大学教職員の職能開発No.1
平成24年度 ICT利用による教育改善研究発表会 開催報告
本発表会は、全国の国公私立大学・短期大学教員を対象に、教育改善のためのICT活用によるFD活動の振興普及を促進・奨励し、その成果の公表を通じて大学教育の質的向上をはかることを目的としている。今年度は平成24年8月10日(金)に東京理科大学(九段校舎)において開催した。一般参加者は137名(83大学、8短大、賛助会員3社)で、発表会は第1次選考も兼ねて53件の研究発表が行われた。当日の発表内容は以下の通りである。
その後、第2次選考を10月6日(土)に実施し、11月27日(火)の本協会の第5回臨時総会冒頭に表彰式を行った(詳細は本誌p.34を参照)。
Aグループ
A-1 |
新時代の問題発見・問題解決のための情報技術関連基礎教育 |
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2004 年度から実施してきた新入生対象の「情報技術認定試験」に1年間で合格した学生の割合は、2006 年までは30%程度であった。2007 年度から入学直後に合格できない学生を対象に、「情報基礎」という授業を設置し、この授業後に認定試験のために指導を行った結果、合格率は、約90%に上昇した。
A-2 |
ペア・プログラミングを用いた演習課題の自己プロセス改善管理 |
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情報リテラシー教育に付随させる演習において、二人で取り組ませる「ペア・プログラミング」の手法を取り入れることによって、単独の場合に比べ、機器操作に関心を向け過ぎる傾向が抑制され、演習内容に集中できる効果のあることが明らかになった。二 人での業務分担、個人の能力差の補完が可能であることも示された。
アニメーション制作においても、1 枚1枚の静止画(フレーム)の連なりであることを捉えさせることで、映像制作基礎力が養われることが示された。PC とカメラでアニメーションを制作する過程で、映像を、フレームのレベルから可視化することを経験できた学生は、映像制作への制作意欲が強化の支えとなることがわかった。
A-4 |
プログラムの実行・評価機構を持つWeb教科書によるソフトウェア開発技能育成 |
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Web ブラウザ上で動作するシナリオベースのWeb 教科書を開発した。学生は、困難さを覚える環境設定なしで、プログラミングの実際を体験でき、かつ、自分の作成したプログラムの問題個所を評価ツールによって指摘されることで、ソフトウェア開発に必要なスキルを磨くことに意欲を持たされ、学生への自律的学習を促進する上で大いに効果が期待される。
A-5 |
大学講義におけるコラボレーションサイトを活用した共同学習と双方向授業 |
東京工科大学 |
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飯沼 瑞穂、中村 太戯留、千代倉 弘明 |
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大人数講義の中で、参加型の共同学習を取り入れようと試みた。授業の3分の2 程度は通常の講義で、残りの30 分をグループワークとして、1グループ4名程度のメンバー内で課題の取り組み、ウェブクラウドドキュメントとして表計算シートの共有、グループ内でのディスカッションの促進が行われた。
A-6 |
Webプログラミング習得を目的としたUNIX教育について |
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従来のCUI 環境での簡単なプログラミング演習では、低下しがちな学習意欲を高めるために、汎用性の高く、内容がわかりやすいWeb プログラミングを目標として実習を実施した。PHP スクリプトから成るRDB データベースとリンクした名簿データース管理をWeb 上で動作させることを通して、学生の高い単位修得率が示された。
A-7 |
クラウド型仮想デスクトップ環境による学生家庭学習意欲の向上 |
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近年、理工系の学生でも自宅のPCに指定されたソフトをインストールできない、しようとしない学生が50%にも増加し、宿題を解けないという問題を解決するため、PC機種に依存しないクラウド型仮想デスクトップ環境を提供し家庭学習の環境を整えた。これにより、ほぼ全員が所期の到達目標を達成できた。
A-8 |
実践的情報システム開発能力およびグループワーキング力の育成 |
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システム開発力とグループワーキング力を育成するため、組込みボードを用いたWebアプリケーション開発による実践的情報システム開発演習を実施して、上流工程から下流工程までの一連の演習を通して、実際に近い体験学習ができた。
A-10 |
インタラクティブな講義方法によるICT教育の改善研究 |
福井工業大学 |
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石野 正彦 |
静岡理工科大学 |
工藤 司 |
法政大学 |
五月女 健治 |
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情報システム構築において、決定的に重要な上流工程フェーズにおける要求定義方法の教育に最重点を置いて、デジタルペンや書画カメラ等によるインタラクティブな講義、演習、レポート、グループディスカッション、発表、情報システム構築等を総合的に連動させた。
