事業活動報告 No.4
平成29年度 教育改革ICT戦略大会 開催報告
本大会は、「学びの質向上を加速する取り組みとICT活用」をテーマに、以下の開催趣旨に基づき実施した。
「大学改革実行プラン」の最終年度を迎え、教育の質的転換に向けた改革行動が急がれている。他方、政府では、平成30年度から5年間の教育政策の基本方針と目指すべき主な取り組みについて、「第3期教育振興基本計画」の基本的な考え方の審議経過を公表した。その中で予想される社会の変化、国際的な教育政策の動向を踏まえ、大学教育については三つの方針に基づく教学マネジメントのPDCAサイクル強化の取り組みを進め、教育の質向上を図り、学生の問題発見・解決能力を育成していくことが重要とし、学生が主体的に学修するアクティブ・ラーニングヘの展開など、教育の質向上の観点からICTの利活用を積極的に推進する必要があるとしている。三つの方針策定の一体化が法律で義務化されたことを受けて、入学から卒業までの教育施策及び教育活動の実質化が要請される中で、成果の検証・改善を通じた教育の質保証への取り組みが課題となっている。そこで本大会では、学びの質向上を加速する取り組みを振り返る中で有効性及び課題を整理し、効果的に進めるためのICTの活用方策等改善に向けた今後の方向性を探求することにした。
1日目の「全体会」では、向殿政男会長(明治大学)の開会挨拶の後、平成30年度以降の高等教育政策の動向、教育の質保証に向けたアセスメント改革と評価の観点・尺度の開発、プレ・ディプロマサプリメントを活用した学修過程・成果の可視化についてICT活用の取り組みを情報共有した上で、教育改革で学生の何が変わったかを点検するシンポジウムを行った。また、学修指導を学生一人ひとりに支援する仕組みみとして人工知能を用いた教育システムの開発と、学力の3要素を深化・発展させる大学教育改革の課題とICT活用の将来像について理解の共有を図った。
2日目の「テーマ別意見交流」では、ICTを活用した学びの質向上を加速する方策や情報教育の改善を探求するため、テーマ別に四つの分科会に分かれて意見交流した。
一つは、「アクティブ・ラーニングにICTとモバイルを活用した取り組み」をテーマとして、学生の学修がモバイル中心となっていることに鑑み、モバイルを活用した授業改善の理解を深めることにした。
二つは、「学修成果可視化に向けたIRの取り組みと課題」をテーマとして、エンロールマネジメントの観点から学生の成長を可視化するIRの手法と取り組み体制及び普及推進の課題認識の共有を図った。
三つは、「学修ポートフォリオシステム活用・構築のガイドラインと大学での活用状況と課題」をテーマとして、学修ポートフォリオが学生、教員、職員に十分理解されていない状況を打開するため、本協会で研究した成果をガイドラインとしてとりまとめた内容を紹介するとともに、一部の大学での活用事例を紹介した。
四つは、「価値の創出を目指した問題発見・解決思考の情報リテラシー教育モデル」をテーマとして、問題発見・解決思考を目指した情報リテラシー教育の改善案について理解の共有を進めるため、初年次教育における分野共通の情報リテラシー教育の授業方略、教材のイメージを紹介するとともに、文系、理系、医療系、栄養系、被服系の専門教育と連携した授業モデルを紹介し、授業実践への可能性を意見交流した。また、分科会終了後には、参加者のコミュニケーションの場として情報交流会を行った。
3日目は、ICT活用による教育改善の取り組み事例や構想、授業環境の改善について81件による発表を五会場で展開するとともに、2日目と3日目にかけて大学・賛助会員共同によるICT導入・活用を紹介するポスターセッションを実施した。
第1日目(9月5日)
全体会
【第3期教育基本計画策定の審議状況】
高等教育政策の動向
筑波大学大学研究センター特命教授 金子 元久 氏
第3期教育振興基本計画には、高等教育の言及が少ないため、高等教育の動きや政策の状況について述べる。
未来投資会議が設置され、給付型奨学金、教育無償化論、働き方改革、人づくり革命等の高等教育に関わる問題について議論している。その一方で文部科学省の中教審では、将来構想部会や制度・教育改革ワーキンググループにおいて、新しい議論が行われている。
最大の問題は、新しい時代に応じた高等教育の質についてである。今、高等教育に対して社会全体が不満・不信を持っているが、一貫性のある政治目標になっていない。
日本は1990年代以降、変革への圧力があるが、その焦点が明確ではない。AI(人工知能)は非常に重要ではあるが、高等教育全体への影響、例えばAIに必要な人材の能力や規模はわからない。産業構造や就業構造が変化し、多くの職業の需要が減る可能性がある。将来を明確に見通せなく、社会は多様化と流動化している中で、大学は何が長期的な焦点かを見極める必要がある。それには大学全体の視点、個別の大学人の視点が必要である。
日本の大学は大きな転換点に立っている。就学率について、約30年周期で1つのサイクルがある。最初の大衆化である1960年〜75年までは、高等教育が急速に拡大した後、これがいったん抑制され、90年代からは第2の拡大期に入り、18歳人口が減少する中で四年制大学の就学率が上がった。現在は5〜8年、就学率が停滞している。18歳人口は、これまで少し横ばいであったが、これから少し下がる。この新しい第3期への対応が現在問われている。
第3期には、三つの問題がある。一つはこれまでの発展で蓄積された問題や矛盾(例えば、学生の学修の質)、二つは新しい社会への対応、三つは新しい21世紀型高等教育の構築である。
蓄積された問題としては、大学教育の密度の低さや学生の学修時間が少ないこと、大学教育と職業とが乖離していること、大学組織が硬直化していることである。また、社会的な需要の変化と産業・職業構造の流動化・多様化という社会環境の変化に、大学はどのように対応していくのか、加えて教育需要と公的負担の能力のギャップという問題もある。
専門職大学の議論の過程で、産業団体から大学は職業を重視すべきというが、どの様な人材が必要なのか、専門職大学の卒業生を本当に雇用するのかと問うと、必ずしも答えが明確ではない。大学の問題はこの様な矛盾の中にあり、それにどう応えるかであり、そのための戦略、考え方が必要である。
大学に対する不満は非常に高い。これに対して、政治はポピュリスト型の政策にならざるを得ない。これに対して、文部科学省や審議会は蓄積された問題を対応しようとしているが、政治的関係性の中で将来の方針が立ちにくい状況にある。基本的な本筋は、質的強化に向けた構造改革であると思う。
一つは、組織改革又は学位プログラム化、教育の目的とその方法等を明確にすることである。学生が何を必要としているかという側に立つ組織形態を作ることが重要である。
二つは、それに対応した質的保証が必要である。認証評価制度を具体的に実質化することが課題である。さらに、学生の学修状況等の教育・学修課程の可視化が必要である。特に重要なのは、大学が教育資源をどの様に教育に投入しているかであり、驚くほど実は把握されていない。
三つは、社会人の大学教育への参加である。教育振興計画の一つのテーマとなっているが、具体策が出てこなかったので、これからどのような具体策を出すかが問題になる。
四つは、大学のガバナンスである。特に大学教育の質保証に関して、大学教育職員の働き方や評価が話題になってくる。それに関って大学統廃合の促進も大きな課題になる。
重要なのは、重層的能力の形成が必要で、大学教育と学生の一生を結びつける媒介は、学術的な知識や職業知識ではなく、様々なコンピテンス、自己認識で、自分をどう考えるかということが基本的な問題なのではないか。
教育方法について、参加型教育(アクティブ・ラーニング)は自己目的化する傾向にあるが、実はそうではない。社会の方は、実際の職業に接することが非常に大きな意味があると考えている。そういう意味で、国際化と実際の職業との接触は、教育方法を考える上で重要である。また、大学組織の見直しも柔軟化も非常に重要な点である。
最後に、政策、社会の変化など、見通しが非常につきにくい。個々の大学が状態に合わせて、何を選択するかが問われる時代であり、行っていることをどのようにフィードバックするのかが重要である。
情報が重要なのは、自分の立場を把握し、自分がしていることをよく知ることができるからである。しかし、情報それ自体に注目しすぎると肥大化し、これに多くの時間を使う大学も多い。重要なのは、情報の使い方についての方向性を持つことである。近年、ビックデータの蓄積法やビックデータの分析方法などがあるが、前提や一定の仮定がなければ有効に使えない。大学教育の拡充は一つの基本線であるが、多様性、流動性に情報をいかに使うかが肝要である。情報を鵜呑みにするのではなく、それをどの様なコンテキストで使うのかについての目的意識が必要になる。
【質疑応答】
[質問] |
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大学の教育という側面とは別に、大学である以上、研究者が教育をするという視点から、何かつけ加えることはないか |
[回答] |
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国際的にみても、日本では大学教員の研究志向が非常に強い。研究と教育との相対的な位置をもう一回考える必要がある。大学の種別を分けるのは難しいが相対的に何を重点とし、機関として少なくとも何を保証するのかを明示せざるを得ない。私立大学も国立大学も勤務時間はほぼ同じで、研究・教育のバランスもほぼ同じである。アメリカでは、大学によって大きな差がある。常勤より非常勤講師が多い状況や私立大学の人件費を考える時、これは大きな問題になると考えている。 |
【教育の質保証に向けたアセスメント改革と実践的な取り組み】
産業界と協働した評価の観点・尺度の開発とICT活用
関西国際大学理事長・学長 濱名 篤 氏
ディプロマポリシーでは、5つのコンピテンスと専門的知識・技能の活用を到達目標に掲げている。この到達目標に対するルーブリック(KUIS学修ベンチマーク)がある。最初の5つの力は、半年に一度、学生の自己評価をベースに、アドバイザーと対話し、チューニングをしながら点検評価を行う。専門知識、技能については、2年修了段階で到達確認試験、3年修了段階で4年になるための成績の基準と取得単位数の下限があり、最終的には卒業研究で点検評価する。2年の到達確認試験は、既習の専門必修科目を出題範囲としているが徹底していない。再試験で3年終了までに6回受けた学生もあり、専門基礎知識の定着を目指している。
中教審のワーキンググループで提供する話題の一つが、ディプロマポリシーの評価体制である。評価の位相は概ね3層構造であり、大学全体、学部学科レベル、学生個人の評価があり、卒業研究、到達確認試験、KUIS学修ベンチマーク、卒業要件の4つで構造化したアセスメントを実施している。
評価の仕組みとして、知識の獲得は、GPAと到達確認試験で確認を行い、自らの知識の修得度を自己管理させる。汎用的能力の獲得は、KUIS学修ベンチマークで自己評価し、その根拠・理由を記述し、それを基に教員が面談を行い、他者評価を交えた評価を蓄積する。この時、学生の自己評価が甘い場合は評価を下げ、厳しすぎる場合には評価を上げる。全体で10〜20%をチューニングする。その際、ルーブリックを活用することで、何ができて、何がこれからの課題かを自己説明できることが必要である。
日本の大学教育の大きな問題点は、週に授業が10科目以上ある。教員は担当授業以外の授業を学生がどのように履修しているか、大半は把握していない。つまり、横の連携が全くない教育を学生が受けさせられている。また学生がどの様に評価されているか、何が課題なのか教えていない。これでは社会から信頼されないと思う。
様々なスキルを中心としたコモンルーブリックを使うと、ライティングの何が重要な観点か、何が強みで弱みなのかを学生がある程度把握できる。学生自身の自己評価能力が高くなると、何が課題かも分かる。学期末に学年ごとにリフレクション・デイを設けている。成績表とレポートや試験の答案もPDF化して返却し、自分の何が評価されて良い成績なのか、何が課題なのかを理解させる。
ルーブリック評価の課題は、手間がかかること、ルーブリックを作成すると安心してしまうが、作成するだけでは評価のバラつきは修正できない。継続的に評価者間で誤差を調整し続けることが必要。どちらかの評価に合わせるのではなく、評価の観点の相違を認め合わなければ(カリブレーションブ)ルーブリックを使った評価を厳格化できない。
インターンシップにおけるルーブリック活用について、企業と協同で取り組んでいる。産業構成の職業構造が変わっていくとマイケル・オズボーンの予想があたれば49%の日本人は将来失業する。大学としても産業界の人と評価に対するチューニングが必要である。
そこで、本学では産業界と協働したインターンシップの開発と実施による評価のあり方を改善するための事業をAP型インターンシップと呼び、次のように定義づけている。一つはルーブリックを使用して評価すること、二つは評価基準を伝えて企業が評価すること、三つは評価のチューニングを行うことである。
企業が掲げた問題に対して、学生目線を活用する問題解決型のインターンシップを行う。当初、ルーブリックは事業所ごとに作成せず、外部評価者の助言からKUIS学修ベンチマークの幾つかの項目を使った。2017年度には、インターシップルーブリックとしてカスタマイズした。これには社会人基礎力の前に踏み出す力、チームで働く力を加えた。
教員がインターシップに参加した学生に関われるように、リフレクションカレッジというシステムを開発し、毎日の学生報告を教員が指導する。インターンシップ報告会等でカリブレーションする。学生と企業が個別に評価しても駄目である。何故4なのか、何故2なのかを互いに説明し、それを聞いて評価を修正するのがカリブレーションである。このような産業界との協同により、評価する人、評価される人という関係が変わる。
