新しい学びの扉

ムーク(MOOC)と反転授業がもたらす学びの変革〜米国サンノゼ州立大学の挑戦〜

Khosrow Ghadiri
(サンノゼ州立大学 電気工学科教授)
Mohammad H. Qayoum
(サンノゼ州立大学 学長)
Ellen Junn
(サンノゼ州立大学 総長、学務担当副学長)
Ping Hsu
(サンノゼ州立大学 工学部副学部長)
Sutee Sujitparapitaya
(サンノゼ州立大学 「大学の有効性と分析」担当副学長)

 本稿は、サンノゼ州立大学のKhosrow Ghadiri教授らに本誌に寄稿いただき、本協会の事業普及委員会翻訳分科会で翻訳したものです。

要約

 このパイロット授業は、学部の必修授業である電子回路のコースにおいて学習のブレンドモデルを導入し、MOOC(大規模オンライン公開講座、通称:ムーク)の内容と、教室内でチームに基づいて行う講義とを融合したものである。主な目的は、MIT edX(以下、エデックス) 6.002x(電子工学と回路)の最新のムーク講義を反転授業に適合させることにより、大学の単位が与えられるコースで学生の習熟度を改善できるかどうかを精査することであった。他の目的には以下のものがある。1)学部内で、本コースの標準的な合格率59%を改善する、2)学生の在籍率を上げる、3)学生が卒業するまでの年数を短縮する、4)コースの内容を改善する、そして、5)後に続くコースの合格に必要な前提条件を減らすこと、である。前年度に行われた従来の対面授業を受けた学生のコース合格率は59%だったが、ブレンドモデルのパイロット授業を受けた2012年秋の学生の合格率は91%まではね上がった。ブレンド型授業に高品質のムーク教材を導入し、細かく設計された教室内でのチーム制の教授法と連動させることで、学生の習熟度と合格率を著しく改善する効果があるようだ。

キーワード

 ブレンドモデルの授業、チームの教授法(チームティーチング)、ムーク、反転授業、eラーニング、従来の対面授業、学生在籍率、合格率、卒業するまでの年数。

1.序論と文献レビュー

 近頃、ムークの出現は、多数のメディアの注目を浴びている[1-4]。実際、本稿を執筆している時点で、世界中の400万人以上がこの無料のムークのコースに受講登録している[5](例えば、コーセラ、エデックス、ユダシティーを通して)。しかし、ムークについての研究は、まだ初期段階にある[6]。さらに、この新しいオンラインの学習法が実際の単位が与えられる大学のコースにおいてどのような影響を学生に与えるか、実証的研究はまだわずかしか行われていない。
 昨夏、サンノゼ州立大学(以下、SJSU)は学生の習熟度を上げることを目的に、単位が与えられる授業にムークを導入することに関心がある学部教授とともに、初めてのパイロット実験を行った。2012年7月にSJSU工学部の教授陣数名がMITを訪問し、アナント・アガルワルが作成した電子回路に関するムーク(MIT 6.002x)をSJSUの工学部学生が受講する類似の必修上級コースに適用し精査することを申し出た。
 本稿の第一著者(SJSUの電子工学教授)は、昨年秋のコースで、オンライン学習のブレンドモデルを使用してエデックスを試験的に行うことに賛同した。ムークの内容を、高度に設計され、かつ、学生がチームを組む教室内の授業に融合させたのだ。このような反転授業は、従来の対面授業での講義に代わるものとして採用された。
 チカリングとギャムソン(1972)が発表した学生の学習に関する著名な要約を皮切りに、従来の講義形式よりも能動的な学習が学生の習熟には大切であるとする研究は十分にある[7]。さらにこれがグローバルな教育環境の中では、学生中心の教育に徐々に変化し、柔軟性を備えたオンライン学習は避けられないものとする研究も多数ある。[8-14]
 例えば、かなりの数の研究で言われているのは、協同で行われる学習やチーム形式で行われる学習[15-36]では学生がコースの学習内容に集中するため、習熟度は向上しコースの受講結果も芳しいものであることが記されている。[37-46]
 さらに最近では、ブレンド授業や反転授業の効果を調べるための研究が行われている[47-64]。学生はクラスに出席する前に、自分の都合の良い時間に短い講義動画を視聴して宿題を完成させ、クラス内では、教授がいる中で、今までは授業外で行われていた課題(グループワーク、能動的な学習、オフィス・アワーでの相談)に取り組む。[65-94]
 本パイロット授業では、ブレンドまたは反転授業を実施し、それはムークの講義、授業内でのチーム学習、教授による対面指導で成り立っている。

2.目的と動機

 本パイロットにはいくつかの目的があった。1)本コースの通常の合格率59%を改善する、2)学生の大学在籍率を上げる、3)学生が卒業するまでの年数を短縮する、4)コース内容の質を高める、そして、5)後に続くコースに合格するのに必要な前提条件を減らすことである。
 「電子回路解析入門」(EE098)のクラスでは、平均して41%の学生がC以上の成績を取れずに落第していた。本クラスは「コアコース」であるため、最履修する学生は卒業するまでの年数が延びてしまい、彼らは学業を続ける関心を失いがちである。
 合格率の劇的な改善は、学生が卒業するまでの年数を短縮し大学在籍率を上げることにつながる。履修上の必要条件は、大学レベルの物理学のコース(または高校のアドバンスト・プレースメントでの物理学のクラスにおける電磁気学と同等か、アドバンスト・プレースメントでの上級微積分コース)と大学レベルの微分方程式である。
 目的の一つは、コース合格への必要条件を最小限にとどめることであった。学習目的も異なれば、出身のコミュニティカレッジ(公立の2年制大学)が違うために、学生達の数学や物理学の習熟度にはむらがあり、4年制大学の教授陣にとって、これは難しい課題となることがある。学生が既に知っていなければならない内容について教授が教えざるを得ないこともあり、このことが原因となってコース全体で学習すべき事柄を十分に教える時間がなくなる場合もあった。このコースはすべての基礎となるものであるため、教えている範囲が不十分だと後に続くすべてのコースに影響を与え、ドミノ効果を起こしてしまう。コース内容がカスタマイズ可能なものでなければならないのは、こういった理由からである。学生がもし、コース中で授業の前提となる点について理解に苦しんでいるのであれば、他の課題を与えてつまずいている学生が追いつくようにすることができるのである。
 「電子回路解析入門」はSJSUの工学部生すべてにとって入門コースであるものの、6ページの表1で示されているように28の講義がある。履修している学生は1年生から4年生、また大学院生までと幅広い。この多様性は、電子工学の専攻でない学生が、ぎりぎりになるまでこのコースを履修しないことにも現れている。
 当初、86人の学生が受講登録した。78人が期末試験を受けた。1年生1人、2年生7人、3年生38人、4年生38人、そして大学院生2人がクラスを受講した。

3.ケーススタディ(「電子回路解析入門」のコース内容)

 SJSUの2012年秋学期に「電子回路解析入門」は3クラス提供された。受講者数はたいてい二つの大きなクラスは90人、三つ目のクラスは50人に制限される。16週間ある学期中、週2回、75分間ずつ授業が行われる。
 学生達は毎週、教科書を読んでくることが求められ、8〜10の宿題を与えられる。2回の中間試験と期末試験で成績の75%から80%が決まる。「電子回路解析入門」は工学部生には上級コアコースの必修科目で、C以上の成績を収めないと合格できない。そのためこのコースは昔から合格率が低く、最初の受講で合格するのは59%である。
 本パイロット授業でブレンドモデルを実施するに際して、大きなクラスの一つがその対象となった。ブレンドモデルのパイロット授業を行うことが夏の間に決まったため、その秋に受講登録した224人の学生は、3クラスのうち一つがブレンド型授業になることを事前に知らされていなかった。ブレンド型授業を受講したくないかもしれない学生のため、ブレンド型授業と同じ日時に別のクラスが設けられ、学生がもし対面授業の方に登録したければそうできるように対応した。結果的にクラスを移る学生はおらず、別のクラスを設けることは中止された。
 比較を行うため、最初の中間試験は前年度の対面授業を担当した教授と緊密に連携して行われた。ブレンドモデルのクラスと前年度3クラスの試験結果の比較は図1に示されている。結果は大いに好ましいものと言える。最も興味深いのは、曲線の下の方のカーブが消滅したことである。全体的にクラスの成績が良かっただけでなく、成績の悪い者でもより良い結果を残している。