A-11 |
プロセス可視型ポートフォリオ作成のためのカリキュラムについて |
西日本短期大学 |
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大隣 昭作、西川 真水、金澤 弓子 |
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実習や演習をただ「やった」で終わらせることなく、自らの学修履歴や作品をまとめることで、学生が自己の学習を見直しキャリアデザインのきっかけとなるよう、デジカメを駆使したプロセス可視型ポートフォリオの作成に取り組んだ。カリキュラムにポートフォリオを明記し、位置付けを明確化した。
A-12 |
ソーシャルラーニングにもとづく情報リテラシー教育の新展開 |
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学生に学習させる教育から、主体的な学び教育のスタイルへの変更が求められていることから、ソーシャルネットワークを利用することで、教える側と教えられる側を明確に固定化した学びではなく、互いに学び・教え合う新しい学習形態を可能にした。
A-13 |
ICTを活用して合格率100%を目指した資格講座の取り組み |
帝塚山大学 |
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日置 慎治、屋山 俊幸、朝倉 敬、平井 淳 |
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IT系の資格に取り組み始めた学生に対して、携帯電話に毎日10問配信、詳しい解説付きの自主学習サイト模擬試験サイトなどの支援を行った結果、モチベーションの維持とレベルの向上が図られ、合格率を高めることに成功した。
1年〜3年次までの文系学生の情報教育で、画像処理・描画・GISソフトの活用、プログラミングによるビデオ作成等で作品を制作し、優秀作品はオープンキャンパスで使用することで、学習意欲が向上した。3年次の表計算ソフト中心の授業では、卒業研究への応用にもつながった。
Bグループ
B-1 |
学生代表アバターを使用した大人数授業の活性化の試み |
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大人数講義の活性化と双方向な授業を効果的に行うため、学生を代表するアバターをアニメーションによって投影するICTの仕組みを構築した。チャットでは難しかった学生のツイットな発問や発言が観察され、自分が発した意見を周りの人と意見が共有できることや周りの意見を知る手段として積極的に授業に参画した。
B-2 |
タブレット端末全員配布による人文系高等教育の改善実施例 |
大谷大学 |
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池田 佳和、福田 洋一、松川 節、宮下 晴輝、山本 貴子、柴田みゆき、箕浦 暁雄、三宅伸一郎、わけみ 晃、酒井 恵光、高橋 真 |
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全学生と教職員にタブレット端末を配付し、無線LANを整備して、授業・演習での講義ノートや資料の配布・閲覧、ミニテスト、質問・意見のリアルタイム投稿とその表示を組み込んで授業と討論を活発化している。最新ICTスキル獲得の学習動機が深まることを期待すると同時に、教育改善に寄与していることを検証した。
B-3 |
ファイル共有サービスを活用した授業内容の公開 |
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学生のノート取りの効率化と授業への集中度向上を目的に、データレコーダで講義音声データを作成。板書はデジタルカメラで撮影して板書データを作成。二つのデータをネット上の保管及び共有サービスを利用して公開し視聴させ、同時にブログを開設して質問に答えた。
B-4 |
モバイルラーニングによるピアノ実技の振り返り学習 |
国際学院埼玉短期大学 |
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田中 功一 |
文教大学 |
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小倉隆一郎 |
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経験不足の学生は、実演と同時に聴くことや実演の問題点を把握することが困難なため、正課外でSNSシステムを活用したモバイルラーニングによる実技の振り返り学習システムを導入した。教員のポジティブな声がけや励ましで、学習者のモチベーション持続が期待できることがわかった。
B-5 |
保育でのメディア活用イメージを豊かにするカリキュラムと協調アノテーション機能の開発 |
園田学園女子大学 |
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堀田 博史 |
秋田大学 |
吉崎 弘一 |
関西外国語大学短期大学部 |
森田 健宏 |
大阪大学 |
松河 秀哉 |
四天王寺大学短期大学部 |
松山由美子 |
