特集 社会に支援を求める〜教育現場から〜(人文社会系を中心に)

 学生の基礎学力・学習意欲の低下、人間力の低下に象徴されるように、「学士力」の強化が急がれる。それには、学生に「学び」の重要性を理解させ、社会で活躍することの「喜び」を理解させることにある。社会での自立を育むには、教員だけの力に限界がある。今号と次号に亘り、授業現場から社会の支援を求める学問分野ごとの教員の「声」を紹介し、国、社会、企業等との連携の中で人材育成が一体的に促進されることを期待するものである。

●日本文学●

現場情報・体験情報の紹介
博物館等の関係者から実習内容の画像ファイルや解説を取り入れることで、授業が立体的で分かりやすいものになる。
   
コンテンツのオープン化
独立行政法人が所蔵する絵画(屏風絵・歌仙絵詞・絵巻物など)・古筆切れ・記録文書・貴重図書(写本・版本など)等をネットワーク上で閲覧したり、ダウンロードして授業での教材資料として活用できるよう希望する。


●外国語学●

現場情報・体験情報の紹介
実際に企業現場でどのような英語が必要とされているかの現場情報や体験情報を語ってくれる方や情報があると、学生の具体的なイメージが高まる。
現場で必要とする英語関連資料(機械マニュアル、技術論文、材料説明書など)について紹介いただく。また、企業の知財部門や弁理士事務所などで実務上欠かせない英語の書類や情報をインターネットで紹介いただく。
産業界や国際理解、国際交流の現場での英語利用、英語訓練の実態を、学生に実感できるような形で配信してもらえると、学生の学習意欲の向上につながる。
   
実務経験者による教育の実現
国際的に活躍する日本人、世界で暮らす日本人の生の声をネットワークを通じて紹介し、その人脈から外国人との交流へとコミュニケーションの幅を広げていく。  
   
学習成果に対する専門家の助言・評価
学習者の実践的な英語運用能力を専門分野の研究者や実務経験者に依頼して評価を受ける。
通訳、旅行業界など、英語を使用した実務を行っている専門家に依頼して、実用英語力の評価を受ける。オンラインで受験できるテストを利用し、英語力の評価を受ける。
   
人間力養成のための教養教育の実現
グローバル化という潮流は既に現実のものとなり、海外へ出る、出ないに関わらずその影響ははかり知れない。このような現代社会の中で生きていくためには何が必要なのかを、特に異文化と接触して仕事をしている方に語っていただくよう支援を希望する。
   
インターンシップ、ワークショップ、調査実習の組織的な受け入れ
英語の授業でも(実践的英語運用能力育成を目指すならば)ワークショップ、インターシップを企業等の支援を受けて積極的に盛り込んでも良いと思う。外国語学習ではこの体験学習法がもっと重要視されてよいかとも思う。


●史 学●

現場情報・体験情報の紹介
西洋史関係の授業で、対象地域の現状認識を深めるために、報道機関に写真・映像資料の電子化を求め、インターネットで利用できることが望まれる。


●地理学●

学習成果に対する専門家の助言・評価
地理学(特に地理情報科学関連)の授業では、GIS(コンピュータ)上でシミュレーションした施設配置や都市計画の事例に対して、専門家から助言・評価を受けたい。


●哲 学●

現場情報・体験情報の紹介
科学哲学の授業では、生命工学に携わっている企業等社会の専門家から生命観を理解することにより、現象界の生命倫理ではない新たな生命哲学を思索させるモチベーションを与えられると思われる。
   
実務経験者による教育の実現
生命倫理の問題で、ホスピスと教室をネットワークで結び、現場の様子を知るとともに、ドクターの話を聞くことで理解を深めたい。


●心理学●

現場情報・体験情報の紹介
心理学演習では、介護機関(病院・リハビリ訓練機関等)における介護訓練の様子、また、動物飼育機関・訓練組織における飼育訓練の実際の様子を、インターネットやネットワークで学生に紹介できれば、現実感覚をもたらせることにより、理解を深めることができる。
   
実務経験者による教育の実現
心理学関係の臨床現場の情報、例えば、病院現場の心理臨床、学校現場の発達支援、障害児・者の特別支援教育などの現場担当者から、クライアントに配慮しつつ、ネットワークを介して現状の問題点や学ぶ意味について紹介いただきたい。
産業心理学や職場のメンタルヘルスの授業において、企業の実態や取り組みを現場の方にネットワークを通じて紹介していただきたい。
   
