事業活動報告No.4
平成26年度 教育改革ICT戦略大会 開催報告
国は平成29年度までの5年間を「大学改革実行集中期間」と位置付け、教育の質的転換を国家的な課題として取り組むことを提言しており、国・大学・社会が一体となって教育改革に取り組むことが課題とされている。このような状況を踏まえて、今年度の大会は、主体的・能動的な力の育成や、グローバルな視点で世界・地域社会に関与できる力の育成を目指して、大学のこれまでの取り組みを振り返るとともに、新たな改革行動に向けた戦略を探究するため、講演、事例紹介、討議を実施した。
平成26年9月3日から5日までの3日間、アルカディア市ヶ谷(東京、私学会館)で、「改革行動の展開に向けて」を開催テーマとして実施。3日間の参加者総数は、371名(154大学、10短期大学、賛助会員14社)となった。
初日の全体会では、向殿政男会長(明治大学)の開会挨拶の後、産業界から見た教育改革、卒業生からみた教育改善、学生の主体性を育む工夫、アクティブ・ラーニングに必要な学修環境、ICTを活用した新しい学び、主体性を引き出すための大学組織の課題などに関する講演・事例紹介を行い、大学教育の質的転換を図るための課題や提案、具体的な手法について情報の共有化を図った。
2日目は分科会形式によるテーマ別自由討議を実施した。初日の理解をより深めるために、教育現場個別の課題として「アクティブ・ラーニング実施に伴う課題の考察」、「多機能端末の活用と電子教科書導入による教育実践」、「学修支援の仕組みと支援者の養成」、「ラーニングコモンズの発展的な活用」の4テーマを設定して参加者を交えた討議を行い、課題の共有とその解決策の模索を行った。また、分科会終了後に参加者のコミュニケーションの場として情報交流会も行った。
3日目はA〜Eの五つの会場で、教育や支援環境へのICT活用について92件の公募による発表を同時進行で進めた。また、2日目の午後から3日目まで、大学・企業共同のICT導入・活用の紹介として、賛助会員の企業と導入大学によるポスターセッションを実施した。
第1日目(9月3日)
全体会
【産業界からみた教育改革】
グローバル人材育成に向けた課題
経済同友会学校と経営者の交流活動推進委員会委員長、DIC株式会社取締役会長 杉江 和男 氏
冒頭で札幌農学校の米人教員ホイラーによる日本の教育への評価「日本人は欧米人に比べ、向学心も成績も負けないが、卒業後の進歩は劣る。日本の学問は記憶中心で模倣に長けるが、自ら考え想像する力が養われていない。理論を理解し応用する実践能力を養う教育が必要だ」を紹介され、現状はどうであるかとの問いかけの後、日本の現状について述べられた。
日本の国際競争力は1992年の第1位から以後26位まで下がり、2014年に21位となった。製品の世界シェアは、かつて独占状態のDRAMが現在14%だが、内視鏡等の先端製品のシェアは高い。さらに、イノベーション、ビジネスの洗練度などでは先進国平均より高いが、対欧米産業競争力は低下した。日本の強さは、ロボット、温水便座、複写機、宅配便、「おもてなし」の精神などにある。
国民性や気質等が違う日本と欧米は、互いの優れた所を取り入れていくというダイバーシティの考え方が重要になる。
国際化に向け、日本には「安全・安心・正確」、「創意工夫力」、「洗練性(おもてなし)」、「先端商品の開発力」等の資源がある一方、「低い経済成長率」、「非効率的な国家運営」、「サービス業などの低い生産性」、「経済効果の低いイノベーション」などが課題だが、グローバル化、ダイバーシティが改革手段となる。
企業の役割は、「世界の環境変化を知って、住みやすい社会を作る」ことであり、杉江氏の会社では「物」中心の発想から価値という「事」に注目し、製品も多様化した。
経済同友会のアンケートでは、「高等教育(大学・大学院)に対して期待すること」の上位三つは、「対人コミュニケーション能力の養成」、「論理的思考能力や問題解決能力の養成」、「専門的な学問教育」である。最後に、社会が期待する人間像としてCommunication(恊働する心)、Diversity(他人を理解し認める)、Global(世界の要請を視野に)、Identity(自分の専門分野を持つ)、Personality(信頼される人格を養う)の五つが示された。
【卒業生からみた教育改善】
大学教育に対する卒業生からの改善要望
入社3〜4年目の社会人3名から、「大学で学んだことが役立っているか」「大学教育に望むことは何か」について紹介された。まず、大学で学んで役に立ったことでは、英語、教職課程、ICTスキル、ゼミ、一般教養科目、ソフトウェア工学と生産管理(大学院)などであったが、比重としてあまり重く置かれておらず、学生時代に取り組んだ自主的活動を通じて得たものが大きいとのことであった。自主的活動は、就職内定後に行った経験を伝えるための就職支援活動、大学院時代のソフト開発プロジェクト、4年間続けたアルバイト経験などであった。また、3名から「もう一度大学で学びたい」という発言があり、その内容は大学に出向いて、意見交換、ディスカッション、ディベートを取り入れたものであった。
大学教育に望むことについては、3名ともグループワークなどを取り入れた実践形式での学びの機会を強調された。また、授業以外の活動支援を拡大して欲しいこと、学生が何を学びたいか、何のために学ぶのかを考えさせるために、卒業生や社会人との対話や接触する機会が増やしてほしいとのことであった。このことに関連して、学部4年次に6ヵ月間という長期インターンシップを経験したことを踏まえて、学問と実務を結びつけるのがインターンシップであるので、こうした機会を大学がもっと後押しをして欲しいとのコメントがあった。
【学生の主体性を育む工夫】
アクティブ・ラーニングの試み
長崎大学 経済学部教授 西村 宣彦 氏
北海道大学 理学部教授 鈴木 久男 氏
まず、長崎大学でのアクティブ・ラーニングの取り組みについて、講師の実務者としての長年の経験および、会社から博士研究員として派遣されたイギリスのインペルアルカレッジでの経験を踏まえて紹介された。講師がアクティブ・ラーニングを始めようと思ったきっかけは、留学時代に経験した講義科目のほとんどがグループ学修を主体とした講義であったことと、実務者時代に接した経済系・経営系の卒業生がほぼ全員、学生時代にもっと勉強しておけば良かったと述べていたことである。経営に関する講義の成果は、得た知識を将来それが必要になる状況で活用できるか否かで判断されるため、アクティブ・ラーニングが不可欠である。アクティブ・ラーニングの講義設計と実施において重要なのは、学生の気づきを誘発するための一連の適切な「問い」の設計である。また、経営系学部のような大人数授業では、コミュニケーションが苦手な学生がいるチームなどができてしまうので、議論を活発にするにはSA(ステューデント・アシスタント)が必要であることが分かった。
次に、北海道大学の「ゼロから始める科学力養成講座I、II」で実践されている大規模授業でのICTを用いたアクティブ・ラーニングの取り組みが紹介された。クリッカーを使って授業に双方向性を持たせることからスタートし、現在では動画も取り入れ、講義の中にグループ討議とその結果のプレゼンテーションを講義の中にちりばめた形で行っている。アクティブ・ラーニングで重要なことは、いかに学生に自主的に学修させるかであるが、この点についてもLMSを用いて小テストができるようにした結果、学生たちの事前事後の学修時間が飛躍的に向上したとの報告があった。現状の問題点や課題は、大規模授業でも学生のディスカッションや考えを評価するには、レポートの提出が不可欠であるが、教育・研究以外にもさまざまな仕事がある日本の教員にとっては、大人数のレポートを丁寧に見ることは負担が大きいこと、また、アクティブ・ラーニングを実践するには教える範囲を狭める必要があることがあげられた。
【アクティブ・ラーニングに必要な学修環境】
ラーニングコモンズの活用とファシリテータによる学修支援
創価大学 総合学習教育センター副センター長 |
山アめぐみ 氏 |
関西大学 教育推進部副部長 |
山本 敏幸 氏 |
創価大学の取り組みでは、一方通行の講義ではなく、学生の能動的な学びや主体的な学びを促すことを目的として設立された総合学習支援センターと、その学びの場としてのラーニングコモンズについて紹介があった。2013年にオープンした約2,000平方メートルのラーニングコモンズには、協同学修・語学学修・PC・学修相談エリア、日本語・英語ライティング支援・図書館サービスなど多くの機能を凝縮させている。学生数約8,000名で平日の利用者は2,000名を超えている。学生が好んで使っているエリアは、個別の自習エリアよりも協同学修エリアの利用率が圧倒的に高かった。また、利用率を上げるために1年生の基礎ゼミに使用させるなどの努力をした結果、経営学部と文学部で定期利用者の数が伸びた。しかし、このような努力をしても、学部の建物とラーニングコモンズの距離が物理的に離れている場合、定期利用者数を増やすのは難しいということも分かった。