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保育でのメディア活用のイメージを豊かにして、その活用法を理解することを目的に、Webサイトを活用し、系統的に学べる教材を公開し、学生同士で多くのアイデアや意見を共有できる環境を準備した。また、学習支援システムに教材の付加情報を共有する協調アノテーション機能を追加し、授業を実践した。
B-6 |
栄養士養成課程における卒後教育を視野に入れたeラーニングの教育効果 |
九州共立大学 |
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樋口 行人 |
下関短期大学 |
横家 将納 |
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卒後教育につながる在学時のeラーニング導入の取り組みで、基礎学力向上には解説付きテストの反復学習システムを提供し、卒業後自学自習の習慣化には、時間と場所を選ばない学習システムを提供した。卒業後必要なデータ等の変更・改正への対応には、必要に応じて随時更新される学習システムを提供した。
B-7 |
ICTを活用した自学自習型教育による英語教育と個別コーチング |
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英語力に差のある学生達に英語習熟度別のe-Learning教材で学習させ、学生の能力や希望する教材を選択できるようにした。自宅からもアクセスでき、学外での学習時間を確保する教育改善を図った結果、稼働率が飛躍的に上がった。
B-8 |
スカイプを用いた海外大学生とのコミュニケーションによる科学技術英語教育 |
日本大学 |
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小早川 悟、福田 敦、ジョセフ・ファラウト |
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フィリピンの大学生と、英語による実践的なコミュニケーション能力の向上を目指し、グループ討議を実施した。学生は英語で話すことに自信を得たが、日常的に英語を使用している相手校の学生とは英語力に差があり、コミュニケーションがうまくとれない場合もあった。
B-9 |
Web教材による英語運用能力の基盤スキルの習得 |
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1年次の英語必須科目において、チャンク(短文)単位での英文理解による英文速読スキルの習得を目指して、自作共通教科書のWeb教材を開発した取り組みで、読解スコア、読解速度、読解効率、リスニング・スコアにおいて学習効果が認められ、アンケート結果でも、英文をチャンクで理解する方略の習得と苦手意識の減少において有意な変化が見られた。
上級学年において専門外のトピックでも理解し話せるようにするため、オンライン練習サイトで必要な単語を教室外でも復習させた結果、年度内に数回行った小試験の点数を見ると、試験の回数を重ねていくごとにICTを利用したグループのほうが点数が高くなった。
B-11 |
スマートフォンを活用した英語発音学習支援 |
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英語発音の向上のために、スマートフォンのボイスメモ機能を利用して発音練習の課題を録音・提出させ、個々の発音のチェックやグループ全体の問題点を分析し、学生へのフィードバック、重点ポイントの提示など発音指導を行った。課題を多くこなした学生ほど、発音ポイントの改善や発音の向上が見られた。
B-12 |
日本語でのICT運用能力の向上を目指す留学生向けICT授業の提案 |
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日本語環境によるICT利用のリテラシーを向上させるため科目を新設し、コンピュータを用いた日本語の入出力の授業コンテンツの作成、SA・TA、学生、教員の三者によるコミュニケーション、レポート課題などを実施し、授業で課題を読ませて自己の能力も確認させたところ、PCの操作能力が向上した。
B-13 |
教育支援システムでの小テストの活用による英語力の向上 |
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4種類の英語科目において、大学のオンライン教育支援システムを活用して授業中や課外で小テストを繰り返しさせたところ、英語力の達成目標に役立った。回答入力の際の打ち間違いを減らすことや、記述式解答の入力法が課題である。
Cグループ
C-1 |
Web上でのCMS (Contents Management System)を利用した講義・演習形態の実践とその効果 |
帝京大学 |
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大松 将彦、吉野 進也、木村 千里、菱木 清、石岡 邦明 |
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放射線診療に関わる知識の定着を目的に、授業時間外でも利用可能なeラーニングシステムを運用し、その教育効果についてアンケート分析した。コンテンツは講義時間内で扱えない資料・動画、小テストの解答・解説および講義の進捗状況で、3年間の実施期間における学生アンケートでは、閲覧頻度の高い学生には理解を促進させるコンテンツが役立ったことがわかった。
C-2 |
「一歩一歩学ぶ生命科学(人体)」 : 基礎編による、複数の医療系高等教育機関における入学前教育 |
女子栄養大学短期大学部 |
