賛助会員だより

清水建設株式会社

地域交流の拠点として社会に発信する
コミュニケーションキャンパスを実現
〜学校法人新潟科学技術学園 新潟薬科大学 事例紹介〜

■はじめに

 新潟薬科大学は、35年以上にわたり「くすりと健康」のスペシャリストを育ててきた『薬学部』と、「食品・バイオ・環境」分野に関する最先端の教育・研究を行う『応用生命科学部』の2学部を擁す、生命科学系総合大学です。
 2015年4月には、「農」と「食」および「環境」の「ものづくり」を総合的に支援し、マネジメントできるプロデューサーとして「企画・開発・経営」に携わる人材育成を目的に、『応用生命科学部』に『生命産業創造学科』を新設しました。
 学科新設に伴い2016年に竣工した新津駅東キャンパスでは、「農業を中心として生命産業に精通し、国際感覚を身につけた、産業創造力に長けた人材を育成し、地域活性化を図りたい」という大学のコンセプトを元に、ゼネコンでありシステムインテグレータでもある当社が、建築×ICTを一体とした計画・施工により、お応えした事例をご紹介します。

■APPホールでの情報発信

 開科のコンセプトや大学の姿勢を表現するため、市街地側の壁面は全面ガラスカーテンウォールとし、1階のオープンスペースは『APPホール(※)』と名付けられました。(※応用:Applied)
 この『APPホール』では、学生や大学が様々な情報発信やイベントを行ない、地域の方々に気軽に来ていただき、大学×地域の交流が生まれる、まさにキャンパスを象徴する場所として、提案させていただきました。
 越後杉をふんだんに利用した『APPホール』奥には自立式の映像投影可能な壁面を設置しています。その他、情報発信やイベント開催に必要なAV設備(プロジェクタ、スピーカー、ワイヤレスマイク、ワイヤレスアンテナ、AVワゴン)は、一般的に建築工事後に取り付けられますが、今回は建築と一体となってデザイン性・メンテナンス性・機能性・安全性を考慮した計画をしました。具体的には、以下のようなポイントです。

1)デザイン性

建物の顔となるスペースであるため天吊のプロジェクタやAVワゴンなどのICT設備は目立たないようにする。空間デザインを損なわないように色にも配慮する。

2)メンテナンス性

プロジェクタのランプ交換などのメンテナンスが容易にかつ安全に行なえるような設置位置にする。

3)機能性

開放的な明るい空間でも、投影映像がきちんと見えるような機種選定および設置位置とする。

4)安全性

各種機器が脱落や転落するようなことのないよう安全面に配慮する。

APPホール

■事前検証で不安解消

 プロジェクタは、全面ガラスのオープンスペースにて投影するため、16,000lm又は20,000lmを想定し、設置位置は2階共用廊下吹抜天井内に隠蔽設置する計画としました。このとき、プロジェクタの設置角度はメーカーが推奨する台形補正可能な最大設置角度である33度となりました。

計画図

 このような角度33度での設置の可否やプロジェクタの輝度は大学の関係者の皆様でも容易に決定することはできません。このため、既存校舎の吹抜けオープンスペースで、実際に架台を組み実機を用いて事前検証を行うこととしました。

事前検証(傾斜角度測定の様子)
事前検証(仮設架台設置の様子)
事前検証(見え掛かり検証の様子)

 この事前検証の結果、16,000lmを採用し、33度の傾斜設置をしても台形補正に問題ないことや細かな表や小さな文字も見られる十分な明るさが確保されることをご確認いただき、安心して導入の決定をして頂きました。

■建築×ICTのメリット

 更に今回導入した高性能のプロジェクタの場合、重量があり、ファン音も比較的大きいため、建築計画と調整を取り、落下防止などの配慮をしながら天井内にしっかり隠蔽設置する必要があります。
 このようにICT機器設置も建築工事期間中に計画・設置することで、固定のための下地や保守のための点検口の設置も可能となります。また天井内での照明や空調機器との取り合いや排気、配線・配管ルートの事前調整・確保が出来るため、使い勝手がよく、仕上がりも綺麗でメンテナンス性も高く、低コストでのシステム構築が可能となりました。

2階天井内プロジェクタ設置
プロジェクタと自立式の映像投影可能な壁面

■おわりに

 今回、一連の構築において新潟薬科大学の皆様には計画段階から大変なご協力を頂きました。紙面を借りて御礼申し上げます。

問い合せ先
清水建設株式会社
エンジニアリング事業本部
情報ソリューション事業部
システムインテグレーション部
教育施設担当
TEL:03-3561-4322
E-mail:it.solution@shimz.co.jp
(アドレスは全角文字で表示しています)

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