人間力養成のための教養教育の実現
心理学実験実習では、現場の研究者・実務家に基礎的な研究がどのように現代心理学の研究につながっているのか、自分自身の研究歴を含め語っていただくことにより、基礎的実験の重要性を知る。
心理学の知見を使った職場の人間工学が製品設計に重要であり、そのためにどのような取り組みがなされ、どのような苦労をしているか、特に企業では心理学出身者が少ないため、知りたい。
   
eラーニング等ITを活用した教育プログラムの共同開発
心理学の授業では、人間の感覚・知覚・認知あるいは心理学を含む人間工学を利用した産業界における取り組み、特に、安全性、快適性、ストレスなどについて、教育プログラムを共同で開発したい。


●文化関係学●

現場情報・体験情報の紹介
「ヨーロッパ文化入門」の授業では、現地・現場の映像を用いて構成・解説することが、動機づけ、学習意欲の向上に必須であるため、報道機関の作成した教養・ドキュメント番組を教育目的で利用できるように関係機関による教育支援が望まれる。
   
実務経験者による教育の実現
近現代のアジアに関する授業では、ネットワークを通じた、外交官や企業駐在員などによる、現地での生活体験の披露をはじめとする生の情報の提供が学習の動機付けに役立つ。また、遺跡等の修復プロジェクトに関わっておられる専門家のできれば現地からのネットによるライブ授業は大変な興味関心を集めると考えられる。
文化史の授業では、伝統芸能・伝統工芸といった連綿と続く分野の伝承者から、インターネットなどで直接解説してもらうなどして学習の理解を深める。
   
人間力養成のための教養教育の実現
企業の社会的責任を強く意識し、行動している企業の方に組織内行動における倫理の側面について語っていただけるよう支援が期待される。
   
インターンシップ、ワークショップ、調査実習の組織的な受け入れ
東南アジア論の授業では、海外の支社、出張所でのインターンシップなどが実現できれば、非常に大きな動機付けにつながると思われる。また、政府派遣の日本語教師のサポートなどを1学期間なり1年なりできるようなシステムがあるとよい。
国際関係学の授業では、フィールドワークも体験する授業が望ましいが、企業が経営している企業博物館への訪問見学、そこでの聞き取り調査など有益であるので支援を期待したい。
   
コンテンツのオープン化
国文学研究資料館、東京国立博物館などが所有するデジタルコンテンツの閲覧、地域の文化に関するホームページの閲覧など、インターネットを利用し大きな教育的成果を得ている。


●国際関係学●

現場情報・体験情報の紹介
国際関係論の授業で、各国大使館、領事館、日本の外務省等からの意見や解説などが、文字、音声情報として入手でき、授業に取り入れることができれば、学習の動機付けが高まる。
   
学習成果に対する専門家の助言・評価
国際関係論やグローバルガバナンス論の授業では、国際機関、政府、産業界、NGOなどの現場体験に基づいたケースメソッド教授法や政策ディベートを実施しており、諸課題に対する学生が出した提言や議論等に対して、社会の専門家からのフィードバックを受けたい。


●コミュニケーション関係学●

現場情報・体験情報の紹介
異文化トレーニングの授業では、企業内で実際に実施されているトレーニングのビデオやトレーニングの一部のデモをインターネットで紹介または企業関係者によるクラス訪問が実現されると、キャリアの選択肢として学習意欲が高められる。英語コミュニケーション(TOEIC)の授業用に、人事の方から各企業・団体での英語能力やTOEICの採用や昇進への考慮などの話を期待したい。
   
学習成果に対する専門家の助言・評価
コミュニケーション学の授業では、実用面での日本語や外国語によるコミュニケーション能力を企業人に依頼して評価を受けたい。
   
人間力養成のための教養教育の実現
地域社会の一員として活躍できる人材育成のため、職業だけでなく、地域活動に参加しているスポーツやレクリエーションの関係者から、どのようなコンセプトをもとに仕事と社会活動を両立させているか、また、そのように活動することで変えられたこと、今後の課題、これからの若者に望むことなどについて語っていただく。
 

●法 学●

現場情報・体験情報の紹介
M&A関連の企業法務担当者・弁護士から実態をリアルタイムで聞くことにより、現実感を備えた授業が実現できる。
経済法の授業では、公取委・経産省等の産業規制官庁・産業界・消費者団体等のNPO等から、時事的なミニ解説、具体的事例に即した当事者としての解説等を紹介いただくことで学習意欲が高まる。
法律の条文や学説以外の教材として、法曹界(弁護士、裁判官、検察官等)や地方公共団体・社会関係機関から生の情報提供が望まれる。
   
