルに集約したICT活用型学習支援システムの構築と、そのシステムを利用した学習方法と授業実施方法について報告された。概ね期待通りの効果をあげているようである。今後、利用に対しての啓発活動と学習に対する効果分析が重要であろう。
E-3 |
|
継続的な修学指導を目的としたICカードによる全学的な出席管理システムの構築 |
福岡大学 |
|
奥村 勝、永星浩一、永田潔文、一瀬信介、廣瀬和也、今野 孝、山口住夫 |
非接触ICカード型の学生証を活用した全学規模の出席管理システムの構築と、その実施結果について報告された。このシステムの導入により、授業開始後10分以内に95%以上の学生が入室を完了しているなどの紹介があり、学生の講義へ積極的参加の動機付けには効果が大きいようである。今後、カードのさらなる機能拡張を期待したい。
E-4 |
|
インターネットを活用したインターンシップ・サポート・サイト |
産業能率大学 |
|
小柴達美、北川博美 |
インターンシップのサポート・サイトの紹介と、実態調査から得られた実習先選定の要因について報告された。このサイトの特徴は、実習生に自らの意思で実習先を決定させることにある。テキストマイニングを用いた実習生の選定理由の解析の結果、「成績優秀者は企業名で実習先を選定している」など、興味深い結果を見出している。
E-5 |
|
インターネットを利用した再履修学生のサポート |
広島女学院大学 |
|
中田美喜子、橋本一夫 |
情報リテラシーに対する再履修クラスを遠隔講義で実施した状況について報告された。この遠隔講義では、Webやブログ、メールなどを活用し、課題提出と試験だけにより単位認定を行っている。その結果、82%の学生が遠隔講義で単位を取得でき、アンケート結果も良好であった。今後、教材開発や対面授業の導入などの検討が望まれる。
E-6 |
|
Spamフィルタの運用とユーザインタフェースの改良 |
東北薬科大学 |
|
星 憲司、川上準子、岩谷香寿美、佐藤憲一 |
フリーソフトウェアの迷惑メールフィルタを使用したスパムメール対策サービスにおいて、CGIによるWebユーザインタフェースの開発とその運用状況について報告された。スパムメールの誤認識を減らすために、ベイジアンフィルタのユーザによる選択機能などの追加を行い、判定精度を向上させたという。今後、その効果の検証が望まれる。
E-7 |
|
大学における携帯電話を利用したメールシステムの構築 |
浜松学院大学 |
|
山本孝一 |
携帯電話に対するメール配信システムの構築について報告された。このシステムの特徴は、携帯電話のメールアドレスの管理をシステムで一元管理することにより、教職員は学生のアドレスを直接知る必要がなくなった点と、学生もアドレスをWebから登録・変更できるという点である。個人情報保護の観点からも望ましいシステムであろう。
E-8 |
|
紙課題のメールによる返却を半自動化するシステムの試作 |
桃山学院大学 |
|
藤間 真 |
紙媒体による課題をメールによって返却するシステムの試作について報告された。学生は紙媒体で課題を提出し、教員は紙上に赤で添削をし、それを高速スキャナで入力する。その際、学生の付帯情報を入力し、メールで自動的に学生に赤の入りの課題を返却するシステムである。半自動ではあるが、実用性の高いシステムという印象を受けた。
E-9 |
|
メールを用いた授業における学習内容確認と是正 |
女子栄養大学 |
|
高橋勝美 |
学習内容の理解度の確認や誤った理解の是正を目的として、スプレッドシートとメールを活用したシステムの紹介と、その実施について報告された。学生が出席メールとして授業内容の要約を送信すると、一覧性のあるシート上にその情報が集約され、コメントを学生に一斉送信できるシステムである。学生との信頼関係構築にも有効であろう。
熊本学園大学 |
|
鈴木信雄 |
携帯を用いた講義支援システムについて紹介された。このシステムにより、多人数教室における課題の提出・回収・採点が容易になり、小テストにより学生自身が理解度を把握でき、掲示板による質問や意見交換により講義への参加意識を高まることを目的としている。使用した学生からも良い評価も得られたようである。今後の機能拡充が望まれる。
E-11 |
|
学生指導に活かせる携帯電話を用いた授業支援システムの構想 |
摂南大学 |
|
松永公廣、雨宮 孝、佐藤正志、杉本篤信、紙 博文、川相典雄、勝原 健、有馬善一、堀井千夏 |
携帯電話やPCを用いた授業システムの構想と、これまでの実践状況について報告された。携帯電話やPCなどのメディアを活用し、学生や教員間のコミュニケーションをとり、学習の動機付けを高めるための授業支援システムの構想を掲げ、そのサブシステムの構築と運用、効果や苦労について報告された。
東京成徳大学 |
|
