事業活動報告 No.2
アクティブ・ラーニングを実現するための様々な教育方法、学修環境を整理・研究する中で、ICTの活用を含めた効果的な取り組みの促進を目指す。
学生の主体性を引き出し・伸ばす学修の重要性の認識する。
一方向的な授業とは異なり、学生の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学修法を認識する。問題発見学修、問題解決学修、体験学修、調査学修等が含まれるが、グループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等、有効なアクティブ・ラーニングの方法・環境について探求する。
昨年度の分野個別の対話集会ではアクティブ・ラーニングのイメージを掴むことに主眼がおかれ、授業方法や有効性の確認、問題点や今後の課題をイメージする程度にとどまり、アクティブ・ラーニングを効果的に進めるための工夫・改善について十分な意見交換ができなかったことを踏まえ、本年度は、アクティブ・ラーニングの手法とそれを実現していくための授業運営の工夫及び組織的に推進していくための教学マネジメントの工夫について考察することを目指す。
1.国際関係学教育分野
開催日時 平成27年9月10日(木)14:00〜16:00
開催場所 日本大学(通信教育部市ヶ谷キャンパス)
参加者31名話題提供
「初年次教育における学生の自主・主体性を育む工夫」
佐渡友 哲氏(日本大学 法学部)「国際関係学教育における対話・体験型授業(政策ディベート、ケース・メソッド、サービス・ラーニング)」
毛利 勝彦氏(国際基督教大学 教養学部)
意見交換
反転学修を用いた事前学修では、フリーライダーをなくすため、学修内容のレジュメを提出させることや事前学修していないと答えられない質問を行うなどの工夫で、「事前学修をやらないと駄目だ」と自覚させることが有効なことを確認した。
大人数授業でも適切なグループ編成とグループ内での進行・書記・発表等の役割分担ができればアクティブ・ラーニングは可能である。全ての授業をアクティブ・ラーニング化する必要はなく、15回の内5〜6回のアクティブ・ラーニングでも効果は大きい。
学生の学力やモチベーションに格差がある場合は、できるだけ高い学生にレベルを合わせる中で、低い学生をクラス全体で引き上げるサポートを心がける工夫が必要である。
アクティブ・ラーニングの評価は定性化、定量化できない部分があるが、事前評価、実施中の観察・評価、事後の達成度・卒後評価などを総合的に組み合わせる視点が重要である。
2.工学分野連携グループ
開催日時 平成27年12月20日(日)13:30〜16:30
開催場所 法政大学(市ヶ谷田町校舎)
参加者53名話題提供
「1年生授業科目「PBL」によるアクティブ・ラーニングの実践と課題」
藤田 晴啓氏(新潟国際情報大学情報文化学部)
佐々木桐子氏(新潟国際情報大学情報文化学部)「複数領域を横断した問題発見力と解決力を目指した取組みと学修成果の測定」
長谷川浩志氏(芝浦工業大学システム理工学部)「アクティブ・ラーニングの全学的な展開を目指した取組み」
高原 健爾氏(福岡工業大学工学部)
意見交換
<アクティブ・ラーニングに関するテーマ>
アクティブ・ラーニングを全てPBLで行わねばならないと誤解されている。座学とPBLを組み合わせて15回を設計することが重要ではないか。座学中心の授業でも教員からの問いかけなど双方向性を入れることで知識の定着が期待できる。
1年生で行うPBLは専門知識がないので知識の定着・活用は難しい。むしろ学修プロセスの理解としてジェネリックスキルをPBLで身につけさせるのであれば効果があるが、それを実現できるような指導方法を身につけた教員は少ないので難しいのではないか。
4年間のカリキュラムで知識の定着・活用ができるようにすることでよいのではないか。4年目は知識・技能を組み合わせて応用力・創造力を身につけることができるようになればよい。
チーム学修で留意すべき点としては、学生同士で教え合う仕組みをつくることが効果的であり、教えることができる学生には意見を引き出すよう期待している。また、教えられる学生にはチームの雰囲気づくりなどの役割を与えるなど教え合い・学び合いを繰り返すことが大事ではないか。