実務経験者による教育の実現
経済法の授業では、例えば企業結合規制に関して、公取委職員や企業の担当者等により、具体的な事例や手続に則しつつ、実際に使用する書面等を用いて解説いただきたい。
行政法の授業では、公法実務(行政訴訟・国賠訴訟等)について、豊富な経験を有する裁判官にネットを通じた演習を担当いただきたい。
   
学習成果に対する専門家の助言・評価
経済法の授業では、公取委職員や企業の担当者等により、助言・評価を受けたい。
   
人間力養成のための教養教育の実現
法曹としての職業観・法曹倫理の醸成のために、実務に携わっておられる方の仕事内容、困難さ、やりがいなどを語っていただくことを期待する。
経済法の授業では、企業法務専門弁護士や公取委職員等に職業としての自己の仕事に関して経験談を語っていただくことで、仕事に必要な幅広い社会人としての各種能力の涵養と養成の必要性について理解させたい。
 

●政治学●

実務経験者による教育の実現
官庁やマスコミ関係者、企業人などに政策立案やビジネス現場の話や、地域活性化に取り組む商店街の人たちの生の声、福祉やNPO・NGOに携わる人々からの体験談などをネットを通じて紹介いただくことで、学生に現実感覚を持たせたい。
   
人間力養成のための教養教育の実現
政治学の授業では、イノベーターとして一定の成功を収めた行政パーソン、政治家、ジャーナリスト、市民などから政策実現のプロセスと自身の生き方などの話を紹介したい。
   
インターンシップ、ワークショップ、調査実習の組織的な受け入れ
行政学や地方自治などは、自治体の現場でのインターンシップには一定の単位を与えても十分すぎる価値がある。また、学生と地域の自治会や町内会が一緒になって地域課題を研究して解決するような実習機会があればよい。学生に責任感と社会観を持たせることができると考える。


●商 学●

現場情報・体験情報の紹介
マーケティング理論が、企業の実務にどのように生かされているのか、企業人より現場の経験を踏まえて解説いただくことにより、学生の学習意欲が増すばかりでなく、教員側にも新しい知識として蓄積できる。
流通論の授業では、経済産業省・農林水産省等の政府機関、産業界・業界団体等から、インターネットで時事的ニュースや最新統計が配信されると、現実感覚を持たせることができる。
保険論の講義では、金融庁、業界団体のホームページ、関係者から提供される各種の資料類を取り入れることで、学生の自発的学習の動機付けが高まる。特に保険会社の経営、自然災害に関する資料などは自発的学習に大きな影響を与える。
   
インターンシップ、ワークショップ、調査実習の組織的な受け入れ
マーケティングでは、企業との連携により、ネットワークを利用したワークショップなどへの参加システム作りが必要である。これにより、商品企画から販売までの一連のプロセスを実体験させることが可能となる。
   
eラーニング等ITを活用した教育プログラムの共同開発
マーケティングの授業では、必要な基本概念や基礎理論をeラーニングによる教育プログラムを利用して習得できるように、授業の効果を高める学習支援の仕組みの共同開発を望む。また、ビジネスシステムの理解を促進するために、多人数で実行可能なビジネスシミュレーションソフトの共同開発を期待したい。


●経済学●

現場情報・体験情報の紹介
経済学の場合、入門コースでは学生を動機付けるためNHKの番組や時事的記事などを見せることが多い。このため、報道関係者の経済に関する生の情報を提供していただくと、大きな教育的効果を生む。専門的な授業の場合は、学生もある程度就職を意識するようになるので、専門分野と職業選択がつながるような、社会人による情報提供は効果的である。例えば経済開発の分野では、JETROなどの民間組織や、IMF、国連などの関係者によるライブ講義を期待したい。
国連、世界銀行、JICAなどの内外機関の関係者から、発展途上国での貧困状況や環境破壊などの実態の事例を、(可能ならば、映像とともに)ネットで紹介いただき、日本社会との違いを学生に認識させ、途上国への関心を醸成させたい。
経済学の授業では、財務省、経済産業省、金融庁、内閣府経済社会総合研究所の関係者ならびに金融機関を含む民間企業関係者から、インターネットで時事的なミニ解説を取り入れることで学習の動機付けを高めたい。
マクロ経済学の授業では、学生の国民所得概念の理解のために財務省など中央・地方の公官庁の協力があれば望ましい。例えばGDPや物価指数、産業連関表などをどのようなプロセスで作成していくのか、それらのデータを実際の政策決定の中でどのような判断材料として使用しているのか、ネットワークを通じて学習できれば、学習の動機付を高めることができる。
   
