賛助会員だより
東洋大学の白山キャンパスでは、2012年11月に125周年記念研究棟が竣工した。2013年4月には白山第2キャンパスに設置されていた学部や大学院が白山キャンパスに移転し、2万人が学ぶキャンパスとなった。この機会に合わせ、キャンパス内の3棟に分散配置されていたPC教室と教室管理用のサーバ群(Active Directory / ファイルサーバ等)を1棟に統合・集約し、820台の端末を更新することになった。
東洋大学のPC教室では、授業時間の切替えのたびに大勢の学生が一斉にドメインへのログオン/ログオフを行う。更新前は、PC本体の電源起動からドメインログオンが完了し、実際に利用できるまでに、遅い時では15分かかることもあった。スムーズな授業開始や10分しかない休み時間での印刷利用、授業支援システムへのアクセスなどに支障がでており、この処理時間をいかに短縮してスムーズな利用ができるかが大きな課題であった。また、教室利用率が高いので、PC端末の故障が発生してもメンテナンス時間が十分に取れずに、授業利用に支障が出ることも懸案であった。
そこで、VDI方式のゼロクライアント端末を導入し、これらの課題解決に取り組んだ。
800ユーザー以上の同時接続に対応する統合サーバ基盤には、安定性の高さと機器故障時の交換保守性が高い Cisco Unified Computing System(以下Cisco UCS)、統合ストレージ基盤にはEMCのVNX5500、そして統合仮想化基盤にはVMwareを採用した。三つの統合基盤で運用管理を一元化したことにより、システム全体の可視化を可能にした。
CTCではさらに、豊富な構築・運用実績を基に機器の最適なサイジングを行い、ストレージ基盤には一般的なHDDに加えて、高速なI/Oを実現させるSSD(フラッシュ・ドライブ)を併用した。また、Active Directoryのグループポリシーの最適化、仮想PC(Windows7)のマスターイメージの調整、移動プロファイルサイズの抑制といった高速化チューニング手法を組み合わせることにより、クライアント端末へのログオン/ログオフのさらなる高速化を実現した。
システム概要図
クライアント端末のドメインログオンから実際に利用できるまで、以前は15分かかることもあったが、1分以内と非常に早くなった。管理面でもサーバ上のマスターイメージの更新し、それを他の端末に配信すればよいので、管理負荷の削減につながった。
耐障害性の面でも、OS、ディスクを持たないゼロクライアント端末の障害発生率は低く、端末が故障しても予備機に交換するだけで、OS,アプリのインストール不要ですぐに利用を開始できる。
クライアント端末は、PoE対応のため、電源コードが不要で、スケジュールで一括電源オフを行うことで、省電力化にもなった。
導入効果
PC教室
2013年4月の導入以来、トラブルもなく、安定稼働している。利用者へのアンケートを実施した結果も高評価だった。
これも、CTCが大学の要望を理解してそれ以上のものを提案し、大学と共に同じ思いを持って、プロジェクトを進めた結果である。
東洋大学ではこの基盤の導入経験を踏まえて、複数キャンパスに分かれて存在する事務PCクライアント環境においても、ゼロクライアントとVDI環境を順次展開している。
東洋大学
情報システム部
情報システム課
藤原 喜仁氏東洋大学
情報システム部
情報システム課
松島 功樹氏
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