賛助会員だより
1988年に開設した名古屋外国語大学(NUSF=Nagoya University of Foreign Studies)は、外国語学部(5学科)、現代国際学部(3学科)を有し、約3,600名の学生が就学する。人文・社会・自然といった従来の共通科目を排し、「総合教養」というカリキュラムを設置。学生たちが自らの関心に応じて自由に科目を選べる特徴に加え、日本語表現能力を養う「基礎ゼミ」やIT化に対応した能力を身につける「情報教育」などを必修科目としている。また、外国人教員1名に対して学生3名の英会話授業の行うPower-UP Tutorial(PUT)といった特色ある授業を展開している。
同一キャンパスにある姉妹校の名古屋学芸大学(NUAS=Nagoya University of Arts and Sciences)は、映像メディアやデザイン、ファッション造形などを学ぶメディア造形学部の他、管理栄養学部、子どもの健全な成長・発達にかかわる能力、専門領域を広く学ぶヒューマンケア学部を設置し、約2,600名の学生が就学している。
両大学におけるICTを活用できる知識やスキルを習得する情報教育や、ICTを活用したアクティブラーニングを推進する情報基盤を構築・管理しているのが、法人事務局電算システム室である。
名古屋外国語大学では、従来から教育におけるICT活用に積極的に取り組み、成果を上げてきた。特に、パソコン教室の整備以外にワゴンに収納した200台あまりのノートPCを用意し学生に貸与する他、2012年12月からは240台のiPadも貸与して一部の授業で活用している。しかし、有線LANコンセントおよび無線LANアクセスポイントの配置は限定され、これらの機器を利用できる教室や場所が限られていた。そのため、年度によってカリキュラムが変わったり、使用教室が変更されたりした際に対応するのが困難という課題を抱えていた。
一方、名古屋学芸大学では名古屋外国語大学ほど授業でのコンピュータ利用は進んでいなかったものの、教養教育としての情報リテラシーの知識習得を目的とした授業の強化に乗り出している。また、管理栄養学部やヒューマンケア学部では、それぞれの専門酌な分析等を行うために、レポートの作成と提出、プレゼンテーションや討論、課題研究などにおいてICTを活用し、メディア造形学部ではコンビュータグラフィックスなど創作活動にICTを利用している。名古屋学芸大学もこうしたICT活用はパソコンが設置された専用教室に限られており、無線LAN対応のノートPCやiPadの利用範囲は限定されていた。
両大学におけるICT活用環境における課題を解決し、「さらにモバイル機器による学習環境を充実させ、場所を限定されない授業での活用、場所・時間を問わないICT機器による自主学修を促すため、日進キャンパスWi-Fi環境「WiSH」(Wireless Service High way)を構築することとなりました」。法人事務局電算システム室(キャンパスネットワーク管理担当)の須賀人志氏は、無線LAN環境整備の背景をこう話す。
法人事務局電算システム室
須賀 人志 氏
教育研究現場におけるモバイル機器の積極的な活用を支えるネットワーク基盤を構築するため、須賀氏は次の7点を無線LAN環境整備の要件としたという。
1)802.11n対応で、高速通信可能なこと
2)1アクセスポイント(AP)あたりのモバイル機器等接続可能台数に優位性があること
3)強固な暗号化をサポー卜していること
4)無線チャネルが干渉しないよう構成できること
5)利用者がシンプルな設定で利用できること
6)導入実績が豊富であること
7)保守体制が整っていること
こうした要件に基づいて導入システム選定が行われ、メルー・ネットワークスの無線LANソリューションが採用され、コントローラ「MC4200」(2台)、「AP332e」(32台)および「AP1020e」(168台)によるアクセスポイントを構成する無線LAN環境を構築した。
同ソリューションを採用した理由を須賀氏は、「シングルチャネル機能によりチャネル間の干渉がないため、チャネル設計が容易で短期間に構築できると考えました。また、上位機種のAPが60台程度の同時アクセスを可能であるなど、他社のシステムと比べて性能が高いと評価。全棟・全教室で無線LANが使えるようにすることが前提で、下位機種のAPと組み合わせることで、コストバランスのよい環境を構築できると判断しました」と述べる。
両大学は運営母体が同じながら別組織であるため、既存の認証系システムはそれぞれ個別に構築されている。しかし、それぞれの学生は同じキャンパスを行き来しており、オープンスペースなどで無線LANを使用する際に共通のアクセス基盤が求められた。そこで、RADIUS機能搭載のアカウントサーバーであるIDM(アイデンティティマネージャ)を導入し、個別のドメインのユーザーを一元的に受け付け、それぞれのActive Directoryによる認証システムでユーザー認証できるようにした。ログインの際はユーザーの利便性を考え、まずログイン画面で学校名をプルダウンメニューから選択し、ID/パスワードを入力するよう工夫した。
名古屋外国語大学では、全教室(一部は複数教室からのアクセスを可能とするために教室前廊下にアクセスポイントを配置)、およびLTC(Learning Training Center)などの語学自習スペースやコミュニケーションプラザなどの留学生や学生の交流が行われる場所で無線LANが利用できるようになり、場所を問わない授業や自主学習のICT利用環境が整備された。一方、名古屋学芸大学においても同様の成果が得られたとともに、メディア造形学部が導入を図る「マルチデバイスe-ラーニングシステム」についても、より広範囲での利用を可能になった。また、管理栄養学部・ヒューマンケア学部は、時間割外や教室外においても卒業研究などでの自主的な学習が可能になった。
「これまで来訪者の無線LAN利用の声があったが、対応できていませんでした。IDMのセルフレジストレーション機能によって、簡便な外部ゲスト用SSIDの配布、登録が可能になりました」(須賀氏)と、来訪者のアクセス環境が整備できたことも指摘する。
最後に須賀氏は、「今後は両大学で運用しているポータルシステムをスマートフォンやタブレット端末に対応させて学生の利便性を向上させるとともに、個人所有デバイスの授業および自主学習に積極的に活用できる環境を運用整備していく計画です」と展望した。
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