複数教員で担当する授業をルーブリックで評価する場合は、教員間で具体的に評価レベルをすり合わせて教員によって評価の差が出ないような基準づくりが必要で、ルーブリックの設計と適用に課題がある。
<教学マネジメントに関するテーマ>
教員の主体性が重要で、意識の高い教員が核となって進めることを大学が協力する仕組みづくりが必要ではないか。
教員同士で学び合う姿勢、学部学科の教育方針を教員相互で理解し合う姿勢が必要で、その教育方針に沿って授業内容を決めていくことが必要ではないか。
学生の力を引き出し、社会で活躍できる力を育成する必要がある。人材育成は日本全体の共通課題であり、日本チームとして将来を担う学生を大学と社会が連携していくことが求められる。
3.心理学・教育学グループ
開催日時 平成27年12月23日(水)14:00〜17:00
開催場所 上智大学(四谷キャンパス)
参加者53名話題提供
「社会との双方向型授業で汎用的能力と専門能力を結びつける体験型学修の提案」
藤山 直樹氏(上智大学総合人間科学部)「汎用的能力と専門的能力の獲得に向けた教育プログラムの提案」
舟生 日出男氏(創価大学教育学部)
意見交換
<アクティブ・ラーニングに関するテーマ>
15回に亘る授業全体のデザインを考えた上で、到達目標、使用教材、時間配分をシラバスで周知し、学修の進捗状況をモニタリングしながら進めることが大切なことを確認した。
学生の負担を増加させないためには、講義と事前・事後学修時間の明確化、反転学修の導入、短期集中型の教育スタイルに転換することなど、カリキュラムデザイン全体で考えることの重要性が確認された。
知識の定着を図るためには、教えることに主眼をおくよりも、学生同士の発表の中で、自分が調べたことを発表させることが強く心に残り、重要であることが確認された。
アクティブ・ラーニングの評価としてルーブリックが考えられるが、ミニテスト、認知面、行動面、技術面の評価の視点と基準を教員間で文書化・共有し、評価基準を一致させる工夫が必要である。
<教学マネジメントに関するテーマ>
教養科目を全学部に提供するなどの取組みは始まっているが、教養教育と専門教育の連携は進んでおらず、教員間の連携も今後の課題であることが確認された。
上級生が下級生を学生目線で助言するファシリテータは、下級生の学びに効果的であり、上級生自身にも学びの振り返りができる点で有効であることが確認された。
4.社会福祉学・社会学・統計学グループ
開催日時 平成27年12月24日(木)13:30〜16:30
開催場所 実践女子大学 (渋谷キャンパス)
参加者35名話題提供
「産学連携による「学生参加型」初年次教育の効果と課題」
松下 慶太氏(実践女子大学人間社会学部)
深澤 晶久氏(実践女子大学教育研究センター)「知識を組み合わせて問題発見・解決に取り組む分野横断型教育の提案」
渡辺 美智子氏(慶應義塾大学大学院)「アクティブ・ラーニングの体系化と教員の教育力養成、学修プロセス・成果の可視化を目指した改革戦略(映像による話題提供)」
稲葉 興己氏(玉川大学教学部部長)
意見交換
<アクティブ・ラーニングに関するテーマ>
初年次教育のPBLで「実際に企業の課題」を考えさせる。その失敗を経験させ、経験を通じて授業の重要性を理解し、学ぶ態度を身に付けるアクティブ・ラーニングが必要であることが確認された。
社会福祉系では実習をアクティブ・ラーニングとして位置づけたいが、現場で学びがどのように活用さされているのか、現場で人への対応が適切に行われたか等の効果測定が難しく、今後の課題であることが確認された。
PBLでは教員が過度に介入せず突き放し、失敗や修羅場を体験させることが重要である。その上で自分たちで考えさせるリフレクションの時間を十分に設定し、学生達に解決の道筋を探させることが大切である。
<教学マネジメントに関するテーマ>
アクティブ・ラーニングを組織的に推進してくためには、徹底的に科目数を見直すことが課題である。何を教え、何を主体的に学修させるかを教学全体で話し合い改善に取り組むことが必要である。
国家試験対策が最大の関心事となっているが、国家試験に偏らない学位プログラムの編成、学生の主体性を確保する教育プログラムの重要性が確認された。
5.経済学・経営学・数学グループ
開催日時 平成27年12月26日(土)15:00〜18:00
開催場所 法政大学(富士見坂校舎)
参加者71名話題提供
「質保証のために分野が連携した授業改善の提案」