川合治男、福山裕宣、半田勝久、岩瀬弘和 |
学生の授業への積極的参加を促すことと、学生、教員の学内LANの活用の支援のためにCMS(コース・マネージメント・システム)の一部機能を作成した。また、Mobile端末を含む教員学生間および学生相互のコミュニケーションや情報共有を図るような運用を行った。
E-13 |
|
SNSによる創造性教育支援法の開発とその評価 |
東京工科大学 |
|
奥 正廣、千種康民 |
授業におけるコミュニケーションの促進や創造性教育の支援にBBS(電子掲示板)を活用してきたが、今年度より比較的少人数クラス(20人程度)でBBSに加えSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を導入して実験した。SNSでは、積極的な参加が多いが、知的交流の密度が下がるきらいがある。このような問題点および適切な指導による解決法のヒントが見つかった。
E-14 |
|
共有ファイルと表計算ソフトを活用した集計・分析支援ツール |
九州情報大学 |
|
岸川 洋、岡 久登、福田耕治、合田和正 |
LAN経由で利用できる学生個人専用のファイルスペースや共有フォルダがある環境で、表計算ソフトを活用して、小テストやアンケートを実施している。小テストの解答方法は共有フォルダからテンプレートを取り出し、そこに解答を書き込み、学籍番号をファイル名として共有フォルダに新規保存する。教員は、あらかじめ作成してある正解と突合せ、表計算ソフトのVBA機能を活用して採点、集計、分析を行い、学生のファイルスペースへ書き込む。授業時間内に上記分析まで可能なので、学生に素早くフィードバックできる。
吉備国際大学 |
|
今村俊介、佐藤 匡、塚田健二 |
聴覚障碍(しょうがい)学生に対する講義情報の保障手段としてPCを用いたノート・テイク・サービスの事例である。手書きノート・テイクに比べ、テイカーへの負担が小さく、講義情報もデジタル化されるため、クラス全員の学習意欲の向上にも効果がある。今後はe-Learningの活用、HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)などのウエアラブル・コンピュータの利用などが考えられる。
E-16 |
|
Web知識情報のメタデータベース構築と教育構造モデルについての研究 |
実践女子大学 |
|
犬塚潤一郎 |
Web上にある様々な情報は、自律分散的でかつ流動的であるが、これらの情報を教育上有効なものとして活用するために、メタデータを作成し構造化していくことを構想している。まず、Web上にある一次データ(論文など)から、メタデータを切り出し、データベースに登録する。次に、個別の学習者のニーズに沿って、一次データを段階的に配置する(ここでは、インストラクショナル
デザイン(ID)研究成果を活用する)。さらにこれらの応用により、教育と様々な事業との相互関係の研究まで行うことができる。
第3日目(9月6日)
事例紹介
「FDのためのスキル」
本大会の初日の報告では、FDは教育の改善だけを指すのではなく、より広いものとして捉えなければいけないという解説がなされた。しかし、FDの重要な項目として教育の改善があるのも事実であり、それを実際に行うには適切なシナリオや技術に基づく必要がある。このセッションでは、具体的な手法について経験豊富な3名の講師にFDのためのスキルの方法論と実際について解説していただいた。
「グループ学習のための教育技術」
創価大学教育学習活動支援センター長 関田 一彦氏
同氏は創価大学で展開されている協同学習・協調学習(CLと総称)について、まず、その事例を相互の理解と意見の交換といった形で実演していただき、CLの具体的なイメージを提示された。このような学生参加型の教育形態は、大学の教育・学習活動支援センターで推進されているものの一つである。センターにより、CLの具体的な進め方が講習会やワークショップにより継続的に普及が図られている。そして、それぞれの教員に工夫が加えられ、少人数教育の形で学生の積極性を引き出し、予習・復習といった授業外学習を促進するといった効果を導かれている。
「問題解決型授業」
青山学院大学経営学部教授 玉木 欽也氏
同氏はeラーニングで学ぶモノ作り教育であるサイバーマニュファクチャリング演習の事例を紹介いただいた。モノ作りでは業務プロセスのマネジメントやシステム設計が重要であるが、なかなか学生にとっては全体のイメージの把握や概念の理解が難しい内容である。
ここではLMSを活用して学生が予習を行ったり、途中の過程でのグループ討議や質疑応答が加えられ、最終的なレポート提出に至るまでが、アクセスログとして記録される。これは効率的ではあるが、指導者は教材の準備や学生の様子の把握する必要があり、その努力にも敬服したい。産学協働の枠組みが作られており、時には本当の現場のデータの一部などにも触れながら、学生のやる気と興味を引き出す教育が行われている。