図1 前年度の対面授業3クラスと比較したムークMIT 6.002xの最初の中間試験結果

 2回目の中間試験の結果を図2に示した。ここでも好ましい結果が出ている。ブレンドモデルのクラスは、対面授業のクラスより平均して10%高い成績を残している。

図2 前年度の対面授業3クラスと比較したムークMIT 6.002xの2回目の中間試験結果

 ブレンド型授業を受けたクラスおよび前年度3クラスの期末試験の結果は、図3に表されている。

図3 前年度の対面授業3クラスと比較したムークMIT 6.002xの期末試験結果

4.ブレンド型授業のコース設計

 15週に及ぶ学期でブレンド型かつチームを組んで行ったパイロット授業は、次の三つの活動を盛り込んで設計された。(1)授業外で行うオンライン学習、(2)教室内で行うチームに基づいた対面学習、そして(3)授業後のフォローアップ活動である。

(1)授業外で行うオンライン学習

 学生に要求されたのは次の点である。

a) 週に2回、ある話題を扱った10分以内のエデックスのミニ講義動画を視聴し、オンラインでそこに組み込まれた質問に解答する。
b) 週に2回、エデックスのオンライン教科書の指定された部分を読む。
c) 週に1回、エデックスが提供する練習問題を解き、オンラインで解答を提出する。これはエデックスによって自動採点される(学期中、合計12セットを解く)。
d) 毎週、エデックスのオンライン上で実験を  完成させ、解答を提出する。これはエデックスによって自動採点される(学期中、合計12の実験を行う)。
e) 週に2回、MITの教授達が一つの問題に対して競合する解答方法を発表し、モデルを作る過程で議論しているエデックスの映像を視聴する。
f) また、学生はSJSUのオンライン上の掲示板に質問を投稿することを奨励される。この掲示板はSJSUの教授および大学院生のアシスタントによって管理される。
g) 最後に、各授業の後、学生は次の授業のための評価用の調査票を手渡される(またはダウンロードすることを求められる)。これは、次の授業で取り上げられるエデックスのテーマについて、自らの理解度や難易度(「簡単」、 「初級」、「中級」、「難しい」、「上級」)を評価するものであった。学生がもし、あるテーマを「難しい」もしくは「上級」と評価した場合、その学生は何が難しかったのか、または分かりにくかったのかを簡単に説明しなければならない。学生達はこの調査票を授業に出席する前に完成しておき、授業が始まるときに大学院生のアシスタントに渡すことが求められる。2人のアシスタントは授業の最初の10分で調査の結果をまとめ、対面のミニ復習講義の中で、最も難しいテーマに焦点を当てて教授から説明ができるようにしている。

(2)教室内で行うチーム学習(75分、週2回)

a) 授業を始めるウォームアップの時間(10分
教授は学生の理解度を測るために学生達が行った活動について質問をし、その間、大学院生が「学生のオンライン学習の調査票」を回収し、教授がその日の授業で解説できるように結果をまとめる。
b) クラス内でのミニ復習講義(20分
大学院生が行った調査票の分析で、その週に学生達がオンラインで学習したテーマのうち、「理解しにくい」や「難しい」と記入されたものに基づき、教授から難しい概念について解説する。難しいとされるテーマが出てこなかった場合は、その週のテーマで最も重要なコンセプトを具体的に表したサンプル問題を教授が解く。さらに、週2回、オンライン講義の要約がすべての学生に配布される。
c) グループでの小テスト(15分、学期ごとに30の小テスト)
学生達は3人1組になり、グループで小テストを解く。教授は違う種類の問題を解くための方略について指導し、質問にも答える。小テストは回収され、総合コース成績の一部として採点される。
d) グループでの小テストの解答(5分
教授は問題を解くための最良の戦略をいくつか明かし、解答はクラスにいる学生達に配られる。
e) 個人で解く小テスト(15分、学期ごとに30の小テスト)
課題について学生一人ひとりの理解度を測るために小テストを行う。その際、米国工学系高等教育課程認定機関(ABET ; Accreditation Board for Engineering and Technology)の基準と授業の学習目的(CLO)を念頭に置く。小テストは回収され、最終コース成績の一部として採点される。
f) 個人で解く小テストの解答(5分
この種類の問題を解くための最良の戦略について議論が交わされ、授業中に学生達に解答が配られる。
g) 次の授業のプレビュー予告(5分
次週の授業内容について教授がプレビュー予告を行う。

(3)授業後のフォローアップ活動

a) 教授は欠席した学生に授業で使った資料をメールする(ミニ講義の要約、個人およびグループで解く小テストの解答、次回以降の出席を促す一言)。
b) 教授によって毎週、選択自由で金曜日に1時間行われる、対面型の飛び込み自由な授業が行われる(すなわち1時間の任意のオフィス・アワー)。

5.エデックスが提供するeラーニングの教材

 本コースで使用した動画によるプレゼンテーションや実験、高品質の製作物といった豊富なeラーニングの教材は、MIT 6.002xのムークコースが提供するものである。しかし、SJSUのクラスで用いたすべての対面授業の教材は、本稿の第一著者が開発した。MIT 6.002xは電気工学とコンピュータ科学のみを専攻しているMITの学生のためだけに開発された。一方、SJSUの「電子回路解析入門」は工学部の学部課程プログラムを専攻することに興味がある全学生に必修のコースである。結果的に、エデックスと「電子回路解析入門」のコース内容は著しく重なるが、完全には重ならない。したがって教授はMIT 6.002xのeラーニング教材をほとんど(85%)利用し、学生には八つの相互に関連した内容のモジュールを見るように課題を与え、残りの15%はSJSU「電子回路解析入門」コース特有の教材で補足した。
 以下のセクションでは、MIT 6.002xのeラーニング教材がそれぞれどのように利用されたか概観する。

(1)講義動画のシーケンス

 MIT 6.002xのオンライン講義動画は、各要素が絡み合った動画の断片で、MITの教授がナレーションする30秒〜10分程度の短い講義の連続であり、テキスト、数式、イラストで構成されている。学生の集中力が持続する長さは平均して約10分(7〜15分)だろうという研究結果[98−99]に基づき、各動画の長さは意図的に短くしてある。講義は回路理論の基本と基礎について、物理現象から抽象概念までを、そしてまた物理現象に戻ってその応用を教育学的に紹介する。次ページの図4に示されているように、講義動画はコースウェアのセクションに配置されている。表示ページは三つの表示枠に分割されている。
 左枠は時間割と目次を示し、中央の枠は講義動画で、右枠は講義のトランスクリプト(文字起こし)が表示されている。
 講義動画はカーン・アカデミーの方式[100]に似た形でタブレット上に展開され、スライドへの注釈がリアルタイムで行われる間、背景にはパワーポイントのプレゼンテーションが流れる。例を次ページの図5に示す。

図4 オンラインの講義動画
「コースウェア」のセクション内で、ほとんどすべての指示や宿題が書かれてあるページ最上部の色づけされたヘッダー部分。「コース・インフォ」には教授陣とアシスタントが学生と共有したいと考えるお知らせがある。シラバス、カレンダー、それとコースに関係のあるプリントすべても含まれる。教科書のオンライン版は「教科書」のセクションにある。
図5 講義動画(スライドとトランスクリプト)
もう一つの素晴らしい特徴は、動画の横にある、話者が話すにしたがってハイライトされる講義のトランスクリプト(文字起こし)だ。学生が単語をクリックすれば、動画は講義のその該当する部分にジャンプする。

 学生の好みにより、講義は0.75倍、1倍、1.25倍、1.5倍の4種類のスピードで視聴できる。講義の文字起こしは画面右側に現れ、講義の流れに従って該当箇所がハイライトされる。図6で示したように、学生は必要に応じて講義のスピードを変えたり、一時停止や再生したりすることがいつでもできる。

図6 講義動画についてくるナビゲーションツール
ビデオデッキで使うような定番のもので、左下には再生/一時停止のボタンや時間の経過を示すボタンがある。目新しいのは、スピードボタンを使って講義の速度を自在に変えられる点である。