次に関西大学の取り組みでは、アクティブ・ラーニングとラーニングコモンズの活用およびラーニングアシスタントについて紹介があった。「考動力」をミッションとし、この「考動力」をつけるために、全学共通科目のアカデミック・スキル群の中にスタディ・スキルゼミの科目群が設けられている。この科目群は、「課題探究」、「パソコンで学ぶ」「ディベート」等の八つの下位分類科目で構成されている。これらスタディ・スキルゼミの授業では、身近なロールモデルとしてのラーニングアシスタントが配置され、ファシリテータの役割を果たしている。さらに、クループ学修では、学部・学科・学年が異なる学生がチームを構成し、様々な専門分野の視点から意見や見解を交わすことで知見を広め深める試みを行っている。事前事後学修の場として根幹をなすラーニングコモンズは、キャンパスの中心部に位置し、使用目的に合わせ、ライティングエリア、グローバルエリア、ICTエリアなどの六つの特化したエリアが設けられ、PCの貸し出しや、各エリアの利用相談に応じるコンセルジュが常駐している。またラーニング・カフェでは、留学生が講師となった外国語会話交流会なども立ち上げ、アカデミックな学修環境の構築を目指している。
【ICTを活用した新しい学び】
反転授業の実践イメージと環境づくり
東京大学 史料編纂所教授 |
本郷 和人 氏 |
株式会社 NTTドコモ |
伊能美和子 氏 |
株式会社NTTドコモと東京大学で行っている共同研究プロジェクトについての紹介があった。まず、株式会社NTTドコモにより、JMOOCと連動した反転授業のシステムの説明と、システムで最初に開講された東京大学本郷和人氏の「日本の中世史」の実施例が紹介された。「日本の中世史」では、通常のコースと反転学習コースが用意された。通常コースは、ビデオの講義、ディスカッションボードによる質問・議論で4週から6週間程度を無料で実施したのに対し、反転学習コースでは、通常コースに加え、2週目と4週目にいわゆる対面学習、反転学習を取り入れ、受講は有料とした。
東京大学本郷和人氏の「日本の中世史」の講義では、受講者を4人のグループに分け、事前に出された答えのない課題を理解しているかをグループディスカッションで確認させ、グループごとの答えを議論しまとめさせた。次にグループ間での議論を行い、なぜその結論に至ったのかをディベートする形で講義が進められた。取り組みを通じて、反転授業は、答えが一つではない文学や哲学などの人文系の教育に非常に適していることが分かった。
【主体性を引き出すための大学組織としての取り組み】
日本再生のための大学改革 〜求められる改革行動とは〜
中央教育審議会会長 独立行政法人日本学術振興会理事長 安西 祐一郎 氏
世界の流れは、グローバル化と多極化に向かっている中で、日本の大学生は内向きであるといわれて久しい。これからの時代に社会が大学生に要求する質とは、コミュニケーションの質と速さ、グローバル社会・地域社会への関与、背景の異なる多様な人々とのコミュニケーション能力、協働する中で知識・技能の活用力、情報を吟味する力・合理的思考力、予想外の変化に即座に対応する臨機応変力、自分の目標を自分で見出し実践する「主体性」である。現在の大学は、多様性と協働性に満ちた学びの場を提供しておらず、その結果、主体性をもって答えのない問題を解決できる力を持った学生が育っていない。さらに、学生が能動的に学修できるような、講義や環境の整備が急務であるにもかかわらず、大学の改革の進みは牛歩のごとく遅いのが現実である。
大学生が「主体性」を身につけるには、社会性に満ちた教育の場を提供する必要があるとの考えから、複数の大学と企業が連携して、学生に学ぶことの重要性を体験させるFuture Skills Project(FSP)研究会が2011年に開始された。4年間のFSP研究会の実践により明らかになったことは、学びの原動力は結局は主体性であり、学生が主体性をもってやろうという気にならない限り、何を外から与えようと効果はない。さらに、このような授業を行うには1年生の春学期が最適で、かつ単位が取れる授業であることが重要である。教員が留意すべき点は、教えすぎないことである。授業を提供する大学側としては、大学と企業の関係者間の信頼関係、目標の共有、風通しのよいコミュニケーションが必須である。これらのことが満足できれば、大学の設置形態、分野によらず、「主体性」を育む授業の実施が可能である。講師自身も試行錯誤しながら、いくつかの大学で「主体性」育む授業を試みていることであった。
第2日目(9月4日)
テーマ別自由討議
分科会A:アクティブ・ラーニング実施に伴う課題の考察
<課題提起>
創価大学 栗山 直樹 氏(経営学部長)
山梨大学 森澤 正之 氏(工学部教授)
本分科会では、アクティブ・ラーニングを実践することで得られる効果について、授業を行う側からの視点と学生側の反応、成果分析の結果と今後の課題など実践事例を踏まえて考察した。
創価大学からは「アクティブ・ラーニングの姿勢の持続と深い学びへのリンク」および「それを実現するアセスメントの在り方」について紹介があった。
経営学部ではこの10年間、アクティブ・ラーニングとして、「予習を中心とした話し合い学修(Learning Through Discussion:LTD)」、「プレゼンテーションを中心としたPBL(Project Based Learning)」、「LTDとPBLをつなぐTBL(Team Based Learning)」、「海外体験学修」、「高次のアクティブ・ラーニングを目指した専門科目のクラスター化」等を実践してきた。こうした取り組みが学内で受容され導入科目も増加する中で、問題意識として上ってきた課題がアクティブ・ラーニングの質である。より深い学びへつなげるには一時的な達成ではなく、持続的な成長を目標に置く学修が必要で、そのためには、学修成果を可視化するための評価ルーブリックの作成と、それを共有する学生教員相互の評価文化の醸成が必要である。具体的には、初年次教育では基本的学修態度、共通教育では自他ともに学び高まる力、専門教育では自立的学修者を評価するワークシートの開発が必要で、eポートフォリオへの学修成果・アセスメントの蓄積により、学生と教員のPDCAサイクルを同時並行的に実施すべきである。
一方で、学修の重複と学生への過重を防ぐための科目間・教員間の調整、教員の質向上、ピア・サポートの充実も課題である。
山梨大学では富士ゼロックス株式会社と共同で、アクティブ・ラーニングの反転授業を含む教育改善のプロジェクトを立ち上げた。本分科会では、工学部の知識習得型の科目に対してアクティブ・ラーニング導入をどのように進めたのかについて紹介された。まず、学生が主体的に学修に取り組むために反転授業の導入を考え、そこでスクリーンキャストシステムを使うことを決断した。授業中はアクティブ・ラーニングの実施が可能であり、しかも総合的に授業量が減っていないことが重要である。また、スクリーンキャストでの動画収録は完璧でなくても、資料作成上での誤りや不具合は対面授業中での修正で十分なため、事前学修としてこのシステムを利用することは極めて有効である。一方で、反転授業だけではなく、アクティブ・ラーニングを同時展開しながら継続的な取り組みをすることで、導入効果が顕著になるという経年の成績分析結果と、学生側からの授業評価の結果が出ている。このように、アクティブ・ラーニングの授業設計をしっかりと考えることで、反転授業の効果も期待できる。
なお、参加者との質疑から、学生は授業で聞いているだけでは分からないことも、自分が話すことで理解できる場合も多く、さらにグループで議論すると一層理解は進むことが多いことが確認された。
以上の実践事例と質疑応答を通じて、ICTなど機器の対応にだけ時間をかける授業から抜け出し、それぞれの学年、授業科目に応じた基本的学修から専門教育での自立学修に至るまでの学生成長戦略が大学の教育計画に明示されていることが重要であること、その中で、学生同士のコミュニケーションの広がりや個々の学生の成績評価の客観性、個々の学生の主体性の定着度の評価などについても慎重に取り組む必要があること、その上で、様々な視点からの課題克服、問題解決などへの取り組みについて学生と意見交換することの重要性が確認できた。
分科会B:多機能端末の活用と電子教科書導入による教育実践
<課題提起>
名古屋文理大学 |
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図書情報センター |
長谷川 旭 氏 |
図書情報センター長 |
山住 富也 氏 |
青山学院 大学経済学部長 |
宮原 勝一 氏 |
本分科会では、様々な教育に活用している多機能端末の導入と、企業と連携した電子教科書の導入の背景、目的、実施に伴う課題について、事例を踏まえて考察した。
