事業活動報告

平成23年度の情報関係補助金の執行状況と
24年度の情報関係補助金予算案および申請の留意点
(平成24年3月28日の第3回臨時総会での説明要旨)

 文部科学省の私学助成課の真野専門官から、「ICT活用推進事業」と「教育基盤設備」について概ね以下のような説明が行われた。

1)平成23年度のICT活用推進事業および教育基盤設備の執行状況は現在集計中で、5月の総会に確定報告ができるが、現在のところICT活用推進事業は155件の応募があり、57件が採択されている。採択率は36.8%と22年度レベルとなっている。

2)24年度に向けた申請の留意点としては、申請に補助対象外のソフトウエアが含まれているので、含めないでいただきたい。ICTの機器・装置を稼働させるのに、ソフトウエアの経費が 切り分けできるものは申請に含めないようにしていただきたい。

3)既存の校舎を改造したLANの敷設工事を対象としており、新築校舎のLAN敷設は補助ができないので注意されたい。更新という申請をされる場合、新しい機能をつけるとか、新しい教育目的に沿った形での計画があるはずだが、申請にそのような記述がなく、単なる置き換えと思われる申請が多く、評価は低くなる。どのような機能を新たに付けるのか、それによってどのような教育効果を期待しているのか、明確にして申請いただきたい。

4)私立学校施設・設備の24年度予算の特徴は、復興特別会計110億円を別枠で設けている。東日本大震災の被災地だけでなく、全国で緊急に防災対策を進める必要があるとしている。

5)大学の施設設備関係の予算は、24年度予定額は85億5,431万4,000円で、そのうち、復興特別会計、耐震化の促進が約42億円が耐震化の経費となっている。内訳は、防災機能等強化緊急特別推進事業の耐震改修事業と防災機能強化事業と、バリアフリー推進事業、環境衛生対策推進事業となっている。
 従来では耐震の経費で隙間が出た部分を教育装置、ICT活用推進事業に流用していたが、24年度からは特別会計なので教育研究装置等整備費補助に流用することができない構造になっている。42億円を引いた残りの部分で教育研究装置、ICT活用推進事業を配分するということで、かなり厳しい状況になる。

6)研究設備と教育基盤設備は、復興特別会計はなく、一般会計で対応している。情報関係の設備は、教育基盤設備の9億6,900万円の部分に入っているということで、専修学校と大学の応募状況を見つつ全体で執行している。

7)24年度の新規事業としての私立大学教育研究活性化設備整備事業は、例えばグローバル人材の育成、地域の「分厚い中間層」の育成、人材養成像に基づく効果的な教育などで大学間連携の促進に資する整備を特に支援されるとして、プロジェクト採択制でもって定額補助としている。必要な設備費について定額で補助をするという枠組みになっており、2分の1補助ではないことから、かなり魅力的と考えている。

8)ICTとは直接関係がないが、1月19日に「私立学校施設防災機能強化集中支援プラン」ということで、政務官名で各学校にも連絡させていただいている。趣旨は今回の大震災の教訓や課題を踏まえて、24年度以降集中的に学校の防災機能の強化に投資することに対して支援をする。学校の安全の確保は喫緊の課題になっていることから、担当部署にも繋いでいただき、活用いただきたい。

 日本私立学校振興・共済事業団の徳岡助成部長から、経常費補助金関係について概ね以下のような説明が行われた。

1)24年度予算案はプラス1.7%の増加の3,263億円となっている。復興特別会計を除くと一般補助は2,812億円から2,793億円と若干減少。特別補助では増えているところもあるし、減っているところもある。成長分野が31億円から43億円に増加、就職支援等あるいは「支援の輪」として、復興関係の支援をするものが含まれている。

2)国際交流では1億円の増、社会人受け入れは同額、大学院基盤整備は204億円から181億円と1割ほど減、未来経営が18億円から16億円と2億円ほど減っている。授業料減免について当初から2分の1補助ということで23年度から補助していたが、補正もあり震災における授業料減免については3分の2補助となっている。それに合わせて、被災私立学校の復興のための支援として15億円が新たに補助されている。

3)23年度は一般補助と特別補助の抜本的な組替えが行われた。今までは特別補助が3分の2程度を占めていたが、一般補助が9割方の重点的な配分になっている。この考え方は、24年度もその組替えの趣旨を維持しつつ、一部見直し、取り組み項目等の追加をしている。例えば、学生数の減少については,昨年度の増減幅まで最低限配慮する。情報公開のメリハリ、大学改革に関する組織が検討されている。

4)特別補助は、成長分野で学生の就職支援と被災地の復興に向けた「支援の輪」がある。支援員の配置、優れた就職支援の取組みに加算支援をする。「支援の輪」は、医師やカウンセラー、放射性測定等の専門家の派遣、ボランティア派遣の支援、ICTの関係でパソコンやコンピュータネットワークを利用して、遠隔地への教育の提供も支援をしたい。被災地の大学などの復興に向けた共同研究を支援の輪の中で整理をしたい。授業料減免の中で、卓越した学生に対する授業料減免がある。学業成績優秀だけではなくてスポーツ、芸術等という方に授業料減免等の授業を実施している場合、大学の規模によるが最大で5名程度までを支援をしたい。

5)補助金の説明会を6月早々に東京を皮切りに、昨年度と同じブロックで開催するので、それまでには今のような点も含めて調査票、あるいは規程の改正に向けて準備をしていきたい。

6)ICT加算措置は、A、B、C、Dの四つの項目で1,558の取り組みがあった。内訳は、学習管理システム546件、遠隔教育233件、理解度把握システム281件、教育内容改善への支援498件となっている。一つの取り組みの単価は20万円で、執行上の配分として単価に補助率0.5、増減率平均0.6、圧縮率おおまかに0.8として、7,500万円が改正単価(学生経費)の上に加算された。
 四つすべての取り組みをしているところは17%、三つの取り組み27%、二つの取り組みは22%、一つは18%、まったく取り組みしていないところは17%と、少しずつ取り組み数を増やしていただければ若干でも配分ができる。
 できるだけICTが積極的に促進されるように支援していきたいと思うので、この考え方については絶えず見直しをしたいと思っている。


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