 表1に示すように、28の講義が以下のような長さ(時間)でオンライン上にある。

表1 各講義の長さ(時間)
Lecures Hour Min. Sec. Lecures Hour Min. Sec.
Lec.1 1 8 15 Lec.15 2 29 26
Lec.2 0 43 25 Lec.16 1 19 15
Lec.3 0 59 04 Lec.17 1 45 50
Lec.4 1 16 29 Lec.18 3 11 25
Lec.5 1 31 52 Lec.19 1 29 52
Lec.6 1 22 41 Lec.20 1 17 39
Lec.7 1 35 14 Lec.21 1 43 40
Lec.8 1 12 18 Lec.22 0 33 40
Lec.9 1 43 15 Lec.23 2 07 34
Lec.10 0 47 39 Lec.24 1 14 49
Lec.11 1 9 19 Lec.25 1 51 59
Lec.12 1 27 25 Lec.26 1 17 10
Lec.13 0 39 15 Lec.27 1 29 43
Lec.14 1 25 49 Lec.28 1 10 19

(2)組み込まれた練習問題

 講義動画の中にはオンラインで解く練習問題が組み込まれて散りばめられており、学生の理解度および講義で取り上げている概念を応用する力を測る。各講義動画のシーケンスには三〜六つの質問が組み込まれており、取り上げている概念に基づいて検証し詳述することが求められる。

(3)教科書

 このパイロット授業では、エデックスがWebサイトで提供する電子書籍版の教科書に、学生達が無料でアクセスすることができる[101]。次ページの図7で示しているように、左側にあるナビゲーション・バーから前後に動く矢印でアクセス可能である。

図7 電子書籍版のスクリーン・キャプチャ
左にナビゲーションバーがある。アナント・アガルワル、ジェフリー・H・ロング著『アナログとデジタル回路の基礎』

(4)宿題

 エデックスの講義動画では、講義に続いて応用問題がよく出題される。これを学生が解答し、オンラインで提出された解答は自動的に採点される。学期中、学生達は宿題を12個与えられた。これらの宿題はいくつかの部分に分かれた三つのテーマで構成され、図8で示しているように、1週置きに授業の最初に提出しなければならない。宿題は学生が記憶すべき基礎的な原理や題材をカバーし、エデックスの講義動画シーケンスを視聴する動機付けと、Webを活用した生涯学習を奨励するために、注意深く設定されている。宿題等を完成させることは、そのコースで取り上げた内容の理解を固めるものである。また、宿題はオンラインで行う学習とクラス内のディスカッションとの間の橋渡しをするものでもあった。例えば、学生は解答欄に Ax2 +√yのような代数式を入力することができる。入力は大文字と小文字を区別するものである。積にはアステリスクを付け、累乗の指数は(校正の)脱字記号「^」で示されなければならないので、「A*x^2+sqrt(y)」のように書き表されなければならない。

図8 宿題の例
エデックスのプラットホームは、学生の解答をすぐに採点して知らせることができる。学生が問題を「チェック」すると、自動的に提出となり採点される。コースでは、学生が解答を間違えたときは正解を得るまで挑戦し続ければよいことになっている。問題の種類によっては、「解答を示す」ボタンが示される場合もある。自己評価する多くの問題では、このボタンは最初に解答した後に現れ、また、段階的な宿題では多くの場合、締切期日が過ぎた後にしかこのボタンは現れない。

(5)問題解法の個別指導

 MITのエデックス講義動画の中で鍵を握る特徴は、ディスカッションセクションは問題解法への革新的なアプローチである。ここでは、ある一つの問題に対してMITの教授2人が解き方について議論し、違う道筋をたどって最終的には同じ解答にたどり着くようにしている。図9にあるように、解答はコピーボード(電子黒板)スタイルで示される。

図9 コピーボード(電子黒板)による解答
コピードキュメント手法は、異なった問題解決法を通して、批判的に考える能力を示すために使われる。動画は、異なる問題の解き方が同じ結果を導くことを示すが、その中でもより好まれる解決法があることを提示する。

(6)仮想実験室

 エデックスのサンドボックスは、ネットワーク上の実験室である。学生達は仮想の部品を組み合わせ、異なった機能を持った回路を作り、シミュレーションすることで、その働きを観察することができる。図10にあるように、部品はパーツが入った容器から選ぶことができ、格子状のスクリーンにドラッグすることができる。学生達は部品を組み合わせ、容易に数値属性を与える。回路ができた後は、関連性のある測定なら何でも行うことができる。例えば、電流が部品間を流れるゼロ時間において、直流解析で回路内のすべてのノードの電圧を測定することができる。一時的な分析は、数値シミュレーションプログラムを利用して、オシロスコープが描いた曲線、つまり時間による電圧と電流の波形を提供する。小信号の交流回路分析ツールは、回路内の特定のノードに正弦波を適用することで、異なる周波信号での回路の反応の仕方について学生が答えを見つけ出すことを可能にする。
 学期中、学生はエデックスの実験を12個完成させる。実験は自動的に採点され、学生と教授陣は成績のポータルサイトで点数を見ることができる。コースの最終的な成績で実験の点数が占める割合は7.5%である。

図10 エデックスの回路サンドボックス
(仮想の実験室)
オンラインで回路を作り、シミュレーションを通してその働き方を見ることができる。サンドボックスには回路を編集しシミュレーションするツールが両方揃っている。回路を作るためのすべての部品は、サンドボックス右側にある容器に入っている。使える部品は宿題ごとに異なる。

(7)オンライン上のディスカッション・フォーラム

 学生はオンライン上でいつでもディスカッションを始めたり参加したりすることができる。教授陣やアシスタントが質問に答えることが多いが、他の学生が解答を飛び入りで提示してもよい。

(8)エデックス・ウィキ

 エデックス・ウィキは、将来に亘って整理された参考文献や追加情報を投稿するためにある。投稿は学生と教授陣が協力して収集し、編集される。

6.対面授業

 教育目的を達成するために、オンライン学習を経験した学生に対して教師が対面授業で対応することに予算をつけ、時間とお金のバランスを適切にとることが重要な第一歩と言える。学生と接することで、コースの初期に援助を必要とする学生を発見することができる。コースの対面部分は、六つの時間帯に分けられる。各々の時間帯は、学習目的と期待される結果が達成するように設計されている。

(1)精神的レディネス向上時間(10分)

 クラスの最初の10分は、「精神的レディネス向上」の時間である。このように呼ぶのは、学生を講義内容に徐々に馴染ませていく時間だからである。アシスタントは、学生が授業前に回答したeラーニングの調査結果を集め、オンライン学習で学生達が共通してつまずく点をあぶりだし、問題に教授が対応できるようにする。一方で教授は、学生の理解レベルを測定するため、eラーニングでカバーされる教材の内容に関する質疑応答を行う。この時間帯では、注意深く検討することが求められる。学生へのアンケート結果では、講義の大半に関して理解することが難しいことが浮き彫りになるわけで、その検討が75分の対面型授業の中身につながるからである。まずは、各々の学生がエデックスのビデオを確かに見るよう教授が指導することが、問題解決の糸口である。

(2)クラスでのミニ講義やクイズ(20分)

 学生へのアンケートやQ&Aに基づき、復習ミニ講義が行われ、学生にとって理解しにくい概念を明確にしていく。ミニ講義の目的は、教室で効果的な議論が沸き起こり、質問を促し、これにより学習目的をはっきりさせ、何に焦点を当てるかを確認することにある。講義は、オンラインでのエデックスの講義内容の繰り返しではいけない。これには二つの理由がある。まず、学生が既に、理解するのが難しいことがわかっている事柄を単純に繰り返しても、何の役に立たないからである。また、そのような繰り返しを行ってしまうと、授業活動がオンライン講義の単なる復習に終わってしまい、学生がみずからオンライン講義の内容を理解しようとするモチベーションを削いでしまうからである。
 したがって、学生はクラスの議論を進めるために、ビデオについて質問することが求められる。仮に、理解しにくい概念がないならば、ミニ講義はやめて、理解度を確認するためにクイズが出題される。板書されたクイズに対して、教授は質問に答える方法を教えた上で、答えを披露する。講義の要点を学生に配布して、このパートは終わりとなる。

