賛助会員だより
ラーニングコモンズの形態は図1に示す通り3つに分類されます。今回は柔軟性と拡張性に優れたキャンパス展開型のラーニングコモンズ構築に取り組んでいる獨協大学の事例を紹介します。
図1 ラーニングコモンズの形態
獨協大学のラーニングコモンズは「学生の自律学習支援の拠点形成」と言う基本コンセプトに則り、2007年に図書館とICZ*1を有する天野貞祐記念館への導入を皮切りに、2010年の東棟、2012年の学生センターとその範囲を広げてきました。図2はラーニングコモンズの全体構成であります。時代の変化や学生のニーズに合わせてクリエイティブ(創造する)、リサーチ(情報・知識を得る)、プレゼンテーション(成果を展開する)の各ゾーンをキャンパス全体にバランス良く配置してきました。
*1:International Communication Zone
図2 ラーニングコモンズのキャンパス内構成
そこで、今回の西棟建設に伴い、各ゾーンの現状分析(図3参照)や利用状況の再認識、課題の抽出を行うラーニングコモンズ分科会を大学内に立ち上げ、基本コンセプトに立ち戻り、既存施設の再編成を含めキャンパス全体のラーニングコモンズを西棟への展開を通してどう構築してゆくのかの検討を重ねてきました。
図3 現状分析
LC分科会での現状認識の結果、創造的活動を行う空間や環境が少ないことから、西棟をその主要拠点と位置づけ、以下の考えに則り、「学生が自然と集い、語らい、創造が膨らむ学びの場」造りを目指すこととしました。
1.創造的活動の様々な行動パターンを想定し、 それに相応しい環境と対応性・柔軟性・操作性に優れたICTシステムを装備する。
2.「学生の自主的な学び」と「授業としてのアク ティブラーニング」の両機能を備え、アクティブラーニングとラーニングコモンズの連携による相乗効果をもたせる。
ラーニングスクエア1は学生の自主的な活動を主としたガラスパーティションで間仕切られた開放的な空間で、天吊りプロジェクターが2セット、可動型ディスプレイ(50inch)が4台、自立型のホワイトボード等が装備されています。学生はいつでも自由にパソコンやタブレット端末をプロジェクターや可動型ディスプレイに繋ぐことでこれらの施設を利用することができます。現在は利用者が多いために予約制を導入しています。一方、指導者による利用(管理型利用)も可能で、説明、討議、発表の一連の流れをタッチパネル操作で簡単に行える。図4に主な利用パターンを示します。
図4 ラーニングスクエア1の利用パターン
アクティブラーニング教室はその名の通り授業としてのアクティブラーニングを行い易いように考えられた空間で、前面と背面にホワイトボードを配置し、それぞれに電子黒板機能付きの短焦点プロジェクターが2台ずつ計4台設置されています。図5はアクティブラーニングの一般的な流れに沿って、プロジェクターをどのように利用するかを示すものです。これらの操作は図6に示すタブレット端末の画面で簡単に行えます。また、この教室とラーニングスクエアを近接させることで、授業外での自主的なグループワークを自由に行うことができるようになっています。
❶課題説明:一般の授業スタイルで前方の2画面を利用
❷グループワーク:4組に分かれて、それぞれのプロジェクターを利用した情報収集や討議
❸ディベート:賛成派、反対派の2組に分かれて2台ずつのプロジェクターを利用した討議
❹グループ成果発表:4画面に同じ画面を投影しながら発表
❺まとめ・好評:課題説明と同じスタイルで実施
図5 プロジェクターの利用パターン
図6 タッチパネル画面
その他のエリアとして、屋外(中庭)でも活動が行えるアウトドアコモンズ(ガーデンスクエア)やホワイトボード上を左右に移動するプロジェクターと移動性に優れた机椅子一体型の家具を導入したラーニングスクエア2も構築しました。
今後もキャンパス展開型のラーニングコモンズのあるべき姿を追求するために、継続的な利用状況の把握やヒアリングを行い、既存施設の再編等を含めた検討を行ってゆく予定であります。今回の構築にあたりラーニングコモンズ分科会の皆様を始め、獨協大学の様々な方に多大なる御協力を頂いたことを、紙面を借りて御礼申し上げます。
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