まず、名古屋文理大学からは、多機能端末の活用と電子書籍導入による教育実践について事例が紹介された。将来の入学対象者となる初等中等教育段階の学校にかかわる国策等の概要、近隣の小学校や中学校における実例などの紹介が行なわれた。その後、タブレット端末(iPad)を配布した経緯、英語学修における多読、美術教育、計算過程の記録など、教育での活用例が紹介された。
また、教材のデジタル化や資料配布の概要を説明された後で学生のアンケート結果を踏まえ、学生の9割近くが便利であると感じていること、タブレット端末は、パソコン、紙、携帯電話などの代わりではなく、新しい情報端末と考えるべきであるとの見解が示された。さらに、情報端末を利用することにより、5割以上が学生同士のコミュニケーションの機会が増えたと感じていること、SNS(Social Networking Service)の果たす役割が大きいことが示された。
電子書籍の利用については、メリットは、学生はiPad1台で済むことや検索のしやすさ、低コストでの出版、デメリットは紙媒体よりも一見してすぐに何があるかがわかりにくいこと、電池切れの可能性、機能によりメモ書きができないことなどが整理された。
続いて、青山学院大学経済学部における電子教科書導入実験の経緯や内容の紹介が行われた。2013年度には、経済学部現代経済デザイン学科1年生(約140名)を対象とし、学科の学びの基本書となる必修科目「公共経済学T」の教科書を電子化し、タブレット端末(iPad miniとNexus7)を貸し出しが行われた。2014年度には、経済学部1年生(約500名)に学科ごとに選書した学びの基本書で、4年間参考書として利用可能なものが選んだことなどが紹介された。そして、2013年9月〜2014年1月に利用された後、端末返却時に、約50名にアンケートを実施したところ、8割が満足したと回答し、講義日の利用が多かったこと、自宅での利用が多かったこと、復習や試験勉強のための利用が多かったことなどが紹介された。
次に、青山学院大学の実験に協力した東洋経済新報社、京セラ丸善システムインテグレーションの担当者も加わり参加者との質疑応答を行い、より詳細な仕組みや仕掛けの紹介、電子書籍化、タブレット端末の管理など、所属機関における利用を想定した活発な質疑応答が行われた。
事例や質疑応答を通じて、電子教科書導入の際には、成績の向上、教育インフラの整備、知識の定着化、積極的な授業の変革など何を選択するのか目的を明確にした上で、電子教科書を使わせる仕掛けづくり、補助教材や講義資料との連携、端末で利用できるコンテンツの充実が重要であることが確認された。
分科会C:学修支援の仕組みと支援者の養成
<課題提起>
早稲田大学 国際学術院教授 |
佐渡島紗織 氏 |
大阪大学 全学教育推進機構准教授 |
堀 一成 氏 |
FD推進・教育改革では、ICTの活用だけではなくきめこまやかな学修支援が必要となるが、その実現には多くの作業と労力が必要となる。この場合に、教員だけの努力と責任に委ねるだけでは限界があり、支援体制の整備が必要となる。このような観点から本分科会では、学修支援の仕組みと支援者の養成について考察すべく、先進的な事例として2大学から取り組みの紹介があった。
最初に、早稲田大学からは、大学院生が学術的文章作成の指導にあたる学修支援の仕組みとして、アカデミック・ライティング・プログラムの紹介があった。このプログラムは二つあり、一つは初年次生向けに正規授業として開かれる「学術的文章の作成」(8回1単位で年間4,500人の履修者)であり、もう一つは学部生・院生・教員向けに支援機関として開かれている「ライティング・センター」(利用セッション数として年間3,900件)である。指導にあたるのは、「学術的文章の作成とその指導」の授業を履修した大学院生で、その中から前者には60名の指導員、後者には25名のチューターが登録されている。このようなプログラムが始まるまでの経緯、受講生の授業評価や感想、指導員とチューターへの研修なども紹介された。
次に、大阪大学からは、従来のTA業務を見直し、業務内容を明確にして効率的な新しいクラス化TA制度へと移行した経緯と状況、課題、TA活用の広がりの可能性、活用の効果などが紹介された。
両大学において、チューターやTAとして学生指導に携わった大学院生は、指導することに難しさの知るとともに、自分自身の成長に大きく役立ったことを一様に感じていることが報告された。
分科会D:ラーニングコモンズの発展的な活用
<課題提起>
同志社大学 学習支援・教育開発センター事務長 |
井上 真琴 氏 |
立命館大学 総合企画室副室長 経営学部教授 |
八重樫 文 氏 |
本分科会では、いわゆるラーニングコモンズの機能、設計、運用について、2大学から取り組みを通じた紹介があった。
同志社大学のラーニングコモンズは、国内最大級の2,500平方メートルの面積で構築し、文系学部を対象にしたものである。運営は学習支援・教育開発センターが行い、柔軟性のある設備として、可変性のある空間、組み合わせの机、持ち運び可能なホワイトボードが設置されている。これに加えて、インストラクター(教員)、コーディネーター(職員)、学習支援アシスタント(学部生)ラーニングアシスタント(大学院生)、さらには情報検索や留学のためのアシスタントやITサポートスタッフなど人的資源が配備されている。ラーニングコモンズの目的は、正規の授業外学修を担保しかつその質の向上を図ること、および学びの身体技能を覚える共有空間を提供することとしている。従来の図書館が提供するラーニングコモンズは、書籍資料の配置との連動を主とする「ロジスティクス型」であって、これだけでは、知識獲得のためのノウハウを身につけさせるのが難しいという観点から、設計されたものである。「さまざまな形の情報をいかに整理して知識化するか」というノウハウを身につけさせるのが、ラーニングコモンズの最終的な狙いである。
立命館大学の事例では、1)図書館に付属する従来型ラーニングコモンズでの学修支援、2)研究科を超えた学びを実現する大学院リサーチコモンズ、3)大阪いばらぎキャンパス(OIC)におけるコモンズと学修支援体制の三つの事例が報告された。
1)では、IT機器利用支援や情報検索支援に加え、初年次教育科目と連動した日本語ライティング支援や理系基礎科目の学修支援なども支援対象としているのが特徴である。2)では、「大学院の共同研究施設とは何か」に立ち返って設置されたものである。これまでの個人研究の空間から、論文執筆の過程でのう院生同士のディスカッションや発表も場を設けることにより、多様な研究スタイルを提供するのがその特徴である。3)のOICは新キャンパスであり、現在進行中の設備である。経営学部、経営学研究科、政策科学部、政策科学研究科、テクノロジーマネジメント研究科、経営管理研究科という多様な分野の学部および研究科が設置されている。このキャンパスでの「コモンズ」は、学部、大学院、学年、専攻分野、さらには社会人や地域住民までも含めたさまざまなバックグラウンドを持つ人々がアクセスできる共有空間という位置づけである。そのようなパブリックスペースの活用実験を始めたところである。
事例を踏まえて、ラーニングコモンズを発展的に活用していく課題として、大学の教育目標の達成を見据えたラーニングコモンズの位置づけ・機能の明確化、他の教育支援組織との綿密な連携、全学的な教学IRに関連づけたラーニングコモンズ利用の評価方法の確立、利用に伴う教員間連携の仕組みづくり、学修支援スタッフ育成プログラムの点検などが確認された。
第3日目(9月5日)
大会発表
※以下の発表者名は発表代表者のみ掲載。
A-1 |
外部開発教材を活用した経済学部・推薦入学生に対する入学前eラーニング教育 |
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推薦入学者を対象に、学部入学後に必要となる知識の再確認と学修習慣をつけさせる目的でeラーニングによる入学前教育を実施している。自主学修で学修成果を確認しているが、教員が学生へ直接指導することで、一層効果が期待できると感じている。
A-2 |
入学前教育及び初年次教育学習結果の学生指導への活用 |
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早期入試合格者への入学前教育、初年次教育においてeラーニングで成果をあげることを目標としている。課題への取り組み方、学習習慣は入学後の学修にも直接大きく影響しており、習熟度別の入学前eラーニングで一層の効果が期待できる。
A-3 |
初年次教育における新入生のLMS対応能力の調査及びLMS導入教育の支援方式の検討 |
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ICT活用による初年次教育のため、LMSによる学修支援システムの構築を目指している。支援組織がICT環境に不慣れな学生・教員への支援を効果的に行うには、全学レベルでの人的システムが必須である。