(3)グループクイズ(15分)

 グループクイズは、クラスでの議論を誘発し、学生が協力しあって批判的思考を高めるよう設計されている。この時間では、学生が会話と文章によるコミュニケーション技術を実際に用いて、チームワークの精神を養いつつ、自らの考え方を述べたり、証拠と確たる論法に基づきその考えを証明したりする。ここでの目的は、学生同士をお互いを助け合う、謂わば「教育資源」として機能させることにある。学生は自分と異なる考え方やアプローチに触れ、チームとしてのインタラクション技術を習得する。教授と大学院生のアシスタントは、ファシリテーターやメンターとして活動に関わることが重要で、授業の中で単に答えを提供する人ではない。[5,6]

(4)グループクイズの解(5分)

 様々な解と、そこに至るために考えうるアプローチをざっと考えてみる。これにより、クラス全体として議論の成果を共有し、チームで協働しあう場面で発揮しうる技術を養うことができる。クイズに対する解答を印刷したものが、この時間の終わりに学生に配布される。クイズの内容は、米国工学系高等教育課程認定機関(ABET)による基準、ならびに授業の学習目的(CLO)に基づいて選ばれる。

(5)個別のクイズ(20分)

 個別のクイズは、コースで扱っている概念を実際に利用する能力や、問題解決能力を伸ばすためにある。また、学生のテクニカルなスキルや運用能力を直接評価し、自らの長所と弱点がどこにあるのかを自己認識させる。長所については、授業の中で教授が認めてあげることで学生への励ましとし、弱点は、授業時間外に個々の学生のレベルに応じた教材を使い、テストを受けさせることで克服する。

(6)次の授業での学習項目(5分)

 最後の5分間を使って、次回の授業のキーポイントをチェックし、その他の報告事項を学生に伝える。常に教授からの励ましの言葉で授業の結びとする。

7.授業後のサポート

 Web上の活動と対面授業への参加状況は、教授が細かくモニターする。

(1)学生のフォローアップ

 教授は、毎回対面型授業が終わるとすぐ、欠席した学生に電子メールを送る。これにより、次回の授業の参加を促す。グループクイズおよび個別クイズを含むクラスでの活動内容、そしてクイズの解答と講義の要約ハンドアウトを添付して学生にメールを送る。今回の試験的なブレンド授業では、学生の出席率は非常に高く、ほぼ100%に近かった。

(2)週毎の復習

 週に一度、教授がスケジュールを組んで、1時間の復習を行う。これは、学生達が難しい話題を理解したり、誤解を解消したり、また同じテーマをこれまでと異なる形で応用するための手続きを考え出すのに役立つ。コースの様々な部分に、どのように時間を配分し、注意を向けたら良いのかについてもアドバイスが与えられる。

(3)学生の進捗報告

 2週間に一度、オンラインと対面型の双方について学生の進捗をまとめたレポートが電子メールで学生に送られる。

8.成績評価の方針

 学生の成績は、オンラインでの学習活動(12回の宿題と12回の実験)(15%)、30回のグループクイズ(10%)、30回の個別クイズ(10%)、2回の中間試験(20%x2回=40%)、最終の総合試験(25%)に基づく。
 A〜Fで表記される成績は、各々の試験結果の分布曲線に基づいて割り当てられる。これらは、表2にあげた数式を用いて得点に換算される。

表2 成績の変換表
Grade A+ A A- B+ B B- C+ C C- D+ D D- F
Score 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 0

 最終的な成績は、三つの試験と他のコース活動に重みづけを適用して決まる。

9.得られた知見と結果

■試験的なコースにおける学生の反応

 学期の期間中に亘り、このブレンドコースに対する学生の反応は、以下の3段階に分かれた。すなわち、初期の「抵抗モード」、「用心深く懐疑的なモード」、そして最後の「受容的なモード」である。これらの三つの段階はクラスの開始時、最初の中間試験時(10週目)、2回目の中間試験時に、それぞれ符合する。
 最初の「抵抗モード」の期間においては、学生は毎週最低12時間も課せられる長時間の勉強、速いペース、頻繁にあるテストに対して不満を述べていた。つまり、同じクラスであり、同じ単位なのに、別のクラスの友達はすべきことが遥かに少ないことへの不満であった。この「抵抗モード」における学生の不満は、今回のパイロット・プログラムが失敗するかもしれないとの懸念をもたらした。
 しかし、最初の試験の結果が学生に伝えられると、「抵抗モード」は「用心深く懐疑的なモード」へと変化した。学生はこのクラスでは、直前の3学期における中間試験に比べて11%得点が高いことを知らされたからである。これにより、学生は、このブレンドアプローチが報いられるものであり、もしかしたら有益なものかもしれない、と考えるようになった。第2回目の中間試験の結果は、直前の3学期における中間試験より、10%高い得点であった。これにより、学生はこのブレンドモデルに感謝するようになったし、より熱心に参加するようになった。
 学期中の第3の部分において、学生は授業の流れと活動について違和感を感じなくなり、むしろこの新しいやり方を受入れ、積極的に評価するようになった。
 従来の対面型授業の最初のクラスにおいて、50人の学生が期末試験を受験した結果、図11にあるように平均値が50、標準偏差値が23であった。
 ブレンドモードのクラスで期末試験を受けた78人の結果は、平均値62、標準偏差20であった(図12)。この結果は、我々にとっては心強いものであった。興味深かったのは、分布曲線の下位部分が消失したことである。クラス全体の成績が向上しただけでなく、下位の学生の成績が向上したことを示している。

図11 「電子回路解析入門」
50人の学生が受験した共通の期末試験におけるセクション1の結果
図12 「電子回路解析入門」
78人の学生が受験した共通の期末試験におけるセクション2の結果

 「電子回路解析入門」セクション3は、対面型の授業であった。75人の学生が最終試験を受けた結果、平均45%、標準偏差19%であった(図13)。

図13 「電子回路解析入門」
75人の学生が受験した共通の期末試験におけるセクション3の結果

 結論として、ブレンド型クラスの91%の学生が、成績C以上でコースに合格した。これは以前の学期の59%に対して、はるかに高い値を示している。

■学生の学歴の比較

 直近の3年における伝統的な授業方法では、クラスの合格率は65%であった。しかし、エデックスMOOCを用いたブレンドモデルでは、合格率は91%に向上、あるいは26%改善した。学生が特定のセクションに故意に割り当てられていないことを確認するため、一元分散分析(分散分析)を用いてすべての3セクションの累積GPAを比較した(表3)。

表3 セクション別の結果
  N Mean Std. Deviation
Section 1 55 2.611 1.0353321
Section 2 83 2.701 .8561966
Section 3 86 2.527 1.1032368

 一方、表4はレーベン・テストを用いて、3セクションの間の学期開始時のGPAの分散が等しいという仮定をチェックしている。p = .109でレーベン・テストは有意ではない。よって、仮定は棄却されない。また、ANOVAの表は全体のF (.640)が有意でない(P = .528)ことを示している。これは、3セクションの学期開始時の累積GPAに有意差がないことを示している(表5)。

表4 分散の同質性
Levene Statistic df1 df2 Sig.
2.241 2 221 .109
表5 ANOVA
  Sum of Squares df Mean Square F Sig.
Between Groups 1.282 2 .641 .640 .528
Within Groups 221.451 221 1.002    
Total 222.734 223      

 図14は同様のことを示している。学期開始時の総合GPA全体の進捗曲線を3本描くと、それらは明確に分離できず、GPAスペクトル全体で近似している。

図14 「電子回路解析入門」の3セクションにおける学期開始時の累積GPAの比較

 「電子回路解析入門」の公式の成績の変化を理解するために、重回帰分析を行った。これは、本研究で用いられた7種類の因子がどれ程度影響したかを調査するためである。すべての因子が関わる場合、各々のセクションに用いられた全体のモデルが有意である(セクション1:p=0.13、セクション2:p = .001、セクション3:p = .001)。
 表6の結果は、Phys 51の最終成績が全3セクションすべての因子として有意であることを示している。しかし、セクション2の最も強い因子は、学期開始時の(累積)総合GPAである。標準化係数は、学期開始時のGPAとPhysic 51の成績が向上すると、「電子回路解析入門」の成績が向上することを示唆している(学期開始時のGPAでは0.345、Physics51の成績では0.253、それぞれ値が上昇)。