碓井 健寛氏(創価大学経済学部)「地域社会と連携したPBL型授業の取り組みと課題」
青木 茂樹氏(駒沢大学経営学部)「社会科学系の経済・経営と数学が連携する授業について」
井川 信子氏(流通経済大学法学部)
意見交換
<アクティブ・ラーニングに関するテーマ>
数量的スキルの不足が専門教育の段階で指摘されている。数学と専門の担当教員が連携していないことから、初年次教育の中で両分野が連携して数学の価値や必要性を理解させる工夫と必要性が確認された。
社会の現場と連携したPBLは、専門教育で獲得した知識の活用には効果的であるが、多面的に知識を組み合わせる知識の創造を行うには関連分野の科目を連携した発想型のアクティブ・ラーニングを考える必要があるのではないか。
<教学マネジメントに関するテーマ>
授業科目を学位プログラム中心に転換することは難しいが、避けて通れない課題として認識されていることが確認された。
教養教育と専門教育の統合は必要性を認めつつも進んでいない。一つの方法として問題意識を持つ教員同士で講義やゼミで連携する工夫から始めることが必要ではないか。大学としてこのような取り組みを様々な方法で支援することが望まれる。
ファシリテータの意義について「学生が学生を育てる」ファシリテータマインドの取組みが必要である。ファシリテータを確保する方法として前年度の受講者から選抜することや大学としてファシリテータを指導・養成していく仕組みが必要であることが確認された。
6.物理学・化学・生物学グループ
開催日時 平成27年12月27日(日)14:00〜17:00
開催場所 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
参加者58名話題提供
「アクティブ・ラーニング形式による初年次教育の効果と課題」
西村 靖史氏(別府大学文学部)「知識の定着、活用を目指したアクティブ・ラーニングの提案」
及川 義道氏(東海大学工学部)「上級学年生による教え合い・学び合い学修の導入と効果・課題」
寺田 貢氏(福岡大学理学部)
意見交換
<アクティブ・ラーニングに関するテーマ>
知識の定着に向けたアクティブ・ラーニングの工夫として、学修したことを自分の言葉で説明し、どのように考え、どのように理解したのかをグループで説明・発表させることで学生相互に気づきをもたらす効果がある。
成績上位者が中位者に教え、中位者が下位者に教える方法をシステム化することで、上位者・中位者それぞれが振り返りを行うことを通じてクラス全体の成績が向上している。
アクティブ・ラーニングの評価は試験、レポート、ルーブリックなどで多元的に行うことが望ましい。ルーブリックの導入には評価の基準を教員間で話し合い表現を工夫すること、学生の意見もとり入れて考えるなど、評価の方法を工夫していく必要性が確認された。
<教学マネジメントに関するテーマ>
専門教育の段階で初めて教養科目の重要性に気づく学生が多い。専門と教養の教員が連携する一つの方法として、専門の教員が統計など教養力を活用する応用例を示し、どのような場面で統計的な知識が必要になるかを理解させることで効果をあげている。
授業にファシリテータを導入する責任は、担当教員が最終責任を負っていることが確認された。また、ファシリテータの養成に大学として講習を行い、学内で雇用して学生支援を行わせる取組みなどがある。
7.体育学教育
開催日時 平成28年1月24日(日)14:00〜16:00
開催場所 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
参加者40名話題提供
「スポーツを通じた国際協力・社会貢献力を育む教育について」
岡田 千あき氏(大阪大学大学院人間科学研究科)「国際協力におけるスポーツを通した教育について」
木村 寿一氏(国際武道大学国際スポーツ文化学科)
意見交換
国際協力・社会貢献力を育むため、スポーツを通じた参加型・体験型の授業を途上国で行うことは効果的であるが、安全面、費用面での課題がある。これらのリスクを軽減する方法として、国際協力を提携している大学、地域貢献を実施している大学、途上国支援などを行っている大学と、体験情報の共有、現地対策など得意な分野を活かした連携が非常に重要であることが確認された。
地域社会や幼・小・中学校の体育祭などに参加し、スポーツプログラムの企画・立案や実践支援を体験させることは実践的な課題に取り組む力の向上に効果があることが確認された。