A-4 |
e-ポートフォリオを活用したプレゼンテーション能力育成 |
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学修習慣の定着を目指し、2年次ゼミで発表をeポートフォリオシステムで相互評価している。結果分析では、学生の相互評価より教員評価が役に立つとの回答が多かったが、継続的な学修を通じて評価の視点で発表を聴くようになり、振り返り学修にもなっている。
就職活動での自己アピールの道具作りとして、学生の学修履歴と作品などをまとめ、それを利用したプロセス可視型ポートフォリオを作成している。公開アカウントでの個人情報に関するメディアリテラシー教育が急務である実態が見えてきた。
A-6 |
ポートフォリオ型学習を支援するeラーニングシステムの設計と開発 |
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主体的な学習促進を目的とした「学習経過を可視化できるポートフォリオ型学習」を支援するため、eラーニングシステムの開発を目指している。14年間に蓄積されている30,000以上の教材の利活用支援を教員との共同作業で可能にする。
A-7 |
主体的学び活動を見える化するeポートフォリオの構築 〜質保証のための分析と評価〜 |
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大学の質保証のため、学内関係者との双方向の意見交換や客観的なデータ共有により、教育成果の見直しを行う必要がある。eポートフォリオ構築は学生一人の学びログであり、学士教育過程の質保証を裏付けるエビデンスであり、大学の貴重なビッグデータである。
A-8 |
教室内外における学生の多様な活動を可視化するeポートフォリオの開発と運用 |
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大学として特別に対応が必要な学生に対して、全教職員の共通認識のもとに利用可能な学生カルテシステム(SRMS)を開発し利用している。このシステムを拡張し、学生目線による情報を可視化し、教職員による迅速な指導が可能なeポートフォリオの開発と運用を進める。
A-9 |
初年次キャリア教育科目におけるeポートフォリオの利用 |
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2011年度の初年次教養演習Iの講義形式の授業で、学生個人の学修成果をワークブックへ記載させるだけでなく、eポートフォリオ(ePF) を併用し、その学修成果蓄積を教員が毎週評価し、コメントを返却していた。しかし、学生・教員ともに負担が大きいため、ワークブックへの記入を重視することにしている。
A-10 |
主体性形成を志向したキャリア教育のためのICT活用 |
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学生によるビジネスキャリア形成への主体的な取り組みを目指してICTを活用したところ、学生による評価アンケートからは、主体性形成の面でのプログラム改善の余地が示されており、SNS活用による主体性形成とそのログ解析等による測定により効果をあげることが課題である。
A-11 |
学生支援強化に向けた学生情報システムの新たな展開 |
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学外からでも利用可能に改修したキャリア情報管理システムの改修前後の比較で、改修により面接記録、就職情報、ドリル機能等の状況把握や利便性が高まった。タイムリーな求人情報の登録、スマートフォンのウィルス対策等が今後の課題である。
A-12 |
主体的な学修を支援するキャリア支援サイトの活用 |
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学生の主体的学修の支援環境として、学生の蓄積情報を分類・保存するeポートフォリオの構造は、演習科目を対象に取り上げ、各々の活動の学修記録を効率よく蓄積し再利用できる手法である。ポートフォリオ実装に主体的学修指導の形式的記述手法を取り入れたアイディアは、本研究の独創的なところである。
A-13 |
初修外国語教育におけるICTを中心に据えた教育方針とその実践 |
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グローバル化の中、異文化に対する関心と理解のためにも英語以外の外国語は不可欠であるが、選択科目となっているため、これを重視すべく、検定試験等の到達目標の設定、e-Learningの利用、異文化理解科目の設置を共通の教育方針に掲げ実践した。e-Learning教材を授業と有機的に関連付ける環境を整えることが課題である。
A-14 |
LMS利用による英単語学習の効果についての考察 |
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LMSによる英単語学習成果と英単語テストとの相関を分析すると、潜在的に英語の必要性を感じている学生にはLMSが学習習慣付けに大きな役割を果たしている。教員側では入力作業の時間軽減、学生側においては携帯端末利用上でのソフトの負荷と操作の煩雑さ軽減が課題である。
A-15 |
ICTを利用した中国語発音教育 〜多人数クラスでの個別指導〜 |
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正しい発音を中国語音声入力機能で確認し、発音時の口の動きをビデオ機能で確認する等、スマートフォンを利用すれば多人数クラスでも個別指導が実現可能である。学生の評判は良いが、スマートフォンでの使用ソフトがOS依存であること、スマートフォンを持っていない学生への対応が課題である。
A-16 |
クラウドストレージサービスやブログ等を利用した、英語学習動機づけの試み |
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今年度前期、クラウドサービスを利用して英文法項目学習到達目標等をアップしたが、利用者は少なく成績への効果は見られなかった。学生に「してみたくなる」「できてしまう」と思わせる環境作りや、クイズやリズムに乗った発音練習等、気楽に楽しく取り組める課題設定が必要である。
A-17 |
理系学科における英語教育モデルの再構築:学習意欲の向上と自律的学習力育成への挑戦 |
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CASECにより新入生をA・B・Cの3クラスに分け、A・Bクラスでは90分の授業中に個別指導とコミュニケーション実践を交互に行い、Cクラスでは180分の連続授業を実施した。勉学の姿勢は向上したが、学科専門教員との協労による更なる向上が課題である。
A-18 |
語学教育におけるICT活用による実践的取り組み 〜韓国語教材との関連において〜 |
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開発した韓国語教材は、知識を与えるための初回授業用コンテンツ、iPad等を利用してスクリーンに映し練習できる単語カードと本文シート、iPadやiPhoneで音声を聞きながら字幕で内容を確認できる字幕付音声ファイルとなっている。今後の課題は、いつでもどこでも利用できる環境作りである。
A-19 |
英文法学習におけるICTの有効利用について |
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英文法の授業での演習部分、知識確認の振り返り学習、成績管理においてのICT活用が考えられるが、解説部分のICT活用は難しい。解決策として、教室授業とe-Learningとを併せたブレンド授業を実践しており、授業コンテンツの配信、幾種もの解説組込み等がICT有効活用として期待される。
B-1 |
交渉学を利用した学生 〜社会人ギャップをうめるコミュニケーション力の育成モデル構築 |
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学生と社会人とのコミュニケーション・ギャップを乗り越えるため、学生視点・社会人視点からの育成モデル構築を予定している。映像コンテンツで社会の現実的側面を理解させるコース開発、交渉学を媒体に、学生と社会人が互学互習を行うコミュニティなどに取り組む。
B-2 |
学生の意識分析と人間関係への配慮の方法から見た非対面ピア・レスポンスの可能性 |
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アカデミック・ライティングの授業における、ピア・レスポンス実践を行ったところ、LMS上での非対面でのピア・レスポンスを授業外の予習、復習活動として組み込み、対面式ピア・レスポンスとの組み合わせの効果を検証している。