表6 重回帰分析モデルの結果
Research model
relationship
EE 98 Section 1 EE 98 Section 2 (edX 6002x) EE 98 Section 3
Overall = Significant** Overall = Significant* Overall = Significant*
Standardized
Coefficients
Beta
Significance
Level
Standardized
Coefficients
Beta
Significance
Level
Standardized
Coefficients
Beta
Significance
Level
PHYS 51 Ending
Semester Grade Points
.612 .000 .253 .023 .291 .010
PHYS51 Time Difference -.139 .363 .044 .701 -.050 .637
PHYS51 Enrolled
(at SJSU)
.068 .760 -.002 .990 -.394 .012
Total Attempted Units -.028 .840 .191 .112 .080 .483
Beginning Semester
(Cumulative) GPA
.074 .609 .345 .006 .114 .375
Under Representative
Minority(URM)
-.115 .426 -.065 .570 -.266 .015
Freshman Starters .067 .751 .012 .931 .100 .471
* significant at 0.01; ** significant at 0.05; *** significant at 0.10

■「電子回路解析入門」セクション2(ムーク MIT 6.002x)のコメント分析

 「電子回路解析入門」ブレンドクラス形式のどのような面が学生達にとって良かったのか、アンケートを実施した。表7が示すように、オンライン教材やクイズ、対面型授業での教授・アシスタント、クラスメイトからの支援が良かったと答えている。上位三つの回答は、1)オンライン教材へのアクセス、2)クラス外で自分のペースで教材に取り組めること、そして、3)グループワークやグループクイズ、である。
 半数以上の学生は、この手法の良い点としてオンライン教材へのアクセスをあげた。これは様々な学習資源に手軽にアクセスできるからである。ある学生は、「講義ビデオは、いつでもどこでも見られる」と語った。また別の学生は、「オンラインの参考資料が豊富なこと」をあげた。たとえば、「電子回路解析入門」で利用可能な過去問やクイズの解答がそれにあたる。教室外で自分のペースで取組めると述べた学生は、オンラインの講義ビデオを自分のスケジュールに合わせて見られるという柔軟性、また教材を何度も見直せる点をメリットとして指摘している。
 グループ・メンバーからのサポートは、ある意味、学習資源が追加されたものと考えることができる。実際40%の学生が、「電子回路解析入門」において授業中のグループワークが役に立ったと感じている。ある学生が指摘するように、グループが役に立つのは、「グループで一緒にクイズに答えたり課題をこなしたりすることで、概念をよりクリアに理解する刺激となっている」からである。他方、授業中のクイズが良くないと考える学生は少数(12%)であった。学生は、頻繁に出されるクイズが、講義の内容や教材を授業前に復習する動機づけになると感じている。

表7 あなたがクラスの活動において最も好きなものは?
オンラインの教材へのアクセス 55%
自身のペースで教材を学べる 47%
グループワークやクイズ 40%
オンラインで利用できる講義 33%
教授とアシスタントの支援 23%
授業中に宿題や問題をすることができる 17%
クイズにより、授業の前に備えるようになる 12%

 「電子回路解析入門」において、学生が良くなかったとしたものを、表8に示す。一般的には、学生が満足していないという順番に列挙すると、

 一般に、学生はオンラインで与えられるもの(講義、宿題、その他の資源)と授業中の作業(クイズ、宿題、復習)が同期していないと感じた。ある学生は、「オンラインのスケジュールと授業のスケジュールの間に食い違いがあり、何週間かは宿題が役に立たなかったのではないか」と感じている。
 48%の学生は、オンライン講義が良くなかったと報告している(表8)。これは、講義が授業の教材と同期していないこと、講義を見るために多くの時間を必要とすること、内容が明快さよりもむしろ混乱を引き起こしたこと、理論に偏るあまり実例に乏しかったこと、をあげている。その一方で、33%の学生は、「電子回路解析入門」におけるオンライン講義が良かったと報告しており(表7参照)、意見が対立している点が興味深い。ここから分かることは、オンライン講義を提供することは確かに役に立つのだが、それが唯一の講義形態となってしまうと、必ずしもすべての学生にとって最高のオプションとはならない、ということのようだ。

表8 クラスの活動について嫌いだった点は?
授業の教材とオンラインの教材が同期しない 71%
オンライン講義は役に立たない/長い/難しい 48%
時間がかかる 36%
教材の難易度が、コースのレベルや難易度とマッチしない 24%
オンラインの宿題が一般的/いらいらさせる/多すぎる 28%
宿題が難しい 35%
宿題が無関係である 22%
宿題が頻繁すぎる 22%
チェックが不十分 14%

 必ずしもすべての学生にとってオンライン講義が便利とはえいないことの理由は、一つには、講義を見るのに時間がかかる、という点にある。学生の36%は、「電子回路解析入門」のクラスは、一般的に時間がかかると感じている。一部の学生は、「オンラインの宿題や実験は、非常に時間がかかる」と断言する。一方で、オンライン講義を嫌がる理由として次のように述べる学生もいる。「自分は学業以外に大切な仕事が二つあり、講義自体を理解することはもとより、講義を見る時間さえなかった。学習の頼りになったのは、例題や本だけだった。」
 次の学期に向けての提案や、修正すべき点を学生に述べてもらった。表9からわかることは、学生が、宿題、オンラインでの内容、内容のポイント、クイズや試験などの改善を求めていることだ。上位三つの提案は、オンラインで提供されているものをやめて、(段階的に問題を解くことを示す)例題に差し替えること、授業とオンライン教材とを同期させること、(オンライン教材を補うための)対面型講義を行うこと、である。
 第1の提案は、宿題のカテゴリーにおけるもので、役に立たないためオンラインでの宿題をなくせ、ということである。代わりに、段階的に解決法がわかるような例題と差し替えることを提案している。オンラインの宿題の採点に不満で、むしろ例題を解く活動に参加することで、ポイントを与えて欲しいと指摘している。
 表8では、授業の教材とオンラインの教材が同期しないため、71%の学生がコースを不満だと言っているデータが示されている。学生は「オンラインの講義内容が授業中の教材と同期する」ように提案しており、これはもっともなことである。また他に、「授業カリキュラムにない内容を、オンライン・セクションの一部から削除しては」、「オンライン学習を、コースと関連のあるものにしたり、期末試験に出るような問題と関係のある宿題を出したりしては」、「より関連した話題について話して欲しい、コースと関連ない理論について話すことに授業の時間を割かないで欲しい」と述べている。

表9 次の学期のために一つ修正を提案するならば、それは何か?
宿題に関して  
オンラインの宿題をなくし、より多くの(段階的に問題解決を示す)例題に差し替える 33%
オンライン宿題をクラスに合わせる 24%
最終試験と関連づける 14%
「電子回路解析入門」の教科書本からの宿題 10%
オンライン教材に関して  
ビデオの時間短縮 24%
理論をより少なく 16%
ビデオを編集する(MITxでなく「電子回路解析入門」向けに) 12%
実験を削除 12%
講義ビデオは明確で簡潔である必要がある 8%
内容の焦点について  
授業とオンライン教材とを同期させる 30%
授業における講義(オンライン教材を補う) 27%
問題解決技術や実際の問題を多く 21%
テストされた教材だけに対する 6%
クイズ/試験について  
少なくする 54%