その結果、早期内定者にはAP型インターンシップの経験者が多い。PROGをみると、リテラシーはインターンシップ経験の有無によって綺麗に分かれない。コンピテンシーは実践力などの項目で上がっており、一定の学修効果に繋がっている。
本取り組みは経営学科から始め、人間心理学科、教育学部にも拡げる。今年度中に、教員の負担軽減策として、キャリアチューターというサポート体制を充実する。今後は、既存のプログラムを強化し、リーダーシップトレーニングを行った学生にサポータとして参画させる。さらにインターンシップの実施から評価までの流れを再考し、事前学修、インターンシップ、事後学修、報告会だけでは不十分なので、再度、リフレクションの機会を与えて、体験による学びの定着を狙いレポートを課すことにしている。
昨年度から4年間の学修計画表であるラーニングルートマップを作らせている。これは、最終出口を考えて、就職活動の時期、インターンシップの時期等をナビゲーションできるマップを学生に作成させるプロジェクトである。AP事業の最終年度には、「就職に強い関西国際大学」を事業目的に掲げている。
これからの人材育成の課題は、課題解決力、実務解決力が言われている。今、各大学の就職率は高く、選ばなければ仕事がある。今後を考えると、高い専門性が必要とされる職業、人間にしかできない職務内容を除いて、構造的な転職が不可避である。卓越大学院を出た高度専門職なのか、それとも次の状況に適応できる汎用的な基礎力を身に付けた人材なのか、あるいは、両方なのか。
関西国際大学は、将来困らないように汎用的能力を身に着けさせる。その必要条件として、日本の大学が求められるのは教育力の可視化である。3つのポリシーが義務化されたが、学修成果の可視化が不十分である。多元的・重層的な評価を行い、どの程度、成果が上がれば十分なのかを考える必要がある。
そのような中で、AP事業でKUIS学修ベンチマークのチューニングや修正を行っている。企業からは、知的好奇心は別に必要ないと言われる。大学人から見るとこれは疑問である。この部分をチューニングする必要がある。
専門知識の活用能力の測定について、到達確認試験を答えが一つでない問題にする。新しい共通テストの思考問題の素材が駐車場の契約書である。貸借契約書は、どこの国語の教科書にも掲載がない。つまり学習指導要領が何々できるという方向に変わった。英語も同様である。初中等教育が変り、あと数年でその教育を受けた学生が入ってくる。
新しい教育を受け、その様なテストで測れる学生が入学してきた時に、どの様な形で知識の活用能力を図り、学修成果を把握するのか。到達目標が達成できたかどうかをアセスメントし、カリキュラムポリシーの検証と、それを受けての改善を今以上に行う必要がある。
【質疑応答】
[質問] |
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インターンシップの事前学修と事後学修について |
[回答] |
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事前準備も事後のレポートに至るまでが一貫した流れである。事後学修の場合は、その後履修する科目との繋ぎまでを行う。 |
[質問] |
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ラーニングルートマップを書かせる時期と書かせる時の説明の内容について |
[回答] |
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ラーニングルートマップは、1年生の後期の末までに行う。当初は、後期の初年次教育科目の中で行っていたが、3つのポリシーを公表する段階で、評価と実践という科目を作り行っている。本学は、全データを入学前も含め一元管理しており、評価と実践に関わる様々な情報を提供して評価させている。評価とは何か、社会はどの様に人を評価しているか等も教える。 |
[質問] |
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体験レポートは学びの定着に非常に有効と思われる。体験レポートに書かせる内容については |
[回答] |
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AP型インターンシップ自体は、PBLをグループワークで行い、プレゼンテーションを我々の前で行う。それに対してコメントし、課題を指摘する。それを踏まえてもう一度考えさせ、体験した気づき、コメント、課題への回答についてレポートさせる。 |
[質問] |
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失敗を恐れる、挑戦しない学生について、企業から問題意識、あるいは大学への要求があるのか |
[回答] |
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産業界といっても、中小が多いので、概ね温かく見守って頂ける。プチ失敗は歓迎と言っている。うまくいった、いかないよりも、失敗することが一番である。 |
[質問] |
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失敗を経験させる教育の機会について |
[回答] |
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面倒見のよい大学が良いかは悩ましい。どこかで気づかせ、自己評価能力を高めたい。社会に出て、評価に対する免疫性がないのは困る。 |
【卒業時における質保証の取り組み強化を目指した試み】
プレ・ディプロマサプリメントを活用した学修過程・成果の可視化とICT活用
東京都市大学副学長・大学戦略室長 湯本 雅恵 氏
学生が自ら作った大学なので、建学の精神を活かして教育改革を行うことを基本構想としている。
ディプロマサプリメントは、ヨーロッパで活用されている成績を裏付ける制度である。
日本の場合、大学の成績自体を企業が重く見ていないので、成績表と重複するような情報であったら意味がない。そこで、学生の伸び代を感じられる成績表にしようと議論を始めた。3年次の時までの成績を伝えてないと意味がないので、3年次が終わった段階で、このディプロマサプリメントに該当するような成績表を発行する。また、2年次、1年次が終わった段階でプレ・ディプロマサプリメントを発行し、それを活用して学生が自らPDCAを回すプランである。
最終的な学修目標の設定は、まず、入学時点でキャリアガイダンスの中で、キャリアポートフォリオの一部として、将来の方向性について目標設定をさせ、科目を選択させる。eポートフォリオに学生の活動内容、成績等が蓄積される。意欲のある学生は、ボランティア等の活動や、グローバルを意識して1年次から英語の資格試験にチャレンジしようとする。そのような学生をeポートフォリオとして、全て記録に残すことができるシステムにし、毎学年終わったところで、プレ・ディプロマサプリメントを発行し、最終的にディプロマサプリメントを発行する設計にした。
サプリメントの構成は、リテラシー、コンピテンシー、語学力、基礎学修力、専門学修力、専門実践力の6つの評価軸でレーダーチャート化している。リテラシー基礎力、コンピテンシー基礎力については、PROGを毎学年受けさせて記録に残す。語学力は、TOEIC等の業者テストを記録する。基礎学修力、専門学修力はGPAを基本的に使う。成績の付け方の平準化を図るため、FDを2年間行っている。専門実践力は、実習、実験、事例研究、卒業研究をルーブリック評価している。文系の学部も卒業研究は必修にしている。学生に対しては卒業研究の着手時に、ルーブリックの意味を伝えて、ピアレビューを行う義務があることを指導する。これを使って、自己評価、他者評価、教員評価、外部評価を行う。とかく外部の技術関係者は成果に対して評価しがちなので、取り組みのプロセスなどの評価も含めて依頼しないと成績がつかない部分もある。1年目に全体的なデータを出して見たが、厳しい成績をつける学科、伸び代を評価する学科などにGPAの点数にバラツキが見られたので、これから平準化の調整を行っていく。
ディプロマサプリメントを通じて、学生がどういうところを4年間頑張って、何ができるようになったかを伝えられるようにしたい。
専門がはじまると1年に入った時の将来設計と変わってくることもある。そういうことに対してクラス担任やアドバイザーが、学生と面談しながら、次の目標を設定し、学生がPDCAを回していけるように設計した。来年度以降は、Web上から学生自身がeポートフォリオに書き込んだものを、クラス担任がチェックしてアドバイスをメールで送れるようになる。当然ICTを大前提に設計しているが、まだ具体的な形になってきていない。今後は、カリキュラムが社会のニーズにどれだけ応えられているかを就職先の企業やOB等にアンケート調査して外部評価を行う。その結果を踏まえて、カリキュラムやコンピテンシーを修正する。
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ディプロマサプリメントアウトプットイメージ |
【質疑応答】
[質問] |
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クラス担任がどのくらいの学生を担当して、どのくらいの時間をかけてフィードバックをされているか |
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クラス担任は10人の学生を面倒見る程度。面談は各履修の時期に、短い学生は5分、10分で相談を終わるが、問題を抱えている学生は30分、あるいは1回で終わらないで何回も面談をしている。3年次までは同じ先生が学年を引き継ぎ、4年次になったところで、今度は卒業研究の指導担当者がそれを引き継いでいる。 |
[質問] |
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レーダーチャートの5つの項目の中にGPAで評価される項目が2つ入っていた。専門実践力、専門学修力については、学年が進むにつれて科目が変わる。1年生で成績悪かった、2年生でGPAは上げるようにとか、科目が変わっていくのでどのように指導されるのか |
[回答] |
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GPAと書きましたが、学生が頑張ったということが形に残せるということが見えてきたので、GPで行うことにした。 |
【シンポジウム:教育改革の成果を点検】
教育改革によって学生の何が変わったのか
- 創価大学教育・学習支援センター長
- 望月 雅光氏
- 玉川大学教学部長
- 稲葉 興己氏
- 多摩川大学経営情報学部教授
- 今泉 忠氏
- 上智大学理工学部教授
- 田村 恭久氏
現在の大学では、アクティブ・ラーニングなど様々な教育手法を導入した教育改革が盛んである。しかし、それらを導入した結果、本当に学生の学修到達度は向上したのだろうか。本シンポジウムでは、4名の先生に登壇いただき、現状の問題点や解決策を紹介いただいた。
創価大学の望月氏からは、現状では、講義形式の授業は多い方がいい、授業で指導を受ける方がいいなど、受身になっており、「学生の生徒化」が進んでいる。大学での学びが社会で活かされているかは、4割が何等かの形で役に立っている。卒業後3年の離職率は2割程度、10数年で半数が転職している。教育改革の取り組みとしては、2014年文部科学省の大学教育再生加速プログラム(AP)に採択されことで、アクティブ・ラーニングによる学修成果の可視化を行った。評価対象の授業科目を設定し、ルーブリックを適用して3段階評価することで、4年間における変化や伸びを観察できるようにした。また、共通科目を対象としたラーニング・アウトカムの測定を試みている。ただし、担当教員に任せている部分があり、全体像が見えにくい。また、卒業生を対象としたアンケート調査を継続的に行っており、離職率などのデータが集積しつつある。
玉川大学の稲葉氏からは、現状では学修行動については、これまではコミュニケーションの活性化が最も多かったが、平成27年度からは知識獲得、能動的に学ぶ姿勢が増えている。授業中に学生同士の議論は伸びている。また、CAP制16単位としているので、本来であれば授業外学修時間が32時間とれていなければならないが、5時間程度と増えていない。教育改革の取り組みとしては、半期の履修単位数を16単位とし、授業外学修時間を確保した。また、学修支援を強化するため、専任教員の担当コマを10コマ(5科目)に設定し、それ以外の時間で学修支援を強化している。さらに、全学科の開設単位数の上限を149単位とし、教員の空き時間を確保している。全学の卒業要件に「GPA 2.00以上」を加えるとともに、学期ごとにGPAが2を下回る学生には警告を出し、警告3回で退学処分としている。最後に、2014年度にAPに採択され、アクティブ・ラーニングの推進と学修成果の可視化を実施し、知識理解のみではなく、通常の授業科目における汎用的能力、態度・志向性を含めて評価している。
多摩大学の今泉氏からは、2年ほど前に設立したアクティブ・ラーニング支援センターの成果が紹介された。2016年度には29個(参加学生792名)、2017年度には39個(同1,000名の予想)のプログラムを実施している。これに際し、学生の主体性、多様性、コミュニケーション能力、モティベーションの涵養を行っており、PROGからコンピテンシーの平均値が高くなっている。