B-3 |
日本語・英語二か国語に対応したビジネスゲームの実践 |
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日本語・英語2か国語に対応したビジネスゲームを開発した。ビジネスパーソン、留学生、学部生など異なる利用者に対応し、実務に即したゲームシナリオを実現できる特徴がある。このゲームをMBA新入生オリエンテーション、モスクワ大学MBA向け研修で実践した。
B-4 |
教職課程学生に向けたアプリ作成授業の取り組み |
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教職課程履修学生を対象に、アンドロイド用アプリ開発、iOS用アプリ開発を題材に、基礎的な開発及び活用教育を通して、ICT活用教育の良好な動機付けを目指している。苦手意識改善、教職課程学生に向けた研究授業実践力向上などの効果が期待できる。
B-5 |
「小学生向け情報セキュリティ・情報モラルの映像教材」を活用した指導案の作成 |
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小学校教員を目指す学生が将来、学校でICT活用し指導できるよう実践的学修を目指した。情報処理推進機構(IPA)公開の「小学生向け情報セキュリティ・情報モラルの映像教材」を活用した指導案作成を通じて、学修の動機付けと学修意欲向上を試みた。
B-6 |
基礎的な授業技術習得のための示範授業ビデオの制作 |
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「模擬授業演習」や「教育の方法と技術」などの授業において、基礎的な授業技術を紹介するための示範授業ビデオを大学の研究者と小学校の授業実践者が協力して制作する。制作した授業ビデオをインターネット等で広く教育界に公開することによって、授業ビデオの本数が少ないという現状課題を解決できる。
B-7 |
教育用3次元CADを用いた図形科学教育とモデル製作実習 |
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立体モデルの作成法の習得を目指して、図学教育用に独自開発してきた教育用3D-CADシステムを用いて図学教育と実習を行っている。本来、1年生を対象とする実習科目として設計されたが、現行の情報系学部のカリキュラム編成を考慮して2年次に講義している。
B-8 |
住生活に関する資格検定取得と連動した3D CAD教育 |
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住生活学に関連の深いインテリアコーディネータの資格検定の取得を支援する目的で、DCAD教育を実施している。検定の出題範囲には、CGやCADによる製図や機器が含まれるなど、短大生にとって難解であるが、比較的に短時間の学修で高い合格率を達成している。
B-9 |
情報コンテンツ制作ソフトを用いたe-ラーニング教材作成とソフト活用方法の試み |
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服飾造形関係の実習科目は技術習得が前提で、繰り返しが求められる。そのために、自主学修用に理解しやすい教材コンテンツを数多く揃え、授業時及び教室外での学修環境を整えた。それにより、自立的学修習慣が身に付き、学修意欲の向上と学修成果につながった。
B-10 |
ICTを用いたライブ体験の学修支援とグローバル科学教育構想 |
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グローバル理科教育の実現を目指し、学生と教職員が恊働して体験学修プログラムを展開する。2016年3月の皆既日食は科学的興味の芽を育成するには千載一遇の好機である。アジア太平洋域に設定した海上と陸上の複数の観測拠点を、衛星通信とネットワーク技術で接続して、双方向の学修教材を簡便にかつ経済的に配信する。
B-11 |
動画コンテンツの作成及び教育討議資材としての活用方法の提案 |
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経営管理教育で使うケース教材をはじめ、項目をドラマ化したりしたビデオ素材の起案、製作、使用、改定の繰り返しを、学ぶ側とともに実践している。成果物は、YOUTUBEなどに上げて共用している。学生は、製作に加わることにより思考力、分析力、プレゼン力が身につく。
B-12 |
学生が喜んで学ぶ電子書籍と動画共有サイトの実践例 |
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アニメ映画をもとに学生が喜んで学ぶ経済学のコンテンツを作成し、それを電子書籍にしてスマートフォンやYouTubeを使用して反転学修を実践した。その教育効果を測るため、グーグルアナリティクスやクイズのデータを使って、学生の授業時間外の学修時間の測定や成績との相関を統計的に分析した。
数学リテラシー教育のため、ICTを活用した大学独自のLMSによりフルオンデマンド授業を実施している。システムの改訂を重ね、コンテンツ構成も成熟してきた。今後はさらに工夫を重ね、教育効果の高いコンテンツパッケージの提供を考えている。
B-14 |
ICTを活用した主体的学びを誘導する統計教育の試み |
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学生が自立的に統計学を学ぶための環境づくりとして、ICT教材の開発と分析実践の場の提供を試みた。具体的には、スマートフォンでも利用できる教材等の開発やスポーツデータ解析コンペティションへの学生の誘導である。
B-15 |
法科大学院における法情報教育のためのコンテンツ開発と実践 |
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授業「法情報演習」において、複数の教職員の連携により双方向+学生のスキルに応じた支援を行い、落ちこぼれをなくした。ローライブラリアンが授業に関与したことで、教員・学生向け新規法情報コンテンツやDB「R-LINE」の開発につながった。今後の課題は、コンテンツの持続的提供と学部・市民向け法情報リテラシー教育への発展である。
B-16 |
薬効評価・副作用の確認がトレーニングできるフィジカルアセスメント学習教材の開発 |
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薬学生・薬剤師が薬効の評価や副作用の確認を学ぶため、ICTを活用した教材を開発した。画面上の患者に対して質問を行い、処方箋を見ながら体温・脈拍・血圧・SpO2・心電図等の確認と心音・肺音・腸音の聴取が可能で、それらの正誤も知ることができる。フィジカルアセスメントがバーチャル体験できるeラーニング教材である。
B-17 |
看護教育における学習支援のためのICT活用試案 |
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科目間の繋がりの可視化と、学内ICTシステムを活用した学習支援システムの構築を目的とし、本学ICT活用試案に取り組んだ。結果、学生の自主的なアクセスが増えつつある。今後は、学内組織との協議・連携のもと、他分野との連携強化や能動的学修・反転授業など、各科目の特性を生かした効果的な学修形態の検討や導入なども必要である。
医療施設を有していないため、近郊の医療機関と「教育協定」を締結し、医・看護学生と本学薬学生がグループとなって多職連携教育を実践している。昨年、Web教材を作成・導入した結果、学生がこれまでに習得した知識・技能の整理・確認に繋がり、多職種への理解を深めることができた。
B-19 |
インストラクショナル・デザインを用いたフィジカルアセスメントWeb教材の開発 |
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看護技術の習得としてバイタルサインを理解するため、病棟実習前にバイタルサイン測定における看護師の思考過程をイメージできるよう、教材開発を行った。Moodle閲覧履歴の集計と学修者へのアンケート調査で教育効果について検討してく必要がある。
C-1 |
学生が納得し、教員も満足のいく成績評価の手法の開発 |
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課題や問題を解決し易い場を提供できるe-Learningシステムとして、Linuxの仮想マシンを用いて学生一人ひとりの仮想ホストを作成し、学修と発表の場となるようにした。これをもう一つの別の仮想マシンに複製することで、学生の学修活動を自在に評価できるようにした。