 修正提案の上位三つのもう一つは、(オンライン教材を補うための)授業中の講義である。学生は、オンライン講義の復習として、あるいはその内容をより明確にするために、対面授業でもっと講義を行って欲しいと言う。ある学生は「授業でビデオ講義をチェックする(講義の内容とビデオの内容をしっかりと同期させる)」ことを勧めている。また、他の学生は、最も複雑な話題や章に対して、もっと対面での講義を行うことを提案した。これらの提案からわかるのは、学生はオンライン講義が役に立つと思っているようではあるが、伝統的な対面の講義も依然として要求しているということである。
 上位三つの提案には含まれないが、オンライン教材の内容とクイズ/試験に関する改善要望もあった。オンラインの教材に関する変更としては、「講義ビデオの回数を減らして欲しい」、あるいは「短くしてわかりやすくして欲しい」というものである。また、「講義ビデオは実例に焦点を当て、理論を少なくして、実験は止めにして欲しい」と言う。前述のように、学生は受講に時間がかかる(特にオンライン講義)と感じている。こういった修正を加えるとなると、オンライン教材で授業時間外に学ぶ時間が減少することになるだろう。
 クイズ/試験に関しては、学生は単にクイズや試験を少なくすることを提案している。具体的には「クイズを減らして、より詳しく教材にあたる」「クイズを減らして、クラス全体での問題解決を増やす」よう、学生は求めている。繰返しになるが、学生は(理論より)実践を求め、授業時間内では、教材と取り組むことを求めているように見える。
 学生は、このクラスに履修登録する際、どの程度宿題が出されるかを知らなかった。「電子回路解析入門」3セクションの学生の学期開始時のSJSU GPAは、図15で示すように有意差を示さなかった。
 2013年の春には、従来方式のクラスが二つ(各々39人と49人の学生)予定されていた。これに加え、80人定員の混合モードのクラス、「電子回路解析入門」のムークMIT 6.002xが提供された。より統制された結果を得るため、期末試験の作成と採点は1人の教授で行った。クラスの履修条件と、学生の以前のGPAが成果に与える影響も考慮に入れる。
 今後我々は、学生がWeb教材にアクセスした際に残るページ遷移データを調査するため、エデックスのプラットホームを使う予定である。このツールにより、学生の学習行動、学習習慣を吟味し、コースでの学習パフォーマンスを評価する予定である。様々なコース・モジュールの貢献度、ビデオ視聴時間の統計的な規則性、そして成功パターンを調査する。また、学習が成功するための決定的な要因(人間、組織、行動、学習資源)にも興味がある。上記のブレンドモードを実施した学科では、これに続くクラスとして、「電子回路とシステム」(EE 110)を提供しており、学生の在籍率に関する知見を得ることになる。

図15 3セクションの「電子回路解析入門」 SJSU GPAの学期最初の分布

10.結論

 より効果的に授業を提供する教育モデルに向けて努力を重ねたいというのは、教授なら誰しも切実に願うところである。ムークの到来により、新たな可能性が広がった。
 特に難解な科目や難解なクラスにムークを適用する革新的な方法の一つが反転授業である。この新しい授業モデルにより、学生の学習への取組みを強化し、学生の在籍率を改善し、学生の落第率を大幅に減らすことができる。
 現代の学生にとって、講義室における伝統的な50分授業で集中力を保つこと、その間じっと受け身になって聞いていることは現実的でない。このため、この新しい授業モデルが、より重要になってくるのである。
 米国では現在、STEM(科学、技術、工学、 数学)の分野で学位を取得するものは、24才人口のわずか6%にすぎない。先進諸国のランク付けにおいて、米国は下位1/4(24カ国中20位)に位置する。UCLAの高等教育研究所によると、大学生のおよそ26%がSTEMの分野に入学し、5年以内に修了する者は、およそ18%である。言い換えると、STEMの分野で学位取得を希望する学生は、40%に満たないということである。さらに、人種間の格差も懸念材料である。例えば、アジア人の42%、白人の33%が5年以内にSTEMの学位を取得するのに対し、ラテンアメリカ系は22%以下、アフリカ系アメリカ人は18%である。
 学生の成功率を大幅に向上させる突破口を見つけなければ(特に入門コースで)、STEM分野での卒業生の増加は見込めない。一方で、STEM分野での卒業生こそが、経済を活性化させ、国家の安全に取り組んでくれる人材なのだ。サンノゼ州立大学における我々の実験は、主要な入門コースで工学系の学生の成功率を高めることのできる効果的なアプローチとして大いに期待できるものがある。我々は、今後複数のキャンパスで手法の評価を継続し、出てきた結果についてこれを共有していく計画である。