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渋谷まさと、廣末トシ子 |
女子栄養大学 |
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山下 俊一、香川 雅春、安原 安代 |
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自作した生命科学の基礎を教える書籍版とMoodle版を用いて短期大学と4年制大学の2校で行った入学前教育の取り組みで、約3か月に及ぶ自己学習前後の正解率の比較および入学前教育実施後のアンケート分析で、異なる特性を持つ大学、短大においても自作教材が有効であることがわかった。
C-3 |
知識技能のアウトプットに着目した薬物療法判断能力育成プログラムの開発と実践 |
名城大学 |
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大津 史子、永松 正、灘井 雅行、長谷川洋一、後藤 伸之、豊田 行康、平松 正行、吉田 勉、小森由美子、亀井 浩行、野田 幸裕、森 健、黒野 俊介、伊東亜紀雄 |
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薬物療法判断訓練のために動画を用いたシミュレーションシステムを開発・実施し、患者の導入画面を示し、学習者が不足している情報を質問により閲覧できるようにした。このシステムを教育に用いた群と用いなかった群で、実施前後の得点率の上昇を比較し、実施群で得点率の上昇が高くなる傾向が見られた。
C-4 |
プロフェッショナリズム教育におけるICTの活用 |
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医師としてのプロフェッショナリズム育成を目指して、他者とのコンセンサス形成を促すためのコミュニケーション実習において、Web上に選択問題と自由記述問題を設定し、学生の入力結果を集計しグラフ化するアンケート集計システムを開発し、授業中に活用したところ、50%以上の学生が実習の効果を実感していた。
C-5 |
会計教育におけるモバイルラーニングを導入した知識構築型学習環境のデザイン |
関西大学 |
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岩崎 千晶、川上 智子、岡本真由美、柴 健次 |
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授業外にでも繰り返し学習することで知識を定着させ、理解できない問題も克服させることを目指した多機能型の携帯端末による自学自習の学習環境を構築した。アンケート結果では理解度の把握や学習意欲が向上につながったが、システム環境、支援体制、他科目・学部への普及などが課題となった。
C-6 |
ブレンディッドラーニング『地域学』の取り組みについて |
山口東京理科大学 |
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亀田 真澄 |
(元)山口東京理科大学 |
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山城 貴寛 |
山口県立大学 |
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宇田川 暢 |
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地域の特性把握と発展の可能性を理解し、地域を活性化させる能力を身につけることを目指して、テレビ会議システムを利用した2大学共同による「地域学」の遠隔授業を実施した他、SNS 型の専用サイトを設けて、講義映像・写真、資料の掲載、レポートの課題・提出・評価、グループでのフィールドワークの報告レポート(プレゼンテーション)共有を可能にし、合同発表会を実施した。
C-7 |
ICTを活用したゼミ教育における授業改善の取り組み |
大阪成蹊大学 |
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浅井 宗海、稲村 昌南、中井 秀樹、千代原亮一、島田 知子 |
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企業が求めるジェネリックスキルの育成プログラムを体系化し、ゼミ教育に組み入れた。複数のゼミで横断的にグループを形成し、PBLを実施するとともに電子ポートフォリオを併用して振り返りを行わせた。9段階のルーブリックを用いた自己評価の分析から実施前後でジェネリックスキルに有意な差があった。
少人数ゼミにおいて地元企業への訪問、社員へのインタビューを学生主体で実施し、そのレポートのインターネット上への掲載を体験させたキャリア教育で、学生の主体性を重視した一連の体験から得られた気づきなど、学生からは様々な感想があった。
C-9 |
ICT利用による環境データの活用を通じた環境教育の取り組み |
近畿大学 |
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大野 司郎、田澤 新成、加治 増夫、内海 秀樹 |
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理系科目に苦手意識を持つ学生を対象として、環境データを活用してデータ分析を教える演習で、全教員がグループ分けした学生を受け持つ形で実施し、統計データの図表による提示、相関関係やt検定の理解、それらを用いた周辺環境の影響評価ができるようになった。
