賛助会員だより
研究や教育の質を向上させるべく、継続的に情報環境の整備に取り組んでいる学校法人中央大学では、学内全域からネットワークにアクセス可能な無線LAN環境を2007年に整備しています。しかし、タブレットやスマートフォンなど学生が持ち込むモバイルデバイスの数が増える中で、授業内でのデバイス活用を通じたIT教育も視野に入れた、新たな時代に適した無線LAN環境の刷新を計画。そこで全学的なネットワークインフラの刷新を2013年に実施しています。
多摩キャンパス(総合政策学部棟)
中央大学では、2007年に公共スペースで学生の自習活動を支援するべく、学内全域でネットワークアクセスを可能にする無線LAN環境を導入していますが、スマートフォンやタブレットなどネットワークにアクセス可能なデバイスが急増したことを受け、新たな時代に適した無線LAN環境のあるべき姿が全学的な委員会の中で議論されるようになりました。
以前の環境では、先生が授業の中で教材表示用に使用することが中心的な用途であり、授業に参加する大勢の学生が同時にアクセスするような使い方は想定されていなかったと言います。実は、その当時はiPhone発売前後の黎明期だったこともあり、ネットワークに接続できるデバイスを学生が持ち込む機会は少なかったのです。しかし現在では、一人が複数のデバイスを持ち込むといったことも十分想定されており、今の時代にマッチした環境作りが急務に。そこで、全学的な委員会の中でITインフラの将来像について議論が進む過程で“パソコンのないパソコン教室”というキーワードが浮上します。これまでIT学習と言えば、学生がパソコン教室に集まってコンピュータについて学ぶ手法が一般的でしたが、これからはIT分野でない授業の中でもITを活用していくことが日常的な風景となるのは間違いありません。たとえ教室でなくても、学内どこにいてもIT活用できる環境がこれからの教育には欠かせないとの考えでした。
ただし、既存の無線LAN環境では数多くのデバイスが快適に接続できるような環境でなかったこともあり、これからの時代に適した無線LAN環境に刷新していくプロジェクトが動き出すことになりました。
新たな無線LAN環境の整備にあたって求められたのは、たくさんのデバイスが同時に接続しても快適なレスポンスと安定した運用管理が可能な環境でした。実際には、一つの教室で100名が同時にアクセスしたとしても、ストレスなくWebアクセスできる環境を目指しました。具体的には、同時アクセスが発生しても一人あたり1Mbpsの帯域は確保できる環境です。1MbpsあればYouTubeをはじめとした動画コンテンツでもストレスなく授業でも使えると考えたと言います。
また、数多くのアクセスポイントをストレスなく集中管理できる仕組みをはじめ、最新の無線LAN規格に対応した製品であること、複数のキャンパスや付属高校、学生寮といった飛び地の環境にも同じインフラとして拡張していけることなどが要件として掲げられました。最終的には仮想コントローラを内蔵したアクセスポイント(以下、AP)を採用することでコストを抑えることに成功し、掲げた要件を満たした新たな無線LAN環境に刷新することができました。
現在は、多摩キャンパスを中心に、後楽園キャンパスや市ヶ谷キャンパスに最新の802.11ac対応も含む、合計300台前後のAPが設置されており、ネットワーク管理ツールによって遠隔地であっても無線環境の可視化が可能な状況です。物理的なコントローラは導入せず、APによる仮想コントローラ機能で集中管理を行っており、多いところでは、一つの仮想コントローラで、最大62台のAPが管理されています。実際には、各教室をはじめ学内の様々な場所にAPが設置されており、100名を超える規模の教室には3台から4台のAPが設置され、中には外付けの指向性アンテナを取り付けている教室もあるほど。ネットワークへアクセスする際には統合認証基盤を利用しており、LDAPサーバの情報を元にRADIUSサーバが認証を行う構成が採用されています。また、教育研究機関での無線LANの相互利用を可能にする“eduroam JP”にも一部参加している状況です。
また、すべての学生がアクセスできる環境以外にも、特定の学会や学部ごとに閉じた環境で利用できるようにするなど、一つのAP上に複数のSSIDが設定されており、それぞれが交わらないようVLANを分けて管理しています。
多摩ITセンターが主導的な役割で新たな無線LAN環境を整備した今回のプロジェクトですが、以前に比べて無線LANの利用率は大きく向上していると評判です。快適なネットワーク環境を整備したことで、授業の中でITを活用することはもちろん、授業内容を録画して学生の主体的な学修に役立てるといったアクティブラーニングの領域でも、無線LAN環境が情報へのアクセス手段の一つとして積極的に使われています。最近では、学内の静かな場所から無線LANを経由して企業の面接をオンラインで受けるといった、就職活動の手段の一つとしても活用されていると言います。他にも、キーボードの使い勝手から母国の端末を持ち込んでネットワークアクセスを希望する留学生もいるようです。ご担当者からは次のようなコメントをいただいています。
「導入後にiPadを使って速度調査を行いましたが、100台で利用しても十分なレスポンスが確保できています」。
「今回は新たに導入した運用管理基盤のおかげで無線状況の可視化が可能となり、運用管理の質が大幅に向上しています」。
今後については、キャンパス全域を無線LANエリアにしていくために、APのさらなる増設が計画されています。それに伴って、物理的なコントローラを活用してよりきめ細かく制御していけるようにしていく予定です。特に多摩キャンパスについては、広大な敷地を誇っており、屋外での無線LAN環境の整備も今後進めていく予定です。
他にも、ユーザや端末毎に細かなポリシー設定をし、運用負荷をかけずにゲストアクセスやBYODの管理も実現できる統合認証基盤(ClearPass)の整備や、オープンキャンパスの来場者に、Beaconを使った位置情報をもとに大学の魅力を発信できる仕組みなども今後は検討したいと語っていただきました。
多摩キャンパス(青年坂と1号館)
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