上智大学の田村氏からは、まずアクティブ・ラーニングを評価する際のルーブリックの成熟度について問題提起があった。一般の教員はアクティブ・ラーニングに不慣れであり、ルーブリックに基づく評価自体にもトレーニングの必要がある。また、ルーブリックを用いた形成的評価を含む授業のPDCAサイクルがまだ十分確立していないという指摘があった。別の観点として、学習活動履歴の分析と収集を行う Learning Analytics が紹介された。これは学修成果だけでなく、授業中の振る舞いやコミュニケーションの内容も分析し、学習者のスキルを測定しようとする試みである。現在研究が進んでいるが、実際の授業に活用するにはまだ時間がかかる。しかし、教育の情報化により、学習者各自がタブレットやノートパソコンを使うようになると、実用化が進むと予想される。
以上のシンポジウムについて、参加者との意見交流が行われた。以下に概括する。
① アクティブ・ラーニングをはじめとする教育改革で学生がどのように変容したかについては、授業外学修時間は増えていない、学生の学修行動に大きな変化は見られないが、能動的に学ぶ姿勢、授業中に学生同士が議論する傾向が増えつつある。しかし、学生にはやらされ感があり、生徒化しており、主体的に学ぶのではなく、主体性を失わせている面もあり難しい。
② 未来に向けた取り組みとしては、学生と生徒を認識するために、初年次にルーブリックで点検させ、主体的に取り組むことを意識づけることが有効である。学生が学生目線で教え合い学び合いする仕掛けが有効である。アクティブ・ラーニングに不適応な教員には、学生にSA研修して教員の担当部分をサポートできる仕掛けが有効である。形だけのアクティブ・ラーニングは授業評価で見抜かれるので、教員自身が意味あることだと気づかせることが重要である。
【学修成果の評価・検証を進化・発展させる新たな取り組み】
人工知能を用いた自己成長支援システムとポートフォリオの一体化
金沢工業大学情報処理サービスセンター システム部長 高島 伸治 氏
本学は、宿題が多い大学でレポートや課題が頻繁に提示される。そのために英語、数学など多数の学習センターを設置して学生の成長履歴をポートフォリオとして10年以上に亘り蓄積し、修学支援を行っている。また、放課後、夏休みに学年・学科の枠を超えてチームを編成し、モノ作りや地域の課題解決に取り組むプロジェクト活動が盛んで、知識、技術力、人間形成に繋がる経験を積ませる学習機会を推進している。
修学支援システムに人工知能(AI)Watsonを導入するようにしたのは、卒業生約1万5千人のポートフォリオのデータを用いて、学生一人ひとりに合った成長支援を最適化する課題を解決するためである。一つは教員による修学指導を年2回全学生にポートフォリデータを用いて実施しており、「夢・目的」を持つ、「目標」を明確にする、「計画」を立てるといった学生の「行動」を促すアドバイスを目指している。二つは、学生7千人の内、プロジェクト活動への参加は約3千人で4千人はプロジェクト活動の存在を知らないか、参加してもすぐに辞めしまうので活動のミスマッチをなくし、学習の機会を増す支援を目指している。三つは、授業に社会人が入り、学生とコミュニケーションすることで、相互に刺激や気づきを得て世代・分野・文化を超えた共創教育研究を推進することで、修学支援の複雑化に対処していくことにしている。
開発中の自己成長支援システムのイメージは、学生が成長したいと希望する目標(例えば、「ディスカッションの仕事」、「地域連携プロジェクトへの参加」、「リーダーシップを高める」、「英語スキルの向上」)を実現するために、過去の学生ポートフォリオデータから類似した学生の学習行動を抽出し、学習計画や学習行動などの体験データを用いてアドバイスする。具体的なデモとして、「ディスカッション」、「地域連携プロジェクト」では、AIで過去の学生ポートフォリオデータから文脈に基づいた傾向分析を行うとか、「リーダーシップを高める方法」では、テキストデータから性格診断を行い、機械学習による学生の類似検索と検索結果の可視化と学生の特性を抽出してヒントを提供する。「英語スキルの向上」では、データマイニングのツールを用いて過去の学生ポートフォリオデータから英語の学習行動を抽出し、そのデータをもとに教職員が均質なアドバイスをできるようにする。また、学生との会話を自動化し、会話の流れから分析結果を提示する会話生成にも取り組んでいるが時間がかかりそう。
これまでAIのプロジェクトを日本IBMと進めてきた中で気がついたことは、AIを提供する企業側と利用する大学側とで共通のゴールを見つけ、同じ価値観でプロジェクトを進める必要があること、機械学習させるのにデータを抽出して加工しなおす手間がかかることから、必要な時に必要なだけデータが取れるよう業務システムの設計をすること、使いこなすための教職員のスキルアップ、学生の参画を積極化させて新しいデータが取れるようにすること、AIが導き出した答えを学生に提示するだけでは学生に響かないので、分かりやすく感動的にアドバイスできるような成長シナリオの作成などが必要と感じている。
2017年8月1日から8月4日の4日間、専用のブースを用意して実際に学生に使っていただいた。図の通り、画面の一番左が自分のデータ、その隣が自分のポートフォリオから性格を診断した性格分析、その隣が自分に似ている類似性の確率が高い先輩の上位3名のデータ、その下に自分に似ている先輩の上位100名を抽出表示し、先輩達の就職先、資格の取得などの情報を表示している。自分のデータは成長したい姿に合わせてパラメータを修正し検索すると、その条件に類似した先輩達のデータが表示され、希望する進路に向けた学習計画の行動に向け、参考となるアドバイスができるようにしている。
■自己成長支援システム(WEX-FC) |
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4日間で体験した学生約350名にアンケートしたところ、「自分自身が成長するための具体的なアドバイスを必要としていますか」については、88%の学生が必要としていると答え、自己成長支援システムの考え方は間違っていないという思いがある。AIが導いたアドバイスに対する満足度は、満足とやや満足合わせて43%と過半数に達していないが、今後システムを改善することで満足度をさらに上げていきたい。「自己成長支援システムを使って見てどうだったか」については、「早く使えるようになったら嬉しい」、「人工知能を経験できたのは最新技術を体験しているようで面白かった」という意見もあり、次のシステムに活かしていきたい。
今後の展開としては、教学マジメント強化に向けたポートフォリオ、レポートのAI活用、AIが「今日どういう運動をした」などと学生のリアルタイムな声の収集や情報提供に会話アプリを使えるようにすることや本学固有の辞書の整備を考えている。
最後に、データマイニング、AI技術、ポートフォリオデータの継続的蓄積は、高度な修学支援を通じた学生の成長だけではなく、大学の成長にも繋がっていく可能性が見えてきた。
【真の学力を質保証する教育改革の課題】
「学力の3要素」を深化・発展させる
大学教育改革とICT活用
独立行政法人日本学術振興会理事長 本協会副会長 安西 祐一郎 氏
18歳人口は1990年代の初めから見ると半減近くになる。そういう中で若い世代がどういう力を持っていかないといけないのか。そのために大学はどういう卒業生を出すかということで評価されるべきだと思われる。これからはITベースの社会になって行く中で、雇用も変わる、雇用の業種が変わることが言われている。どういう形でもって人生で活躍していけるかということは、大学の教育の責任だと考えられる。
今、読売教育ネットワークというネットで「2045年の学力」とは何かを連載している。米国の未来学者レイ・カーツワイルによれば、人工知能が人間を超えるのではないか、シンギュラルティと言っている年が2045年で、これを念頭に学力を論じている。
では学力とは何なのか。学力の3要素という言葉が使われるようになったのは、1990年代の終わりから2000年代にかけてであった。一つは基礎的な知識・技能、二つは思考力、判断力、表現力、三つは主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度として表現されたのが、2014年12月の中教審「高大接続改革」答申であった。
学力の3要素は学校教育法に規定されているが、その中で主体性を持って多様な人々と「協働して学ぶ」態度とは規定していない。主体的に学修に取り組む態度としている。どこが違うのか。多様な人々と一緒に学んでいく、あるいは働いていくことがこれからの社会で必定となるが、学校教育法では一人で主体的に学修するとしている。多くの人達と議論することによって創造的に考えることが肝要と思う。しかし、議論をさせられているだけでは新しいことは生まれない。本来は学生が学ぶものであって、学生がイノベーションを起こすことが一番基本にあるはずと思う。
アクティブ・ラーニングだからと言って、グループで議論させ、発表する仕方まで教え、それに参加しているかどうかで評価している限り、ほとんど何も変わらないと思う。黙ってばかりいる学生、中々ついていけない学生達を個人としてどのように自立していくかをバックアップし、個人の幸せに繋げられるかが重要と思う。一人でも多くの学生が社会に貢献できるように学力の3要素を深化・発展させる必要がある。これからの世の中を想定して、どういうスキル、知識を身に付けさせてあげればいいのか、大学が考えなければならないし、何ができるかということが問われている。
それで高大接続改革ということがはじまった。この間、入試センターが国語、数学の記述式の問題例と英語4技能の問題例を公表した。例えば、報道では試験の方法などの困難さをとりあげているが、何故「書く」と「話す」を新たに入れたのか、という本質的な議論はほとんどない。しかし、高大接続改革は現実の段階に入っており、2019年には高等学校に高校生のための基礎診断が入る。そこでは英語の4技能の基礎診断も行われ、2020年には大学入学共通テストが現在のセンター入試に変わって行われるようになる。
教育の外野席から見ると、今、社会がICTをベースに変わりつつある。第5期科学技術基本計画などが走り始めていて、世界も本当に変わりつつある。それに対応した教育をして卒業生を出してくれているのか、という焦燥感、イライラ感が世の中にある。大学側が覚悟を決めて対応していかないと、これまでのままの延長戦ではいかないと思う。その最大の理由は、子供の数が少なくなることにより、大学間の競争が非常に激しくなる。その中で残っていくには、これからの時代に向けて卒業生が活躍できるような教育ができるかどうかだ。社会の変化がどうなるかを教員自身で考えるスイッチが入れば、いろいろなことが理解できるようになると思われる。
例えば、雇用が減少している問題について、大正頃に日本の仕事の種類は約3万5千種類と言われているが、80年経った昭和の終わり、平成には1万8千種類に減っている。これは技術革新あるいは時代の流れによるものでと当然と思う。仕事が減る理由は何なのか、新しく生まれる仕事は何なのか、考えていくのが当然と思うが、そこのところで思考が止まってしまうのがおかしい。労働生産性の課題もある。日本はG7の中で2000年代の初めから最下位になっている。今、働き方改革、高齢化社会の中での経済活性化など政府で議論が始まっているが、何が大事かを理解し、構造化して明快に表現して、だから学生に対してはこういうふうにした方がいいのではないかと考えていくことが肝要ではないか。
大学の教員は研究者であるべきで、知の消費者ではなく知の生産者と定義されている。いろいろな情報を適当に集めて解説する人は評論家、研究者とは言わない。その研究者が大学にいなければならない理由は、いろいろなことをサーベイして、世界中のフロンティアの知識を伝える中で、新たな考え方を付け加える姿勢を学生に見せることができるかどうか、大学教育の場として大事なことだと思う。
とにかく受け身の教育から能動的な学びへ転換することが重要である。大学入学共通テスト(仮称)に導入される英語に何故「書く」と「話す」という問題を導入したのか。「聞く」と「読む」はある意味パッシブ、勿論アクティブに聞く、読むことは大事だが、「書く」と「話す」は主体的にならなければ書くも話もしないので本格的にアクティブである。「書く」と「話す」は、論旨明快に自分の思考内容をまとめ、相手の立場を考えて、相手に分かりやすく、論旨を明確に伝える力、いわゆる思考力、判断力、表現力が重要となる。このトレーニングは、英語だけでなく、国語、地歴公民、理科、高校の学習指導要領改訂に入ってくる数学と理科、物理、化学を一緒に教える数理探求などについても、論旨明快に自分の思考内容をまとめて、はっきり何かを伝えることに尽きる。自分で考えをまとめるのに知識・技能は必要で、論旨を明確にする思考力、判断力、表現力が必要になる。また、はっきり相手に分かりやすく、周りの情景を考えて伝えるということは、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶということがしっかり身について初めてできることになるので、学力の3要素を身に付ける教育が極めて重要である。
高校までにできていればいいが、なかなかできない。これが私立大学の教育においてかなり大きなポイントになると思う。
イギリスの世界史Grade9から12、日本の中学3年から高校3年の自習では、原因を分析する、結果を認識する、歴史の見方を勉強するために因果関係を分析することを項目に掲げて自習させている。しかし日本の場合、例えば思考力の教育はほとんど行われていない。因果関係の演繹推論、帰納推論などの推論の仕方を身につけるには、それぞれトレーニングの仕方が違う。それに適した例題、教科書、参考書が揃っている必要があるがそれがない。世界的に見れば高校までに身に付けておくべきだが、日本はそれができていないので、大学でアクティブ・ラーニングをやりなさいと言っている。
主体的な学びに標準的な方法はあるか。主体性を持つというのは本人でなければできない。授業で、主体性をもって学ぶにはどうすればよいか、6年間フューチャースキルズプロジェクト研究会で実験している。大事なことは専門の領域と関連付けて、主体的に物を考えていくことができるかどうかが大事だ。アクティブ・ラーニングの授業を専門の授業とは関係なく実施していることを超えなければならない。専門の授業を担当する教員がアクティブ・ラーニングを身につけられるような授業をやって欲しい。