実務経験者による教育の実現
経済学の授業では、実務経験者から、学生に必要と思われる経済学の知識についてネット上で説明いただきたい。例えば、需要と供給の法則は知識としてどのように企業の仕事の中で役に立っているのか。商社であれば、貿易に関する比較優位論は実際に必要とされているのか。学生に期待される学力は、経済新聞を読む程度の知識があればよいのかなど。
経済関係の基礎的統計資料の構築に携わっている専門家から、GDPやGNPなどの社会会計の実施方法や産業連関表に関する経験談、あるいは計量経済モデルの作成に携わっている専門家から、政府の経済策定の立案との関係に関する経験談などを、ネット上で直接聞くことができれば学生の勉学意欲を大いに刺激することができる。
日本経済論の授業では、グローバル化が進む日本の代表的企業(たとえば、トヨタ、松下、東京三菱銀行など)から学生向けに、新しい実務上の検討事項をネットで紹介いただき、ケーススタディを行う。
格付け論の授業では、格付け会社および金融庁とのネットによる情報交換が可能であれば、より現実味を帯びた授業展開ができる。
サービス経済論の授業では、企業の人事担当者などから、賃金を「成果主義」ないし「年功序列」に基づいて決定する問題点などについて、ネットを通じて説明いただきたい。
   
学習成果に対する専門家の助言・評価
経済学の授業では、学生に身に付けて欲しい経済理論や経済知識について、各業界から選抜された評価者が毎年度評価してアナウンスする資料などがあると、非常に参考になる。
経済学演習では、シンクタンクのエコノミストにゼミ研究の成果発表会に参加を仰いで、研究成果の広い視点からの評価を受けたい。
学生が学習意義を見出しにくい理論経済学の授業では、授業内容に対して財務省・通商産業省・日銀関係者などの助言・評価を受けたい。
   
人間力養成のための教養教育の実現
中小企業の社長の方々を中心にライブでミニ講義を依頼し、大企業やブランド企業に目がいきがちな学生達に社長の志や社会的使命、職業観などを語っていただく予定であるが、講師をどのように効率よく探したらよいかが問題である。このような企画に賛成し参加してくれる優れた社長達に簡単にアクセスできるネットワークの構築を期待したい。
経済学の授業では、将来設計、職業観を醸成するため、金融機関を含む民間企業経営者にネットワークで事業などの成功・失敗、人間の生き様などを語っていただく。
   
インターンシップ、ワークショップ、調査実習の組織的な受け入れ
経済学の授業では、製造業中心の伝統経済学の理論からではイメージしにくい、ヤフー、楽天、ライブドアなどコンテンツ産業の収益構造を企業の協力の下で調査・実習などを行い、情報商品の実態を理解させたい。
   
eラーニング等ITを活用した教育プログラムの共同開発
株式投資のシミュレーションとして、学生が理解しやすい株式投資の教育プログラムを公的に構築していただきたい。


●経営学・経営情報学●

現場情報・体験情報の紹介
ベンチャービジネス論の授業では、起業やイノベーションにフォーカスを当てているので、経済産業省や中小企業庁をはじめ、各種の経営者団体やマスコミで積極的に取り組んでいる経営戦略や、NPO組織等での政策立案などをネットワークで紹介いただき、テレビ会議システム等の活用で双方向の意見交換を図り、学習理解を深めたい。
経営情報学の講義では、企業情報システム構築に関する実際の問題や運用に関する事例を産業界の担当者からインターネット等を通じて情報提供いただくことにより、現実感覚を備えた授業が可能となり、かつ学習の動機付けも高まる。
経営学の授業では、企業の現場からの生の情報発信、授業、講演をいただき、理論と実践をマッチングさせたい。特に、「優れた経営者」の条件や、経営者・管理者による判断や決断の間違いによって起こる問題について教えていただき、学習意欲を高めたい。
企業の生産現場でどのような「ものづくり」が行われているのかを学ばせるため、ネットによる「工場見学」を実現したい。
経営情報戦略の授業では、情報通信システムが新しいビジネスの創造と事業戦略にいかに直接的に関与しているかを実感として理解し難いため、インターネットにより企業間システムやeコマースの実例と稼働状況を紹介し、なぜネットワーク・システムが戦略的かを理解させたい。
   