参考文献および関連URL
[1] A. Ripley, “Reinventing College,” Time, pp.31-41, Oct. 29, 2012
[2] T. Lewin, “Harvard and M.I.T. team up to offer free online courses” The New York Times may 2, 2012.
[3] C. Rose (2013, April 25). Online education with Anant Agrawal, Amy Gutmann, Joel Klein, and Tom Friedman,” PBC, [online] available:
http://www.charlierose.com/watch.
[4] L. Pappano (2012, Nov), “The year of the MOOC,” The New york Times, ED26 of Education Life, [online] Available:
http://www.nytimes.com/2012/11/04/education/edlife/massive-open-online-courses-are-multiplying-at-a-rapid-pace.html?pagewanted=all
[5] M. M. Waldrop (2013, March) “Massive Open Online Courses, aka MOOCs, Trans form Higher Education and Science,” Scientific American, [online] Available:
http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=massive-open-online-courses-transform-higher-education-and-science.
[6] N. S. Technophoria, Online Education (MOOCs) Chronology (2013, Aug), The New York Times, [online] Available:
http://topics.nytimes.com/top/reference/timestopics/subjects/e/elearning/index.html
[7] A. W. Chickering, and Z. F. Gamson, (eds.), “Applying the Seven Principles for Good Practice in Undergraduate Education”.New Directions for Teaching and Learning, No.47. San Francisco: Jossey Bass, 1991
[8] M. Prince, “Does Active Learning work? A review of the research,” JEE, Education, vol. 93, no. 3, pp. 223-231, July 2004.
[9] J. Schreurs and A. Al-Huneidi, “Development of a learner-centered learning process for a course,” 14th International Conference on Interactive Collaborative Learning, Piestany, 2011, pp. 256-263.
[10] O. Comber, R. Motschnig and Z. Komlenov, “Supporting person-centered learning: Does the choice of the learning management system matter?: A case study with Moodle, Fronter And CEWebs,” IEEE EDUCON, Madrid, 2010, pp. 885-890.
[11] G.W. Hislop, “The inevitability of teaching online,” Computer, vol.42, no. 12, pp. 94-96, Dec .2009.
[12] R. G. Qiu, “A collaborative model of engineering education for complex global environments,” IEEE Frontier in Education FIE, Washington, DC,2010, pp. S3J-1-S3J-5.
[13] L. Griffiths, “Flexible learning support in an inflexible society.” IEEE ICALT, Athens, GA, 2011, pp. 274-276.
[14] R. Goff, T. Terpenny and T. Wildman, “Improving learning and engagement for students in large classes,” 37th annual Frontiers in Education Conference-Global Engineering: Knowledge without borders, Opportunities without passports FIE’07, Milwaukee, WI, 2007, pp. S3D-16-S3D-21.
[15] R. F. Slavin, "Cooperative Learning." Review of Educational Research, 1980, 50(2), 315-342.
[16] R. E. Slavin, "When Does Cooperative Learning Increase Student Achievement? "Psychological Bulletin, 1983, 94(3), 429-445.
[17] K. A. Smith, "Cooperative Learning Groups." In S. F. Schmoberg (ed.), Strategies for Active Teaching and Learning in University Classrooms. Minneapolis: Office of Educational Development Programs, University of Minnesota, 1986.
[18] "Study Groups Pay Off." Teaching Professor, 1991, 5(7), 7.
[19] R. G. Tiberius, “Small Group Teaching: A Trouble-Shooting Guide,” Toronto: Ontario Institute for Studies in Education Press, 1990.
[20] A. D. Toppins, "Teaching by Testing: A Group Consensus Approach." College Teaching, 1989, 37(3), 96-99.
[21] B. F Walvoord,”Helping Students Write Well: A Guide for Teachers in All Discipline,” (2nd ed.) New York: Modern Language Association, 1986.
[22] N. Whitman, “A. Peer Teaching: To Teach Is to Learn Twice,” Washington, D.C.: ASHE-ERIC Higher Education Report No.4. Washington, D.C.: Association for the Study of Higher Education, 1988
[23] J. Vicic, B. Kavesk, M. Kljun and A. Brondnik, “Learning by enforcing collaboration and self-assessment,” 29th International Conference of Information Technology Interfaces ITI, Cavtat, 2007, pp. 387-392.
[24] A. Azemi and R. Toro, “Work in Progress: Enhancement of student learning via recorded worked-out examples and in-class team-based problem solving,” Frontiers in Education Conference FIE, Seattle, WA, 2012, pp. 1-3.
[25] C. Tan and C. Yuen-Yan, “Knowledge Community: A knowledge-building system for global collaborative project learning,” IEEE, vol. 96, no. 6, pp. 1049-1061, June 2008.
[26] M. Beckman, "Collaborative Learning: Preparation for the Workplace and Democracy" College Teaching, 1990, Vol. 38 No. p,128-133
[27] K. G. Collier. "Peer-Group Learning in Higher Education: The Development of Higher-order Skills’. Studies in Higher Education 1980, 5(1), 55-62.
[28] B. A. Connery "Group Work and Collaborative Writing." Teaching at Davis, 1988,14(1), 2-4. (Publication of the Teaching Resources Center, University of California at Davis)
[29] J. Cooper "Cooperative Learning and College Teaching: Tips from the Trenches”. Teaching Professor, 1990, 4(5), 1-2.
[30] J Copper and Associates. Cooperative Learning and College Instruction. Long Beach: Institute for Teaching and Learning, California State University, 1990.
[31] D. W. Johnson, D. and R. T. Johnson, “Cooperation and Competition: Theory and Research”. Edina, Minn.: Interaction Books, 1989
[32] D. W. Johnson, R. T. Johnson, and K. A., and Smith, “Cooperative Learning Increasing College Faculty Instructional Productivity.” ASHE-FRIC Higher Education Report No.4. Washington, D.C.: School of Education and Human Development, George Washington University, 1991.
[33] S. B. Fiechtner,, and Davis, E. A. "Why Some Groups Fail: A Survey of Students' Experiences with Learning Groups." In A. Goodsell, M. Maher, V.
[34] Tinto and Associates (eds.), Collaborative Learning: A Sourcebook for Higher Education. University Park: National Center on Postsecondary Teaching, Learning, and Assessment, Pennsylvania State University, 1992
[35] A. Goodsell, A., Maher, M., Tinto, V, and Associates (eds.). Collaborative Learning: A Sourcebook for Higher Education. University Park: National Center on Postsecondary Teaching, Learning, and Assessment, Pennsylvania State University, 1992.
[36] T. R. Guskey, Improving Student Learning in College Classrooms Springfield, Ill: Thomas, 1988.
[37] J. W. Bruce, J. C. Harden and R. B. Reese, “Cooperative and progressive design experience for embedded systems,” IEEE Trans. Education, vol. 47, no. 1, pp. 83-92, Feb. 2004.
[38] Jia, S. R. Hiltz and M. Bieber, “Learning Strategies in online collaborative examinations,” IEEE Trans. Professional Communication, vol. 51, no.1, pp. 63-78, March 2008.
[39] R. M. O’cannell, “Work in progress - Adapting team-based learning to the first circuit theory course,” Frontier in Education Conference FIE, Rapid City, SD, 2011, pp. T2C-1-T2C-2.
[40] A. Elnagar and A. S. Mahir, “Survey of student perceptions of a modified Team-based learning approach on an Information Technology course,” PICICT, Gaza, 2013, pp. 22-27.
[41] M. DeAntonio, L. M. Sandoval, J. Dewald, H. F. Al-Ta’Ani and T. Jamal, “Work in progress-The use of Team-based learning in an experimental Physics lab,” 37th Annual Frontiers in Education Conference-Global Engineering: Knowledge without borders, Opportunities without passports FIE’07, Milwaukee, WI, 2007, pp. S1A-13-S1A-14.
[42] A. D. Hendrickson, "Cooperative Group Test-Taking." Focus, 1990,5(2), 6 (Publication of the Office of Educational Development Programs, University of Minnesota)
[43] A. Kohn, “No Contest: The Case Against Competition”. Boston: Houghton Mifflin, 1986.
[44] R. J. Light, “The Harvard Assessment Seminars: Second Report.” Cambridge, Mass.: Harvard University, 1992.
[45] W. J. McKeachie, P. R. Pintrich, Y G. Lin, and D. A. F. Smith, “Teaching and Learning in the College Classroom: A Review of the Research Literature”. Ann Arbor: National Center for Research to Improve Postsecondary Teaching and Learning, University of Michigan, 1986
[46] W. Rau, and B. S. Heyl, "Humanizing the College Classrooms: Collaborative Learning and Social Organization Among Students." Teaching Sociology, 1990, 18(2), 141-155.
[47] G. S. Mason, T. R. Shuman and K. E. Cook, “Comparing the effectiveness of an Inverted classroom to a Traditional classroom in an upper-division Engineering course,” IEEE Trans. Education, vol. PP, no.99, Mar. 2013.
[48] L. G. Muradkhanli, “Blended Learning: The integration of traditional learning and e learning,” 5th International Conference on Application of Information and Communication Technologies AICT, Baku, 2011, pp. 1-4.
[49] N. Hoic-Bozic, V. Momar and I. Boticki, “A Blended Learning approach to course design and implementation,” IEEE Trans. Education, vol. 52, no. 1, pp. 19-30, Feb. 2009.
[50] H. Sun, “ Design a general-purpose network teaching platform based on blended learning theory,” 2nd International Conference on Consumer Electronics, Communication and Networks CECNet , Yichang, 2012, pp. 1748-1751.
[51] M. Azer and A. El-Sherbini, “Capacity building in the New Era using blended E-learning,” 6th International Conference on Information & Communications Technology ICT, Cairo, 2008, pp. 123-127.
[52] Y. P. Huang, “Design and Development of online course based on blended learning,” International Conference on E-Business and E-Government ICEE, Shanghai, 2011, pp.1-4.
[53] D. R. Garrison and H. Kanuka, “Blended-Learning: Uncovering its transformative potential in higher education,” Science Direct. The Internet and Higher Education, vol. 7, no. 2, pp. 95-105, 2nd quarter 2004.