「授業のシナリオづくり」
名古屋学院大学商学部教授 岸田 賢次氏
同氏は、まず、大学教育における現在の主な問題点として、高卒者の75%が大学へ進学する時代においても、大学では昔の専門家養成教育が目的であった時代の教育スタイルを持ち続けているため、学生と教える側でのミスマッチが起きている点を挙げ、学生に興味を持たせることが重要であると指摘された。そして、講義の達成基準をレベル1から5まで設定し、漫然と教育を改善するのではなく、設定した水準に達成するように授業のシナリオづくりを進めなければいけないと述べられた。
昨今の学生の気質や動向などの分析も提示されながら、教室運営の事例について解説が行われた。そして、結果として、成績分布や学生の文章能力の改善などに現われていることを示された。
「学習管理システムの活用」
「学習管理システムの概要」
早稲田大学政治経済学術院教授
メディアネットワークセンター
教務主任 瀧澤 武信氏
学習管理システム(LMS)とは何か、期待される導入効果、教育実践による改善効果とその評価の問題点を述べ、代表的なWeb-Based e-Learning Systemであり、Open Source SoftwareでもあるMoodle、CEAS、Japricoについて紹介した。評価の問題点は、授業実践においてLMSによる改善効果だけを計測することは困難、ということである。
「Japrico」
早稲田大学理工学術院教授
メディアネットワークセンター所、
OSS研究所長 深澤 良彰氏
学習管理システムJapricoの特徴について、オープンソースソフトウェアとしての設計の思想についての説明と、その特徴として、機関ごとの制度・慣習の違いへの対応、多言語への効率的な対応などカスタマイズ可能な設計となっていることについて説明いただき、次いで、特徴の実現方法、要求仕様とその実装方法の説明、最後に、ダウンロード実績とJapricoクラブについて紹介いただいた。
「Moodle」
園田学園女子大学国際文化学部教授 山本 恒氏
学習管理システムMoodleについて、概要の説明と園田学園での利用法について紹介いただき、同時に、発表者は、園田学園独自のLMSを利用しているが、LMSについての授業で、代表的なLMSであるMoodleを紹介している旨を説明された。Moodleはオーストラリアカーティン工科大学のMartin Dougiamas氏が開発したが、多くの研究者等の協力により機能が追加され、1万を超える研究機関等で利用されている。
「CEAS」
関西大学環境都市工学部教授
教えと学び連環室室長 冬木 正彦氏
同大学で大規模に利用されている学習管理システムCEASについて、その特徴と教育実践を報告いただいた。設計思想はあくまでも授業を中心とした、授業と予習・復習などの学習との統合的支援である。利用実績では、関西大学での利用で、科目数、利用学生数とも増大している。また、教員が自発的に利用するように促す仕組みの説明があった。次いで教育実践では、個々の科目での利用だけではなく、入学前教育・高大接続プログラム、学部共通科目(英語)、学部基礎科目(数学)などでの組織的な利用を図られていることも報告いただき、最後に教えと学びのショーケースについて紹介いただいた。
なお、事例紹介に関連する質問の中に、著作権に関する問題点を含む質問があった。
現行の著作権法の解釈の問題で、「Web教材への他人の著作物の掲載に関して、教育的なものであるから構わない」との趣旨の発言が質問者からなされた(質問は、これを前提としたもの)。しかし、これは、公衆送信権の問題があり、著作者に承諾を得なければ行ってはならない(たとえ著作権保護のための技術的な対策を行ったとしても)ことであるから、誤解をしないように注意する必要がある。
さらに、プレゼンテーションを50人程度のクラスで行う場合は、教員でも学生でも、著作者の承諾がなくても利用できるという著作権法上の「例外事項」があるが、これと混同しないように注意する必要もある。
紹 介
「情報管理対策」
「情報漏洩対策」
札幌学院大学情報処理課長 斉藤 和郎氏
大学が持っている学生の情報は、いずれをとっても重要な個人情報である。大学には個人情報保護対策の継続的な見直しと改善を図り、社会的責任を果たすことが求められている。このような現状の中で、同大学(学生5,000名)が取り組んできた情報漏洩と情報セキュリティに関する対策について、実例を示しながら紹介いただいた。