ICTの活用については、意欲は出る、楽しいと思うようになるが、成績が良くなるかというと分からないという結果が今のところ出ている。主体性をもって学ぶというところだけではなく、本格的な知識を学ぶということとドッキングして身についていくのかが、問われる。それには思考力の中身に立ち入る必要があると思う。例えば、仮説検証とはどういうことか、あるいは例を出してそこから一般化する帰納推論とか、トレーニングをどうすればいいのか、私立大学情報教育協会で企業の方と研究し、創っていく必要があると思っている。ICTはこれからの時代に大事な技術になっていくので、それに対して教育の側がICTをどのくらい意識していけるのか、ということがむしろ問われている。
第2日目(9月6日)
テーマ別意見交流
分科会A:アクティブ・ラーニングにICTとモバイルを活用した取り組み
分科会Aでは、「アクティブ・ラーニングにICTとモバイルを活用した取り組み」に的を絞ってシンポジウムを開催した。
現状認識として、欧米の大学では、大学教育において、教員以外にも多くの教育スタッフがサポートを行っている。しかし、日本では、教員が1人ですべてマネージメントせざるえない状況である。その中で、世界の大学と競り合っていかなければならない。そのため、分科会Aでは、教育を補助するために「大人数授業でのICT活用、PCとモバイルを活用したグループ学修」などのテーマについて、関西大学教育推進学部の岩ア千晶氏と、専修大学の佐藤暢氏、中京大学の宮田義郎氏から話題提供をしていただいた。
「LMSを活用した大人数授業におけるアクティブ・ラーニング」
関西大学教育推進学部准教授 岩ア 千晶 氏
関西大学の教育推進部は、学生数が約3万人の全学における教育の質の向上を担うことを目的に設置された。 特に、大人数講義でLMSを導入した場合の活用方法として様々あるが、「本当にわかっているのかどうか、自立的な学修姿勢が育成されているのかどうか」を確認する必要はあるのでないかという点から話題提供が行われた。
教職課程の授業を例として、授業中におけるクリッカーを利用した学修者自身の立ち位置の確認、他の学修者の考えを理解することを目的とした授業後のフォーラムの活用、上位学年次の学部生をラーニング・アシスタントとするサポートを取り入れている、グループディスカッションでの学生の意見表出が容易となるように議題設定などを行っている。アンケートなどからは、授業中のグループワークの実践をもとにした授業時間外のLMSの会議室機能を用いたグループディスカッションを通じた活動について満足度が高いという結果が得られた。
実践例として、会計系科目において、知識修得や知識の構造化促進や知見発見のために、学生が講義を受講した後、授業に関連する問題、解答、解説を学生達が作成することで効果があった例、アカデミック・スキル育成のための動画レッスン教材作成の例が紹介された。
担当教員が、LMSを活用する場合に重要なことは、①授業目標のどの部分を先生方は達成したいと考えているかを明確にしてLMSを展開させること、②学生に、LMSでの活動をどのように評価するかも伝えること、この2点がLMSを活用する場合の重要なキーポイントではないかとの指摘がなされた。
「大人数講義形式授業におけるスマートフォンの活用」
専修大学経営学部教授 佐藤 暢 氏
大人数講義形式授業でのスマートフォンでのクリッカーの活用法について紹介された。
まず、専修大学おける学士教育課程が転換教育課程や導入教育課程、教養教育課程、専門教育課程の4つの構造、約7千科目から構成されていることについて説明があった。これらの課程において、「どのように学生自身に目的に応じて、きちんと学修してもらうかという」課題を解決するための手法として、アクティブ・ラーニングを用いているが、そのための教室として、生田キャンパスと神田キャンパスにアクティブ・ラーニングに対応できように壁が可動式でかつホワイトボードとなっている教室などを設置している。一方、学生の学修活動を反映するものとして、クリッカーのソフトとしてスマートフォンでも利用可能なrespon®アプリを導入し、平成29年度で利用科目数は240(登録教員数61名)であり、アプリの設定数は、全体で1万9,000人の学生に対して1万730人であることが報告された。
活用例として、科目「宇宙地球科学(履修登録者881名)」で知識を正しく理解させるためや、リアルタイムの議論に従来のLMSに加えて、クリッカーを活用し効果をあげていることが紹介された。
クリッカー活用の課題として、どのように授業を設計し、どのように活用するのか、LMSなどとの学修データの統合やアプリのインストールなどがあるが、学生の学修データを収集し、それを次回の授業に反映させることが容易になってきているので、活用は有効ではないかとの指摘があった。
「PCとモバイルを活用したアクティブ・ラーニング環境」
中京大学工学部教授 宮田 義郎 氏
宮田氏からは「アクティブ・ラーニングでは、学修者の能動的な学修参加が重要と言われている。特に、『能動的な参加というのは自分が関心を持っている、興味あること、目的を持った上で参加していくということ』であるのではないか」との点からいつくかの実践例を通じた紹介された。
一番目の例としてメールで送った内容が付箋紙としてWebページ上に反映され、意見の共有が可能となることが紹介された。次に、それをもとに、個人のスマートフォンで共有できるアプリも利用できることが紹介され、実践例として、実際の体験授業での写真と感想を付箋紙にし、それらを整理してまとめることで、いろいろな人の視点から考察をして理解を深めていくということが可能となった例が紹介された。二番目の例として、どういうものを、どう組み合わせるとどのようになるのかということが分かり、好奇心と挑戦心が刺激されるようにするために、パーソナルコンピュータのScratchツールを用いた、世界のいろいろな国のそれぞれの土地の面白いところや環境をお互いに共有したり紹介しあうプロジェクトでの例が紹介された。さらに、スマートフォンで記録した写真やビデオを使って、相手に伝えたいことをまとめて、Web上で共有してやりとりできる例としてVoiceThreadというツールが紹介された。Skypeでよりフェイスツーフェイスに近い感覚で会話ができるようにするために、タブレットのカメラなどを用いて、実際に自分がそこにいるような話での会話を可能とする例が紹介された。さらに、アクティブ・ラーニングで制作した成果について、評価を収集する仕組みとしてのグーグルフォームなどの活用も紹介された。
話題提供後、フロワーから活発な意見や質問があった。LMSでの活用、学生の学ばせ方への方針、LMSシステムの負荷、大学としてサポート、サポートアシスタントの活用などについて質疑が行なわれた。
表1 主なツールとモバイル・PC活用 表中略語:GF (Google Form), MC (Mobile Camera),
MM (Mobile Mail), GS (Google Spreadsheet), VT (VoiceThread), GM (Google Map), ZA(Zappar) |
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分科会B:学修成果可視化に向けたIRの取り組みと課題
「学生の成長プロセスを可視化するIR―エンロールマネジメントの観点から―」
早稲田大学大学総合研究センター助教 姉川 恭子 氏
大規模大学でIRを進めるにあたって、すべてを大学総合研究センターで行うのではなく、アメリカではIRはキャンパスごとに行われるように、各部署・部局で行う「分散型IR」という体制を目指している。部局間の横のつながり・調整・問合せに対するコンサル的な役割をセンターの機能として担っている。活動を進めるにあたって、IR担当者連絡会が欠かせない。メンバーは主に本部系の部署で、各部局のデータを把握している中堅以上の30代、40代の教職員によって構成され、月に1度程度IRの報告会を行っている。情報共有にとどまらず、もっとこうした方が良いとか、大学全体として何をしていく必要があるのかという議論を行い、エンロールメントマネジメントをどのように進めていくかという枠組みを構築している。
各部署のデータは、統合データウエアハウスに蓄積され、センターではSASを使って分析している。As-Is、GAP、To-Beと段階を踏み、現在はTo-Beの成果が出始めている。IRシステムのロードマップとしてはいくつかの事例で全学的なデータ活用にまで至っている。
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2. データとBIツール |
事例報告として、「奨学課との協働プロジェクト」において、地方からの学生獲得に奨学金は有効かどうかの調査、及び「エンロールマネジメント」に必要な情報を分類し、分析を行いアンケート調査に関わる学生の負担を軽減していることが報告された。
今後の課題と展望として、まずはIRに関する人材育成が重要でSD研修の一環として行えないか検討している。また、教育方法研究開発部門(CTLT:Center for Teaching, Learning and Technology)との連携を行う必要があることも指摘している。
「IRの活用と課題―大阪府立学の取組みを事例として―」
大阪府立大学高等教育開発センター准教授 畑野 快 氏
IRが強調される背景には、データ(エビデンス)に基づく意思決定の重要性がある。教学IRでは認証評価の第3次サイクルに向けて、PDCAサイクルに基づく内部質保証システムをどう構築するかが大きな問題となっている。内部質保証システムは、マクロレベル(制度・組織)、ミドルレベル(カリキュラム)、ミクロレベル(教授法)というように重層的な構造になっている。「どうやってチェック(C)して、それをアクション(A)につなげるかが難しい。
学生の成長のチェックを学生調査とeポートフォリオを用いて行っている。学生調査は調査用紙を用いてリッカート方式で、汎用的能力の伸び、教育・環境の満足度、自習時間等を評定している。ただ、回数が多く回数を減らすことを検討している。eポートフォリオは学生の学び、学びの履歴をいかに残していくのかということをテーマに構築されている。半期ごとに学生は自分の学修目標を立て、それから半期の授業終了後に、どの程度目標を達成したか、何を身につけたか、授業外学修時間などの学修自己評価を記入させている。教員も授業に対する振り返りを記入し、FD活動に活かされるという構造になっている。
アクションに繋げた例として2つあげる。能力の差分を見たところ、外国語運用能力にのびが少なくそれが、1年生、2年生必修の少人数制の授業(Academic English)の導入につながった。また、学域学類制入試の学生調査をIRコンソーシアム全国平均値と比較し、その結果を副学長会議に報告したところ、一部の学類では入試制度を含めてカリキュラムの改編を検討し始めている。
課題としては、具体的な教育改善活動に活かしにくいこと、eポートフォリオの記入率をより上げる方策を考えることなどをあげている。
「BIツールを活用したIR推進―上智大学におけるTableauの利活用について―」
上智大学情報システム室 兼 IR推進室 相生 芳晴 氏
教学部会と経営部会(法人系)を毎月1回開催し、様々なテーマを持ち寄って精査し、その結果を常務会、理事会または学部長等に報告をしている。BIツールTableauは関連部署に導入し、学内研修を頻繁に行い、人材育成をしている。構築したダッシュボード(分析結果のグラフ)は理事や学長、副学長が閲覧できるようにしている。
学生のダミーデータを用いて、成績分布のヒストグラム、出身校・入学区分別成績グラフ、学部・入学区分別平均GPAの箱ひげ図などを表示・絞り込みなどについて、BIツールTableauを使ったスモールデータの活用のデモを行った。エクセルでグラフを作成する場合は、範囲指定をする必要があるが、Tableauは先にデータからグラフを作っておいて、その後で絞り込み・並び替えを行うので生産性が高い。
上智大学が日本英検協会と一緒に開発しているTEAP(Test of English for Academic Purposes)利用型入試について分析した。英語4技能において、Reading+ListeningとSpeaking+Writingの相関は高くなく、入試の合否にも大きく関係していない。また、Times Higher Education大学ランキングをTableauで分析するとマスコミが話題にしない点が見えてくる。
業務システムにおけるデータベースは以前から使用してきているが、そのデータが未整理で、綺麗にしていかないと分析できないという実状がある。この作業を地道に行う必要がある。
今後の課題としては、データのガバナンス(共有・公開)とTableauを使える人材の養成があげられる。分析者の視点としては、虫の目(詳細を見る)、鳥の目(全体を俯瞰する)、魚の目(流れを見る)が必要である。
なお、話題提供後、パネルディスカッション形式で質疑応答を行った。
「継続的な対応のための組織あるいは人材育成のあり方」、「IRで課題に対する解決策まで示す必要があるのか」、「部局の壁によるデータ収集の難しさ」、「データのフレンジングについて」などについてIR担当者ならではの意見交換が行われた。
分科会C:学修ポートフォリオシステム活用・構築のガイドラインと大学での活用状況と課題
「学修ポートフォリオシステム活用・構築のガイドライン」
本協会大学情報システム研究委員会委員長 帝塚山大学文学部教授 岩井 洋 氏