C-2 |
スマートフォン/タブレットPC向け学修支援アプリの開発と展開 |
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学修支援アプリは休講情報やバス時刻表などよく利用される情報へのアクセスが簡便にでき、他の情報へのアクセスもアイコンを用いて分かりやすいように画面設計されている。アプリのダウンロード数の推移から、このアプリが学生にとって必要不可欠であると推測できる。
学生の履修継続は教育的にも経営的にも非常に重要な問題であり、フルオンライン大学であるため、学生の履修継続のために様々な学生情報を利用した取り組みを行っている。制度的にも追試験・再試験の実施や一斉開講スケジュールの導入により、単位修得率の改善に繋がっている。
C-4 |
ユビキタス学修支援組織の創設 〜ICT教室から全空間の学習支援へ〜 |
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入学生全員が一人1台のタブレット端末(iPad)を携帯する教育学修体制に移行し、ユビキタス学修支援組織を開設して、学生参画支援ラボの設置や反転授業の導入など、教育の幅を広げている。
C-5 |
アクティブラーニングのための学習空間の構築と整備 |
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2013年度よりPBL(プロジェクト学習)科目の新設とともに、多くの科目にアクティブラーニング的な要素を加味させる改革を行い、これに伴って教室設備を整備した。取り組みにより、利用者の利便性を増すだけでなく、教育効果を高め、学生の意識をも変化させてきている。
C-6 |
アクティブ・ラーニング用パイロット教室の導入と教育効果 |
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「自ら考える力」を育成することを目的として、2013年度に次世代のアクティブ・ラーニング用のパイロット教室を2教室整備し、通常教室と比較して授業に集中できている。
C-7 |
フィールドプラクティスによる産学連携と実践的教育の取り組み |
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デザイン工学部の設置とともに授業科目「フィールドプラクティス」を新設した。現場に出て社会活動に触れる体験型の教育を行うため、企業と連携した講座の企画、実施、改善を図ってきた。 フィールドプラクティス講座の学生評価は授業アンケートで確認し、建設的な意見が多数得られた。
電子書籍は知の結晶を情報技術で作成するため、文系の知と理系の知を融合して活用できる人材を養成するという目的に合致している。学生主導で電子書籍を編集するという授業の枠組みを超えたプロジェクト学修(PBL)を実施した。達成感は得られたものの主導できるまでに至らなかった。
C-9 |
学生によるカレッジ・アイデンティティの形成:学科横断的な映像制と連携モデルのデザイン |
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大学組織における学生のアイデンティティ形成には、学生自身の主体的で能動的なコミュニケーション行為が必要であると考え、非正課外教育として大学の広報映像制作を行う学内プロジェクトを開始した。グループ・ウェア上での協調活動を通して学修空間やスタイルの模索を行った。
C-10 |
ICTを活用した地域 〜大学連携事業〜経営コミュニケーション学の実践〜 |
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工業大学に設置された文系学部において、学年混合・学生主体の東日本大震災被災地復興のためのプロジェクトを実践している。大学の学びを実践し、良い社会をデザインする思考力、分析力、企画力、実行力、プレゼンテーション能力を育成する機会を提供している。
C-11 |
授業支援システムを活用したアクティブラーニングの授業開発について |
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遠隔地キャンパスにおいて、メインキャンパスにあるFDを担うセンターと連携し、アクティブラーニングによるプロジェクト授業を実施し、教材や授業方法を開発した。授業を担当した教員は、学生が主体的に活動することに驚き、他の授業にも応用できるとの感触を抱いていた。
C-12 |
100人規模クラスでのクリエイティブデザインプロジェクトの取組み |
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専門知識を横に連動させ、課題発見から創造的な議論と実践を進め、ゴールへと到達する力を養成すべくGoogleハングアウトやアンケート機能を活用した15週の専門講義を経営学部2〜4年生(100名)に対し行った。学生たちの主体的に学ぶ姿勢や教える喜びが実感された。
C-13 |
予習・復習に重点をおいた初級プログラミングの授業実践 〜より有効な反転授業を目指す〜 |
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情報科学科2年次対象の必修科目「プログラミング初級(2コマ連続、半期)」において、講義動画を用いた反転授業を実施した。その結果、90%以上の学生が予習復習に取り組み、また、その取組具合と試験の得点に強い正の相関が見出され、教育効果が高いことが明らかになった。
C-14 |
「教えない」をベースにしたプログラミング授業とICT活用のバランスに関する試み |
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教員が丁寧に教えることをせずに、単元の目的や目標を明示し、導入から学修ゴールという図式を繰り返す教授学修法をプログラミング授業の中で実践した。その結果、教員に対する評価は下がるものの、従来に比べ大幅な成績の伸びが認められた。
C-15 |
留学生教育におけるブレンディッドラーニングの実践 〜文法教育の反転授業の試みと課題〜 |
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留学生(日本語)教育に反転授業を導入し、実践した。予習実施率の高い学修者は低い学修者に比べ、到達度テストの成績が良好であったが、学修者全員が予習動画を見ているわけではなく、そのために授業時間内で取り組むべき内容が十分行うことができなかった。
C-16 |
ICTを利用した事前学習環境の構築とその試行について |
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PCリテラシーの授業において、YouTubede公開されている公開コンテンツや新聞社が提供するクラウド型教育コンテンツを活用した事前学習を導入した。その結果、学習効果や受講生の肯定的反応が確認できた。MOOCの活用や学習充足度の尺度や検証方法の確立が今後の課題である。
C-17 |
ICTツールを活用した反転授業の運用と効果 〜会計学・財務諸表分析初学科目において〜 |
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国際学部国際学科において簿記会計教育の中で反転授業を実践したが、当該反転授業の効果を認めることはできなかった。学生の予備知識が不足している一方、予習コンテンツがそれに対応できていないこと、また学生の反応を見て授業を進められなかったことが原因であると思われる。
C-18 |
医学教育国際認証と反転授業による社会医学授業改革 |
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医学教育の国際化に対応すべく質・量を落とさず時間を授業時間を圧縮するための反転授業に取り組んだ。コンテンツはマイクロレクチャーとしてYouTubeに公開され好評価を受けており授業時間短縮に目処をつけることができた。
D-1 |
自動車整備士養成課程におけるICTを活用した国家試験対策システムの導入について |
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自動車整備士養成において個別指導が必要であるが、多大の労力を必要とする。学生の模擬試験の成績が自動的に記録されるe-Learningシステムの導入によって、習熟度に応じた指導が可能となった。成果として、学生の自動車整備士試験合格率は全国平均を上回っている。
D-2 |
課題提出システムを利用した教養教育と教養試験対策 |
