私情協ニュース

追悼

初代会長
  清水 司先生を偲んで

 本協会初代会長の清水 司先生(元早稲田大学総長、元中央教育審議会会長、元日本私立学校振興・共済事業団理事長、学校法人渡辺学園名誉理事長、文化功労者)は、平成29年10月21日、92才で逝去されました。ここに謹んで哀悼の誠を捧げます。
 清水 司先生は、情報教育の黎明期にコンピュータを導入した情報処理教育を振興・普及するため、私立大学の3団体(日本私立大学連盟、日本私立大学協会、私立大学懇話会)を母体とする本協会の淵源である私立大学等情報処理連絡協議会を昭和52年に設立され、昭和58年11月までの6年間に亘り「産みの親」として、私立大学教育による情報化社会に向けた人材育成の重要性を標榜され、教育・研究に不可欠な情報通信機器等の導入整備に尽瘁されました。
 当時、高額の大型コンピュータの導入は、私立大学には財政援助が十分確立されていないこともあり、導入が困難な状況でありました。このため、先生は協会に国庫助成委員会を設置し、関係諸機関に働きかけて国の財政支援の拡充にご尽力され、多くの大学で大型コンピュータの導入、とりわけ機器の取替え更新が可能となる借入補助(レンタル)の拡大に努められました。また、導入した大型コンピュータの効果的な利活用を推進するために教育ソフトウエア説明会の創設、情報処理教育のシンポジウムの開催など、情報処理教育の充実発展に取り組むとともに、昭和55年には学校事務処理システム研究講習会を開催するなど、大学の業務改革を目指して情報化の取り組みにも着手されました。
 社会の情報化が急激に進展する中で、先生のご尽力により大学の情報基盤も整備されるようになり、あらゆる分野でコンピュータやネットワークの活用が認識され、狭義の情報を処理する教育から、広義の情報を活用し教育の質的向上を目指した情報教育へとパラダイムシフトしました。そのような中で、私立大学等情報処理連絡協議会も平成4年には社団法人私立大学情報教育協会、平成23年には公益社団法人私立大学情報教育協会へと会の名称を改め、時代を先取りした事業を展開し、今日に至っています。
 現在の本協会がありますのも清水先生による強いリーダシップなくしては語れません。ここに先生の在りし日を偲ぶとき、毎年恒例の賀詞交歓会を通じて、大学の知を社会人に公開し、日本全体で知のネットワークを形成してイノベーションすることなど、大所高所から薫陶いただきました。役員一同、先生からたまわりましたご意志を受け継いで、私立の大学、短期大学における教育の質向上に向け、私どもは改めて力を結集し、活動を進めていくことをお誓い申し上げます。
 清水司先生のこれまでのご功績と私立大学情報教育協会へのご厚情に感謝と敬意を表するとともに、ご冥福をお祈りいたします。

公益社団法人私立大学情報教育協会 顧問・元会長 戸高 俊之


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