本協会が参考指針として取りまとめた「学修ポートフォリオシステム活用・構築のガイドライン」が紹介された。テーマとして、「学修ポートフォリオに対する理解の促進に向けて」、「学修ポートフォリオ導入に向けた共通理解の促進策」、「学修ポートフォリオ情報の活用対策と教職員の関わり方」、「ポートフォリオシステム構築に伴う留意点」4つのポイントを挙げ、これらについての詳細な説明があった。
学修ポートフォリオの導入校は今回報告された大学に限れば数校と少なく、導入の途についたところという状況が窺えた。その意味で、今回の参考指針は大いに参考となるものである。ポートフォリオは、1年次の書き込みは多いが、その後減少するという傾向が多いという点で継続性が不十分であり、担当教員による迅速なフィードバックが課題であることが指摘された。また、ポートフォリオは学生が主体的に学修するツールであると同時に教育改善に向けたツールとなるが、活用法への理解が不足していることなどを冒頭で指摘し、それらの課題解決に向けて5つの提言を紹介された。また、ポートフォリオの最小限必要な機能を3つ挙げ、活用されている大学の実際の画面を通して例示された。提言の中では「学修のマイレージ制度導入」というプランを例示され、継続性の課題に答える面白いアイデアも紹介された。
続いて、各種ワークシートを例示し、各校の工夫が紹介された。構築に伴う留意点として、ワークシートの利用、「キャリア」や「就職」というキーワードで学生の意識を引き寄せる、モバイル対応のUI設計、シングルサインオンの導入等を提言された。結びに、教員のコメントが学生の継続性を左右すること、授業マネジメントのツールとして私情協モデルによる簡易なティーチングポートフォリオが重要であること、教員に負荷がかからないシステムの運用が必要なことを強調された。
「医療系教育のPBL活用」
昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座 歯学教育部門教授 片岡 竜太 氏
冒頭、医療系大学での状況が紹介された。国家試験では知識が問われるが、医師としての技能や態度は大学が教育で担保するとのことである。昭和大学では、チーム医療教育を6年間の一貫教育として実施されている。その手始めとして、毎年1年生は入学式直後から青木が原で全寮生活を強制しており、ここでの経験が団結力やリーダーシップ等将来必要とされる社会人基礎力が養成される。この全寮生活では学部混在のグループでPBLを実践している。
電子ポートフォリオを導入した理由として、一貫教育の必要性、自己評価と生涯学習ができる医療人の養成、キャンパス分離立地による紙媒体での共有の限界などが挙げられた。特に指導担任制度と電子ポートフォリオの組み合わせによる指導の強化と教育効果において有意義である点が紹介された。
具体的には、入学から卒業までのロードマップをオリエンテーションで提示し、医療人として将来像を考えさせるところから始まる。その後、電子ポートフォリオのナビゲーションシステムで現在の位置を把握させ、目標書き出しシートや振り返りシート、成長報告書等への書き込みにより担任と共に自己の成長を確認していくというものである。
教員のフィードバックは学生の気づきを感化させる働きがあり、この過程で重要な位置を占めている。しかし、学生へのフィードバックは教員にとって負担であり、この課題のために徹底的にFDを実施して解決を図ったことが報告された。現在は、グループ閲覧から個別閲覧へアップし、自己評価のためにルーブリックの導入やポートフォリオの評価基準を明示するという成果の見える化へ進化させている。
「自己成長記録の活用」
奈良教育大学次世代教員養成センター特任准教授 望月 紫帆 氏
奈良教育大学では、2015年より学習プロセスの蓄積と半期に一度のリフレクションウィークで振り返りを繰り返すという実施体制を導入した。現在3回生までが実施対象で、2018年が完成年度となる。振り返りの際には、カリキュラム・フレームワークの「Cuffet」で示される7つの指標と関連付けながら実施している。学生自身の振り返りはポートフォリオシステムのトップページにレーダーチャートとして表示され、学生は自身の資質の成長を確認できるという仕組みである。ポートフォリオへの入力や課題を書き込むことにより、学習活動が記録され蓄積されていく。学生は提出課題や学習ノートの記録から自己の成長や成果を数値評価し、根拠資料を見ながら省察させるという方法をとっている。
省察と呼ぶ活動には様々な支援体制を設け、学生の成長をしっかりと自身で確認させる体制をとっている。ポートフォリオの利用状況においては、2014年のパイロット利用から年々利用状況が伸びていることがグラフで確認された。特にCuffetの導入により利用者数が増大したことが報告された。また、“持続可能な社会づくりの担い手を育成するための教育(Education for Sustainable)”であるESDティーチャー認定プログラムを例として、正規授業以外でのポートフォリオ活用も紹介された。
「学修計画サポートの活用」
国際基督教大学学修・教育センター 一澤 真紀 氏
国際基督教大学(以下ICU)では、日英バイリンガル教育により2年間は教養科目、3年次から専修科目(メジャー)というカリキュラムを設置している。海外留学志向の学生が多いため、早い段階からの学修計画は必須である。この学修計画をサポートするものがicuMAPと呼ばれるツールである。ICUでは入学前から卒業前までアカデミックプランニング・エッセイを5回提出しなければならない。これらのエッセイは、前述のicuMAPに提出され、蓄積される。特に、メジャー選択時及び卒業研究指導教員申請時のエッセイ提出は重要であり、ICUの学生のターニングポイントになるものである。このエッセイは、自由記述であり、英語で記述しなければいけない。このエッセイをもとに進学の方向性が決定される。icuMAPというツールを学修ポートフォリオの位置付けでエッセイを蓄積し、活用することで学生の長期的な学修の展望や振り返りに利用しているという実践例が紹介された。
分科会D:価値の創出を目指した問題発見・解決思考の情報リテラシー教育モデル
情報教育研究委員会情報リテラシー・情報倫理分科会 主査 玉田 和恵 氏(江戸川大学)
情報教育研究委員会情報専門教育分科会 主査 大原 茂之 氏(東海大学)
- 分野別情報教育分科会
- 児島 完二 氏(名古屋学院大学)
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- 角田 和巳 氏(芝浦工業大学)
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- 大谷 壽一 氏(慶應義塾大学)
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- 武藤 志真子 氏(女子栄養大学)
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- 阿部 栄子 氏(大妻女子大学)
前半では、本協会提案の「情報リテラシー教育ガイドライン」における3つの到達目標とその事例・教材例が紹介された。
(玉田主査)社会が求める情報リテラシー、初等中等教育との接続の観点から、ガイドラインの到達目標Aを「問題の発見・解決の枠組みを理解し新たな価値を創造する」、Bを「情報社会の有効性と問題を理解し主体的に判断して行動する」、Cを「情報技術を理解しモデル化とシミュレーションを問題発見・解決に活用」と設定した。これらは大学4年間を通じ、専門、キャリア、卒業研究等の教育や教員同士の連携によりスパイラル的に培われるべきものである。到達目標Aについては「目標設定」、「解決策発想」、「合理的判断」、「最適解導出」、「振り返り」の過程から成るサイクルを問題解決の枠組みとして提案する。「解決策発想」はCの科学的な理解・技能の側面と、「合理的判断」はBの情報倫理的側面とも絡み、ガイドラインが求める「Aを体験しながら必要に応じてB、Cを学修させる」という指導が可能である。具体的な教育モデルとして、このサイクルを何度も経験しながら学修するタイプと、各過程を丁寧な説明の下に学修するタイプの2つを提示する。昨年度、本ガイドラインについてのアンケートを採ったが、その趣旨と有効性については殆どの方が賛同したにも拘らず、自大学で本教育モデルを活用して授業改善ができると考える教員は半数程度に留まっている。ガイドラインを活用した授業モデルの推進には教材開発が必要である。そこで、到達目標A、B、Cそれぞれについての授業シナリオ、指導案、提示教材、学修用ワークシートを作成した。到達目標Aでは、「自分がこれからの大学生活で何を学びたいか問題解決しながらプレゼンテーションする内容」の教材、到達目標Bでは、「より良いネット社会を築くための提言を行う」という内容の教材、到達目標Cは大原主査から紹介する。
(大原主査)到達目標Cの趣旨は、情報通信技術そのものに係る専門家を育てることは、種々の分野における情報通信技術の関係の仕方を理解することにある。Cの到達点は3つあるが、到達点1は「技術の説明」「情報通信技術による現実空間と仮想空間の結合と関係説明」、到達点2は「生活資源特性と経済原則の関係説明」「無意識的な仮説検証・モデル化・シミュレーションの発見とそれらに対する情報通信技術の有効性を経済・安心安全面から説明」と解釈できる。今回は到達点1を前提に到達点2について述べる。到達点2を分解した内容は、「①生活に必要な資源の特性と経済原則の関係の説明、②日常生活などで意識せず使っている仮説検証、モデル化とシミュレーションの発見、③仮説検証、モデル化、シミュレーションに対する情報通信技術の有効性と経済および安心安全といった面からの説明」であり、社会における情報通信技術の在り方を考察し正当かつ適切な要求ができるようになることが到達点2の目指すところである。このような観点から到達点3ではIoT、AI、ビッグデータ等とイノベーションとの関係理解が目指されるとして、一部教材が紹介された。
後半では、専門教育と授業改善モデルが5例紹介された。
(児島委員)文系学部対象の情報リテラシー教育モデルとして地域密着型問題発見活動が紹介された。学生チームが大学周囲を回り、問題例や写真をLMSで共有、発見課題を議論する。これにはデータ収集やグラフ作成も含む。更に、これを報告書やスライドとして構成する。この活動を「まちづくり提言コンペ」として展開している。
(角田委員)工学系教育モデルとして日本の中長期エネルギービジョンをテーマとする活動が紹介された。1週目は、エネルギー利用に関するトレンドの調査。データベース、グループウェア、LMSを活用。2週目はデータに基付き、エネルギー消費の様々な側面からの予測シミュレーション。3週目は結果説明を既習知識と関連付け議論する。
(大谷委員:ビデオ)医療系教育モデルとして薬物療法情報の取扱いや、薬学研究における問題発見解決能力の育成を目的とした『くすりの説明書』作成活動が紹介された。インターネットからの医薬品情報を収集・整理・評価し、患者への情報提供文書を、知的所有権や医療倫理を配慮しながらグループで作成する。
(武藤委員)栄養学教育モデルとして食事メニューの作成活動が紹介された。国際認証や食材調達の様々な情報をデータベースから取得し整理。Excelで作成したシミュレータ等を活用し、例えばオリンピックの食事メニューのシミュレーションを行う。更に自給率、食材輸入、将来予測等の観点から議論し、結果をプレゼンテーションする。
(阿部委員)被服学教育モデルとして繊維製品の消費者苦情防止をテーマとした活動が紹介された。製品品質や苦情事例が含まれる繊維に関する情報を、メーカー、商社、卸小売業、検査機関、クリーニング業、消費者センター等から収集。これらの情報に基付き問題原因の究明、再発防止の対策を議論しプレゼンテーションする。
以上の報告・紹介を受けて質疑応答が行われた。主なものをあげると①「初中等教育における情報活用・問題発見解決能力と、教育モデルとの接続に関して」の質問には「教育モデルの到達目標Aとして具体的な問題解決スキルをあげており、ここで初中等との接続が図られる」との回答がされた。②「オープンデータやクリエイティブコモンズの知識を到達目標に含めるべき」との提案には「前向きに検討」との回答がされた。③「情報収集、分析、編集、シミュレーション、提案という一連の流れを説明した教科書はあるか」の質問には「本協会の教材作成委員が開発中」との回答がされた。④「到達目標の達成度を評価するルーブリックはあるか」との質問には「現時点ではなし」との回答がされた。⑤「抽象と具体を関連付ける演繹的・帰納的な思考スキルと教育モデルの関連について」の提案には「目標設定に織込む必要あり」との回答がされた。
第3日目(9月7日)
大会発表
※以下の発表者は発表代表者のみ掲載。
A-1 |
初年次教育におけるチーム・ティーチングのためのICT活用 |
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ビジネス向けチャットツールのslackを活用して、初年次教育科目「アカデミック・スキル演習」を、科目担当者全員で授業のマネージメントをするチーム・ティーチングで行っている。使いやすい環境の共同作業の場が構築されたことで、教員間で効果的なコミュニケーションが実現でき、動機づけも高まった旨の報告があった。
A-2 |
欠席者・復習者のためのネット活用による授業内容公開 |
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講義の音声を録音、板書を写真撮影し、それらを配布資料等と合わせて授業用のブログにアップロードしている。学生は、授業時にはライブ感のある講義に集中し、復習としてブログからファイルをダウンロードして自らノートを作成し、ブログへコメント記入するなど、学生に積極的な自習を促すことができている旨の報告があった。
A-3 |
天文・宇宙教育のための講義録再生法に関する研究 |