体験授業の一つの工夫として、国内外のフィールドワークに参加させ、スポーツを通じた支援・協力、社会貢献を経験させるアクティブ・ラーニングが考えられる。
主体性を引き出すには、できるだけ指示をしないことが必要であるが、最初は教員主導で始めて恥をかくなどの失敗を体験させ、その後に成功体験を持たせることが学生の主体性を引き出すことにつながる。
フィールドワークの評価は、何をもって学修成果が達成されたかを判断する基準づくりが難しいことが確認された。一つの方法として、実施中に学生ノートを教員がチェックし、学びの成果報告書の提出とプレゼンを点数化して総合的に評価することなどが紹介された。
8.政治学・国際関係学グループ
開催日時 平成28年3月5日(土)14:00〜17:00
開催場所 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
参加者36名話題提供
「科目連携、分野横断型テームティーチングの提案」
名取 良太氏(関西大学総合情報学部)「ファシリテータを制度化し活用する取組み(初年次教育をファシリテートする効果と課題)」
御厨 まり子氏(明星大学明星教育センター)「社会の多様性・異文化を体験し知識の創造を目指すサービス・ラーニングの実践」
西尾 隆氏(国際基督教大学 サービスラーニング・センター長)
意見交換
<アクティブ・ラーニングに関するテーマ>
初年次のアクティブ・ラーニングを全学共通で実施することは、価値観の異なる学生と触れ合うことを通じて学生が自分自身の価値観を自覚する効果がある。
初年次教育でのアクティブ・ラーニングを通じて高校までの知識注入型教育から、「自ら学び、課題を設定し解決策を創造する」学修に転換させることの必要性が認識された。
知識・技能・態度の確認・定着を目指したアクティブ・ラーニングは、多人数の授業でも可能である。例えば、150人のクラスでも10人単位のグループ編成とファシリテータを導入するなど工夫次第で可能であることが確認された。
<教学マネジメントに関するテーマ>
アクティブ・ラーニングを全学的に学部横断で実施していくには、学長の強いリーダシップと全学部の教員・事務職員のFD・SDを通じた連携・協力が不可欠であることが認識された。
アクティブ・ラーニングを効果的に進めるためにはファシリテータの活用が不可欠であり、大学としてSAやTAを養成すること、学内での雇用制度などの整備が不可欠であることが認識された。
9.栄養学・薬学・看護学グループ
開催日時 平成28年3月13日(日)13:30〜16:30
開催場所 帝京平成大学(中野キャンパス)
参加者51名話題提供
「地域企業との連携で地域活性化に取組む共同授業の提案」
古澤 和行氏(愛知学院大学経営学部)
酒井 映子氏(愛知学院大学心身科学部)「医療系学部連携チームによる地域参加型学習の取り組み」
早野 順一郎氏(名古屋市立大学医学部)「知識の創造を目指した多分野連携によるフォーラム型授業の提案」
片岡 竜太氏(昭和大学歯学部)
意見交換
<アクティブ・ラーニングに関するテーマ>
地域参加型学修の課題として、何らかの方法で基礎的な知識・技能が身についていることを大学として確認した上で行うことの必要性が確認された。
アクティブ・ラーニングにおいて、グループでのピア評価は、フリーライダーを防ぎ、モチベーションを高める効果がある反面、評価することに緊張感をもたらすなど学生の不満があり、効果的な評価が難しいことが認識された。その上で、ピア評価を適切に行う方法として、評価の意義や役割について基本的なルールをあらかじめ学ばせる必要性が確認された。
<教学マネジメントに関するテーマ>
地域社会のニーズを発見し課題解決型学修を進めていくには、初年次教育の段階で分野を超えた体験学修を展開していくことの重要性が認識された。学部間・分野間で連携教育を進めて行くには、大学としてのカリキュラム調整・合意作りに向けた取り組みが課題であることが確認された。
初年次教育の段階で他分野の学生と共に学ばせることは、職種が異なることにより健康や医療の捉え方が多様になることから、学生相互に大きな刺激をもたらせる。専門課程になると、PBL学修などを通じて「診断・治療中心の視点」、「患者中心の視点」の違いを自覚するようになるが、その視点の違いを早い段階で自覚させて多面的に課題探究できる能力を身に付けさせる必要があることから、教員が垣根を越えて連携できるよう、大学を超えた学修環境を構築していく必要性が課題として認識された。