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短大の教養教育の充実、公務員試験の対策として、e-Learningシステムを導入した。授業外学修を習慣化するために、学生に作問作業を課した。聴く姿勢の変化、テキストを読み返す作業、討論による学び、学生へのレスポンスの迅速化等々、望ましい変化が得られている。
D-3 |
タブレットPCを用いた新しいe-Learning |
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学生の学修効率を上げ、教員の負担軽減に資するようなタブレットPCを用いたe-Learningシステムの構築を目指す。学修成果並びに学修過程の行動・履歴が自動的に記録され、これを利用できれば、教育学修効果を挙げることが期待されるが、いまだ試行段階の域を出ない。
D-4 |
ネットワーク配信授業を活用したB-Learning |
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教室授業学修と授業のネットワーク配信授業をブレンドするB-Learningシステムを開設し、積上げ式講義において成果を挙げてきた。ネット受講の成果確認のため「ネット受講報告」の提出を義務付けている。受講学生からは評価も高いが、教育効果の分析が必要である。
D-5 |
オンデマンド式と対面式を融合させたブレンド型授業の評価と課題 |
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1単位6回の講義についてLMSを利用し、オンデマンド授業と対面授業のブレンド学修を実施している。視聴、資料参照回数、コメント書込み回数、対面授業参加により成績が決まる。ただしドロップアウト率が通信制の場合に対して高いことが一つの課題である。
D-6 |
コーセラのピアレビュー法を取り入れたタブレット端末によるプレゼンテーションスキルの養成 |
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プレゼン・スキルの養成において、Couseraで採用されているピアレビュー法を活用し、また各チームのプレゼン評価をクラウドサービスを用いた。評価項目の重み付け、原稿に頼らない発表力の養成、プレゼン機会の増加が今後の課題である。
D-7 |
教育現場での実践的スキルを取り入れたコンピュータリテラシー教育に関する一考察 |
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大学初年次の情報教育科目においてWord、Excel、PPTの基本操作、画像処理、ホームページ作成を、教職現場に即して実践的に行った。学生の授業への意欲的な取り組みと教職へ意識の向上には一定の効果が見られた。討論等による深い学びの機会の提供することが課題である。
D-8 |
情報活用力の修得を目的とした科目「ICT応用」におけるICTの活用事例とその効果 |
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ICT応用科目において、入学時に配布した携帯端末、LMSやポートフォリオシステムを用いて、自学自習、授業理解度の掌握と促進、さらにはグループワークの支援を行ってきた。学修効果の掌握による指導が可能となり、また学生の能動的な学修を生みだすことにおいて、成果が見られた。
D-9 |
全学的な情報処理技能向上を志向した必修・選択科目の連携 |
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情報リテラシー教育において、情報活用に対する意識の変化また基本的な情報処理に関する基礎技術の向上について検証した。授業期間内の情報活用の意識は、タイピング・スキル、情報に関する基礎的知識との関わりが深いことが推察される。
D-10 |
暗号処理を題材とした表計算ソフトの関数学習 |
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人文科学系の学生の2年生ゼミにおいて,操作に慣れた表計算ソフトによって、プログラミングは行わずに,関数による処理だけで、例題レベルの問題ではなく,かつ学生が興味を持ちやすい換字式暗号の解読演習を行った。今後はRSAを題材に,問題分析能力を身に付けさせる方法を探っていくことが課題である。
D-11 |
基礎教養教育科目「情報リテラシー」の再構築に向けて 〜授業開発・改善の試み〜 |
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現状ではなかなか進まない教育の質保証を、「情報リテラシー」等の基礎教養教育科目において実現するため、関連する科目の学修課題を工夫し,連携することで、学生が身に付けるべき知識や技能の水準を維持する試みを実践している。効果の検証、連携方法の精緻化等が今後の課題である。
D-12 |
タブレット端末のリテラシー教育と授業連携 |
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1年生からiPadを用いたコンピュータリテラシー教育を行った3年間の成果を、iPadの使い方、Office教育、iPadらしい使い方の3点にまとめた。手書きアプリを用いた授業ノートの作成や、アプリによる自己PRビデオの作成は、大きな効果があった。ビデオは毎年蓄積し、就職活動に活かす予定である。
D-13 |
大学初年次の著作権教育において「違法事例」が果たす役割 |
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「コピペ問題」を踏まえて、問題発生前後の学生アンケート等により、大学での著作権教育の反省と課題を認識した。著作権者側の権利理解と例外措置理解だけでは学生教育として不十分である。各国の著作権教育の比較等により、一般化・普遍化することが今後の課題の一つである。
D-14 |
医学部学生を対象とした情報活用技術の獲得支援講義 |
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選択講義「医学情報学」では、学生個々人に専用で各種情報端末を使用させている。iPad miniは医学情報へのアクセスを容易にし、実習用電子カルテ端末は医学を学ぶモチベーションを高め、Facebookは情報倫理・セキュリティ意識の涵養に繋がっている。これらの成果から、必修講義への盛り込みを含め,履修人数の拡大策が課題である。
D-15 |
ICTスキルの可視化と対策 〜初年次から卒業までのスキルアップ計画〜 |
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文系学生が初年次に習得しておくべきICTスキルをチェックリストにまとめ、スキル向上に成功した。今回、教員から特に要望の多い項目、学生があまり身に付いていないと思われる項目を精査して、3〜4年次向けチェックリストを作成し試験実施を行う。スキルチェックはWebアンケート形式のため回答率を確保する対策が必要である。
D-16 |
情報リテラシー教育を基礎とした化学を理解するためのビジュアルプログラミング教育 |
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化学の真の知識を理解すため、幅広い基礎知識と思考能力を身に付ける方法としてプログラミング教育がある。情報リテラシーを習得した学生に対して、無償で自習できるVisual Basicによるプログラミング教育を試みている。
D-17 |
集合型教育におけるコンピュータ・プログラミング言語教育を支援するシステムの提案 |
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プログラミング言語の集合型教育を支援するため、一定時間当りのDeleteキーやBackspaceキーの使用頻度をリアルタイムに調べ、指導が必要な学生を自動的に発見するシステムを開発・実装し効果を測定した。移動しながら指導できるようなタブレット端末への実装等が今後の課題である。
D-18 |
LMSを活用したチームティーチングによる初年次プログラミング教育の実践 |
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初年次のプログラミング教育では、能力別クラス編成でも学修の進捗に差が生じる。主体的な学びを支えるために、複数の教員とTAがLMSを利用して個々の学生の課題進捗管理、学生の声などを集約し、チームティーチングによる個別授業を行っている。今後は,課題の取り組みをポートフォリオ化する必要がある。
E-1 |
My Bookshelf web/SNSを通じた大学生と書籍との関係づくり |