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巨大スクリーン上に投影する天文・宇宙教材に、講師自身もコンテンツ化させるために、教材コンテンツにスポットライト部分を入れておき、そこに講師が立つというソフトウェアスポットライト方式を試み、その授業をビデオ撮影したものと比較する実験を行い、その評価結果についての報告があった。
A-4 |
LMSを活用した日報の共有によるインターンシップ学習の促進 |
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インターンシップ期間中に生じる学生の疑問や悩み等に、大学の教職員が助言を与え、またその対応プロセスを他のインターンシップ参加学生と共有できるように、LMS上の掲示板機能を利用した「シェア日報」を実施している。参加学生へのアンケートから、投稿と閲覧のそれぞれに効果が認められた旨の報告があった。
A-5 |
事後学修を重視した前回演習内容想起のための小テストの試み |
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統計学入門の演習中心の授業で、予習用の穴埋め式小テストを実施していたが、予習にかける時間が少ないことから復習用の小テストに変更している。用語中心の問題から、エクセルの計算に関する問題などが入るように変えても、学生の多くが授業開始の直前学修になっており、復習の増加には必ずしもつながっていない旨の報告があった。
A-6 |
フォーラム(電子掲示板)を活用した文学教育における授業外での協働学修推進の試み |
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文学の授業におけるICT活用で、学生の主体的な学修活動の促進を目指す報告である。予習課題として作品に対する印象や分析・批評を提出し、授業時に他の受講生の解釈や主張を理解した上で、授業後にその内容への批評や感想を書き込むとともに、学生同士の議論行えるようにするなど、ICTの活用で、学生の授業参加・主体的学修活動がある程度促進できた旨の報告があった。
A-7 |
i-Padを用いた看護技術自己練習への学生による評価 |
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看護技術演習の授業において、授業時間外に行う自己練習をiPadで録画し、LMS上の共有フォルダに保存することで自己省察や教員の指導に役立てる取り組みを行っている。学生の評価を調査したところ、能動的学修を促進する効果が認められたが、撮影が面倒という回答も多く、「実施することの効果」を感じる動機づけの必要性がある旨の報告があった。
A-8 |
コピペ防止エディタにおける丸写し検出機能の開発 |
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開発したコピー・ペースト機能が制限されているテキストエディタの入力ログを自動解析する機能追加についての報告である。この機能追加により、提出されたレポートが他者のものや書物の内容を丸写ししたかどうかの検出でき、学習者の学習取り組みの改善が期待できる旨の報告があった。
理数系高等教育を受ける視覚障害・発達性読字障害学生のための教材のアクセシビリティとICTを活用した支援方法についての報告である。障害者差別解消法の施行により求められる「合理的配慮」を実現する手段として報告者らのグループが開発した支援技術についても報告があった。
A-10 |
Google DriveとGoogle Apps Scriptを用いた授業後フィードバック・システムの活用事例 |
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複数の教員による新入生全員に開講している初年次教育科目のために開発した担当者の情報共有システムについての報告である。各教員が授業後に記入したフィードバックを共有し、授業努力が可視化され動機付けの向上などに効果がある旨の報告があった。
A-11 |
医学教育分野におけるIR部門の運営体制と課題 |
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医学教育分野において必要なIRについての報告である。医学教育分野では、世界医学教育連盟のグローバルスタンダートに基づく日本医学教育評価機構による医学教育分野別評価の基準が用いられるため医学分野特有のIRと、報告者の大学で採用されているシステムについて紹介があった。
A-12 |
Web授業評価アンケートのさらなる進化〜実施率100%を達成する〜 |
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Web経由の授業評価アンケートについての報告である。アンケートは、大学のポータルシステムを経由し、教員に対する実施状況の確認や分析の機能および学生・教員に対するメール通知機能が提供され、実施科目数の増加、実施率の向上が実現した旨の報告があった。
A-13 |
Moodleのルーブリック評定を用いた授業と補習を連携するチーム・ティーチング |
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チーム・ティーチングで開講する全学共通必修科目における、成績評価基準の共通化を目的としたMoodleのルーブリック評定の適用例についての報告である。特に、講義期間中に実施された補習において、該当する学生の未達成項目に対し、効果的な指導が実現できた旨の報告があった。
A-14 |
小集団活動におけるGoogleドライブ利用 |
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1クラス20人程度のゼミ・基礎演習科目でのGoogleドライブの活用例についての報告である。Googleドライブを利用したドキュメントなどのファイル共有は、少人数のクラスであればLMSの機能を果たし、操作性が簡素であるため、学生からの感想も好意的である旨の報告があった。
A-15 |
動画教材による学習効果に関する一考察 〜復習を軸としたアンケート結果の統計分析〜 |
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講義で利用する動画教材に関し、視聴のタイミングの違いが講義内容の理解に及ぼす効果についての報告である。講義時間中に視聴するグループと講義終了後に各自で視聴するグループに対し、中間試験と受講後に実施されたアンケートを基に行った分析結果についての報告があった。
B-1 |
介護福祉教育におけるICT活用の振り返りと産業構造変化に伴う今日的課題 |
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介護福祉士の社会役割を分析しつつ、10年間のICTを取り入れた「介護過程」教育を振り返り、産業構造が変わっても介護福祉士の期待される専門性は介護過程展開能力にある旨の報告があった。また、アクティブ・ラーニングでの評価、ポートフォリオのフードバックが今後の課題である旨の紹介があった。
B-2 |
専門科目におけるアクティブ・ラーニングの試み |
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講義型授業におけるアクティブ・ラーニングとして「講義の振り返りをSNSへ」「グループ学修」「反転授業」を実施し学修効果を検討し、その結果、学修効果は認められるが成績との相関は科目ごとに異なっている旨の報告があった。今後、コンピュータの苦手意識の克服のための施策により教育効果を挙げることができるのではとの紹介があった。
B-3 |
学生の「思考力」を伸ばすアクティブラーニングの取り組みと学修成果 |
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ICTおよびアクティブ・ラーニングを取り入れた授業成果として、充実感・満足感、イメージ化の促進など12カテゴリーを学生レポートから抽出し、Moodleのアクセスログ解析で、事前学修や確認テストは予・復習や知識の定着に活用されていることが明らかになった旨の報告があった。
B-4 |
英語記述問題の自動採点プログラムBackscratchの開発 |
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Moodleなどの自動採点機能では、記述式問題が内容的に正解であっても、一字一句回答と同じでなければ、不正解となることが少なくない。このため、キーワードが含まれていれば正解とするファジーな採点機能が特徴で、正答の主要語句が含まれているかどうかで判定できるプログラムを開発し、思惑通りの評価が可能になった旨の報告があった。
B-5 |
マークシート方式の小テストによる大規模講義での単位認定の試み |
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スキャナで読めるマークシートを用いた小テストの大規模講義への対応についての報告である。マークシートによる小テストにより補足説明などの個別対応が可能になり、理解到達度が上がっている旨の報告があった。ただし、監視体制の強化が大規模化に伴う大きな課題であることも指摘している。
B-6 |
Moodleを使った実験系教育支援実践報告 |
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Moodleを実験実習に使用する場合の問題点についての報告である。まず、グループ・グルーピングの設定がGUIでしかできないこと、また、課題を6テーマ分提出日ごとに設定すると、教員側の画面はスクロールするのも困難なほど縦長で、さらなるオブジェクトの追加や移動が困難を極めるなどの問題があり、改良が切望される旨の報告があった。
LMSの教員への普及を促すために、LMSを使わないでいる教員を対象とした基礎調査の報告である。調査では、LMSの操作技術的な理由ではない多様な理由が隠れていることが判明し、普及戦略としては個別に活用提案を行うような小規模な講習会が有効だと考えられる旨の報告があった。
B-8 |
数学の概念問題の開発と数学のピア・インストラクション型講義の実践 |
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「高大接続システム改革会議」最終報告書の提言を実現するための、数学における概念を理解させるピア・インストラクション型講義の開発とその実践について報告である。正解に辿りつくためにクリッカーを活用し、学生への回答分布の提示やその後のピア・インストラクションを取り入れることで、数学の概念理解を促進する効果がある旨の報告があった。
B-9 |
医学生によるヒト型ロボットを用いた医学教育の実践とその効果 |
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医学部におけるPBL教育を促進するためのヒト型ロボットを活用した教育について報告である。教育効果を探索的に把握するため実施した、オープンキャンパス参加者を対象とするヒト型ロボットでのシナリオベースでの模擬授業についての実践報告があり、どのようにPBLとして実践していくかの課題も明確にしている。
B-10 |
手描きと3DCGの両体験に基づく学習深化の取組について |
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デッサンでは、手描きと3DGCの両方が用いられる。このデッサン能力の修得に関して、Aグループ(8名):手描き→3DCGを用いて表現、Bグループ(5名):3DGC→手描きの2つのグループでの学習とその学習効果に関する比較についての報告である。製作した作品では、それぞれの方法での学習での特徴があったが、最終作品の質の面では最初に手描きから行ったAグループの方が高い結果が得られた旨の報告があった。
B-11 |
コンピュータを用いた映像系授業への古典文学の利用 |
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ディジタル映像化能力を修得させるために、履修学生に取ってもストーリーが知られている古典文学作品を用いた試みについての報告である。古典文学のコンピュータ映像化過程での表現に関するアイデアの発露、学生間で教え合え、卒業制作に繋がったなどの学修成果について報告があった。
B-12 |
初年次大学生のICTに関する考え方〜リハビリレーションを学ぶ学生の事例から〜 |
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リハビリレーションを学ぶ学生においてもICTの活用は必要になってきており、リハビリレーションを学ぶ学生(計157名)が、ICTに関してどのような考えを持っているかのアンケート調査についての報告である。項目は大別すると授業と情報化社会に関することであり、授業に関してはICTやPCへの関心が授業内容の理解に関係していること、情報化社会については肯定的であるが、不安を感じていることが示唆された旨の報告があった。
B-13 |
ICT活用のためのインタラクティブ教材の開発 |
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大学教員のICTを活用した授業を促進するための、インタラクティブ教材の開発に活用する「ティラノスクリプト」を用いた支援システムやコラボレーションシステムについての報告である。これらの学習者支援システムをテキスト併用で利用することで、学習者が効率的に学べる旨の報告があった。
B-14 |
外国語科目におけるクラスサイズとeラーニング教材使用・効果の分析 |