実務経験者による教育の実現
物流、ロジスティクスの授業で、物流現場をどのように改善しているのか、そのプロセス、改善効果を含めて実務経験者よりネット上で体験を紹介いただきたい。
総合的品質マネジメント論の授業では、TQCやTQMに携わる実務者によりネット上で講演いただくことで、実学としての認識を高めたい。
   
人間力養成のための教養教育の実現
専門家の立場から、どのような教養を大学で身に付けておくべきか、インターンシップ、ワークショップ、調査実習の組織的な受け入れなどを通じて、学生に語っていただく機会があるとよい。
経営戦略論の授業では、工業見学や企業訪問等の積極化が実現すれば、製造現場の疑似体験やITを活用した生産管理システム等実務の応用例を直接学ぶことができる。
経営情報学の授業では、インターンシップ・ワークショップ、調査実習を大規模に進めたいと考えている。学生を派遣する教官側も企業に出向いて、企業・学生・教員の共同活動にできれば、三者が大きなメリットを享受することができる。
   
eラーニング等ITを活用した教育プログラムの共同開発
経営学の講義では、ネットマーケティングや株取引などを(安全に)行えるようなシミュレーションソフトの共同開発が学生には関心が高いと思われる。
   
コンテンツのオープン化
NHK、民法の放送番組をネットワークで閲覧できると、優れた教材となる。日経新聞の記事などもネットワークで活用したい。


●会計学●

現場情報・体験情報の紹介
環境会計のみならず会計領域は、実務先導型でモデル開発が進んでいるため、企業等のケーススタディを採り入れることが不可欠であると同時に、実際の事例を用いた方が教育効果が高い。
管理会計の実用性を理解させるために、実務家より現場情報をインターネットを通じて提供いただき、理論と実際のマッチングを図りたい。
   
実務経験者による教育の実現
財務会計論の授業では、企業の経理担当者、アナリスト、証券取引所の関係者などから、実際に財務情報をどのようにして集め、利用しているかなどについて、ネットを通じて話していただくことにより、学生が自分たちの勉強していることの位置付けなどを明確にさせたい。
会計学の授業では、企業あるいは組織体の社会的責任を経営者がどのように意図しているかについて、ネットワークを通じて情報提供いただきたい。また、複雑な経済取引について、公認会計士や税理士、弁護士による実務・事例解説などをお願いしたい。


●社会学●

実務経験者による教育の実現
社会調査が生かされている現場(たとえば、民間調査研究所)の研究者より、ネット上で講義いただくことで、学生に調査がどのように生かされているかを実地体験できるようにしたい。
   
インターンシップ、ワークショップ、調査実習の組織的な受け入れ
社会学の授業では、調査実習によるフィールドワーク、博物館見学なども一つの方法であるが、実際に企業に数ヶ月から半年の間、インターンシップをすることを、社会学の教育の一環に入れることは難しい。ドイツ、オーストリアではかなり広い範囲でこの種のインターンシップを実施し始めている。
社会学(社会文化計画論)の授業では、NPOへのインターンシップを通じて、学生が地域の社会文化計画の策定と実行に参与させたい。

●社会福祉学●

学習成果に対する専門家の助言・評価
福祉レクリエーション関連授業では、学生によるシミュレーション授業に対する実務経験者からの助言や評価を受けることが、何よりも次の段階への動機付けにつながる。
社会福祉学の授業では、施設現場実習やボランティア指導などの効果的な教育カリキュラムの実施のために、現場の専門家からの助言・評価を受けたい。
   
インターンシップ、ワークショップ、調査実習の組織的な受け入れ
社会福祉施設運営論の授業では、新しいサービスを創造しようとしている人達、例えばNPOを作って市民ベースの福祉サービスをはじめようとしている、を招きその具体的方法を学ぶ。


●政策関係学●

現場情報・体験情報の紹介
政策科学の授業では、政府、地方公共団体、NPO等の政策アクティビスト、および調査研究機関の研究者達による活動状況や成果報告、特に、政策形成・実行過程の背景要因や問題点に関する情報や政策提言をネットワークで紹介し、教科書的モデルの意義と限界を学生達に学ばせ、新たなモデルを開発させるヒントを与えたい。
   
学習成果に対する専門家の助言・評価
政策科学の授業では、一つの政策課題に対して、異なる立場の政策関係者に討論をしていただき、学生の質疑応答に助言・評価を受けたい。

 


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