賛助会員だより
立正大学では、事業継続性の確保や情報セキュリティリスクの抑止などを目的に、キャンパス内で構築・運用してきた事務システムサーバを学外向けと学内向けのシステムに分け、関東関西に分散配置されたIIJ GIOクラウドサービス(IaaS)及びデータセンターへ移設しました。これにより、セキュリティを強化するとともに、キャンパス毎にDC間および対外回線を冗長化し、耐障害性と可用性の高い学内情報サービスの提供を実現しています。
立正大学は1872年に開校され、日本の私立大学の中で古い歴史と伝統を持ちます。「真実・正義・和平」の理念を骨格とする建学の精神に基づき、「『モラリスト×エキスパート』を育む」という「教育ビジョン」を構築。一人ひとりが「モラル」という基盤に基づき追求する専門分野を見つけ、掛け合わせ、深め、議論し、行動を起こす、そんな世界に求められる人材の育成を進めています。
こうした立正大学の教育と研究をICTの側面から支えるのが、教育研究システムや事務システムなどの大学情報システム。このうち、事務システムの更改に合わせ、「事業継続性やセキュリティの強化など、従来の課題解決に向けて、今までは一部システムでしか利用していなかったクラウドサービスの活用を進め、情報基盤の整備に本格的に着手することになったのです」と情報メディアセンター品川情報システム課課長の菅野智文氏は説明します。
教務システムなど各種業務システムはサーバ室に集約しており、大規模災害時などの「事業継続性を担保する上で改善策が求められていました。また、法定点検やメンテナンスで電源を止めるとシステムが使えないこともあり、学生・教職員にいかに安定的なサービスを提供するかが課題になっていたのです」と品川情報システム課の峰内暁世氏は話します。
さらに、学生・教職員へのICTサービスの拡充とともに、大学情報システムの規模が拡大。菅野氏は「情報システム課だけではシステムの維持・管理が難しいです。データセンターやクラウドサービスを活用し、24時間365日の運用・監視を含め、事業者にアウトソーシングし、課員のリソースを適正配分する方向で話が進んでいました」と振り返ります。
立正大学では事務システムに関わる様々な課題を解決するため、次のような要件を事業者に提示。1)サーバの統合と適正化、2)強固なセキュリティ対策によるリスクの抑制、3)事業継続性の確立、4)省エネ対策の4項目があります。
これらの要件に対し、IIJでは関東・関西に分散配置したIIJ GIOクラウドサービスおよび2ヵ所のIIJデータセンターを利用して、データセンターでハウジングを行うハイブリッド構成、キャンパスDC間・対外回線の冗長化、マネージドサービスによる運用軽減を提案しました。クラウドサービスとデータセンターサービスを組み合わせることで柔軟かつ拡張性の高いシステム運用や事業継続性、セキュリティを確保する狙いがあるのです。
立正大学は検討の結果、IIJの提案を採用。菅野氏によれば「IIJはクラウドサービスやデータセンターサービスなどで豊富な経験と技術力があります。予算が限られている中、サービス体系がメニュー化され、シンプルで分かりやすいことも評価しました」とのこと。
2013年の事務システムのリプレースは、情報基盤となるデータセンターやクラウドサービスの他、サーバクライアント、印刷環境の更改が含まれており、複数の事業者がプロジェクトに参画。「IIJは中立的な立場で、他の事業者と組んで最適なサービスを提供してもらえる安心感があります」と峰内氏は述べます。
立正大学では、オンプレミスで設置しなければならない一部サーバを除き、事務システムをIIJ GIOクラウドサービス上に移設。また、リプレース時期まで期間がある対象外のシステムはIIJデータセンターのラックにサーバを移設して継続利用しています。
事業継続性の確保やセキュリティリスクを抑止する観点からデータセンターとクラウドサービスの利用方法を工夫。具体的には、メールやWeb系サービスなど学外向けシステムは都内のデータセンターに移設するとともに、構内配線でIIJクラウドサービスに直結します。また、学生の個人情報など重要なデータが含まれる教務システムなど、学内向けシステムは学外からアクセスできないように近県のIIJデータセンターに閉じて移設し、関西のIIJクラウドサービスと接続する仕組み。
そして、品川・熊谷のキャンパスと二ケ所のデータセンターを結ぶ回線は二つの通信キャリアの閉域網を利用してセキュリティを確保するとともに、回線障害時に自動的に切り替える冗長化の仕組みにより、可用性の高いネットワークを構築しています。「キャンパス内にシステムがあるのと同等以上のセキュリティを担保できます。また、ネットワーク機器や電源の冗長化に加え、二ケ所のデータセンターで相互にバックアップデータを保持することで、事業継続性が向上することを期待しています」と菅野氏は安全性と可用性の高い情報基盤であることを強調しています。
クラウドサービスとデータセンターに移設されたシステムはIIJが24時間365日、統合的に監視及び通知するなど、情報システム課の運用管理の負荷を軽減し、将来にわたる大学情報システムの企画・立案・推進などに注力できる効果もあります。
図 システム概要
立正大学では、1年のうち一定期間しか稼働しない履修登録用サーバなどもオンプレミスで構築。学生数は1万人を超えるので、一斉に大量のデータを処理するためハイスペックのサーバを用意しています。しかし、使用する時期が限定的なことからコスト面で無駄が生じており、機器の購入・運用コストの削減も課題になっています。「今後、大学特有の一時期に稼働が求められるシステムのクラウドサービス活用を検討していきます。これにより、必要な時に必要なだけリソースを利用でき、無駄のない安定したサービス提供をしていきます」と峰内氏は期待しています。
また、2014年夏からは教育研究システムのリプレースも始まり、事務システムに引き続きオンプレミスで使用していたサーバのIIJ GIOクラウドサービスへの移行および不測の事態に備えたIIJデータセンターのバックボーンネットワークを利用した遠隔地へのデータバップアップの検討が始まっています。さらに、データセンターにハウジングしている業務システムの更改に合わせ順次、クラウドサービスへ移行する予定。IIJでは、各種システムのスムーズな移行に向け、最適な提案とサービスの提供を続けていきます。
所在地:東京都品川区大崎4-2-16
開 校 :1872年
学生数:1万495名(2013年5月1日現在)
東京・品川と埼玉・熊谷の二つのキャンパスを拠点に、8学部15学科の分野から専門科目を選択できる総合大学。人間について学ぶことを核としながら、社会や地球といった領域をトータルでケアしている。
本記事は2014年6月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
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