環境問題を解析し、環境の改善・管理を行い、新しい環境を創造する能力を育むために、小学3年生と大学生がまち歩きをして、GISにより地域資源地図の編集を行った結果、小学生が大学生の意識改善に大きな影響を与えていることが確認された。
C-11 |
ICTを活用した小テストの開発と実践 〜ひとりひとり問題が異なるマークシートの小テスト〜 |
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まる写しなどのマークシートの問題点を克服するために、一人ひとりに異なる問題用紙を配布し、採点結果を個々にメールで返却する部分にICTを利用した結果、2007年度からの得点率では基礎力の底上げに貢献したことがわかった。
C-12 |
測量シミュレータを用いた測量教育について |
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独自の測量シミュレータを開発して測量教育に利用することで、限られた時間や実習制限の影響を受けない教育環境を構築した。アンケート結果によれば、実習に関する理解に役立ったとする学生が94%、誤差や測定値の処理の勉強に役立ったとする学生が78%おり、一定の効果が得られた。
C-13 |
構造力学の理解を深める補助教材の開発とその効果について |
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構造力学の中でつまずきやすい「せん断力」と「曲げモーメント」の理解を助けるために、手で触る補助教材とICTを活用した補助教材を用意した。補助教材の導入により、それまで苦手意識を持っていた上述の2つの概念に取り組むようになり、解答率が格段に上昇して極めて高い効果が得られた。
Dグループ
基本的数学力が不足しており、特に「関数」の理解が欠如しているのではないかと考え、正規科目「基礎数学」を設置した。PCスキルの向上を主眼としてExcelの理解に直結させ、1)素因数分解と最大・最小公倍数、2)比率、対数、指数、3)(一次、二次)関数、方程式、4)場合の数と確率、の4項目に限定し、基礎を理解させるという目的を達成した。
D-2 |
Moodle と数式解答評価システム(STACK)による動的な演習問題の作成例と自己学習システムの構築例 |
日本大学 |
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根本 洋明、五十嵐 正夫 |
北里大学 |
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谷口 哲也 |
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数理系の科目においては、x^aの微分のaに、様々な数値を代入して繰り返し演習問題を解きながら習得する必要がある問題を自動的に生成し、同じ問題について毎回異なった数値で演習ができるSTACKとMoodleを連携させた e-Learning システムを構築した。履修生は考えながら正解に到達する努力や試行錯誤をし、高い教育効果が得られた。
文系の学生を対象とした科学技術の講義でICT を利用することにより、科学技術の背景的な理解を高め、文章を書き、プレゼンテーションを行い、議論する能力を向上させることを目的として、情報処理リテラシー・講義・プレゼン・ディベート・ディスカッション(講義前の準備で読解)などを有機的に組み合わせる授業改善を行った。
D-4 |
社会人育成を俯瞰する短大型入学前教育の構築 |
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一般社会人が備えるべき基礎能力の重要性を学生に早期に理解させるための入学前科目を構築し、日本語コミュニケーションや、コミュニケーションツールを用いてグループで問題を発見・解決し、プレゼンテーションを行う構成とした。また、言語・非言語能力や一般常識を向上するために部分的にeラーニングを取り入れ、学生からも好評であった。
D-5 |
キャリア教育における限定利用のSNSの活用 |
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学生自らが発言することが少ないなど授業への積極的な態度を促すため、SNSによるシステムを導入し、キャリア開発のコミュニティを作った。毎回の授業でトピックスに関してシステム上に記述させ学生同士で共有することによって、相互で刺激を受け、コミュニケーションが図られるようになった。
D-6 |
生涯教育文化学科キャリア教育におけるICT利用の効果〜自己内対話と相互関与を相乗的に深める方法〜 |
聖徳大学 |
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西村美東士、林 史典、清水 英男、長江 曜子、齊藤 ゆか、斉藤 豊 |
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大学生の自覚と、節度ある生活態度、主体的な学習態度を育成することを目的に、全学共通の初年次教育(基礎ゼミ)で、授業後の自分の気づきを書き込ませる「電子掲示板システム」(BBS)を開発・導入し、他学年の過去の学びの成果が閲覧でき、学びの状況をリアルタイムに一覧化してカテゴライズできるシステムを自作し、カード構造化した結果を学生がダウンロードできるようにした。
D-7 |
ICTを活用した初年次教育におけるスキル系授業の教育改善について |