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書籍の電子化・ネットワーク化は、知識と世界とを共時的に捉える見方を強いる傾向がある。一方、学修は自身と知識との関係を、成長、発展、回顧など時間性において捉える行為である。電子メディア化と人間性を考える視点から、教育手法開発に取り組んだ。
E-2 |
SNSを使用したディスカッションボードの構築 〜「教えない」英語教育を目指して〜 |
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学修者としての自立をはかるための「学びの場」の構築として、SNSに学修者が意見を出し合う場を設け、模倣学修などを通して互いの発言が学修に影響し合うこと体験させ、教師に教えられなくても学べることに気づかせることに取り組んでいる。
E-3 |
SNSとタッチタイピングを組み合わせた学習意欲向上の試み |
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学生の学習意欲向上のために、SNSを組み合わせたタイピング反復練習を、本学人文情報学科の任意の1クラスで2013年度に実験的に行った。その結果、適切な目標が設定された反復練習とSNSによる記録の可視化は、学習意欲向上に効果的であることが判明した。
E-4 |
Moodleを利用した出席管理システムの開発と運用 |
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学生の授業への出席状況を全学的に迅速に把握し、学生指導に役立てるため、Moodleの出欠モジュールの機能をカスタマイズして利用することを計画し、実行した。一覧性、リアルタイム性に優れた仕組みを構築でき、学生指導に役立てることができた。
E-5 |
Moodleを活用したタイピング練習とその影響に関する調査研究 |
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タイピング練習の実態とその成果、タイピング実績と影響の可能性があるテスト等について調査し、コンピュータリテラシー指導の一つとして示唆できるものがないか検討した。タイピング能力はデータ投入の役割のみならず、様々なことと関連していることが見えてきた。
E-6 |
学習支援システムを使用した短大講義科目における教育改善の試み |
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LMSを活用して短大講義科目の授業を教育改善した。基本的なアカデミック・スキル未習得の学生に対し、ポイント毎に区分けされた講義内容に連動した復習テストをLMSで毎週回答させて知識の整理と確認をさせたところ、統計的に有意な学習効果が得られた。
E-7 |
学習管理システム(LMS)の利用範囲と学内展開 〜学習・授業支援と危機管理対策〜 |
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2011年に導入したLMSの現状を把握した。学習・授業支援用として利用が増加し、アクティブ・ラーニングへの活用など新たな展開が始まってきた。危機管理対策支援用としても、実際の安否確認に活用されるなど、LMSは本学の教育系基盤システムとして浸透した。
E-8 |
Moodleのdata抽象化による作業の効率化 |
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LMSの一種であるMoodleにおいて、コース内容がより有機的となるよう、その基盤ライブラリーとなるbackupfile-yaml相互変換と大学で実装したい構造を検討し、構築した。
E-9 |
日本の大学が一刻も早くムードル採用にむけて動き出さなければならない10の理由 |
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Moodle日本ではまだ本格的な活用には至っていない。近い将来eラーニングとブレンド型学修が主流になることは明白であり、大学教育においてMoodleのような効果的手法を可及的速やかに採用し、教育の質を高めていくことが必要である。
E-10 |
大教室での知識移転型授業の支援 〜新たな授業モデルによるクラウド型授業ツールの構築〜 |
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授業そのものを、教師と履修学生の両者による文書の共同作成作業と捉える作業モデルを提起し、授業時にその支援を行うツールを開発した。さらに、クラウド型ストレージによるファイル共有サービスを利用することで、授業外での学修を支援することも意図した。
E-11 |
授業を活性化する携帯端末向け短文投稿システムの開発と活用 |
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SNSのような短文投稿システムを開発し、講義中にサブプロジェクタに投影することで、リアルタイムな反応を教師と受講者が共有することを可能にした。IDとして学籍番号を入力するのでユーザ登録が不要であり、画面上は匿名だが教師は発言者の特定が可能である。またクリッカーの機能も実装している。
E-12 |
スマートフォン・タブレットを活用した学生発言の促進で実現する授業改善 |
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オンラインクリッカーサービスを利用し、双方向授業が成績向上につながるか検討した。結果として、発言回数の多寡と成績の相関は認められなかった。クリッカーに対する不満・改善要求を発言した群を授業に対する満足群と不満群に分けると、満足群の成績が有意に高いことがわかった。
E-13 |
学習支援システムを利用した知識共有型授業の運営方法 〜学びの場の構築〜 |
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スマートフォンからの書き込みに連動させたWebを使ったコミュニケーション、課題図書を用いたレポート作成、学生からの成績に対する質問・回答システム、の三つの取組みについて授業改善を行った。授業アンケート結果から、予習・復習に費やす時間が大学平均より多いなどの効果が見られた。
E-14 |
複数教員によるオムニバス形式講義での参加型授業支援ツールを用いた取り組みの報告 |
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講義経験のない講師を含めた複数教員による授業で「質の差」を少なくするための双方向授業を行った。リモコン型レスポンスアナライザを学生に配布し、講師の質問に答えさせる。その場で集計してグラフを表示したり、授業最後の感想文と合わせて分析し、次の授業へフィードバックすることが可能である。
E-15 |
バックグラウンド稼働クリッカーの開発と実践活用 |
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学生個人のスマートフォン等を利用し、講義中に学生から教員に向けて情報を伝えることができるプッシュ型クリッカーを開発した。学生は講義中にいつでもボタンやテキストでフィードバックを送ることができ、設定した閾値以上の数の情報が集まるとプッシュ型通知によって教員に伝達される。
E-16 |
次世代型学生証を使った多人数一斉グループ学習 |
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電子棚札(ESL)を学生証として使用すると種々のメッセージを表示することができるので、それを利用した授業支援システムを開発中である。多人数でグループ学習を行う授業では、学生の入室と同時にESLに所属グループを送信し、スムーズにグループに分かれて着席することができる。
E-17 |
創造理工学実験における教育ネットワークシステムの構築 |
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複数の実験室、実験講義室、指導室と分散して授業を実施するための教育ネットワークシステムを構築した。これには出欠やレポート情報などをデータベース化する学修管理支援、e-learning教材などを提供する学修支援、TV会議や緊急時の状況把握などを行う授業運営支援の機能がある。
E-18 |
低コスト指向な大規模無線LAN環境の構築と運用 〜接続端末数5万台超へ向けて〜 |
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学生のスマートフォンやノートPCによるBYOD環境を実現するため、在籍学生全員が接続できる無線LAN環境を設計・導入した。スケーラビリティや耐障害性の観点から自律分散型のシステムを選択し、8,000台強の端末接続を実測した際にも特に問題なく稼働している。