10.被服学・美術デザイングループ
開催日時 平成28年3月20日(日)13:00〜16:00
開催場所 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
参加者28名話題提供
「大学間・地域連携ワークショップの運営による学生参加型授業」
宮田 義郎氏(中京大学工学部)「知識の統合を目指した学生主体の「アートキャンプ」によるアクティブ・ラーニングの提案」
有馬 十三郎氏(東京家政大学家政学部)
田中 千賀子氏(東京家政大学家政学部)「学生が企画・運営するPBL型演習授業「ファッションショー」の提案」
石原 久代氏(名古屋学芸大学 メディア造形学部)
鈴木 良麻氏(名古屋学芸大学 メディア造形学部3年生)
意見交換
<アクティブ・ラーニング>
地域社会や企業との連携したアクティブ・ラーニングは、社会の繋がりを実感をもって体験させることで学修意欲を向上させ、知識の定着と応用力に結びつくことが確認された。
体験型授業による学修成果の通用性を確認する仕組みとして、学修成果を地域社会に提案し、駄目出しなど外部評価を受けることで振り返りに効果があることが確認された。その際、企業や社会との連携にりモチベーション向上の日油溶性に気づかせる工夫が重要であることが認識された。
被服、美術・デザイン等の実技科目の評価では、ルーブリック評価、ピア評価などに加えて、外部に発表した評価や外部からの質問・コメント等の総合的な評価が重要であることが認識された。
<教学マネジメント>
産業界や社会・地域と連携した体験型授業を実施するには、連携先との調整が教員の負担となることから大学が組織的な体制を構築して支援する必要性が確認された。
11.英語教育・コミュニケーション関係学グループ
開催日時 平成28年3月21日(月)14:00〜17:00
開催場所 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
参加者47名話題提供
「汎用的英語能力と専門的技能の統合に向けた連携授業の試み」
山本 英一氏(関西大学外国語学部)
安室 喜弘氏(関西大学環境都市工学部)
岡本 清美氏(北九州市立大学基盤教育センター)「大学や社会で求められるコミュニケーション力を高めていくアクティブ・ラーニング」
當山 明華氏(長崎大学 教育イノベーションセンター)「今、社会で起こっていることを授業と結びつけるアクティブ・ラーニングの試み」
杉原 麻美氏(淑徳大学 人文学部)
意見交換
<アクティブ・ラーニングに関するテーマ>
地域や社会と連携した体験型のアクティブ・ラーニングでは、事前学修で学びの視点を持たせ、その視点と体験をマッチングさせることで獲得した知識の活用を自己点検・評価させることが効果的であることが確認された。
個々の教員が事前・事後学修を徹底するアクティブ・ラーニングが増え、学生に大きな負荷がかかっている。事前・事後学修の量とバランスを学部全体で考えることの必要性が認識された。
評価の基準をどこに置くべきかが課題となっている。学内での評価に加えて企業などの評価を含めて客観性を高め、可視化できるようにすることが望まれる。評価のタイミングは、15週の始め、中間、最終に分けて3回程度行うことが必要であり、評価コメントを適宜フィードバックすることのなどの重要性が確認された。
<教学マネジメントに関するテーマ>
英語教育を専門教育に繋げるには1・2年次の汎用的英語教育と専門教育の連続性が必要になるが、取り組みは一部の教員個々の連携に留まり、大学・学部全体の取組みに至っていないことが確認された。
英語と専門の連携授業の取組が進まない要因として、教員自身の危機意識が不足していることがあげられ、学生のために教員はどのような役割を果たすべきかという基本認識をFDを通じて理解の共有を促していく必要性が認識された。
効果的にアクティブ・ラーニングを進めていくにはファシリテータが不可欠である。授業を体験した上級学年生がファシリテータになることで、学びの振り返りや深化が期待できる。大学としてファシリテータを育成・雇用する仕組みを制度化する必要性が認識された。