具体的には、学生の個人情報を統合的なデータベースに一元化し、立場に応じたアクセス権限に従って、教職員員が必要な情報を引き出し、学生支援に利用できるようにした。このシステムを運用するには、最上位に情報セキュリティポリシーの憲法に相当する基本方針を置き、この下に各種規定、さらにこの下にガイドラインやマニュアルを置くことにより、対策の徹底を図った。規定やガイドラインを作成する場合には、情報の活用と保護のバランスを考え、利用しやすいシステムを構築した。また、実際に経験した二つのインシデントを例に挙げながら、技術的・物理的対策および組織的・人的対策について説明いただいた。最後に、情報漏洩の約75%は不注意によるものであることを踏まえ、常に教職員の意識を引き上げる努力が必要であることが示された。
「技術的な対策の取り組み事例」
「組織的な情報管理推進のための戦略−ファイル持ち出し管理」
日本女子大学管理システム企画課 磯田 大輔氏
情報管理の取り組み事例として、事務用PCにおけるファイル持ち出し管理システムについて紹介いただいた。システムは、操作が簡単なもの、他のアプリケーションとの連携が容易なもの、市場でのシェア率の高いものを導入するとの基本方針により市販のソフトの選別を行った。システムを導入した結果、セキュリティに係る最大の問題は、利用者のセキュリティ意識であることが浮き彫りになった。今後は、対象範囲を教員まで広げる予定であるが、これにはセキュリティリタラシー教育を徹底する必要があるとされた。
「教育環境における情報管理対策−シンクライアント(広域)の導入事例」
立命館大学情報システム課長 崔 幸治氏
シンクライアントシステムの導入事例について紹介いただいた。従来、PC端末約4,300台のセキュリティ対策ソフトの定義ファイル更新等、ソフトウェア環境の変更には従来多大な労力と時間(1教室の作業時間が数時間)を要していたが、シンクライアントの導入により軽減された。問題点としては、MACアドレス単位でライセンスを必要とするソフトウェアは導入できないこと、ソフトウェア環境を極力共通化する必要があること、PCが起動している際はウィルス感染等のリスクに晒されること等を説明いただいた。
紹介
「ソフトウェア適正管理のガイドライン」
私立大学情報教育協会 事務局
ソフトウェアを適正に管理するためのガイドラインについて説明され、また、ソフトウェア・ハードウェア購入のための補助金(半額補助金、6月に申請)が用意されているため、これらを利用してほしい旨、報告された。
報告
「サイバー犯罪の現状と課題」
警察庁情報通信局 情報技術解析課課長補佐 河石 勇氏
最近のサイバー犯罪の現状と課題について報告いただいた。まず、検挙件数や相談受理件数などの種々の統計データを示され、サイバー犯罪や情報セキュリティ事案の発生件数が増えており、しかも情報通信インフラへの依存度は大きくなっていることから、内容が多様化・深刻化していることを説明された。次に、代表的なサイバー犯罪やセキュリティ事案について、詐欺・フィッシング・児童対象犯罪関連・違法物品売買・著作権侵害・情報漏洩といった種類別に具体的な事例について紹介いただいた。さらに、ボットネットや標的型攻撃といった、今後被害が拡大すると予想される種類の攻撃についても説明いただいた。これら対する大学の取り組みとしては、学生に対するリテラシー教育、事務・教育を含めた情報セキュリティ対策、サーバのログなど証跡の適切な管理・運用が必要になるとのことであった。
紹 介
「個人認証技術」
セキュリティ対策のための個人認証技術の紹介として、慶應義塾大学における電子署名つきメール導入の導入事例と、顔画像認証の技術の動向と導入事例についてパナソニックSSマーケティング(株)より紹介された。
「電子署名つきメール導入事例」
慶應義塾大学インフォメーションテクノロジーセンター本部
課長 金子 康樹氏
課長代理 浅見 健次氏
ネットワークに関わる犯罪やトラブルが増加している中で、電子メールが普及しWeb利用も多様化してきている現状を受けて、個人認証が必要不可欠となり、同大学では電子証明書を導入し、電子メールに活用することにした。導入のポイントや証明書の使用、配付方法、運用方法などの他に、ユーザへの認証の必要性の理解や、運用問題など、今後の課題も紹介いただいた。今後、電子メール以外の活用としては、身分証明書のICカード化、電子文書へのデジタル署名、各種ネットワークサービスなどが考えられるとされた。
「顔画像認証の技術と導入事例」
パナソニックSSマーケテング(株)商品事業本部 AV&S事業部営業推進グループ事業推進チーム
チームリーダー 藤田 茂氏
生体認証による入退室管理システムとして、虹彩認証システムや顔認証システムの技術と大学での導入事例を紹介いただいた。虹彩認証は、指紋や静脈、顔認証よりも精度が高く、非接触のため衛生面や利便性においてもよいとのことであった。大学の情報センター部門や事務部門、サーバ室などでの導入事例も紹介いただいた。
【目次へ戻る】
【バックナンバー 一覧へ戻る】