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コンピュータリテラシーを身につける初年次段階のスキル系科目のクラス編成のために、入学直後のガイダンス時にLMSを利用したプレースメントテスト(プリテスト)を実施した。その結果担当教員は、受講生のレベル状況を把握した上で授業を進行することが可能となった。授業終了後行うポストテストの結果から、改善効果が確認された。
D-8 |
学際的チーム体制により開発した薬学6年制教育支援システムと主体的総合学習の効果 |
北海道医療大学 |
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二瓶 裕之、和田 啓爾、小田 和明、中山 章、唯野 貢司、千葉 逸朗 |
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学生が主体的に学習時間を確保することを目的として、企画・立案は薬学専門教員が行い、その後コーディング・プログラミングは情報科学教員が担当して、独自な教育支援システムを開発した。学年の枠を超えた事前学習と振り返り学習が定着し、学生による主体的な学習時間の確保を実現できた。歯学部教育への展開も計画されている。
D-9 |
総合的な人間教育支援システム(STAC)の構築 〜WEB化への展開〜 |
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「学生情報の一元化」「学生特性の把握」「タイムリーな支援」「効果的支援」を目的として、学生個人の学業、課外活動、就職活動状況等を総合的に把握し、教員が個別に学生を支援していくシステムを開発した。自分の将来計画、履修計画が立てやすくなったとする学生評価が半数を上回るなど、上記目的を達成する環境が実現できた。
D-10 |
放射線・放射能のワークショップおよび大学生の教育効果 |
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放射線・放射能に関する理解を深めるため、専門用語を多機能携帯端末を駆使しながら調べさせ、学生同士がお互いに教え合いながら学ぶ協働教育を行った。ワークショップの成果物に学生が自由にアクセスできるようにし、3Dの地図ソフトを用いて測定場所と測定値をマッピングし可視化した。
D-11 |
ビジネスゲームを用いた経営情報教育の取組み |
金沢工業大学 |
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武市 祥司、加藤 鴻介 |
横浜国立大学 |
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白井 宏明 |
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数理的思考に基づくビジネスマネジメント能力の習得を目指したゲーミング・シミュレーションの演習授業における取り組みで、仮想的な市場で利益計画を立案して競争する経営の模擬体験を経て、仮想市場のメカニズムの数理的なモデルをLMSを活用して作成・提出させた。学生の満足度は高かったが、約3割程度の学生が最終的な目標に到達していないことが判明した。
D-12 |
教科書の電子化による肢体不自由大学生の受講支援 |
神戸学院大学 |
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奥 英久、松原 加代子 |
広島国際大学 |
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坊岡 正之 |
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重度な肢体不自由大学生の受講を支援するため、講義で実際に使用する複数の教科書を電子化して携帯情報端末にインストールし、わずかな指の動きだけで頁めくりやメモ書きなどできるよう紙媒体の扱いと同様の機能を設けた。それにより、教科書の電子化により取り扱いが容易になり円滑な受講が可能となった。
D-13 |
情報素養科目のフィードバック基盤教授学習模型研究 |
金沢工業大学 |
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金 永鍾 |
大田大学校 |
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丁 ヒョンヨン |
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ITQアクセル教科にフィードバック基盤の教授学習模型を適用し、教授者と学習者の間の多様な形態のフィードバックを取り交わすという授業改善を行った。学業をあきらめる学生たちを支え、学生が提出した課題物に対する人間的なフィードバックにより課題成就に対する満足感をもたせる、などの教育的効果をあげることができた。
D-14 |
Moodleの機能を活かしたリメディアル教育の実践報告 |
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Moodleのレッスン機能を利用して、問題に対して学生が選んだ回答が正解であれば次のコンテンツへ進み、不正解の回答結果によって定義を復習し直し、あるいはより基礎的なコンテンツに進むという構造を取り入れ、どの分野の知識が不足しているかを学生が明確にわかるようなコンテンツ制作を行った。学生評価などから、効果が確認できた。
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