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事前に履修人数予測が難しくなっている第二外国語科目で、履修人数が多くなった場合でも対応可能とするためのeラーニング教材のmoodle上で開発と、その学修効果についての報告である。学修内容にもよるが、70人程度のクラスでもeラーニング教材を用いることで、履修人数による学修効果の低下は抑制される旨の報告があった。
B-15 |
メッセンジャーアプリを使用した学生同士の語学学習 |
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海外研修プログラム後の語学学習継続を目的とし、帰国後に渡航先で交流した大学生とメッセンジャーアプリを用いて相互学習を続ける仕組みについての報告である。メッセンジャーアプリを用いることの利点と、実際に利用させた場合に発生することが予想される問題点について報告があった。
語学系教員のICT活用力の増強と、提携海外校でICTを用いた講義を円滑に実施するための、教育向け教育プログラムについての報告である。使用するフォントなどについても指定があることなどの見過ごしがちなことへの注意も必要である旨の報告があった。
B-17 |
自立学習者養成のための英文読解学習ソフトウェア「リーディングラブ」Ver.2の開発と検証 |
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英語の自学自習環境の一つである「リーディングラブ」についての成果報告である。このソフトはパラグラム構成題を基本とするものであり、利用した学生(4名)からのアンケートから、海外大学の正規課程への留学生を対象にした利用にも効果的でないかとの報告があった。
C-1 |
全学情報リテラシー教育科目の検証:問題解決の学びを志向して |
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情報リテラシー教育の内容の見直しによる対象学生の基礎的知識や基本技能の習得状況及び改訂科目についての印象に関する調査報告があった。調査結果からは、基本的なスキルの習得に一定の学修効果があったこと、改定科目に対する印象は肯定的であったことが報告された。
C-2 |
CBTを中心とした反転型プログラミング実習の実践 |
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学修者の知識獲得レベルに応じた発問を可能とするCBT機能を実装したe-ラーニングシステムの活用による反転型プログラミング実習科目の提案及びその実践結果報告があった。授業内ワークシートやグループワークの実践による全体の理解力向上に寄与していることが報告された。
C-3 |
学習者に合わせたプログラミング教育の一手法 |
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プログラミング授業に関し、学生のニーズに合わせた授業内容の試行変遷についての経年報告があった。レポート回数、レポート期間と授業日の重複無し、授業内容の改善等により、成績が向上したこと。ゴールイメージの先行経験により、基礎的事項の理解力向上につながったこと等の報告があった。
事前講義ビデオの視聴ログの分析を授業運営に役立てる目的で、講義録画・配信システムPanoptoを活用した分析報告がなされた。特に、「いつ見たか」という残り日数や「どの程度多く見たか」というビデオの被視聴率割合への着目により、興味深い現象を観察することができたことが報告された。
C-5 |
実習系講義へのインターネットを利用した反転授業の効果 |
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実習系講義におけるICTを取り入れた反転授業導入による学生の理解度や反応についての報告があった。授業の事前参考動画の視聴に対しての受け止めは良好であり、情報環境の整備という課題はあるものの、実技への理解を深め、講義に対する意欲向上に繋がると報告された。
C-6 |
短期大学における反転授業を取り入れた授業デザインの構築 |
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「わかる」と同時に編入試の問題を「解くことができる」力を身に着けることを考慮に入れることが求められる状況下で、問題の解説時間と学生に解答させる時間の確保が困難であるという課題を抱えている。この問題解決のために実施された反転授業の導入及びその成果が報告された。
C-7 |
大教室でのグループワークを進めるための反転授業と代表者ミーティングの取り入れ |
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大教室授業においてグループワークなどを通じたアクティブ・ラーニングの成果と課題、問題解決のための反転授業の導入と従前の授業手法との相違や新たに出現した課題についての報告があった。
C-8 |
地域学習におけるラーニングeポートフォリオの活用実践 |
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Moodle内のeポートフォリオモジュールを活用して、地域学習の講座参加者による目標の設定から、学習エビデンスの蓄積・自己評価・相互評価・教員評価等を行った報告である。受講生と教員ともによい結果が得られたが、課題も見え、今回の検証結果を踏まえて、新モジュールの設計に活かしていく必要がある旨の報告があった。
C-9 |
100人規模の講義科目を事例にしたマナバ・ポートフォリオ機能の活用について |
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LMSのeポートフォリオ機能を利用して「考える」授業実践に関する報告である。受講生の学修行動に変化が見られ、メモ取りに追われていた状況から、考える余裕が生まれ、聴講している内容を情報として意識し選択すること、さらには学修内容を要約し表現する学修スキルを高める機会となっている旨の報告があった。
C-10 |
eポートフォリオを活用したLTD学習法の開発 |
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協同学習、協調学習、LTD学習などにICT活用したアクティヴ・ラーニングの実践報告である。eポートフォリオでの結果の記録、振り返り、ピア・ビューイングなど学修に有益であり、他の履修生とのディスカッションや情報交換が知識を深めるなど、ポジティブな評価を示す結果が得られている旨の報告があった。
C-11 |
情報リテラシーで反転授業を行うためのe-Learning教材 |
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反転授業用にeラーニング教材の作成と、効果的な授業運営についての報告である。学生の理解度は向上し、成果物提出に関しても、よい結果が得られ、反転授業による事前学修が学生の理解度向上にも貢献し、授業に関する学生の取り組みにも相乗効果が見られている旨の報告があった。
C-12 |
大手前大学ファッションビジネス専攻における色彩教育についてのICT活用の事例 |
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色彩教育にICTを活用した事例報告である。e-learningシステムにより作成したテスト課題の授業外学修により、知識の定着が図られ、また、ICTにより、学修に必要なデータを収集することができる。特に、学生の平均解答時間と平均得点との関連性から、難易度を把握することができ、その結果を今後の学生指導に活かしていくことが可能になっている旨の報告があった。
C-14 |
G Suiteを用いた初年次の作文能力・情報活用能力の開発 |
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G-Suiteを用いた、効率的に作文の力の向上と情報活用能力の向上に関する報告である。G-Suiteを用いて、事前学修と事後学修を行わせ、授業に集中させており、協働学修にも効果があり、下位層の底上げに大きな成果が見られており、今後、この成果をグループ・ワークの活性化につなげていく旨の報告があった。
C-15 |
コンピュータ科学教育装置SCOPEの導入とエンジニアリング・デザイン教育への展開 |
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コンピュータ科学教育向けのシステムとして導入したSCOPEについて概観し、ICT活用と対面授業における教師の役割の変化への対応としての基盤整備について焦点を当てた報告である。今後は、学修者の学修動態への即応、学修ニーズに合わせた適切な教材、教員の質的向上に資していく旨の報告があった。
C-16 |
実技演習におけるパフォーマンス評価〜Moodleにより自己学習を促す授業〜 |
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Moodleを利用した、デモンストレーションの動画配信、実技パフォーマンスの確認のためのルーブリックの提示と評価についての報告である。学生が自らの実技場面の動画を提出し、それを教員が評価する方法は、学生・教員双方にとって大きなメリットがあるが、フィードバック方法をさらに改善する必要がある旨の報告があった。
C-17 |
社会科学系の学生を対象としたQGISとネットワークを活用したGIS教育の実践 |
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QGISとネットワークを活用したGIS教育実践に関する報告である。QGISを利用することで、ライセンス数による受講制限がなくなり、LMSサーバにアクセスし、学修用のコンテンツ閲覧や課題の提出を行うなど、効果的なGIS教育を行っており、受講者がレポートや卒業論文作成時に、気軽にGISを活用する可能性もできた旨の報告があった。
高大連携事業の一環で高校での出前講義をする際に、生徒に主体性を持たせる手段として、クリッカーを使用することについての報告である。クリッカーを使用することより、生徒が興味のない分野でも回答すること自体に興味を持つことで主体性を維持でき、高校と大学の学びの違いに気が付くことなど効果がある旨の報告があった。
D-2 |
タブレットPCを活用した博物館見学の撮影記録データによる学習分析 |
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博物館や水族館を見学する際のペン入力ができるタブレット端末活用についての報告である。入館者が展示物を撮影した写真に撮影の理由や感想、発見や気づき、疑問などを直接画面に文字情報として残し、これらのデータを分析することで、学修履歴や成果をデジタルポートフォリオとして活用できる旨の報告があった。
D-3 |
簿記・会計教育におけるアクティブ・ラーニング導入可能性〜授業評価データ分析に基づく考察〜 |
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2年次の科目『株式会社会計』で、企業活動をモチーフにしたボードゲームを通じて、費用・利益をコントロールしていくアクティブ・ラーニングを導入についての報告である。受講学生の評価アンケートの分析の結果、履修目的や知識の関連付けや学修意欲の確認でき、今後は、動機づけ理論と関連させた指導の検討をする旨の報告があった。
D-4 |
基礎学力の把握及び格差減少に向けたmoodleを用いた入学前教育について |
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AO・推薦入試合格者に対し、入学前教育として数学・国語の課題をMoodle上で課している。その結果、一部の学部では格差が縮まり、学修状況を教員が把握することで学生自身の学力はもとより、入学前に除籍退学につながる恐れのある学生を発見することができ、早期対応が可能となったとの報告があった。
D-5 |
物理教育におけるMoodleを活用した事後学習の試み |
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Moodleを活用した物理教育の支援システムの構築として、講義科目においてMoodleの小テストをモジュール利用した事後学習、実験科目におけるワークショップモジュールを利用した事後学習環境の構築を進めている。講義科目・実験科目ともに学生アンケートを実施し、それらの結果について報告があった。
D-7 |
アクティブラーニング全学導入にむけたICT基盤の構築と実践 |
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全学でアクティブ・ラーニングが実施できるように、全学的ICT基盤の構築と導入を行ってきた。オープンソースであるMoodleと独自に開発した協調学修支援システムの導入により、年間3,000を超える講義用Moodleコースを自動で生成し、多くの講義でMoodleのコースが活用されるようになった旨の報告があった。
D-8 |
自動車工学学習教材の開発を題材としたPBL授業の実践 |
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正課の授業の中で、自動車工学の学びにつながりながら、総合的な学習経験を積ませるために、大掛かりではないものづくり教育のためのPBLの教材としてLEGOブロック活用の試みについての報告である。この試みは、作動している状況が観察できること、手で動かすことができることに意義があり、学生の理解度の向上にも繋がった旨の報告があった。