[54] C. J. Bonk and C. R. Graham, “Higher education blended learning models and perspectives,” in Handbook of Blended Learning: Global perspectives, Local designs, Pfeiffer, 2006, Ch. 3.
[55] X. Ma and Q. Ke, “Assessment in blended learning: A framework for design and implementation,” International Conference on Computer Science and Software Engineering, Wuhan, Hubei, 2008, pp. 598-601.
[56] C. Shengjian and L. Yun, “The negative effects and control of blended learning in university” FNCES, Baghdad, 2012, pp. 1486-1489.
[57] P. Fonseca, A. A. Juan, L. M. Pla, S. V. Rodriguez and J. Faulin, “Simulation education in the Internet Age: Some experiences on the use of pure online and blended learning models,” WSC, Austin, TX, 2009, pp. 299-309.
[58] A. Schober and L. Keller, “Impact factors for learner motivation in blended learning environments,” 15th International Conference on Interactive Collaborative Learning ICL, Villach, 2012, pp. 1-5.
[59] S. Bitter and G. Frankl, “Evaluation of blended learning courses: The assessment of the e-tutors,” 15th International Conference on Interactive Collaboration Learning ICL, Villach, 2012, pp. 1-6.
[60] Z. Chenwei and Z. Hui, “Inquiry learning based on blended learning for undergraduate,” ICEEE, Bali, 2011, pp. 344-347.
[61] M. Mirabolghasemi, N. A. Iahad and E. Yadegaridehkordi, “Investigating the dynamic relationships among the indicators of the Community of Inquiry model in blended learning,” ICRIIS, Kuala Lumpur, 2011, pp. 1-5.
[62] S. Djenic, R. Kmeta and J. Mitic, “Blended Learning of programming in the Internet Age,” IEEE Trans. Education, vol. 54, no. 2, pp. 247-254, May 2011.
[63] K. S. Cheung, J. Lam, N. Lau and C. Shim, “Instructional Design practices for blended learning,” International Conference on Computational Intelligence and Software Engineering CiSE, Wuhan, 2010, pp. 1-4.
[64] M. J. Herold, T. D. Lynch, R. Ramnath and J. Ramanathan, “Student and Instructor experiences in the Inverted classroom,” Frontier in Education Conference FIE, Seattle, WA, 2012, pp. 1-6.
[65] S. D. Sorden and J. L. Ramirez-Romero, “Collaborative learning, social presence and student satisfaction in a blended learning environment,” IEEE 12th International Conference on Advanced Learning Technologies ICALT, Rome, 2012, pp.129-133.
[66] M. A. Trpkovska, “A study of student perceptions on blended and online learning over traditional classroom instruction at south east European university,” 33rd ITI, Dubrovnik, 2011, pp. 245-250.
[67] F. Alonso, D. Manrique, L. Martinez and J.M. Vines, “How Blended Learning reduces underachievement in higher education: An experience in teaching Computer Sciences,” IEEE Trans. Education, vol.54, no.3, pp.471-478, Aug. 2011.
[68] M.M. Danchak and M. -P. Huguet, “Designing for the changing role of the instructor in Blended Learning,” IEEE Trans. Professional Communication, vol. 47, no. 3, pp. 200-210, Sept. 2004.
[69] C. Bohmer, H. Meuth, N. Roznawski and E. M. Beck-Meuth, “Designing a Blended-learning Bachelor’s degree in Electrical Engineering for non-traditional students,” IEEE EDUCON, Berlin, 2013, pp. 924-927.
[70] J. Basque and B. Pudelko, “Exploring the potential of blended learning to promote retention and achievement in higher education professional study programs,” 9th International Conference on Information Technology based Higher Education and Training ITHET, Cappadocia, 2010, pp. 383-390.
[71] G. C. Gannod, J. E. Burge and M. T. Helmick, “Using the Inverted classroom to teach software engineering,” ACM/IEEE ICSE’08, Leipzig, 2008, pp. 777-786.
[72] C. Baehr, “Incorporating user appropriation, media richness, and collaborative knowledge sharing into blended e-earning training tutorial,” IEEE Trans. Professional Communication, vol.55, no.2, pp. 175-184, June 2012.
[73] J.A. Mendez and E.J. Gonzalez, “Implementing motivational features in reactive Blended Learning: Application to an Introductory Control Engineering course,” IEEE Trans. Education, vol. 54, no.4, pp. 619-627, Nov. 2011.
[74] R.Y.K. Lau, R.K.F. Ip, M.T. Chan, R.C.-W. Kwok, S.W.M. Wong, J.C.F. So and E.Y.W. Wong, “Podcasting: An Internet-Based social technology for Blended Learning,” IEEE Internet Computing, vol. 14, no. 3, pp. 33-41, May-June 2010.
[75] M. T. Restivo, J. Mendes, A. M. Lopes, C. M. Silva and F. Chouzal, “A remote laboratory in Engineering Measurement,” IEEE Trans. Industrial Electronics, vol. 56, no. 12, pp. 4836-4843, Dec. 2009.
[76] S. Ruimin, W. Minjuan, G. Wanping, D. Novak and T. Lin, “Mobile Learning in a large blended Computer Science classroom: System function, pedagogies, and their impact on learning,” IEEE Trans. Education, vol. 52, no. 4, pp. 538-546, Nov. 2009.
[77] T. Winterstein, F. Greiner, H. F. Schlaak and L. Pullich, “A blended-learning concept for basic lectures in Electrical Engineering: A practical report,” International Conference on Education and e-Learning Innovations ICEELI, Sousse, 2012, pp. 1-4.
[78] X. Ling and H. Wei, “The application mode of social software in blended learning of university,” ICECE, Yichang, 2011, pp. 6823-6826.
[79] G. Frankl and S. Bitter, “Blended learning at the Alpen-Adria-Universitat Klagenfurt,” 14th International Conference on Interactive Collaborative Learning ICL, Piestany, 2011, pp. 492-497.
[80] T. Luo, W. Luo, G. Zhao and J. Lv, “The research on design and application on blended learning based on learning context of Sakai,” International Conference on Internet Technology and Applications Itap, Wuhan, 2011, pp. 1-4.
[81] I. de la Torre, F. J. Diaz, M. Anton, M. Martinez, D. Boto, D. Gonzalez and J. F. Diaz,“ Blended learning (b-learning) in telecommunication engineering- A case study,” Promotion and Innovation with New Technologies in Engineering Education FINTDI, Teruel, 2011, pp. 1-3.
[82] Y. P. Huang and Z. Yong-Liang, “Practice of blended learning based on database principles and applications online course,” International Conference on E-Business and E-Government ICEE, Shanghai, 2011, pp. 1-4.
[83] H. M. A. Fahmy and S. A. Ghoneim, “PadBoard: Podcasting braced blended learning environment,” TELFOR, Belgrade, 2011, pp. 1191-1194.
[84] N. M. Sabri, I. Norulhidayah, N. Marsyahariani, N. Daud and A. Abdul Aziz, “ Lecturers’ experiences in implementing blended  learning using i-Learn,”  International Conference on Science and Social Research CSSR, Kuala Lumpur, 2010, pp. 580-585.
[85] G. Zhijie, “Analysis of blended learning based on THOEL learning system,” International Conference on Artificial Intelligence and Education ICAIE, Hangzhou, 2010, pp. 254-256.
[86] S. Leone, T. Leo and C. Nian-Shing, “An integrated model of synchronous cyber assessment and blended learning environment for foreign language learners,” IEEE 10th International Conference on Advanced Learning Technologies ICALT, Sousse, 2010, pp. 110-112.
[87] K. Morisse, “Adopting SGID-evaluation techniques for a lecture recording based blended learning approach,” 2nd International Conference on Mobile, Hybrid and On-Line learning ELML, Sant Maarten, 2010, pp. 66-70.
[88] A. Al-Hunaiyyan and S. Al-Sharhan, “The design of multimedia blended e-learning systems: Cultural considerations,” 3rd International Conference on Signals, Circuits and Systems SCS, Medenine, 2009, pp. 1-5.
[89] M. Li, Y. Ni, P. Zhou and Y. Zheng, “Pedagogy in the Information Age: Moodle-based Blended Learning approach,” IFCSTA’09, Chongqing, 2009, pp. 38-40.
[90] T. Reichlmayr, “Enhancing the student project team experience with blended learning techniques,” 35th annual Conference of Frontiers in Education FIE’05, Indianapolis, IN, 2005, pp. T4F-6.
[91] R. Motschnig-Pitrik, “Participatory action research in a blended learning course on project management soft skills,” 36th annual Frontiers in Education Conference, San Diego, CA, 2006, pp. 1-6.
[92] H. Wisbech, “Blended learning and leadership,” 2nd Conference on Information and Communication Technologies, Damascus, 2006, pp. 601-603.
[93] C. Beaton, “Evolution of ethics using blended learning,” 6th International Conference on Information Technology based Higher Education and Training, 2005, pp. T4A/23-T4A/26.
[94] M. Derntl and J. Mangler, “Web services for blended learning patterns,” IEEE International Conference on Advanced Learning Technologies, 2004, pp. 614-618.
[95] C. Demetry, “Work in progress - An innovation merging “Classroom Flip” and team-based learning,” IEEE Frontier in Education Conference FIE, Washington, DC, 2010, pp. T1E-1-T1E-2.
[96] W. Wang and J. Zhao, “An examination of the effectiveness of group learning in a blended learning environment,” IEEE International Symposium on IT in Medicine and Education, Xiamen, 2008, pp. 244-249.
[97] M. Derntl, R. Motsching-Pitrik and K. Figl,“Using Team, Peer-Self Evaluation in blended learning classes,” 36th annual Frontiers in Education Conference, San Diego, CA, 2006, pp. 15-20.
[98] R. G. Packard “The control of “classroom attention”: a group contingency for complex behavior” Journal of Apllied Behavior Vol. 3, Issue 1, pages 13-28 Spring 1970.
[99] W. R. Chaney, “Top-of-Hour Break Renews Attention Span,” The Teaching Professor, vol. 19, Jun/July 2005.
[100] L. Lin, “Everything you need to know about MOOCs: edX platform integrates into classes Tech MIT,” Hong Kong, 2012.
[101] A. Agarwal, J. H. Lang “Foundation of Analog and Digital Circuits”, First edition, Elsevier 2005. ISBN-13: 978-1-55860-735-8 and ISBN-10:1-55860-735-8.

【目次へ戻る】 【バックナンバー 一覧へ戻る】