民法の事例問題を解くとはどういうことか、民法の事例問題を解く際の基礎とは何か、その基礎を身につけるためにはどのようなことをどのように学んでいったらよいかについての報告である。基礎を学ぶ際における、iThoughという「マインドマップ(思考整理)」アプリの有用性と活用法についても報告している。
D-10 |
患者シミュレータとインターネットを活用したセルフラーニング教材の開発 |
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患者シミュレータとインターネットを活用したフィジカルアセスメント技術を学ぶためのセルフラーニング教材の開発についての報告である。この教材は無償で利用でき、場所を選ばず、繰り返し閲覧・使用できるため、医学・看護学生または医療従事者にとって有益な学習教材になる旨の報告があった。
D-11 |
講義教室を使用する科目における授業支援システムの活用 |
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LMSと授業支援ボックスの連携システムならびに「白板資料」のLMSへの登録という実践について報告である。学生が課題を手書きで行う特性を活かしつつ、学生の教室外の事前・事後学修を促進し、学生との双方性を高める授業実践である。学生数が多くなると手書き課題の管理が教員の負荷になるが、LMSを活用することでそれを低減できている旨の報告があった。
D-12 |
多様な協働体制で実現する教育・学習支援のあり方 |
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授業をより効果的・効率的・魅力的なものにするための授業設計支援を行うことを目的とした教育方法研究支援室の開室から1年半経過した状況の報告である。アクティブラーニング対応教室の利用促進を行うことで、教室環境が教員に授業を改善させ、学生には主体的な学びを促進している旨の報告があった。
D-13 |
英語自習促進のためのクラウドサービスやブログの活用 |
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英語自習促進のために、Dropboxを活用して授業資料を提供する取り組み、ブログを活用して単語の解説と文法の補足をした取り組みについての報告である。学生へのアンケートも行っており、その結果から、利用促進へのヒントは垣間見ることができる旨の報告があった。
D-14 |
問題解決の枠組みとICT活用力を育成するプロジェクト演習の指導法の検討 |
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プロジェクト演習の授業改善を目的として、「情報リテラシー教育のガイドライン(2015年度版)」(私情協)の「問題解決の枠組み」と「見え方考え方」を取り入れた教材案の検討過程と授業実践とその評価結果について報告である。事前・事後調査からも一定の効果が確認できている旨の報告があった。
D-15 |
BLEビーコンを活用した防災体験教育の環境構築の試み |
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BLEビーコンを活用した大学における危機管理の一端として避難誘導あるいは防災体験教育に資する環境構築についての報告である。BLEビーコンにより位置情報を取得し、その履歴を基に「見える化」し、位置情報に応じたメッセージを如何にして提示できるかを検証している旨の報告もあった。
D-16 |
受講生100人超の大講義での双方向性向上・能動学習促進 |
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100人超の大講義においてコメント集計システムの活用による双方向性の向上と、選択問題投稿システムの活用による能動的学習の促進についての実践報告である。この取組により学生の要点把握の隔たりを健在化でき、予習復習を促進だけでなく、誤解を能動的に学生に把握させることができる旨の報告があった。
D-17 |
幼保人材養成課程のための情報活用能力育成カリキュラムにかかわる一考察 |
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幼保人材育成(幼児教育)にかかわる課程における情報リテラシー/情報教育の具体的な授業展開について報告である。作業課題を通して思考や態度をアクティブ化するために、子どもの身の回りにある危険を回避させるための教材作成や保育従事者として教材の選定を行っていることなどの報告があった。
E-1 |
「まちづくり」を支援する教育DVD作成の構想 |
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「まちづくり」の事例のDVD作成に関する報告である。地域の方とのミーティングに先立ち、事前に、どこが問題で、どのような手法で「まちづくり」が可能であるかを、様々な地域の「まちづくり」事例をDVDで視聴し、比較することで、学生のモチベーションを高めることができる旨の報告があった。
E-2 |
社会科学系学生がサポートする地域住民のための情報活用力向上プロジェクト |
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地域住民のための情報化活用能力向上についての報告である。地域振興の方策として、提案する講座「地域プロジェクト」科目において、学生が地域住民の受講生をサポートして、教育効果を高め、アクセシビリティを考慮したeラーニングを用いることで、地域住民の情報活用力の向上を図っている旨の報告があった。
E-3 |
地域伝統産品のブランド価値向上を目的としたブログを中心としたPBL活動 |
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地域と関わるPBL型活動についての報告である。ゼミナールの活動として、石川県金沢市の伝統産品である「伝燈寺里芋」に関する販売促進を目的とした情報を、ブログを中心として情報発信している。学生が外部と関わるプロジェクト型の教育活動は教育効果のみでなく、どれだけ成功をおさめるかも問われため、外部に必要な情報を提示できる能力も求められる。これは、社会に出て仕事を行う際に必要な能力であり、これらの能力の涵養にも役立つ旨の報告があった。
E-4 |
PBL型授業での経験を振り返るための補助ツール |
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履修学生の「経験による学習」を促進させるため、PBL型授業を中心とし日々の活動の履歴を容易に残すためのツール「アクティビティログ」に関する報告である。「アクティビティログ」の活用により、日々の活動で経験した出来事に対しての印象や感想、その経験で身に付いたスキル、その経験どのように活かすかなどの振り返りができ、学びを可視化するだけでなく、学生と教員とのインタラクティブなコミュニケーションを実現させることができることなどについての報告があった。
ベトナムにおいて、日本とベトナムの学生で混在させてグループを作り、グループごとのプロジェクト活動を行わせて、国際的な活動の経験を体験させる国際PBLに関する報告である。最終プレゼンテーションには、現地若手社員も同席し、社会人目線での厳しいコメントもあり、国際コミュニケーションの体験が、今後グローバル人材として社会で活躍する際の大きな自信となることが期待できる旨の報告があった。
E-6 |
理学療法士養成課程の臨床実習におけるアクティブラーニングのためのICT活用の試み |
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理学療法士養成課程で、病院や施設でスタッフの一員として診療に参加する臨床実習に関する報告である。実習では学生戸惑うことが多いことから、実習前の学生に動作介助の演習を行い、タブレット端末を用いて動画を撮影し、随時振り返りを行い、学生が自分自身にとって必要なポイントをあげて、実習中に学ぶべきチェックポイントを作成させており、今後は、より臨床現場に即したチェックポイントを作成し、動画などを交えた学習システムの構築を進めていく必要があることなどの報告があった。
E-7 |
情報系クイズ問題作成の事前学修とTBLを通して行う能動的な反転授業の効果と評価 |
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大学初年次に実施する情報リテラシー系の授業についての報告である。学修者の予備知識や背景知識の二極化が進み、学びを深めるための工夫として、各単元の事前学修を前提としたクイズ問題の作成を行わせ、クラス全員がお互いに全グループのクイズ問題(抜粋)を閲覧・回答するための仕組みを活用し、場を意識したコミュニケーション能力の重要性も、体験的に理解させている旨の報告があった。
E-8 |
価値創出を目指した問題発見・解決思考のカリキュラム開発への予備調査 |
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本協会提案の「情報リテラシー教育ガイドライン」到達目標Cについて、その授業案作成のため、大学入学者の情報に関する知識・技能・態度を予備調査と初等中等教育との関連についての報告である。調査結果から、高校までのキーボード操作、プログラミング教育等に大学での指導課題が見出された旨の報告があった。
E-9 |
教育環境におけるビジュアル系プログラム言語とテキスト系プロフラム言語の活用事例 |
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プログラム言語をビジュアル系(VP)とテキスト系(TP)に分類し、それぞれの特徴を生かしたプログラミングの実際を事例についての報告である。VPは導入と使用が容易であり、TPは高度な構造化が可能である。これらを経験し目的により使い分けることでプログラミング教育の効果が期待できる旨の報告があった。
E-10 |
大学初年次情報教育における能動的学修を目的としたAIオセロ教材および授業 |
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情報技術への興味を高めるために大学初年次の情報授業の教材として独自開発のオセロゲームを取入れた。授業ではグループワーク形式で戦略を検討させ、グループ対抗オセロ大会を実施した。授業アンケートによれば、大会前に比し大会後では情報技術への興味、興味と勝点の相関等が高まった旨の報告があった。
E-11 |
海外研修航海のリアルタイム後方支援を可能にするWebページの構築及び運用 |
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東海大学では大学所有の海洋調査研修船による1ヶ月超の学生研修航海の実施に関する報告である。通信事情から航海中の日本へのリアルタイムな情報発信が困難で、このための管理要員確保とWordPress採用の新たなWebページ公開によるリアルタイムに近い情報発信を可能とする改善案改善についても報告があった。
E-12 |
音楽系大学通信教育の創作分野(電子音響音楽)におけるICTの利活用 |
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電子音響音楽の創作におけるICT利活用の計画と構想についての報告である。諸地域から老若男女が集まる通信教育において、フィールドレコーディングを中心としたネイティブ性の高い地元の音楽素材採取により、幅広く地域文化の発展に寄与する音楽を創出し、地域文化の再評価と貢献に資する人材を育成している旨の報告があった。
E-13 |
Push型SNS(LINE)を利用する大学生の調査研究 |
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教育現場へのLINEの取入れと必要となるポイントについての報告である。学生調査からLINE利用は学生に浸透しているが、マナー違反や依存症等に問題が見られる。LINEネットワークは既に広まっており、そのリテラシーや倫理観の教育のためにも教育現場にLINEを取入れ試行錯誤することが肝要である旨の報告があった。
E-14 |
大学におけるICTを利用した英語学習の効果 |
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自主的な英語学習を促すICT教材を活用した学習方法についての報告である。リーディング授業とリスニング授業を、manabaによる授業外学習、グループワークによる問題解答、解説とまとめで構成しており、学生アンケートでは、授業外学習の効果、動機付けの向上、学習効果と試験成績の相関等が見られた旨の報告があった。
LINEのノート機能とスマホ用キャプチャソフトの利用による外国語授業の改善報告である。スマホに格納した各種情報の提示と生で伝えるべき情報の板書により授業を展開し、学生教員共それらをスマホで撮影して、事後の授業分析と評価、自主学修、試験題材等に活用することにより、学生の受講態度が積極的になった旨の報告があった。
E-16 |
英語ブレンディッドラーニングにおけるスパイラル的な教授方法と教員の役割 |
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LL教室、CALL教室、LMS、e-Learning 等のICT活用と対面授業・個別学修等をブレンドし、授業への動機付け、コミュニケーションへの姿勢、専門領域での英語運用をスパイラル的に向上させる教授方法の実践報告である。外部英語能力テストのスコアから多くの学生で英語基礎能力が向上した旨の報告があった。
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